• 作成日 : 2026年2月16日

田んぼの委託は儲かる?費用相場や儲からない理由、収支を改善するポイントなどを解説

Point田んぼの委託は儲かる?

田んぼの全面委託で利益を出すのは困難ですが、部分委託と補助金を活用すれば赤字を回避し資産を維持することが可能です。

  • 全面委託は赤字。自前作業の併用で費用を3割削減。
  • 多面的機能支払交付金等の公的補助金で収支を改善。
  • 収益重視なら野菜転換や農地バンクへの貸付を検討。

米の売上のみでは、田んぼの委託を黒字化するのは厳しいです。機械作業のみ外注するハイブリッド方式」委託料を抑え、補助金を併用することで実質的な収支プラスが狙えます。

田んぼの維持管理を外部へ委託して利益を出すことは、すべての作業を任せる全面委託の場合、現実的に難しいと言えます。しかし、委託の仕方を工夫し、補助金を活用することで、赤字を最小限に抑えて資産としての農地を守ることは十分に可能です。

本記事では、稲作委託の収支構造から、収益を改善するための具体的な戦略、さらには受託側として儲けるための視点まで解説します。

田んぼの委託は儲かる?儲からない?

田んぼの全面委託の場合、米の売上だけで利益を出すことは難しく、作れば作るほど赤字になるリスクがあります。

10アール(1反)あたりの売上は最大でも13万円〜15万円程度が限界ですが、ここから委託料や資材費を差し引くと、利益はほとんど残りません。近年、米価は上昇傾向にありますが、それ以上に資材費や人件費(委託料)の負担が重いのが現状です。

米の売上と委託費用の比較

米の売上(最大13.5万円)に対して支出(最小13万円〜)が上回るケースが多く、黒字化は至難の業です。

米の売上目安
  • 収穫量:10アールあたり約8俵〜9俵(480kg〜540kg)
  • 買取単価:1俵(60kg)あたり12,000円〜15,000円程度
  • 売上合計:約96,000円〜135,000円
田んぼの委託費用相場
  • 全面委託料金:10アールあたり10万円〜12万円
  • 資材費(肥料・農薬・苗代):約3万円〜5万円
  • 水利費・土地改良費:約5,000円〜15,000円

※米の収量や単価は、農林水産省「作物統計」「米の相対取引価格」等を参考にした一般的な水準です。

赤字でも委託を続ける地主が多い

収支がマイナスであっても委託が続けられるのは、多くの地主が農地の維持管理コストとして割り切っているためです。

  • 税制面のメリット:耕作放棄地になると固定資産税の優遇措置が外れるペナルティがあります。ただし、固定資産税の扱いは、市町村の判断や農地の利用状況により異なるため、詳細は各自治体での確認が必要です。
  • 近隣トラブルの防止:管理を怠ると雑草や害虫が発生し、周囲の農家に迷惑をかけることになります。
  • 資産価値の維持:将来的な土地の転用や売却を見据え、良好な状態を保つための必要経費として考えられています。
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田んぼの収支を改善するための具体策は?

コストを削減して収支を改善するポイントは、高額な農業機械が必要な作業のみをプロに任せる「部分委託」の活用にあります。

自分でやるべき作業の見極め

日々の手間はかかりますが、特殊な機械を必要としない「水管理」や「畦(あぜ)の草刈り」を自分で行うことで、委託料を大幅に削減できます。

水管理は毎日の見回りが必要なため委託すると高額になりやすく、草刈りも人件費の塊です。これらの作業を自身で負担できれば、支出を抑え、収支をトントンか微益に持ち込める可能性が高まります。

ハイブリッド方式によるコスト削減

重要な機械作業のみを委託し、管理は自分で行う「ハイブリッド方式」なら、コストを3割〜4割削減可能です。例えば、田植え・稲刈り・乾燥調整のみを業者に依頼し、肥料散布などをドローン業者へスポット委託して効率化を図る形です。

田んぼの維持に活用できる公的な補助金は?

