- 作成日 : 2026年3月25日
1人あたりの採用コストはいくら?計算方法・相場・削減方法を解説
1人あたりの採用コスト(採用単価)は、新卒・中途・アルバイトで異なり、自社条件によって最適解は変わります。
- 新卒は50~60万円前後
- 中途は30万円前後が目安
- 単価は手法と工数で変動する
採用単価は外部費用と内部工数を合算し、採用人数で割って算出します。
人材採用には多くの手間と費用がかかります。特に「1人あたりの採用コスト(採用単価)」は、企業の規模や採用手法、職種によって大きく変動し、正しく把握していないと採用効率の悪化原因にもなります。
本記事では、採用コストの定義や内訳から、計算方法、変動要因や削減方法を解説します。
目次
採用コストとは?
企業が人材を獲得する際には、様々な費用が発生します。これらは総称して「採用コスト」と呼ばれ、求人広告や紹介手数料、人事部門の人件費、面接対応など、多岐にわたる要素を含んでいるのです。
採用コストは、人材獲得にかかるすべての費用
採用コストとは、企業が1人の人材を採用するために発生するあらゆる費用の合計です。これは単に求人広告にかかる出稿費だけでなく、人材紹介会社への成功報酬や採用イベントの参加費、また社内で発生する人件費や業務工数なども含まれます。例えば、採用担当者の時間や面接官の稼働、内定後のフォロー活動にかかる時間までもが該当。企業にとっては、これらすべてが「採用活動への投資」となります。
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採用コストの内訳は?
採用コストは大きく「外部コスト」と「内部コスト」に分けて考えられます。それぞれに具体的な費目があり、可視化しやすいものと、見落とされやすいものが混在しています。
【外部コスト】採用活動で社外に支払う直接的な費用
外部コストは、企業が採用活動を進める中で、外部のサービス事業者や媒体に支払う費用です。求人サイトへの広告掲載費、合同企業説明会や就職イベントへの出展料、人材紹介会社に支払う成功報酬、ダイレクトリクルーティングの利用料などがこれに該当します。
さらに、スカウトメールの配信費用、採用動画の制作費、採用広報用のパンフレット制作やWeb広告などのプロモーション費も外部コストに含まれます。人材紹介を利用する場合、その報酬は採用者の年収の20~35%が相場となっており、1人あたり100万円前後になることもあります。
【内部コスト】採用業務に伴って社内で発生する人件費など
内部コストは、採用活動に関わる社内の人材が費やす時間やリソースに起因する費用です。採用担当者や面接官の人件費、面接準備や応募者対応、選考の評価作業、内定者フォローなどにかかる業務時間が挙げられます。
また、社内説明会の企画・実施に携わる部署の関与や、内定式・入社式の準備、研修設計に伴う工数も含まれます。これらは帳簿上では明確に把握しにくい費用ですが、担当者がどの程度の時間を採用関連業務に充てているかを可視化すれば、年間の内部コストを見積ることは可能となります。例えば、人事部門の人件費に稼働率を掛け合わせて求める方法が一般的です。採用活動の規模が大きくなるほど、この内部コストの影響は無視できなくなります。
採用単価(1人あたりの採用コスト)の計算方法は?
採用コストを正確に把握するには、外部費用と内部費用の両方を集計し、合計額を採用人数で割ることで、1人あたりの採用コスト(採用単価)を算出。内部コストの見積には一定の工夫が必要であり、時間単価や稼働率を踏まえた精度の高い計算が求められます。
採用単価は「採用コスト総額÷採用人数」で求める
採用単価とは、1人の人材を採用するために必要な平均費用を示す指標です。計算式はシンプルで、「採用コスト総額÷採用人数」によって導き出されます。例えば、ある企業が新卒採用に400万円をかけ、5名を採用した場合、1人あたりの採用単価は80万円です。この金額には、求人媒体への広告費、人材紹介会社への手数料、採用イベントの参加費といった外部支出のほか、社内で採用活動に従事した担当者の人件費なども含めて考えることが基本となります。
採用単価は、業界の相場や前年対比によるコスト評価、また媒体別や手法別の費用対効果の測定に役立ちます。コストの総額の把握だけではなく、どこに集中しているかの分析も重要です。
内部コストは業務時間と人件費から按分して見積る
内部コストの計算は、採用単価を正確に算出するうえで欠かせませんが、数値として明確に把握しづらい点が特徴です。そのため、まず採用担当者や関係者の年収から時間単価を求め、採用業務にかけた時間を基に按分(割り当て)していく方法が有効でしょう。
例えば、人事担当者の年収が478万円だった場合、企業が実際に負担しているコストは福利厚生費や法定外労働費を加味して130~150%とされ、実質約670万円に相当します。この数字を年間労働時間(約2,000時間)で割れば、時間単価は3,350円程度となります。
仮にこの担当者が年間200時間を採用業務に費やしているなら、内部コストは約67万円という試算になります。また、面接官や部門責任者の時間も同様に計算に含めると、より精度の高いコスト管理を実現。採用工数の可視化と、それに基づいた内部コストの算出は、採用効率の改善にもつながります。
採用コストが変動する要因は?
