- 更新日 : 2025年12月5日
ストレスマネジメントのやり方とは?従業員のストレス要因と実施すべき施策
従業員のストレスは、業務パフォーマンスの低下や人間関係の悪化、離職、メンタルヘルス不調など、組織運営に大きな影響を与えます。
本記事では、企業が取り組むべきストレスマネジメントの考え方や実践方法、改善施策などを体系的に解説します。従業員の健康と心理的安全性を守り、生産性向上・離職防止につながるストレスマネジメント施策を導入したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ストレスマネジメントとは?企業における重要性
ストレスマネジメントとは、従業員のストレスを適切に把握し、組織的に予防・改善する取り組みのことです。近年はメンタルヘルス不調や離職につながるケースが増え、企業にとって重要な経営課題になっています。
ストレスチェック制度の義務化や人的資本経営の流れからも「従業員が健康に働ける環境づくり」は欠かせません。個人のセルフケアだけに頼るのではなく、企業が仕組みとしてストレスを管理することが、中長期的な組織成長につながります。
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ストレスとは?
ストレスとは、外部からの刺激や環境変化に対して心身が示す反応のことです。医学・心理学では、ストレスはストレッサー(原因)とストレス反応(結果)の2つに分けて捉えられます。それぞれ詳しく解説します。
ストレッサー
ストレッサーとは、ストレスの原因となる外部・内部の刺激のことです。医学・心理学では次の4分類で整理されます。
- 物理的ストレッサー:暑さ、寒さ、騒音、混雑など
- 化学的ストレッサー:薬物、公害物質、酸素濃度の変化など
- 生理的ストレッサー:病気、睡眠不足、疲労など
- 心理・社会的ストレッサー:人間関係、評価への不満、仕事の負荷、家庭の問題など
企業で最も影響が大きいのは「心理・社会的ストレッサー」で、業務量や役割、人間関係、マネジメントの質が含まれます。同じ要因でも従業員によってストレッサーになったりならなかったりするため、個々の特性を踏まえたアプローチが必要です。
ストレス反応
ストレス反応とは、ストレッサーに適応するために心身に生じる変化のことです。反応は大きく以下の3つに表れます。
- 心理面:イライラ、不安、緊張、気分の落ち込み、興味・関心の低下
- 身体面:頭痛、肩こり、不眠、動悸、胃腸症状、慢性的な疲労など
- 行動面:ミスの増加、遅刻・欠勤、飲酒・喫煙量の増加、過食・拒食、引きこもりなど
従業員によって反応の出方は異なり、業務パフォーマンスや対人関係、安全管理に影響が出ることもあります。職場でのヒヤリハット増加やミスの連発は、ストレス反応の代表的な兆候です。早期発見とフォロー体制が組織運営の鍵となります。
ストレスマネジメントを実践する効果
ストレスマネジメントを実践すると、従業員のストレス要因を早期に把握でき、部署ごとの負担やマネジメント上の課題を見つけやすくなります。そして、課題に基づき業務フローの見直しや人員配置の調整など、具体的な改善策につなげやすくなるでしょう。
その結果、職場環境の整備が進み、生産性の向上や離職率の抑制が期待できます。ストレス反応が深刻化する前に対応できるため、メンタル不調による休職リスクを下げる効果もあります。
また、従業員が相談しやすい環境が整うことで安心感が生まれ、組織への信頼やエンゲージメント向上につながるでしょう。ストレスマネジメントは、個人のケアにとどまらず、組織の健全な運営を支える施策といえます。
従業員のストレスが高まる原因
ストレスは「個人が弱いから起きるもの」ではなく、企業側の設計や運用次第で大きく変化します。ストレス発生の主要因を把握し、改善可能な領域から取り組むことが重要です。
仕事量・業務設計の問題
業務量が適切でない、担当範囲を超えた負荷が続くと、従業員のストレスは高まりやすくなります。タスクの優先順位が曖昧なまま業務が積み重なったり、急な指示変更が頻発したりする職場では、心理的な負担も大きくなるでしょう。
特に「終わらない仕事に追われる状態」が続くと、疲労が蓄積し、集中力の低下やミスの増加を招く原因になります。こうした状況は、働き方の設計や業務フローに問題がある場合に起こりやすく、組織としての見直しが必要になります。
管理職のマネジメントスキル不足
管理職の指示の出し方や対話スキルは、部下の安心感に直結します。指示が不明確だったり、感情的なコミュニケーションが多かったりすると、従業員は判断に迷い、不安を抱きやすくなります。また、成果ばかりを強調し続けるマネジメントは、過度なプレッシャーを生み、萎縮やストレス反応につながることもあるでしょう。
