• 更新日 : 2025年12月5日

エンゲージメントサーベイはバレる?実名・匿名回答のポイントを解説

エンゲージメントサーベイは、従業員が企業活動にどれだけ積極的に関わっているかを可視化する調査のことです。

本記事では、エンゲージメントサーベイで回答者が特定される可能性やリスクについて解説します。実名、匿名それぞれで実施するメリットとデメリットについてもまとめました。

エンゲージメントサーベイの調査結果を、効果的に活用するためのポイントについてもご紹介します。

エンゲージメントサーベイの概要について知りたい方は、まず下記の記事をご覧ください。

エンゲージメントサーベイの回答がバレるケース

まずは、エンゲージメントサーベイで回答者が特定される可能性について解説します。

回答がバレるケースについて、把握しておきましょう。

担当者が漏らしてしまうケース

実名回答でのエンゲージメントサーベイは、回答者が特定できるため個別の課題や改善点を把握しやすく、フィードバックも行いやすいメリットがあります。

しかし、担当者が漏らしてしまうケースも少なくありません。

従業員は社内での情報漏えいリスクがある以上、「本音が書きにくい」と感じることもあります。

実名回答の場合、率直な意見が得られにくい点が課題です。

自由記述の内容からバレるケース

匿名でエンゲージメントサーベイを実施する場合でも、自由記述欄に具体的な状況や個人が特定できる情報を書くことにより、回答者がバレるケースがあります。

特有の言い回しや表現から、本人を特定されやすくなる場合もあります。

自由記述は本音を引き出すうえで有効ですが、記載内容の扱いには注意が必要です。

従業員の間で共有されるケース

エンゲージメントサーベイの結果は、管理職や評価者間で共有される際に、従業員にも漏れてしまうケースがあります。これにより、従業員間で広まってしまうのが課題です。

とくに、ミーティングで個別の回答内容や名前が話題にあがると、関係のない従業員にも情報が伝わるおそれがあります。

調査結果が社内に広まることで、個人の印象に影響する可能性もあります。

エンゲージメントサーベイの結果は、関係者以外には共有せずに、慎重に実施しましょう。

閲覧範囲の設定が適切でないケース

エンゲージメントサーベイの結果は、閲覧権限を正しく設定していないと、本来関係のない従業員にまで見られてしまうリスクがあります。

とくに実名で実施する場合、健康面や人間関係といった繊細な内容が書かれていると、回答者に不利益が生じかねません。

エンゲージメントサーベイの結果はアクセス可能な担当者を明確にし、閲覧範囲を厳密に制御することが重要です。

エンゲージメントサーベイの回答者がバレるリスク

ここでは、エンゲージメントサーベイで回答者がバレる可能性について解説します。

主なリスクを、整理して紹介します。

法的なリスクが発生するおそれがある

エンゲージメントサーベイの結果が広範囲に共有されると、思わぬ経路から個人情報が外部へ流出するリスクがあります。

情報漏えいが起きれば、企業は損害賠償などの法的リスクを負う必要があるでしょう。また取引先や顧客への信頼も揺らぎます。

従業員の情報を適切に守ることは、企業の基本的な責任です。

エンゲージメントサーベイの結果を社内で共有する場合は第三者提供に該当せず、本人による同意は必要ありません。ただし、ほかの部署で当初の利用目的の範囲を超えてエンゲージメントサーベイの結果を利用する場合には、目的外の利用について、あらかじめ本人の同意を得る必要があります。