採用にかかるコストは、企業や業界の特性、採用地域、経済状況などの影響を大きく受けます。
企業の規模・知名度(ブランド力)
企業の大きさや知名度の違いは、採用単価に直結します。上場企業などの大企業は、求人広告に高い予算をかけられるだけでなく、ブランド力で多くの応募者を集められるため、結果的に1人あたりの採用コストを抑えやすくなるでしょう。逆に、一部の大手企業では高度な専門人材を確保するために、年間で1,000万円以上の採用費をかけているケースもあり、規模が大きければ必ず単価が下がるわけではない点にも注意が必要です。
業界・職種の採用難易度
業界や職種の特性も、採用単価の変動に大きく関わります。人材不足が深刻なIT業界では、平均採用単価が約52.9万円と高くなる一方で、環境・エネルギー業界のように比較的安定して人材確保ができる業界では、26.3万円と低水準にとどまる傾向です。また、専門的なスキルや資格を必要とする職種(例:医療・法務・技術職)は採用が難しく、コストが上がりやすい特徴があります。
職種によって選考期間が長引いたり、紹介会社を活用する機会が多かったりすることも、採用費が増える要因です。
採用地域と競争環境
採用を行う地域によっても、コストは大きく変動します。都市部では求人倍率が高く、競合企業も多いため、広告費が上昇しやすい傾向です。また、地方のほうが人材確保が難しい業種もあり、地域特性と職種によっては地方でも高コストになる場合があります。
景気や採用市場の動き
景気の動向や労働市場の変化も採用単価に影響します。不況期は求職者が増え、比較的低コストで人材を確保しやすくなりますが、景気が回復して求人が増加すると、広告費が上がり採用コストも高騰する傾向があります。例えば、2020年のコロナ禍では採用活動が抑制され、コストが一時的に下がりましたが、その後オンライン採用の普及と市場回復により、再びコストが上昇しています。
新卒・中途・アルバイトの採用単価の目安は?
採用活動の費用は、雇用形態によって異なります。正社員の新卒採用や中途採用、また短期雇用のアルバイトやパートでは、選考プロセスや採用手法が異なるため、1人あたりにかかる採用単価も変動します。
【新卒採用】約50~60万円が平均
新卒採用にかかる1人あたりの採用単価は、複数の調査機関の報告によると約50~60万円とされています。新卒採用は、企業説明会やインターンシップ、エントリー対応、複数回の面接や内定者フォローなど、採用フローが長期化する傾向があり、結果としてコストが積み上がりやすいのが特徴です。また、就職ナビサイトや合同企業説明会への出展費、採用広報などの外部コストがかさむケースも多く、これが採用単価を押し上げる要因となります。
【中途採用】30万円前後だが職種によって大きく異なる
中途採用の1人あたり採用単価は、平均で30~35万円程度とされ、新卒採用よりもやや低い傾向があります。これは、採用活動が短期間で完結することや、研修コストが不要な即戦力採用であることが理由です。
ただし、専門職や管理職の採用ではこの限りではなく、人材紹介会社を通じて採用を行う場合は年収の20~35%の紹介手数料が発生するため、1人あたり100万円を超えるケースもあります。エンジニアや外資系企業での採用活動では、採用単価が平均を大きく上回ることもあり、手法や職種によって大きなばらつきがあります。
中途採用では、自社HPやSNSを活用して応募者を集める「ダイレクトリクルーティング」や、「リファラル採用」などを併用することで、コストを抑えながら採用成功につなげる工夫も有効です。
【パート・アルバイト採用】平均5~10万円程度
パートやアルバイトといった非正規雇用における採用単価は、平均で5~10万円程度とされています。ただし、職種や地域によって大きく差があり、飲食・小売などの一般職では5万円以下に抑えられることもある一方、医療・介護・保育など専門性が求められる職種では10万円以上になる場合もあります。
また、求人媒体によって掲載費が異なることも、コストの変動要因となります。都市部では求人倍率が高く、広告の掲載料も相対的に高いため、採用単価が地方よりも上昇する傾向があります。加えて、アルバイト採用では頻度が高いため、年間で見ると大きなコストとなりやすいと言えます。
採用手法の種類とそれぞれの費用相場は?
