• 更新日 : 2025年12月18日

エンゲージメントサーベイとは?目的やメリット、効果的な活用法まで徹底解説

エンゲージメントサーベイ(従業員意識調査)は、従業員と会社が互いに信頼し、成長しあえる関係性にあるかを測るための調査です。この調査を通じて、組織の現状を正確に把握し、離職率の低下や生産性の向上といった企業成長につながる具体的な施策を打てるようになります。しかし、単にアンケートをとるだけではサーベイは無駄になってしまうため、正しい定義や目的を理解し、効果的な手順で進める必要があります。

この記事では、エンゲージメントサーベイの基本的な考え方から、導入手順、結果の分析と改善施策の進め方までを、中小企業の担当者にもわかりやすく解説します。

目次

エンゲージメントサーベイとは?

エンゲージメントサーベイは、従業員が自社の理念や目標に共感し、仕事に熱意をもって自発的に貢献したいと感じている度合い(従業員エンゲージメント)を測定する調査です。

エンゲージメントサーベイの目的

その目的は、組織と従業員の関係性における課題を定量的に洗い出し、組織改善に役立てることにあります。単なる現状把握で終わらせず、結果をもとに具体的なアクションにつなげることで、企業全体の生産性向上や成長を実現できるのです。

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パルスサーベイとは?センサスとの違いと使い分け

エンゲージメントサーベイには、主に「センサス」と「パルスサーベイ」の2つの手法があります。これらは、質問の頻度や目的によって使い分けられます。

  • センサス(本調査)
    センサスは、年に1回など、期間を定めて大掛かりに実施する調査です。質問項目が多く、組織全体や部署ごとの構造的な課題を深掘りできます。組織の全体像や本質的な課題を把握するのに役立ちます。
  • パルスサーベイ
    パルスサーベイは、1週間に1回や月に1回など、高頻度で短時間に行う調査です。質問項目は数問に絞り、従業員のリアルタイムな心理状態や直近の施策効果を把握するのに適しています。

センサスで組織の大局的な課題(例:企業文化、キャリア形成への不満)を特定します。一方、パルスサーベイは、センサスで特定された課題に対する改善施策の進捗度合いや、短期的なストレスレベルの変化をモニタリングするために活用するのが効果的です。

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従業員満足度調査とエンゲージメントサーベイの違い

エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査(ES調査)は、どちらも従業員の意識を測る調査です。しかし、評価対象と結果の活用方法に決定的な違いがあります。

従業員満足度調査の評価方法は、給与や福利厚生、人間関係など、会社から与えられるものに対する従業員の満たされ度を測るものです。一方、エンゲージメントサーベイは、会社と従業員の相互理解と貢献意欲を評価対象とします。

また満足度調査の結果の活用方法としては、不満点の特定に基づき、主に慰労や待遇改善につなげます。これに対し、エンゲージメントサーベイは、課題特定後に具体的な改善アクションへと進められ、組織全体の成長と活性化を目指します。

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エンゲージメントサーベイが企業にもたらす効果

エンゲージメントサーベイの導入は、組織にさまざまな好影響をもたらします。とくに、以下の3点は企業が期待できる大きなメリットです。

離職率・退職率の抑制

エンゲージメントが低い従業員は、仕事に対する熱意や会社への愛着が薄いため、より良い条件の企業への転職を検討しやすくなります。サーベイを通じて、不満の根源や改善点を見つけ出し、従業員の不満を解消することで、離職率の低下につながるでしょう。

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 生産性の向上

エンゲージメントが高い従業員は、自社の目標を深く理解し、自発的に行動するため、業務効率が向上します。また、心理的安全性が確保されることで、チーム内でのアイデア共有や議論も活発になり、結果としてイノベーションが生まれる土壌を育むことになります。

企業ブランド・イメージの向上

従業員が高いエンゲージメントを保っている企業は、従業員自身が自社のファンとなり、ポジティブな情報を外部に発信します。これは、リファラル採用(社員紹介による採用)の促進や、顧客からの信頼獲得にも役立つため、企業イメージの向上にもつながるでしょう。

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【成功事例】エンゲージメントサーベイを活かして組織改善に繋げた事例

遊技機事業などを展開する株式会社メッセでは、遊技機の規制強化による業績悪化や希望退職制度の実施後、社内の雰囲気が停滞し、離職率が約15%にまで上昇したことが課題でした。

この課題に対応するため、同社はエンゲージメントサーベイを導入しました。サーベイ結果をもとに、組織活性化を図るための「メッセフィロソフィ(理念)」を策定し、その浸透に取り組みました。