管理職の育成が進んでいない組織では、こうした課題が表面化しやすくなります。現場のマネジメント力が不足すると、チーム全体の雰囲気や働きやすさにも影響するため、適切なトレーニングやフィードバック体制が求められます。
役割の曖昧さ・評価基準への不満
自分に求められている役割や判断基準が不明確だと、業務上の迷いや混乱が生まれ、ストレスにつながります。評価のプロセスや基準が見えにくい場合も、努力が成果として正しく扱われているか分からず、不公平感やモチベーションの低下を招きます。
特に、異動や担当変更の際に役割と責任が更新されない組織では、業務範囲が曖昧になりがちです。どこまでが自分の責任なのか判断できない状態は、精神的な負荷にもつながるため、役割定義や評価軸を明確化する仕組みが欠かせません。
企業が実施すべきストレスマネジメントのやり方
企業が実施すべきストレスマネジメントのやり方を解説します。自社の状況に合わせたストレスマネジメントを段階的に取り入れましょう。
ストレス要因の可視化
まず取り組むべきは、従業員が感じているストレスの状況を客観的に把握することです。
ストレスチェックや従業員サーベイ、面談、勤怠データなど複数の情報を組み合わせることで、個人だけでなく部署単位の傾向や職場特性を明確にできます。データによって問題が可視化されると、感覚ではなく事実に基づいた改善策が検討でき、従業員と企業双方の納得度も高まります。
組織課題の分析と現場マネジメントの改善
可視化された課題をもとに、業務量・役割設計・コミュニケーションなど、ストレス要因を整理し改善を進めます。この段階では、人事部門だけで判断するのではなく、現場管理職や従業員を巻き込み、現実的で運用可能な施策を設計することが必要です。
業務プロセスの見直し、マネジメント改善、業務負荷の調整など、組織運営に関わる根本的なアプローチが求められます。
従業員のセルフケア支援制度の設計
ストレスマネジメントは企業側の改善だけでなく、従業員自身がストレスに気づき、適切に対処できる状態をつくることも重要です。そのためには、セルフケアを支援する仕組みづくりが欠かせません。
メンタルヘルス研修やeラーニング、セルフチェックツール、社内ポータルでの情報発信など、従業員が日常的に学び・振り返りできる環境を整えましょう。
また、研修を単発で終わらせず、反復型の設計や専門家監修を取り入れることで学習効果が高まり、ストレスへの理解や自己対処力の習慣化につながります。
上司との1on1・相談窓口の設置
従業員がストレスを抱え込まずに相談できる環境づくりは、ストレスマネジメントの重要なポイントです。特に、定期的な1on1面談は、従業員の心理状態や業務負荷の変化に気づきやすく、早期フォローにつながります。ポイントは、評価や指示を伝える場ではなく「安心して話せる対話の場」として運用することです。
直属の上司に相談しづらいケースもあるため、産業医や社内外の相談窓口など複数の選択肢を用意することが望ましい設計です。相談先が選べることで心理的ハードルが下がり、相談行動が促進されます。
高ストレス者への個別フォロー体制
ストレスチェック結果などで高ストレス者が判明した場合、個別に適切な支援を行う体制が必要です。放置すると症状の悪化や休職、離職などにつながる恐れがあるため、早期・継続的なフォローが求められます。対応策としては、産業医面談や業務調整、勤務形態の一時的な変更、心理カウンセリングなどが挙げられます。
本人が「責められている」と感じないよう、支援目的や手順を丁寧に説明し、安心感を持ってもらうことが大切です。また、支援状況を人事・管理職・産業医間で共有しながら、必要に応じて改善プランをアップデートすることで、継続的な支援と再発防止につなげられます。
すぐに企業が導入できるストレス対策
ストレスマネジメントは大掛かりな制度設計だけでなく、短期的に導入できる取り組みから始めることも可能です。すぐに企業が導入できるストレス対策を紹介します。
メンタルヘルス研修の定着化
メンタルヘルス研修は、従業員がストレスの仕組みやセルフケア方法を理解するために欠かせません。ただし、1回の講義だけでは職場で実践されにくいことが多いため、継続的に学べる形にすることが大切です。
たとえば、動画教材やEラーニング、ワークショップ、ケーススタディなど形式を分けて繰り返し学べる仕組みをつくることで、日常の行動に落とし込みやすくなります。また、管理職・一般社員・新入社員など役割に応じて内容を分ければ、必要な知識を適切に届けられます。
研修後に簡単な振り返りやアンケートを行い、改善を重ねることで、学びが職場文化として根づいていきやすくなるでしょう。
管理職の指導力向上プログラム
管理職の育成は、短期間で取り組める効果的なストレス対策のひとつです。特に、フィードバック技術・傾聴スキル・対話型マネジメントなど、日常業務で即活用できるスキルを習得する研修は、職場のコミュニケーション改善に直結します。