安全な運用のためには、管理体制の強化が欠かせません。

従業員の率直な意見が集まらない

エンゲージメントサーベイの回答がバレるリスクを抱えていると、従業員が本音を伝えにくくなり、率直な声を集められません。

具体的には、上司への配慮から回答内容を調整したり、そもそも回答を避ける人が増えたりすることも起こり得ます。

その結果、エンゲージメントサーベイの回答率が下がったり、社内の実態を正しく反映しないデータとなるおそれがあるでしょう。

人間関係が悪くなる

万が一、エンゲージメントサーベイの回答者がバレる事態が起こると、職場内の人間関係が悪くなるおそれがあります。

本来は働きやすい環境をつくるための仕組みであるにもかかわらず、扱いを誤ると逆効果になる可能性も否定できません。

人間関係の悪化は、日常的なコミュニケーションを阻害します。業務効率の低下につながることもあり、慎重な運用が必要です。

企業と従業員の信頼関係が揺らぐ

エンゲージメントサーベイに協力した従業員の情報が社内や外部に漏れてしまうと、会社への信頼が大きく揺らぎます。

情報管理が不十分だと不信感が高まり、働く意欲の低下につながることも珍しくありません。

こうした状況が続けば、離職を考える従業員が出るリスクもあります。

企業は、エンゲージメントサーベイの結果を適切に管理することが大切です。

エンゲージメントサーベイを実名で実施するメリット・デメリット

ここでは、エンゲージメントサーベイを実名で行う際のメリットとデメリットを解説します。

個別対応がしやすい一方で生じるリスクまで含め、実名制の特徴を整理しました。

メリット

実名でエンゲージメントサーベイを実施すると、社員ごとの課題や悩みを把握しやすくなるメリットがあります。そのため、離職につながりそうな問題を、早期に察知できるのが特徴です。