その結果、エンゲージメントスコアは向上し、プロフィット部門の生産性が6年間で3倍になるなど、業績が回復しました。さらに、理念浸透の取り組みが社内外に認知されたことで、質の高い人材が集まるようになり、離職率も5~10%に減少しました。サーベイを通じて課題を明確にし、組織の理念浸透という具体的なアクションにつなげた成功事例といえます。

出典:エンゲージメントサーベイの導入で、生産性向上と離職率低下を達成:株式会社メッセ|J-Net21

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エンゲージメントサーベイ導入前の検討事項

エンゲージメントサーベイを成功させるために、導入前には以下の内容を検討しておきましょう。

  1. 目的をはっきりさせる
    「離職率を下げるため」「部署間の連携を良くするため」など、具体的な目標を定めます。
  2. 経営層のコミットメント(関与)を得る
    経営層が本気で改善に取り組む姿勢を示すことが、従業員に安心感を与えます。
  3. 調査範囲と対象を決める
    全従業員を対象とするか、特定の部署に絞るかなどを決定します。
  4. 質問項目を設計する
    目的に合った質問項目を選びます。「eNPS」や「Q12」などの指標を参考にできるでしょう。(詳細は後述)
  5. 実施方法(ツール・自社)を選ぶ
    外部ツールを使うか、自社で作成するかを検討します。
    関連資料|3分でわかる! マネーフォワード クラウドサーベイ サービス資料
  6. 匿名性があることを周知する
    従業員が正直に回答できる環境を整える
  7. 結果分析とフィードバックの計画を立てる
    調査後のアクションプランまでをあらかじめ決めておきます。

効果的なエンゲージメントサーベイの流れ

エンゲージメントサーベイは、以下の7つのステップで進めます。これらの手順を継続的に回すことで、組織のエンゲージメント向上につながります。

1. 実施目的の共有

調査の意図を説明することで、従業員の理解と納得を得やすくなり、回答率や回答の質の向上につながるでしょう。

2. エンゲージメントサーベイの設問決定

調査で使用する設問を決定します。目的や課題に合わせて適切な質問項目を選ぶことが重要です。

3. エンゲージメントサーベイの実施

メールなどを通じて従業員に一斉通知し、Webフォームなどでの回答を促します。回答期間や匿名性の有無などを事前に案内し、リマインドも行うことで、回答率を最大化しましょう。

4. 調査結果分析&課題の洗い出し

集計データをもとに、組織の現状や潜在的な課題を可視化します。部門別などの比較を通じて、スコアが低い領域やネガティブなコメントが集中しているポイントを特定していきます。

5. 課題解決に向けた施策決定

分析で明らかになった課題に対し、どのような対応策を講じるか検討します。従業員との対話を交えながら、現場の課題に合った実効性の高い打ち手を検討する姿勢が重要です。

関連資料|従業員のエンゲージメントを高める労務管理のはじめ方
関連資料|目標管理シート(ワード)

6. 施策の実施

決定した施策は、優先順位をつけて段階的に実行します。すべてを一度に対応しようとせず、エンゲージメントに大きく影響する要因から着手すると効果的です。施策の進捗や成果は定期的にモニタリングし、必要に応じて微調整を行う体制を整えましょう。

関連資料|Will-Can-Must シート(ワード)

7. エンゲージメントサーベイの再実施

施策実行後は、再度エンゲージメントサーベイを実施し、施策の効果を検証します。「スコアが改善したのか」「従業員の声がどう変化したのか」を確認することで、アクションの成果が数値的に把握できるようになります。仮に効果が出ていない場合は、要因を再分析し、別のアプローチを検討します。

関連資料|企業向け アンケート

エンゲージメントサーベイの質問項目

質問項目の設計は、組織のどこに課題があるかを見極める上で極めて重要です。単に「満足していますか?」と聞くのではなく、行動や意識に焦点を当てた質問を含めるようにしましょう。

ベイン・アンド・カンパニー社の設問例:eNPS

eNPSは、「あなたは、この会社で働くことを友人や知人にどれくらい勧めたいですか?」といった質問で、会社への推奨度を測り、エンゲージメントの高さを測れます。回答は0点(まったく勧めたくない)から10点(強く勧めたい)の11段階で答えます。推奨度が高いほど、従業員が自社の「ファン」であり、会社の成長に貢献したいという意識が高いと判断できます。

ギャラップ社の設問例:Q12(キュートゥエルブ)

Q12は、米ギャラップ社が開発した、従業員のモチベーションや生産性に最も影響を与える12の要素を測る質問項目群です。例として、「自分の仕事で、何を期待されているかがわかっていますか?」や「過去7日間に、良い仕事をしたと褒められたり、認められたりしましたか?」といった質問で構成されています。これらの質問を通じて、従業員が仕事で「満たされている」と感じているか、「貢献できている」と感じているかを多角的に把握できます。

