• 作成日 : 2026年3月25日

ストレスチェックの報告は義務?報告書の提出先・方法・期限を解説

Pointストレスチェックの報告は、全企業に義務付けられている?

ストレスチェック報告は、現時点では常時50人以上の事業所に義務付けられています。

  • 50人以上は報告義務
  • 提出先は所轄労基署
  • 年1回の報告が必要

将来は全企業が対象になります。2025年5月14日公布の改正労働安全衛生法により、遅くとも2028年5月までに50人未満事業所にも義務化されることが決定しています。

ストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルス対策として企業に求められる重要な法定業務の一つです。近年、「ストレスチェックは全企業で義務になったのか」「結果の報告書は必ず提出しなければならないのか」といった疑問を抱く方もいます。

本記事では、ストレスチェック報告の義務の有無をはじめ、報告書の内容、提出先や提出方法、期限や社内共有の考え方を解説します。

目次

ストレスチェックは全企業で義務化になっているのか?

ストレスチェック制度について、「全企業で義務化なのか」「従業員50人未満の企業でも対応が必要なのか」と、適用範囲を改めて確認したい人事担当者は少なくありません。ここでは、2025年5月14日の法改正に基づき、制度の内容を解説します。

2025年5月14日公布の改正労働安全衛生法で義務化の対象が変更となった

2025年5月14日に公布された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(改正労働安全衛生法)」により、これまで努力義務にとどまっていた常時50人未満の事業所についても、ストレスチェックの実施を含めた従業員の健康を守るサポート体制を強化する方針が打ち出されました。この改正は、従業員規模による制度の差を解消し、労働者のメンタルヘルス対策を底上げすることを目的としています。

参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について|厚生労働省

50人未満の事業所は努力義務であっても、義務化に向けて準備が必要

2026年3月時点、50人未満の事業所において、ストレスチェックは負担などに配慮する形で努力義務となっています。しかし、2025年5月の法改正によって全事業場での義務化はすでに法的に確定しているため、現在は施行に向けた猶予期間の段階です。

具体的には、2028年5月13日までに施行される予定となっているため、「今は対応しなくてもまだ問題ない」と考えるのではなく、完全義務化を見据え、体制や運用方法を整理しておくことが必要です。

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ストレスチェック報告の提出は義務?どんな企業が対象?

ストレスチェック制度では、検査の実施だけでなく、実施状況を行政に報告する仕組みが設けられています。ここでは、報告義務の有無と対象となる企業の範囲を、現行制度と今後の見通しを踏まえて整理します。

報告書提出が義務となるのは常時50人以上の従業員が在籍する事業所

前述のとおり、ストレスチェック報告の提出が法的義務となっているのは、常時50人以上の労働者を雇用する事業所です。これらの事業所では、年1回以上ストレスチェックを実施したうえで、その実施結果をまとめた報告書を、事業所を管轄する労働基準監督署へ提出しなければなりません。これは労働安全衛生法および同施行規則に基づく義務であり、業種や企業規模(資本金など)にかかわらず、労働者数のみで判断されます。

従業員50人未満の事業所は現時点では報告義務の対象外

従業員50人未満の事業所については、2026年3月時点ではストレスチェック報告の提出義務は課されていません。ストレスチェック自体と同様に、報告についても努力義務という位置づけにとどまっています。そのため、実施や報告を行っていなくても、直ちに法令違反とはなりません。ただし、従業員のメンタルヘルス対策の観点から、自主的にストレスチェックを実施し、社内管理資料として結果を整理するケースもあります。

ストレスチェック報告書とは?記載内容は?