プログラムの内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 部下の話を引き出す傾聴トレーニング
- 伝えるべきポイントを整理したフィードバック演習
- 対話の進め方を学ぶコーチング基礎
また、ロールプレイ形式の研修や、管理職同士が課題や成功事例を共有する勉強会を組み合わせることで、学んだスキルを現場で定着させやすくなります。管理職の対話力や指導力が向上することで、職場の相談しやすさが高まり、ストレスの早期発見や予防にもつなげられます。
ハラスメント・コミュニケーション改善施策
ハラスメントは従業員の心理的安全性を大きく損ない、ストレス増加や離職、自信喪失につながるため、早期の予防が欠かせません。企業がすぐ取り組める対策として有効なのが、ハラスメント防止教育と、コミュニケーション改善の仕組みづくりです。
まず、管理職・従業員双方を対象に、ハラスメントの基礎知識やグレーゾーン事例を扱う研修を実施します。ケーススタディやロールプレイを組み合わせることで、「どこからが不適切か」「代わりにどう言うべきか」を実践的に学ぶことが可能です。
さらに、相談窓口の設置や、匿名で意見を伝えられる仕組みを整えることで、早い段階で問題を吸い上げられます。また、日常の「声かけ」「感謝や承認を伝える習慣」を組織として促すと、誤解が生まれにくく、相談しやすい職場文化づくりにもつながります。
中長期的に必要なストレスマネジメント
ストレスマネジメントは離職防止や採用力強化にも影響し、企業価値向上にも直結します。中長期的に必要なストレスマネジメントについて解説します。
心理的安全性のある職場づくり
心理的安全性とは、従業員が「意見を言っても責められない」「失敗しても評価が下がらない」と感じられる状態です。心理的安全性のある職場では相談や情報共有が活性化し、早期にストレスサインを発見できます。
実践ポイントとして、管理職による否定ではなく質問型コミュニケーション、丁寧なフィードバック、感情に配慮した声かけが挙げられます。ミスを責める文化ではなく「学びに変える文化」を育てることが鍵です。心理的安全性が高まることで職務満足度やチームワーク、挑戦意欲が向上し、ストレス耐性のある組織へと成長します。
自律的に働ける環境設計
自分の役割を理解し、ある程度の裁量を持って働ける環境は、ストレスの軽減につながります。役割や責任範囲をはっきりさせたり、成果に基づいた評価を取り入れたりすることで、自律的に働きやすい土台ができます。
また、目標設定の段階から本人が参加できる合意型のマネジメントを取り入れると、仕事に対する納得感が高まりやすくなるでしょう。タスク管理ツールの活用や、時短勤務・リモート勤務など働き方の選択肢を用意することも有効です。
従業員が「自分で選んで働けている」と感じられる環境では、主体性が育ち、ストレスによるモチベーション低下を防ぎやすくなります。
成長実感を持てる評価・フィードバック
評価の基準やプロセスがわかりにくいと、不安や不満につながりやすくなります。まずは期待する役割や評価ポイントを明確にし、従業員が「今どこにいて、何を伸ばせばいいのか」を理解できる状態を整えましょう。
年1回の評価だけでなく、定期的なフィードバックや1on1面談を取り入れることで、日々の成長を実感しやすくなります。小さな進捗でも言語化して共有すれば、自己効力感が高まり、ストレスの軽減にも役立ちます。納得感のある評価制度は、働く意義やモチベーションの向上にもつながるでしょう。
ウェルビーイングを重視した組織文化
ウェルビーイングは「心・身体・社会的に良好な状態」を指し、従業員の安心感や働きやすさにつながります。休暇制度・健康施策・柔軟な働き方・メンタルサポートなどを整えることで、仕事と私生活のバランスが取りやすくなるでしょう。
また、日常的に感謝を伝え合う文化や、無理のない働き方を尊重する風土があると、ストレスをため込みにくくなります。「従業員の幸福が企業の成長を支える」という考え方が浸透すれば、離職防止や採用力向上にもつながり、組織全体に良い循環が生まれます。
人事施策をデータで運用
ストレス対策は、感覚ではなくデータをもとに進めることで効果が高まります。ストレスチェックの結果、サーベイ、勤怠データ、離職傾向、人材アセスメントなどを組み合わせることで、どの部分に負荷が集中しているのかを客観的に把握できます。
データに基づいて施策を改善していけば、「場当たり的な対応」ではなく、再現性のある人事戦略へと発展させることが可能です。また、管理職や人事の判断もサポートされ、組織改善のスピードと質が高まります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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