- 作成日 : 2026年1月14日
中小企業診断士は儲からない?実際の年収、稼ぐための具体的な戦略を解説
中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格でありながら、「儲からない」「食えないからやめとけ」といったネガティブな評判を耳にすることがあります。
この記事では、中小企業診断士が儲からないと言われる理由の真相や、実際の年収データ、資格を活かして着実に稼ぐための具体的な戦略について詳しく解説します。
目次
中小企業診断士は本当に儲からない?
中小企業診断士の実態は、稼いでいる人とそうでない人の差が激しく、一概に儲からないとはいえません。平均年収のデータだけを見ると高水準ですが、そこには一部の高所得者が数値を引き上げているという数字のトリックや、働き方による大きな違いが隠されていることもあるからです。
ここでは、中小企業診断士のリアルな懐事情と、収入格差が生まれる背景について明らかにします。
結論:儲かるかは人によって異なり、収入差が激しい
中小企業診断士が稼げるかどうかは、個人の営業力やスキルの活用次第で大きく変わります。資格を取得すれば自動的に仕事が入ってくるような甘い世界ではないため、年収3,000万円を超える高収入層がいる一方で、年収300万円未満にとどまる人も一定数存在するのが実情です。
とくに独立開業した場合、会社員時代のような毎月の安定した給与は保証されず、自身の成果がそのまま収入に直結します。コンサルティング能力だけでなく、自分を売り込む力や人脈がなければ、高い収入を得ることはむずかしいでしょう。「資格さえあれば安泰」という考えは捨て、厳しい競争環境であることを理解する必要があります。
中小企業診断士の平均年収
中小企業診断士の平均年収は、一般的なビジネスパーソンと比較しても高い水準にあります。ボリュームゾーンは500万円から800万円の層ですが、全体の平均値では900万円程度になるというデータも存在します。
しかし、この数字を鵜呑みにするのは危険です。平均値を大きく押し上げているのは、独立して成功している一部のトップ層や、大企業で役職についているベテラン診断士たちだからです。中央値で見ると驚くほどの高給取りばかりではありません。企業内診断士の場合、勤務先の給与体系に依存するため、資格手当がつく程度にとどまるケースも少なくないでしょう。
参考:中小企業診断士|厚生労働省 職業情報提供サイト job tag
「儲かる人」と「儲からない人」の決定的な違い
稼げる診断士とそうでない診断士を分けるのは、徹底した「行動力」と「差別化」ができているかという点です。儲かる人は、資格取得後も積極的に研究会へ参加して人脈を広げたり、特定の業界に特化した専門知識を磨いたりして、つねに自分の商品価値を高めています。
対照的に、儲からない人は「資格を取れば仕事が来る」という待ちの姿勢になりがちです。また、一般的な知識しか持たず、他の診断士との違いを打ち出せていないことも原因といえます。クライアントから選ばれるには、単なる診断士ではなく、「〇〇に強い専門家」として認知されるような独自の強みを持つことが欠かせません。
なぜ中小企業診断士は「儲からない」「やめとけ」と言われるのか?
