• 更新日 : 2025年12月5日

中途採用者が期待外れとなる原因6選!ミスマッチを防ぐ方法も解説

中途採用で入社した人材が、期待に届かず悩む企業は少なくありません。

本記事では、中途採用者が期待外れになる原因を整理して解説します。中途採用で期待外れと感じてしまう人材の特徴についてもまとめているので、見極めの際に参考にしてください。

また、期待外れを理由に解雇できるかどうかといった、法的観点についても説明します。

ミスマッチを減らすために、採用前後で企業が取れる具体的な対策についても紹介するので、参考にしてください。

中途採用の人材が期待外れとなる原因

中途採用者が期待に届かない背景には、さまざまな要因があります。

ここでは、中途採用の人材が期待外れとなる原因を整理し、なぜミスマッチが起こるのかを解説します。

面接での見極めが不足している

選考の段階で、候補者の能力や性格を十分に把握できないと、入社後に期待とのずれが生じやすくなります。

とくに、人柄や価値観は書類だけでは判断が難しい部分です。企業文化と合わなければ、本来の力を発揮できないこともあるでしょう。

企業は、面接や適性検査など複数の手段を用いて、候補者を多角的に評価することが大切です。

これにより、見極め不足によるミスマッチを防げます。

業務内容とスキルのレベルが合っていない

中途採用者のスキルレベルと、企業が求めるスキルのレベルがマッチしていない場合は、不満につながりやすくなります。

たとえば、中途採用者が面接時にスキルや経験を大きく見せている場合、企業は入社後に期待外れと感じるおそれがあります。

企業は採用者のスキルを見極めるために、実技テストを実施したり、過去の経験の具体的な内容をヒアリングしたりする対策が有効です。

また、企業が求めるスキルについて、明確な指標を用意し、求職者に伝える努力も必要です。

社風とマッチしていない

採用者のスキルや経験が十分でも、価値観や働き方が企業文化に合わなければ、本来の能力を発揮できず期待外れの結果となります。その結果、業績の低下や早期退職のリスクが高まります。

そのため、企業はカルチャーフィットの確認が重要です。

面接だけでは判断が難しい場合もあるため、日常業務や価値観について、求職者とじっくり話す機会を設けましょう。

候補者の能力やスキルだけでなく、価値観も含めて多角的に理解することが効果的です。

即戦力として過信している

中途採用者を即戦力として過信しすぎると、期待外れの結果を招くおそれがあります。

中途採用では即戦力としての活躍を期待されるため、企業側の期待値が高くなりやすい傾向があります。とくに、経験豊富で高いスキルをもつ人材には「すぐに成果を出せるはず」と過信しがちです。

しかし、過度な期待やプレッシャーは、採用者にストレスを与え、パフォーマンス低下の原因になることもあります。新しい環境に適応する時間や、社内の仕組みを理解する期間も必要です。

そのため、即戦力への期待はもちつつも、適応期間を考慮した現実的な目標設定が重要です。

入社後のサポート体制が整っていない

入社後のサポートが不十分だと、中途採用者は能力を十分に発揮できず、期待した成果につながらないおそれがあります。

新卒向けの研修や教育は整っていても、中途向けのオンボーディングが不十分な企業は少なくありません。

必要な情報や支援が不足すると、採用者は不安や孤独を感じます。

その結果、優れたスキルをもっていても、モチベーションの低下により、本来の力を発揮できなくなる可能性があります。

中途採用者にも適切なサポート体制を整え、早期に職場に馴染める環境を整えることが重要です。

将来的なキャリアプランがイメージしにくい

具体的なキャリアプランがイメージしにくい場合、中途採用者が本来の実力を発揮できない場合があります。

将来の見通しが不透明だと、中途採用者は「この会社で長く働く意味はあるのか」と不安を抱きやすくなります。とくに、キャリア志向の強い人材にとって、早期退職を考えるきっかけになることもあるでしょう。

たとえば、単純作業ばかり任されたり、昇進や評価基準が曖昧だったりすると不安が募ります。

採用者が意欲的に働き、高い成果を発揮するためには、企業が将来的なキャリアプランを提示することが大切です。中途採用者がスキルを向上できる機会を整えて、将来像を具体的に示すことが求められます。

キャリアプランについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

中途採用で期待外れと感じてしまう人材の特徴

中途採用者が期待外れとなる原因がわかったところで、ここからは、中途採用で期待外れと感じてしまう人材には、どのような特徴があるのかを整理します。

前職のやり方にこだわっている

前職での経験が強みであるはずの中途採用者でも、過去の成功体験に固執し、新しい職場で柔軟に対応できない人もいます。

「前の会社ではこうだった」と主張するばかりで、自社の文化や業務プロセスに適応しようとしない場合、期待した成果を得られないことがあります。

面接時には自社の業務の流れを説明し、適応力を見極めると同時に、企業側も中途採用者のスキルを活かせる体制や環境を整えることが重要です。

これにより、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

職場に馴染めていない

中途採用者が職場に馴染もうとしないと、「協調性がない」「孤立している」といった印象を与えやすくなります。

一方で、既存社員の受け入れ態勢が整っていなかったり、閉鎖的な組織文化が影響する場合もあります。これにより、新入社員が交流を控えて孤立することもあるかもしれません。

採用時には、面接でコミュニケーション能力や協調性を確認しましょう。また、本人だけに改善を求めるのではなく、組織全体で新しい人材を迎え入れる環境を整えることが大切です。

行動力が不足している

中途採用者のなかには、受け身になりがちで、周囲から「やる気がない」「頼りない」と見られる人材もいます。

しかし、職場での人間関係が十分に築けていなかったり、勝手に動いてトラブルを招くのではという不安が影響していたりする場合もあるでしょう。

本人の積極性の有無だけで判断せず、入社直後は安心して行動できる環境を整えます。また、上司や同僚との信頼関係を構築することも重要です。

能力を過信している

豊富な経験や実績をもつ中途採用者のなかには、自身の能力を過信して、独断的に行動する人もいます。

しかし背景には、企業側が業務内容や期待値を十分に共有できていないこともあるでしょう。

本人は「任された仕事をこなしている」と考えていても、企業の期待とずれが生じると過信しているように見えることがあります。

本人の性格だけで判断せず、企業側が役割や評価基準を明確に示すことが重要です。

中途採用で期待外れを理由に解雇することは可能?

中途採用者を期待外れと感じた場合の解雇は、採用の目的によって異なります。

人員補充として採用した場合、能力が平均に届かなくても解雇は認められません。これは、職場には個々の能力差があることが前提とされるためです。

一方、幹部候補や管理職として高い能力を期待して採用した場合は、期待外れであれば契約違反として解雇の余地があります。

ただし、能力不足で解雇する場合は、合理的な理由が必要です。企業は改善指導や配置転換などの対応を促し、それでも改善が見られない場合に解雇に踏み切ります。

実際に解雇する場合は、労働契約書に「高い能力発揮が前提の採用」と明記し、具体的な能力基準を示さなければ、補充採用と同扱いとなるため注意が必要です。

中途採用が期待外れである場合に起こるリスク

ここでは、中途採用者が期待外れの場合に企業が直面するリスクについて整理します。

事前にリスクを把握しておくことで、対策を立てやすくなるでしょう。

採用にコストがかかる

中途採用者が企業の期待と合わず早期に退職すると、新たな人材確保のために、再度募集する必要が生じます。

その際、求人広告費や人材紹介手数料、採用イベント出展費用など、採用活動に関わる人件費が重複してかかることになります。

中途採用の期待外れによる早期退職は、企業にとって採用コストを生む大きなリスクです。

企業のイメージダウンにつながる

中途採用で期待外れが続き、早期退職が繰り返されると、「離職率が高い企業」というイメージが広まるリスクがあります。これにより、本来採用できたかもしれない優秀な人材の確保が難しくなるでしょう。

顧客対応においても、担当者が頻繁に入れ替わったり、プロジェクトが停滞したりするなどの影響が出ます。

結果として、企業全体の信頼性が低下するリスクが生じ、経営にとっても大きな損失となりかねません。

教育・研修を実施する必要がある

入社した中途採用者のスキルや経験が期待に届かない場合、企業は、追加の研修やOJTを実施する必要があります。

その際に、予想外の教育費や既存社員の指導にかかる人件費が増えるリスクがあります。

また、新しい職場に慣れるまで時間を要する中途採用者には、業務プロセスや企業文化への適応をサポートする個別コーチングやコミュニケーション支援が必要です。

これにより、さらに追加コストが発生する可能性があります。

企業全体の進捗が遅れる

採用した中途採用者が期待外れの場合、目標達成やプロジェクト進行に支障をきたし、企業全体に悪影響が及ぶことがあります。

とくに、新規事業の立ち上げや重要プロジェクトで専門性の高い中途人材を採用した場合、期待外れだとプロジェクトの中断や大幅な遅延といったリスクが高まります。

そのため、採用段階で適性やスキルを慎重に見極めることが重要です。

従業員の士気が低下する

即戦力として採用された中途社員は、経験やスキルを評価され、既存社員より高い給与や役職で迎えられることもあります。しかし、即戦力として採用された中途社員が既存社員より活躍できない場合、「なぜ高待遇なのか」といった不公平感が生まれやすいでしょう。