ストレスチェック制度では、実施した事実を客観的に示すための報告書提出が制度設計に組み込まれています。ここでは、ストレスチェック報告書の概要や記載項目、役割と意味について整理します。

ストレスチェック報告書は実施状況を行政に示す公式書類

ストレスチェック報告書とは、ストレスチェックの実施結果をまとめ、行政に提出するための公式書類です。厚生労働省が定める様式に従って作成し、事業所を管轄する労働基準監督署へ提出します。正式名称は「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」であり、労働安全衛生規則に定められた様式第6号の3を使用します。この報告書により、事業者が法令に沿ってストレスチェックを実施していることが客観的に確認されます。

報告書に記載する主な項目

ストレスチェック報告書には、ストレスチェックの実施状況を把握するため、次の項目を記載します。

  • 事業所の情報
    事業所の正式名称、所在地、労働保険番号、事業の種類などを記載します。複数の事業所を有する企業では、事業所ごとに別々の報告書を作成します。
  • 労働者数および受検者数
    ストレスチェック実施時点での在籍労働者数と、実際に調査票を受検した労働者数を記載します。同一の労働者が複数回受検していても1人として扱います。「短時間労働者でも一定の要件(常時使用する労働者の基準)を満たしている労働者はストレスチェックの対象になります。また、派遣社員に対してのストレスチェック実施義務は派遣元ですが、派遣先でも協力することが推奨されています。
  • 高ストレス者の面接指導状況
    ストレスチェックの結果、高ストレスと判定され、医師による面接指導を受けた労働者の人数を記載します。申出がなかった場合は「0」と記入します。
  • 実施者および産業医などの氏名
    ストレスチェックを実施した医師や保健師などの氏名、面接指導を行った医師の氏名を記載します。産業医が選任されている場合は、産業医の氏名も記載対象となります。
  • 集団分析の実施有無
    ストレスチェック結果を集団ごとに分析したかどうかを記載します。実施した場合は「行った」、実施していない場合は「行っていない」を選択します。

報告書が果たす役割と意味

これらの項目を正確に記載することで、企業がストレスチェック制度を適切に運用していることを対外的に示すことができます。また、報告書作成の過程で実施状況を整理することにより、自社のメンタルヘルス対策の現状を把握し、今後の職場環境改善を検討するための基礎資料として活用できます。

ストレスチェック報告書の提出先は?

ストレスチェック報告書は、作成すれば終わりではなく、提出先へ届け出ることで法令上の義務を果たすことになります。

提出先は事業所を管轄する労働基準監督署

ストレスチェック報告書の提出先は、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署です。会社全体ではなく、ストレスチェックを実施した「事業所」単位で提出する点が特徴です。そのため、本社と支店、工場など複数の事業所を有する企業では、それぞれの事業所ごとに報告書を作成し、各所在地を管轄する労働基準監督署へ提出する必要があります。

本社一括提出はできない点に注意が必要

ストレスチェック報告書は、企業単位で一括して提出することはできません。たとえ人事機能が本社に集約されていても、実際にストレスチェックを実施した事業所ごとに分けて提出することが求められます。誤って本社所在地の労働基準監督署へまとめて提出してしまうと、正しく受理されない可能性があります。各事業所の所在地と所轄監督署を事前に確認しておくことが重要です。

電子申請・書面提出いずれの場合も提出先は同じ

電子申請(e-Gov)を利用する場合でも、書面で郵送または窓口提出を行う場合でも、提出先となる労働基準監督署は変わりません。提出方法によって提出先が異なることはないため、「どの事業所の、どの労基署に提出するのか」という点を基準に整理しておくと、提出漏れや誤提出を防ぐことができます。

ストレスチェック報告書の提出方法は?

ストレスチェック報告書は、提出先だけでなく、提出方法によって負担や準備の度合いが変わります。ここでは、現在認められている提出方法を整理します。

提出方法は電子申請または書面提出のいずれか

ストレスチェック報告書の提出方法は、電子申請または書面のいずれかです。電子申請は国の電子申請システムであるe-Govを利用して行い、書面提出は郵送または労働基準監督署の窓口へ直接持参する形となります。いずれの方法を選択しても、法令上の効力に違いはありません。

電子申請(e-Gov)を利用する場合の注意点

電子申請では、インターネット上で報告書を提出できるため、郵送や持参の手間を省くことができます。提出後は受付状況をオンラインで確認でき、控えの管理もしやすい点が特徴です。電子申請を行うには事前に電子証明書の取得やシステム操作への理解が必要となるため、初めて利用する場合は準備期間を確保しておく必要があります。

郵送または窓口持参による提出時の注意点

書面で提出する場合は、報告書を印刷し、事業所を管轄する労働基準監督署へ郵送または直接提出します。郵送の場合は、提出済みであることを証明するため、控えの写しと返信用封筒を同封しておくと安心です。窓口持参の場合は、その場で受理印をもらえるため、提出確認がしやすいという利点があります。ただし、いずれの場合も記載漏れや誤記があると差し戻される可能性があるため、提出前の確認が重要です。

ストレスチェック報告書の提出期限は?