難易度の高い国家資格であるにもかかわらず「やめとけ」と言われる背景には、他の士業とは異なる独特の業務形態や、コンサルティング業界ならではの競争環境があります。不安定な収入源やAIの台頭など、これから目指す人が知っておくべきリスクも存在します。ここでは、中小企業診断士がネガティブに語られる主な5つの理由について、業界の構造的な問題をまじえて解説します。
独占業務がなく、仕事が保証されていないから
中小企業診断士に「独占業務」が存在しないことが、「食えない」と言われる最大の要因です。税理士の税務申告や社労士の社会保険手続きのように、法律で「この仕事は診断士しかやってはいけない」とされる「独占業務」がないため、資格を持っているだけでは仕事が確約されません。
経営コンサルティング自体は無資格でも可能であることから、実績のある無資格コンサルタントとも競合することになります。法的に守られた安定収入源がない以上、自分で仕事を取りにいくハングリー精神がなければ、収入を確保することは困難です。待ちの姿勢では稼げない構造が、ネガティブな噂の根源となっています。
資格取得難易度に対して、即金性が低いから
中小企業診断士試験の難易度と、資格取得後の収入が見合っていないと感じることも、儲からないと言われる理由の一つです。合格率は数パーセントから10パーセント程度であり、1,000時間以上の勉強時間が必要とされるものの、苦労して資格を取ってもすぐに高収入が得られるわけではありません。
前述のとおり、中小企業診断士は医師や弁護士のように、資格取得がそのまま高額な報酬や就職に直結するケースは稀です。独立当初は顧客ゼロからのスタートになることも多く、投資した時間や費用を回収するまでに時間がかかることがあります。この「努力と見返りのタイムラグ」が、やめとけという声につながっているのです。
AI(人工知能)に仕事を奪われる懸念があるから
AI技術の進化により、士業の仕事が奪われるのではないかという将来への不安も、ネガティブな評判の一因です。とくに中小企業診断士の業務の一部である「財務分析」や「データ処理」「定型的なレポート作成」などは、AIが得意とする分野であり、代替される可能性が指摘され、従来の収益モデルのままでは通用しなくなりつつあります。
たしかに、単なる情報の整理や分析だけを行う診断士は、「AIのほうが安くて正確だ」と判断され、仕事を失うかもしれません。経営者の感情に寄り添うヒアリングや、複雑な状況をふまえた創造的な提案など、人間にしかできない業務も多く残りますが、将来性を危惧する声として挙がることが多いです。
コンサルタントとしての実力差が収入に直結するから
中小企業診断士の収入は、コンサルタントとしての実力に完全に比例するシビアな世界です。実力のある診断士は、企業の売上を劇的に改善させて高額な報酬を得ますが、実力が不足していると成果が出せず、次の仕事につながりません。
形のない「知識」や「知恵」を商品とする以上、クライアントの評価がすべてとなります。「先生」と呼ばれてあぐらをかいていると、あっという間に契約を切られてしまうでしょう。この実力主義についていけず廃業してしまう人もいるため、「儲からない」というイメージが定着している側面があります。
維持費(年会費・更新研修費)がかかるから
資格を維持するためのランニングコストが発生することも、稼げない診断士にとっては大きな負担です。中小企業診断士として登録を継続するには5年ごとの更新が必要であり、そのために有料の「理論政策更新研修」を受けたり、実務に従事したりしなければなりません。
さらに、多くの診断士が所属する「中小企業診断協会」に入会すると、年間5万円程度の会費がかかります。入会は任意ですが、人脈作りや情報収集のために加入する人が多いのが現状です。収入が増えない時期に年間数万円の出費が重なると、「稼げないのにお金だけ出ていく」という不満につながりやすくなります。
中小企業診断士の資格を取っても食えない人の特徴
中小企業診断士の資格を取得しても、その後の行動や考え方を間違えれば「宝の持ち腐れ」になってしまいます。食えない診断士には、資格への過度な依存や営業不足など、共通する失敗パターンが存在します。
ここでは、中小企業診断士が資格取得後に陥りがちな典型的な3つの特徴を紹介します。これから資格を目指す方や、取得したばかりの方は、これらを反面教師として参考にしてください。
資格取得がゴールになっている
