- 更新日 : 2025年7月10日
ボーナスを貰ってから転職したい人は「賞与基準日」を意識せよ
ボーナスの時期になりました。みなさんの懐は暖まりましたか? ぼくがいた東京国税局では、「期末手当」という名のボーナスが貰えます。給与の約4.3月分が6月と12月の2回に分けて支給されますが、夏の方がちょっぴり少なかったと記憶しています。
会社員のみなさんが転職や退職を検討するとき、「もうすぐボーナスの時期だから、どうせなら貰ってからやめようかな」と考えることがあるかもしれません。そういう人はこの日まで在籍していたらボーナスの受給対象になるという「賞与の基準日」を気にしてみてはどうでしょうか。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)
国税局を辞めたときの幻のボーナス
ボーナスの支給条件は会社ごとに規定されています。会社によってボーナス支給日にバラつきがあるのも、各社で時期を決めているからです。
そして、ボーナスの支給条件の中に、“この日まで在籍した人をボーナス支給対象者にする”という「賞与の基準日」を規定している場合もあります。その場合はボーナス支給日の1カ月前に基準日を設けることが多いようです。もしそのような条件が規定されていて、他の支給条件も満たしていたら、その日まで会社に在籍していればボーナスの支給対象になるということです。自社のボーナスの支給条件が知りたい方は就業規則を確認するといいでしょう。
ぼくが国税局を辞めた時期は、ボーナスが支給されるタイミングの少し前でした。
国税局職員を含む国家公務員の夏のボーナスは、6月1日が基準日になっています。なのでその日を過ぎてから退職すれば、ボーナス支給日より早く退職しても支給が確約されるのです。
しかし、ぼくが退職したのは4月30日。6月1日の基準日までは1カ月強あったため、ぼくに夏のボーナスが支給されることはなく、しばらくは貯金を切り崩して生活していました。
もちろん基準日は把握していましたし、有給休暇もたくさん残っていました。ただ、吉本興業の養成所に入るタイミングなどもあって、ボーナスを諦めざるを得なかったと記憶しています。退職する日が、あと1カ月ちょっと遅ければ……。
アルバイト時代のボーナスは退職後にゲット
アルバイトでもボーナスを貰った経験があります。ぼくは吉本興業の養成所を卒業してから、品川駅の中のお店でアルバイトをしていました。3年くらい働いたかな。
その会社では、仕事の頑張りを店長が認めてくれると、アルバイトでも年末にボーナスを貰うことができました。金額は、アルバイトの給与の額に関係なく、一律5万円の「金一封」で、12月の給与に上乗せして支給されていました。
アルバイトを始めて3年ほど経った頃の11月に、新しい店長が配属されました。ぼくはその店長との折り合いが悪く、12月の中旬頃に退職することになりました。
そのときは12月の給与と一緒にボーナスが支給されました。というのも、ボーナスの基準日を確認して、その日を過ぎてから、退職する意思を伝えたからです。
それにしても、新しい店長からしたら、本業・芸人の年上の男なんて扱いづらい存在だったと思います。いきり立っていたのか、着任早々、身に覚えのないことで怒られたぼくは、「ああ、うまくやっていけないかもなあ」と思いながら、「申し訳ありません」と頭を下げていました。高校生の頃から7つのアルバイトを経験して、どの現場でも臨機応変にやってきたので、単純にその店長がぼくの存在を気に入らなかったのでしょう。
ボーナスは「過去の勤務への対価」
会社員のみなさんがボーナスを貰うのは当然の権利です。仕事を辞めることが決まっていてボーナスを貰うのはなんとなく罪悪感を抱くかもしれませんが、ボーナスは未来の勤務への期待や評価ではなく、査定期間中にちゃんと働いた過去の勤務への対価なので、謹んで頂戴しましょう。
辞めることを理由に、負い目を感じる必要はありません。「転職しようかな?」と考えたら、まずはボーナスの基準日を確認してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
源泉徴収の対象期間とは?源泉徴収票の発行・保管期間を解説
源泉徴収とは、1年に支払われた給与の額や、控除額、保険料などが記載されているものです。源泉徴収の対象期間とは、1月から12月までの12ヶ月のことを指し、年度の扱い(4月から3月)ではないことに注意しましょう。また、源泉徴収票は、転職する際に…
詳しくみる頑張った手当とは?特別手当の一種!ボーナスとの違いや相場、ユニークな名称の事例も
「従業員の頑張りを正当に評価し、組織の活性化につなげたい。」そう考える経営者や人事担当者の皆様にとって、「頑張った手当」は非常に魅力的な選択肢の一つです。 この記事では、頑張った手当の意味から、導入のメリット・デメリット、具体的な制度設計、…
詳しくみる定額減税は育休中や産休中どうなる?詳細をわかりやすく解説
「育休中の定額減税はどうなるのか知りたい」とお悩みの方は多いでしょう。原則、令和6年6月1日時点で在職者(基準日在職者)であれば育休中の従業員も対象となります。ただし、育休復帰が令和6年中であるかによって事務処理が異なります。 今回は、育休…
詳しくみる山口県の給与計算代行の料金相場・便利なガイド3選!代表的な社労士事務所も
山口県内でビジネスを運営する企業にとって、給与計算は不可欠な業務の一つです。しかし、専門知識や時間を要するため、外部に委託する企業も増えています。この記事では、山口における給与計算代行の料金相場を詳しく解説し、コストを抑えつつ高品質なサービ…
詳しくみる休業手当の計算方法をケースごとに紹介!
会社都合での休業は、平均賃金の60%以上の「休業手当」を支払わなければいけません。しかし休業には自然災害や経営悪化など様々な事情があります。雇用形態により計算方法は異なり、細かい判断も必要です。 今回は、休業手当の定義から休業補償との違い、…
詳しくみる所得税の支払い方法は?納税の種類や確定申告期限を過ぎた場合を解説
所得税の支払い方法は7種類あり、自身のライフスタイルに合わせて選択するのが大切です。 また所得税には納付期限が設けられており、期日までに支払わなかった場合、延滞税などのペナルティが課せられる可能性があります。 本記事では、支払い方法や納付期…
詳しくみる