期待される役割を果たせないと、その業務が既存社員に回り、負担が増加します。その結果、社員の士気が低下し、職場全体のパフォーマンスにも影響が及ぶかもしれません。

企業は、中途採用者の役割や能力を明確にし、既存社員への影響を最小化する工夫が必要です。

中途採用の期待外れを防ぐために企業ができる対策

ここでは、中途採用者が期待外れになる事態を防ぐため、企業が事前に取るべき対策や環境整備のポイントを解説します。

業務内容や働き方・社風などを正直に伝える

中途採用の期待外れを防ぐためには、採用段階で業務内容や働き方、社風などを正直に伝えましょう。

候補者が入社後に「イメージしていた仕事と違う」「職場の雰囲気が合わない」と感じると、モチベーションが低下し、期待した成果を上げられません。

ミスマッチを防ぐには、採用時に現実を正確に伝え、候補者自身が適性を判断できる材料を提供することが必要です。

曖昧な説明やよい面だけを強調するのではなく、正直に情報を開示することで、候補者は自分に適した職場か判断しやすくなり、入社後のミスマッチを防げます。

採用基準を明確にする

採用基準を明確にすることで、ミスマッチを防ぎ、自社で活躍できる人材を採用しやすくなります。採用基準が曖昧だと選考がブレやすく、ミスマッチの原因になります。

採用基準を設定する際は、経験やスキルだけでなく、自社で活躍できる人物像を具体的に定義することが重要です。たとえば、業務内容や必要なスキル、チーム内での役割、将来的な期待値を明確にしましょう。

採用基準を見直す際は、人事部だけでなく、該当ポジションの上司や役員の意見も取り入れることが大切です。現場の視点を反映させることで、より実態に即した採用判断が可能になります。

採用基準の設定方法について知りたい方は、下記の記事もご確認ください。

経歴・スキルの裏付けを確認する

候補者の実績やスキルを鵜呑みにすると、入社後に期待と異なる能力だと感じるリスクがあります。

履歴書や面接での発言は誇張されている場合もあるため、裏付けを慎重に確認することが重要です。

たとえば、前職での担当業務や成果は、数値や具体的なエピソードをもとに検証します。必要に応じて、実技試験やケーススタディを実施することも有効です。

裏付けを取ることにより、正確に能力を見極められます。

カジュアルな面談の場を設ける

選考とは別に、カジュアル面談を実施することも候補者の人柄を知る有効な手段です。カジュアル面談では、企業と候補者が、お互いに理解を深められます。

合否に影響しないため、候補者は面接で聞きにくい質問も気軽にできます。

一方、企業は求人広告では伝えきれない社風や魅力を、直接アピールすることが可能です。

カジュアル面談を通じて、候補者の仕事観やキャリア志向を把握でき、採用後のミスマッチを減らす判断材料として活用できるでしょう。

中途採用向けの研修・オンボーディングを実施する

中途採用者の期待外れを防ぐには、企業文化や業務プロセスに早く馴染めるサポート体制の構築が効果的です。

たとえば、オンボーディングを導入し、自社の業務スケジュールやシステムの使い方を説明することで、入社直後から期待される成果を発揮しやすくなります。

また、研修制度が整っていれば、採用者自身が必要な情報を取得しやすくなり、既存社員が個別に指導する負担も軽減できるでしょう。

結果として、組織全体の効率向上にもつながります。

オンボーディングについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

キャリアパスを明確化する

中途採用者に長期的な意欲をもってもらうには、明確なキャリアパスの提示が重要です。

キャリアの方向性が不明瞭だと、成長や将来像が描けずモチベーションが低下するおそれがあります。

企業は、入社前にキャリアパスを示し、入社後も継続的に支援することが大切です。

たとえば、リーダーやマネージャーなどに昇格する際に求められるスキルを明確にしたり、評価プロセスを共有したりすることが有効です。

これにより、社員の帰属意識を高め、組織の活性化や早期退職の防止につなげられます。


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