- 作成日 : 2024年10月4日
採用代行に必要な許認可とは?申請・取得方法や注意点を解説
採用代行会社を設立しようと考えている人の中には、許認可が必要なのか不安に思っている人もいるでしょう。本記事では、採用代行に必要な許認可や申請・取得方法についてまとめました。
あわせて、採用代行で許認可が不要な場合や採用代行を行う際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
採用代行に必要な許認可とは?
採用代行とは、企業における採用活動を外部の専門業者に委託するサービスのことです。採用代行サービスは、厚生労働省職業安定局発行の募集・求人業務取扱要領では「委託募集(法第36条)」に区分されています。
なお、採用代行業者に委託する業務内容によっては行政機関への許認可が必要になるため注意しましょう。
「委託募集」の場合は許可が必要
採用代行において、委託募集の場合は許可が必要になります。委託募集とは、募集主(使用者)が、第三者(募集受託者)に委託して募集・選考・採用活動を行わせる業務のことです。
許可を受けるためには、募集主である企業と募集受託者である採用代行業者の両者が、法で定められた基準を満たしている必要があります。
委託募集にあたる業務
では、委託募集に該当する業務と該当しない業務にはどういったものがあるのでしょうか?
次のような業務を採用代行業者に委託すると委託募集に該当します。
- 募集
- 選考
- 採用活動
採用代行の許可基準
採用代行を利用する際に重要なのは届出を行うことです。さらに、受諾/委託企業ともに届出が認可される必要があり、そのためには許可基準を満たしていなければなりません。ここでは、許可基準について解説します。
委託側の認可基準
委託側の認可基準としては、次のような項目があります。
- 事業主の徳性
- 労働条件が適切であること
- 募集において業務内容や労働条件が明確であること
- 適用事業所について、適切に社会・労働保険に入っていること
- 厚生労働省が許可をした報酬以外を与えるものではないこと
職業安定法など労働関係法令に触れる重大な違反がないことや労働条件が法律違反ではないこと、賃金が同地域内・同業種と比較して著しく低くないことなどが重要です。
言い換えると、健全な企業運営が行われていれば、特に問題ありません。
受諾側の認可基準
受諾側の認可基準としては、次のような項目があります。労働者を募集するうえで、しっかりとした知識・能力があるかどうかを判断されるため、注意しましょう。
- 事業主の徳性
- 充分な判断能力があること
- 労働関係法、募集内容、職種など十分な知識を有していること
労働条件が法律違反ではないこと、成年被後見人・被保佐人でないこと、労働関係法令(職業安定法など)にかかる重大な違反がないことなどをチェックされます。
期間・報酬の認可基準
また、期間や報酬についても認可基準が設けられています。
- 期間:募集を行う期間が1年を超えないもの
- 報酬:支払われた額の50/100を超える報酬の場合は認可しない
- ※特別な事情(委託募集にかかる経費が特別に高額になるなど)の場合は例外
許可を受けるためには、相互に基準が設けられているため、許可がおりるようにしっかりと対応しましょう。
採用代行の許可を取る手順
採用代行の許可を取る手順について、解説します。主な流れは、次のとおりです。
- 必要書類へ記入する
- 期日に従って書類を提出し許可を申請する
- 審査結果を待つ
まずは、必要書類を作成します。申請に必要な書類としては、都道府県労働局長へ提出する書類が必要です。また、一定の条件に該当する場合は、厚生労働大臣の許可も必要なため、注意してください。
■ 都道府県労働局長へ提出する書類
- 委託募集許可等申請書(様式第3号)
- 許可内容を証明する帳簿や資料
■ 厚生労働大臣の許可が必要になる条件
- 募集人数が100名以上になる場合
- 1つの都道府県から30人以上募集する場合
書類が作成できたら、都道府県労働局長と厚生労働大臣(条件に該当する場合のみ)に期限までに書類・資料を提出しましょう。それぞれで期限が異なるため、注意が必要です。
■ 提出期限
- 都道府県労働局長:14日前まで(募集開始月の)
- 厚生労働大臣:21日前まで(募集開始月の)
その後は、審査が実施される流れです。なお、許可の申請手続きは、募集主(委託側)に代わって採用代行業者(受託側)が行うことも認められています。