農業には、農地維持を支援する公的補助金があり、これらを活用することで実質的な収支をプラスに転換できる場合があります。

特に多面的機能支払交付金は、集落単位での活動資金として交付されるケースが多く、草刈りなどの共同作業にかかる日当や、委託費の一部に充当できる場合があります。実際に活用する際はご自身の田んぼがある地域が対象になっているか、地元の役場や土地改良区に確認することをおすすめします。

田んぼの稲作や委託以外で儲ける方法は?

稲作単体での収益性に限界を感じる場合は、作物の転換や販売ルートの開拓が有効です。

高収益作物(野菜)への転換や複合経営を行う

稲作単体での収益に限界を感じる場合は、シシトウなどの露地野菜や施設野菜への転換、あるいは米と野菜の複合経営が有効な戦略です。

野菜作りは労働時間が長くなる傾向にありますが、10アールあたりの収益性は米よりも圧倒的に高くなります。稲作の閑散期を活用して野菜を栽培することで、農家としての総収入を底上げし、経営を安定させることが可能です。

農地を貸し出して不動産所得を得る

自分で耕作せず、農地を他者や農業法人に貸し出して賃料収入を得る方法もあります。ただし、これは「農業所得」ではなく「不動産所得」扱いとなる点に注意が必要です。
※農地の貸付形態や契約内容により、税務上の区分が異なる場合があるため貸し出しを始める際に専門家に確認することをおすすめします。

不動産所得を得る上でのポイントは以下の通りです。

  1. 賃料相場の確認:地域の農業委員会などが公表している標準的な借賃を確認し、適切な賃料を設定します。
  2. 契約期間と条件の明文化:将来的な返却の有無や、維持管理(草刈り等)の責任範囲を明確にします。
  3. 税務申告の準備:不動産所得として合算されるため、青色申告の活用などを検討し、節税対策を行うことが重要です。

参考:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁

なお、管理の手間を完全に手放したい場合は、都道府県が運営する「農地中間管理機構(農地バンク)」へ農地を貸し出すのが最も合理的です。これは作業委託ではなく貸付になりますが、賃料収入が得られるだけでなく、固定資産税の軽減措置を受けられるメリットがあります。公的機関を介するため賃料の未払いリスクもなく、損をしない農地管理の選択肢として有効です。

参考:農地中間管理機構|農林水産省

企業との直接契約により安定価格で販売する

JA(農協)の相場に左右されない企業との直接契約を結ぶことで、高い水準で安定した収益を確保できます。

近年では食品メーカーや外食チェーンが、あらかじめ決まった価格で買い取る栽培委託契約を農家と結ぶケースが増えています。販売先を確保し、事業計画を立てやすくすることで、ビジネスとしての農業を確立できます。

田んぼの農作業を受託する側(農業法人など)は儲かる?

ここまで田んぼの農作業を委託する側について解説してきましたが、農作業を引き受ける受託者側は、規模の拡大と効率化を徹底することでビジネスとして十分に成立させることができます。

  • 機械の稼働率向上:高額な農業機械を自社だけでなく他者の田んぼでもフル稼働させることで、単位面積あたりの減価償却費を下げ、投資回収を早めます。
  • 農地の集積(団地化):特定エリアの農地をまとめて受託することで、機械の移動コスト(燃料費・人件費)を削減し、利益率を高めます。
  • スマート農業の活用:自動操舵トラクターなどを導入し、作業スピードと精度を向上させます。

田んぼの委託には資産管理の視点が重要

田んぼを委託して儲けるためには、単なる売上の追求ではなく、維持コストを最小化し農地の価値を守るという資産管理の視点が欠かせません。

一部の作業を自分で行う「ハイブリッド方式」や補助金を組み合わせることで、赤字を出さない持続可能な経営が可能になります。まずは地域の委託相場を把握し、信頼できるパートナーを見つけることから始めましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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