ストレスチェック報告書は、提出が義務付けられている一方で、提出期限については定められていません。ここでは、法令上の期限の考え方と、適切な提出タイミングについて整理します。

法令上、明確な提出期限は定められていない

ストレスチェック報告書の提出期限について、労働安全衛生法や関係法令では具体的な日付は定められていません。法律上は「1年以内ごとに1回、定期的にストレスチェックを実施し、その結果を報告すること」が求められているのみで、提出時期は各事業所の判断に委ねられています。

実施後速やかな提出が一般的

法令に明確な期限がないとはいえ、ストレスチェック実施後、できるだけ早く提出する運用が一般的です。多くの企業では、実施月の翌月末や、遅くとも数ヶ月以内を目安に提出しています。提出を先延ばしにすると、担当者の異動や年度替わりにより未提出のまま放置されるリスクが高まるため、実施と提出をセットで管理することが望まれます。

提出が遅れた場合も放置せず速やかに対応する

万一、ストレスチェック報告書の提出が遅れてしまった場合でも、放置することは避けましょう。未提出の状態では、結果として法令違反とみなされる可能性があります。遅延に気付いた時点で、速やかに報告書を作成し、所轄の労働基準監督署へ提出することが重要です。必要に応じて、事前に労基署へ相談することで、トラブルの回避にもつながります。

ストレスチェック結果を社内に報告・共有する必要はある?

ストレスチェック制度では、結果の取り扱いに関して慎重な配慮が必要です。ここでは、法律上の扱いと考え方を整理します。

個人結果の社内共有はできず、義務もない

ストレスチェックの個人結果を社内に報告・共有する義務はありません。個人ごとの結果は、労働者のプライバシーに深く関わる情報であり、本人の同意がない限り、事業者や上司が閲覧することは認められていません。産業医や実施者から企業側に提供されるのは、個人が特定されない情報に限られます。

集団分析結果は条件を満たせば社内共有が可能

ストレスチェック結果の集団分析については、一定の条件を満たせば社内で共有することが可能です。分析対象が10人以上の集団であれば、個人が特定されるおそれが低いため、従業員の同意がなくても実施者から事業者へ結果を提供できます。逆に、10人未満の小規模な集団では個人特定のリスクが高まるため、結果の開示は認められていません。このため、部署別や職種別に分析する場合は、最低でも10名以上となる単位で集計する工夫が必要です。

社内共有は義務ではないが、活用が望ましい

法律上、ストレスチェック結果を社内へ報告する義務はありませんが、集団分析結果を衛生委員会などで共有し、職場環境の改善に活かすことは制度上推奨されています。ストレスチェック制度の目的は、単なる検査や報告にとどまらず、職場の課題を可視化し、働きやすい環境づくりにつなげることにあります。報告書の提出だけで終わらせず、適切な形で社内に活かす視点が重要です。

報告の義務を確実に履行し職場改善に活かしましょう

ストレスチェックの報告は、企業の法定義務であると同時に職場のメンタルヘルスを向上させる機会でもあります。常時50人以上の事業所では毎年ストレスチェックを実施し、報告書を管轄労基署へ提出することが求められます。提出先・提出方法や期限を正しく理解し、報告漏れがないよう確実に履行しましょう。

また、提出した報告書の内容を基に職場ごとのストレス状況を分析し、社内で共有して職場環境の改善に取り組むことも大切です。適切なストレスチェックの実施と報告は、法令遵守はもとより、従業員の安心・健康な職場づくりにつながります。


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