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エンゲージメントサーベイが無駄だと思われてしまう理由と対策

エンゲージメントサーベイが効果を失い、「無駄」になる主な原因と対策は以下の通りです。

理由1:実施目的が従業員に伝わっていない

サーベイが単なる義務と見なされ、回答の質が低下します。

対策として、経営層から目的とビジョンを明確に伝え、調査の意義を共有しましょう。「結果は改善に繋げる」と事前にフィードバックを約束すれば、期待感も高められます。

理由2:結果が現場にフィードバックされず、改善に繋がらない

調査結果が実行されずに滞留し、「やりっぱなし」に終わると、従業員の不信感が募ります。

対策として、調査後すぐに迅速なフィードバックを実施しましょう。結果を受けて、アクションプラン(誰が、何を、いつまでに)を明確にし、施策の効果を検証するPDCAサイクルを必ず構築してください。

理由3:匿名性が担保されず、正直な回答が得られない

評価への影響や人間関係を恐れ、本音ではない無難な回答が集まると、真の課題を抽出できません。

対策として匿名性の徹底を事前に強く説明し、従業員の心理的安全性を確保しましょう。経営層は「サーベイ結果に基づく不利益な人事は行わない」とトップコミットメントを示すことが重要です。

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【ツール比較】自社に合ったエンゲージメントサーベイの選び方

サーベイの実施方法には、外部ツールを利用する方法と、自社でアンケートを作成する方法があります。とくに、分析や改善施策の策定に不慣れな中小企業では、外部の専門ツールを活用することで、より効果的かつ効率的に進めることができるでしょう。

ツール選定の3つのポイント

自社に合ったエンゲージメントサーベイツールを選ぶ際には、以下の3つのポイントを考慮しましょう。

  1. 機能面
    パルスサーベイとセンサスの両方に対応しているか、部署別、役職別など、詳細な切り口で分析できる機能があるか、eNPSやQ12など、必要な指標を測定できるかを確認します。
  2. 費用面
    従業員規模に合った料金体系であるか、初期費用だけでなく、ランニングコストも確認します。無料トライアルで使い勝手を試せるかも重要な点です。
  3. サポート体制
    サーベイの設計や質問項目について、専門家のコンサルティングを受けられるか、結果分析後の改善施策の策定を支援してくれるサポートがあるかを確認します。

外部委託(ツール利用)と自社作成のメリット・デメリット

エンゲージメントサーベイの実施方法には、外部委託(ツール利用)と自社作成の二つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

外部委託/ツール利用

外部委託やツールを利用するメリットは、高い分析力と客観性が得られること、匿名性の担保が容易なこと、そして改善事例や他社との比較データが得られることです。一方、デメリットとしては、費用がかかることや、ツールの機能に制約を受ける可能性があることです。

自社作成

自社で作成するメリットは、費用を抑えられること、質問項目を自由にカスタマイズできること、そして手軽に始められることです。デメリットとしては、分析に手間がかかること、客観性に欠ける可能性、匿名性の確保が難しいことが挙げられます。

中小企業で人的リソースが限られている場合や、サーベイの知見が不足している場合は、高い分析力と豊富なノウハウを持つ外部ツールを利用するのが賢明でしょう。

おすすめの主要エンゲージメントサーベイサービス比較

主要なエンゲージメントサーベイサービスには、モチベーションクラウド、Wevox、Geppoなどがあります。

モチベーションクラウド(リンクアンドモチベーション)

モチベーションクラウドは、組織状態を独自の指標で診断し、組織の変革を支援します。組織改善コンサルティングとセットで高い効果を期待できるのが強みです。

Wevox

Wevoxは、パルスサーベイに強みを持ち、リアルタイムでの組織状態の変化を把握します。シンプルで使いやすく、高頻度のモニタリングに適しています。

Geppo

Geppoは、個人のコンディション変化を早期に察知し、ハイリスクな離職予兆を防ぎます。個人の状態に焦点を当てた、きめ細やかなサポートが可能となります。

エンゲージメントサーベイは組織の持続的成長につながる

エンゲージメントサーベイは、単に従業員の不満を探るためのアンケートではありません。企業と従業員が互いに成長しあえる関係性を構築し、組織の潜在的な能力を引き出すための戦略的なツールです。

サーベイで現状を正確に把握し、結果をもとに具体的なアクションを実行するというPDCAサイクルを回し続けることが、離職率の低下や生産性の向上といった企業の持続的な成長につながることでしょう。

この記事を参考に、貴社のエンゲージメントサーベイを成功に導くための第一歩を踏み出していただければ幸いです。


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