採用代行で許認可が不要な場合
許認可が不要となるのは、前述した「委託募集」に該当しないケースです。次のような業務を委託する場合には、委託募集に当たらないため、許認可が不要です。
- 採用要件の設定
- 採用試験問題の作成
- 試験実施のみ
- 求人広告の作成
- スカウトメールの送信
- 応募者対応
- KPIの設定
採用代行業者に業務を委託する場合でも、自社で募集や選考に関しては担当し、採用試験問題の作成や試験実施のみ、求人広告の作成など上記の業務だけを外注する場合は委託募集に当たらないため、許認可は不要です。
採用代行を行う際の注意点
最後に、採用代行を行う際の注意点を紹介します。主な注意点は以下の2つです。
- 委託する企業、委託を受ける企業双方が許可を取得していること
- 業務委託契約書についての確認をすること
採用代行サービスでは、採用業務を委託する企業、採用業務の委託を受ける企業双方が厚生労働大臣や都道府県労働局長の定める許可基準を満たし、認可を取得しておく必要があります。
どちらかの企業だけ、もしくは両方が厚生労働大臣や都道府県労働局長が定める許可基準を満たしていない場合や、許可をそもそも得ていない場合は違法となるため注意が必要です。
また、業務委託において、業務委託契約書はどちらの企業が作成するのかの確認も事前に行いましょう。採用代行による業務委託の場合、採用代行業者の提案に基づいて、契約内容が決まることが多いです。そのため、採用代行業者のひな形に従って、採用代行業者が原案を作成するとスムーズに進行します。
採用代行に必要な許認可を把握しよう
採用代行とは、企業における採用活動を外部の専門業者に委託するサービスのことです。採用代行において、委託募集の場合は許可が必要になります。また、許可を受けるためには、募集主である企業と募集受託者である採用代行業者の両者が、法で定められた基準を満たさなければなりません。
本記事で紹介した許可を取る手順や必要な書類を参考にして、不備なく採用代行会社を設立できるようになりましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会社設立の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
サラリーマンが副業で起業して会社設立するやり方と節税のメリットを解説
大企業を中心に、副業を容認する会社が増加しています。今や、サラリーマンで副業をしている人も珍しくありません。副業による所得は、基本的には個人の所得として申告しますが、節税対策として会社を設立し法人の収益として申告することも可能です。 サラリ…
詳しくみる50代専業主婦が起業するには?始めやすいビジネス・資格・注意点を解説
50代以降の女性の起業意向は増加傾向にあり、専業主婦層でも関心が高まっています。長年の家庭経験や人とのつながり、生活の知恵は、ビジネスにも活かせる貴重な強みです。この記事では、主婦だからこそ挑戦しやすい起業アイデアや活用できる資格、公的支援…
詳しくみる起業後に発生する税金は何か?
起業時には、個人事業主として開業するか、法人を設立して開業するかで、発生する税金と届出書類が異なります。それぞれの場合の具体的な内容について、確認します。 個人事業主として起業した場合にかかる税金と手続き 個人事業主として起業した場合にかか…
詳しくみる産業廃棄物処理業の許認可は?許可の種類や届出の方法、費用を解説
産業廃棄物処理業を始めるには、都道府県知事の許可証が必要です。起業を検討している人の中には、許可証の取得方法をよく知りたいという人もいるでしょう。 本記事では、産業廃棄物処理業の許認可について解説します。産業廃棄物処理業の業務内容や許可申請…
詳しくみる製造業に必要な許認可とは?業種別の一覧と取得手順を全解説
製造業で事業を始めるには、事業内容に応じた「許認可」の取得が法律で定められています。しかし、その種類は食品から機械、化学製品まで多岐にわたるため、ご自身の事業に何が必要なのかわからず、事業計画を立てにくいと感じる方も多いのではないでしょうか…
詳しくみる大学生が起業する方法は?メリットや起業家として成功するポイントも解説!
女性やシニア世代の起業家と並んで、最近増えているのが大学生の起業です。在学中から起業セミナーや実際の成功例を勉強し、なかには在学中に起業する方もいるようです。 本記事では、大学生が起業するメリット・デメリット、資金調達の方法、成功のポイント…
詳しくみる