状況に合わせた支援を行えば、職場環境の改善につながる可能性も高まります。

また、誰が未回答かも確認できるため、必要に応じてフォローや回答依頼を行える点も実名制のメリットです。

離職率が高い会社の特徴について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

デメリット

エンゲージメントサーベイを実名で実施すると、社員が慎重になり、回答に消極的になる可能性があります。

とくに、会社や上司への不満を抱えている場合は、本音を伝えにくく、調査に対する心理的負担が大きくなりがちです。

結果的に、率直な意見が集まらず、エンゲージメントサーベイの本来の目的である、職場の改善につながらないこともあります。

エンゲージメントサーベイを匿名で実施するメリット・デメリット

ここからは、エンゲージメントサーベイを匿名で行う際のメリットとデメリットを取り上げます。

匿名ならではの回答しやすさや、運用上の課題についても整理して解説します。

メリット

匿名でエンゲージメントサーベイを実施する最大のメリットは、社員が率直な意見を伝えやすくなる点です。

普段は口にしにくい会社や上司への不満も、匿名であれば安心して記入できます。そのため、社内で隠れていた課題や改善点を明らかにしやすくなるでしょう。

組織の実態をより正確に把握できることが、エンゲージメントサーベイを匿名で実施する大きなメリットです。

デメリット

匿名でのエンゲージメントサーベイは、回答者が特定できないため、個別の問題解決には向いていません。

率直な意見を集めやすく、組織全体の課題把握には有効ですが、フィードバックは全体向けの施策やアナウンスに限られます。

また、未回答者が誰かもわからないため、個別サポートが行えない点も匿名回答のデメリットです。

エンゲージメントサーベイで匿名性を担保するポイント

ここでは、エンゲージメントサーベイで匿名性を確保するためのポイントを解説します。

安全な運用方法や、社員が安心して率直な意見を出せる環境づくりのコツを見ていきましょう。

ビジネスにおいて重要なエンゲージメントについて理解を深めたい方は、下記の記事もご覧ください。

エンゲージメントサーベイの実施目的を伝える

エンゲージメントサーベイを実施する際は、まず目的や意義を、従業員にしっかり伝えることが重要です。

事前に説明会を開き、調査の方法や実施日時、結果の閲覧範囲や活用方法についても共有すると、従業員が安心して回答できます。

事前の説明により、エンゲージメントサーベイへの理解と協力を得やすくなり、率直な意見を引き出す土台が整います。

閲覧範囲を明確にする

エンゲージメントサーベイの協力を得るには、従業員の心理的な安全性を確保することが重要です。

そのため、回答データの取り扱いやアクセス権限について明確に伝え、結果を閲覧できる範囲を最小限にしましょう。

アクセス権をもつ従業員に対しても、情報漏えいのリスクや影響を教育することが大切です。

これにより、安心して率直な意見を集める環境を整えられます。

選択肢と自由記述欄を設ける

エンゲージメントサーベイでは、選択式と自由記述欄を組み合わせるのがおすすめです。

質問には複数の選択肢を用意しつつ、自由記述欄で選択肢に含まれない意見や具体的な状況を記入できるようにしましょう。

選択式と自由記述欄がどちらもあることで、個々の考えや背景をより正確に把握できます。

選択式だけでは見えない詳細を自由記述で補うことが、組織課題の理解に有効です。

匿名で実施する場合は、匿名性を保証する

匿名でエンゲージメントサーベイを行う際は、従業員が安心して回答できる環境を整えることが必要です。

そのため、実施方法を具体的に説明し、回答と個人を結びつけないことを明確に伝えましょう。誰が回答したかを特定できない仕組みを導入し、集計結果も個人が判別できない形式で公開します。

オンラインで回答を集める場合は、IPアドレスなど個人情報につながるログを残さない設定も重要です。

少数の意見はまとめる

少人数の部署やチームでエンゲージメントサーベイを実施する場合、結果を公表する際は、個人を特定されないよう注意が必要です。

特定の部署や属性に偏った意見や極端な内容がある場合は、類似する意見をまとめて傾向として示すと安全です。

たとえば、少数の残業時間に関する意見も、個人の状況ではなく「長時間労働への懸念」として、まとめて提示することが望まれます。

外部の専門家に委託する

エンゲージメントサーベイで専門の調査会社を活用することは、匿名性と信頼性を高める有効な手段です。

多くの調査会社が提供するアンケートシステムには、匿名のまま回答を催促できる機能があり、回収率向上にも役立ちます。

また、社内で実施経験や知見が十分でない場合、外部委託により円滑な運用や正確な集計が可能です。

専門の調査会社を活用することも、ひとつの選択肢として検討してください。

回答期限に合わせてお知らせを送る

エンゲージメントサーベイは、従業員に業務時間を使って回答してもらう必要があります。

しかし、業務優先で回答を後回しにしたり、忘れてしまう従業員も少なくありません。

そのため、回答期限や前日にはメールや口頭でリマインドを実施しましょう。このような、回収率を高める工夫が欠かせません。

リマインドすることで、より多くの意見を集められます。

実施後にフィードバックする

エンゲージメントサーベイの実施後は、結果を従業員にフィードバックすることが重要です。

エンゲージメントサーベイは単発ではなく、定期的に実施することで効果を発揮します。回答結果を共有しないと、次回のエンゲージメントサーベイへの意欲が低下するおそれがあるため注意しましょう。

エンゲージメントサーベイを開始する前に、フィードバックの時期や方法を周知しておくとスムーズです。

職場環境の改善に向けた方針を伝えて、会社の取り組み姿勢を示します。これにより、従業員の協力意識を高めることにつながります。

エンゲージメントサーベイの質問項目例

最後に、エンゲージメントサーベイで実際に使われる質問項目の例を紹介します。

どのような観点で、従業員の意識や職場環境を把握できるのか、参考にしてください。

企業についての質問項目

企業についての質問項目例は、下記のようなものが挙げられます。

  • 企業は従業員の意見を経営に反映しようとしているか
  • 現在の評価基準や教育制度に満足しているか
  • 企業の理念やビジョンに共感しているか
  • 企業の戦略目標が社内で共有されているか

職場環境についての質問項目

職場環境についての質問項目の例は、以下のとおりです。

  • 業務量や労働時間は適切に管理されているか
  • オフィスの環境設備・ITツールなどは業務に適しているか
  • 自分の成長を支援する仕組み(教育・研修など)が整っているか
  • 挑戦することに寛容なチームか
  • 評価基準が明確になっているか

人間関係についての質問項目

人間関係についての質問項目は、以下のようなものが挙げられます。

  • 上司からの適切な指示を受けられているか
  • 職場の人間関係は良好か
  • チーム内でお互いに助け合う文化があるか
  • 意見やアイデアを自由に発言しやすい雰囲気があるか
  • 悩みごとや困っていることを相談できる上司がいるか

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