人材を採用する方法には、求人サイトへの掲載、人材紹介会社の利用、社員紹介(リファラル採用)やヘッドハンティング、採用代行(RPO)など様々な手法があります。手法ごとに、1人あたりの採用コストは異なります。例えば、専門人材向けのヘッドハンティングは90万円以上と高額になる一方、SNS経由の採用は1万円未満と低コストです。
代表的な採用チャネル別の1人あたりコスト目安を以下に示します。
| 採用手法 | 採用単価目安 | 主な費用内訳例 |
|---|---|---|
| ヘッドハンティング(中途採用) | 約91万円 | ヘッドハンターへの手数料(年収の約50%)など |
| 人材紹介会社の利用(中途採用) | 約85万円 | 紹介手数料(年収の20~35%)など |
| 求人広告の掲載(求人サイト利用) | 約28~29万円 | 掲載料、応募者対応・選考にかかる社内人件費 |
| 社員紹介の活用(リファラル採用) | 約4万円 | 紹介謝礼(インセンティブ)、社内での推進工数 |
| 自社採用ページ・HPからの直接応募 | 約3万円 | 自社サイト運用費用、応募者対応の社内工数 |
| SNS・口コミ経由の採用 | 約1万円 | SNS広告費、投稿対応・選考対応の社内工数 |
このように、社外のエージェントやヘッドハンターに依頼する手法はコストが高くなりがちです。一方、社員紹介や自社サイト経由の採用は費用がほとんどかからないため魅力的ですが、応募者数や人材の質の確保が課題となります。
採用する職種や求める人材のレベルに応じて、複数の手法を適切に組み合わせることでコストと採用成功率のバランスを取ることが重要です。
採用コストを削減する方法は?
採用コストを削減するには、外部支出と社内の工数に着目し、無駄を見直すことが効果的です。費用対効果の低い手法の見直しや、低コストチャネルの活用、プロセス改善、離職リスクの抑制が主な取り組みポイントになります。
高コスト手法は費用対効果で見直す
求人広告や人材紹介といった外部コストは、採用費全体の大半を占めます。媒体ごとの応募数・採用率を定量的に把握し、効果の低い媒体は出稿を控えましょう。人材紹介会社についても、報酬率の引き下げ交渉や、採用予定数に応じたボリュームディスカウントの活用により、手数料を20~30%削減できる可能性があります。
低コストチャネル(リファラル・SNS)を活用する
社員紹介(リファラル採用)は、数万円程度の紹介報奨金のみで実施でき、紹介者の質も高いためコスト面でも有効です。SNS採用も広告費をかけずに母集団形成が可能であり、公式アカウントでの発信や業界特化のコミュニティ活用が有効。ただし、SNSは発信力が求められるため、継続的な運用体制を整える必要があります。
採用プロセスを効率化して内部コストを削減する
面接回数の削減やオンライン化、スクリーニングツールの活用により、採用担当者の負荷と工数を抑えられます。また、選考基準を標準化することで、面接官の判断時間も短縮可能。これにより内部リソースの有効活用と、選考スピードの向上が同時に実現します。
離職や辞退を防ぐこともコスト削減につながる
せっかく採用しても、早期離職や内定辞退が発生すれば再採用が必要となり、コストが発生します。候補者に仕事内容や社風を丁寧に伝え、入社後のギャップを減らすことが重要です。定着率が高まれば採用頻度が減り、結果として長期的なコスト削減につながります。
採用コストを適切に把握し最適化しよう
1人あたりの採用コストは、採用手法や企業の状況によって大きく変動します。自社の採用コスト構造を正確に把握し、どの要素にどれだけ費用がかかっているのか分析することが、効果的なコスト削減の第一歩です。採用単価を意識しつつも、優秀な人材確保のために必要な投資は惜しまず、費用対効果の高い採用戦略を追求しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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