食えない中小企業診断士のもっとも典型的な特徴は、資格を取ったことに満足し、その後の行動が止まってしまう「資格ホルダー思考」です。「資格さえあれば誰かが評価してくれる」「名刺に書けば仕事が舞い込む」という受け身の姿勢では、案件を獲得することはできないでしょう。
資格はあくまでスタートラインに立つための入場券にすぎません。クライアントにとって重要なのは、その人が「何ができるか」「どう自社の役に立つか」という点につきます。取得後も自己研鑽を続け、プロとしての実力を磨き続けなければ、競争の激しいコンサル業界で生き残ることは困難でしょう。
営業活動や人脈作りを全く行っていない
どれほど優秀な頭脳を持っていても、その存在を認知されていなければ仕事は依頼されません。食えない中小企業診断士は、自分を売り込むための営業活動や、仕事を紹介してくれる人脈作りをおろそかにしている傾向があります。
独立診断士の仕事の多くは、知人からの紹介や、他士業・先輩診断士からの斡旋で決まるのが一般的です。交流会への参加やSNSでの発信、公的機関への挨拶回りなど、地道な種まきを面倒くさがって避けていると、いつまでたっても案件はゼロのままとなります。「営業は苦手だから」という言い訳は、独立した以上は通用しません。
実務経験が乏しく、机上の空論しか話せない
教科書通りの知識しか持たず、現場の実態に即したアドバイスができないことも、中小企業診断士がクライアントから見放される大きな要因です。経営の現場は生き物であり、理論通りに進まないことのほうが圧倒的に多いため、応用力が求められます。
経営者は、本に書いてあるような一般論ではなく、自社の泥臭い課題を解決してくれる具体的な提案を欲しています。実務経験が不足しているにもかかわらず、現場を見ずに上から目線で「机上の空論」を振りかざす診断士は、「役に立たない」とレッテルを貼られてしまうでしょう。現場に足を運び、経営者と共に汗をかく姿勢が不可欠です。
中小企業診断士として「儲かる」「稼ぐ」ための具体的な方法は?
厳しい現実がある一方で、戦略的に動けば中小企業診断士は十分に高収入を狙える資格でもあります。実際に、年収1,000万円以上を安定して得ている診断士も数多く存在し、成功モデルは確立されているといえるでしょう。
ここでは、中小企業診断士がリスクを抑えながら確実に収入を増やし、成功するための具体的な4つのアプローチを紹介します。
企業内診断士として昇進・資格手当を狙う
もっともリスクが低い稼ぎ方は、会社員として働きながら資格を活かす「企業内診断士」としてのキャリアアップです。金融機関やコンサルティング会社、商社などでは、診断士資格が昇進や昇格の要件になっていることがあります。
資格手当として月数万円が支給される会社もあり、長期的に見れば大きな年収アップにつながります。また、社内の経営企画部門や新規事業開発などで専門知識を発揮すれば、社内評価が高まり、自身の武器になるはずです。独立するだけが診断士の道ではなく、組織の中で安定して稼ぐのも賢い選択の一つといえます。
副業から始めて実績と顧客を作る(リスク分散)
いきなり会社を辞めて独立するのではなく、まずは「副業」として中小企業診断士の活動を始めるのが、失敗を防ぐ確実な方法です。週末や平日の夜を利用して、補助金申請のサポートや執筆活動、セミナー講師などを行うことで、リスクを最小限に抑えられます。
副業であれば、本業の収入を確保しつつ、実務経験を積み、顧客基盤を作ることが可能です。もし思うようにいかなくても生活に困ることはありません。副業収入が本業を超えたタイミングや、固定客がついた段階で独立すれば、スムーズに軌道に乗せられるでしょう。スモールスタートは、現代の診断士にとって王道の戦略です。
需要の高い分野を攻める
従来、「補助金申請サポート」業務は中小企業診断士においては需要の高い分野とされてきましたが、行政書士法の改正により2026年1月からは「補助金申請書類の作成代行」は行政書士の独占業務となります。したがって、中小企業診断士においては、需要の多かった「補助金申請サポート」業務も「支援」の枠にとどまらざるを得ません。
しかしながら、承継計画支援、M&A仲介、企業再生・計画改善やDXなど中小企業診断士が求められる分野は種々考えられます。また、研修講師やセミナー主催など、ビジネスパーソンを対象に現場を体験した声は、非常に有用と考えられます。とくに、DXにおいてはIT導入や人材育成など、現場に入り込み問題を社内メンバーとともに解決する伴走型のコンサルタントが求められています。
こうした需要のある分野を攻めることで、実績の少ない新人診断士でも早期に売上を作ることが可能と言えます。また、行政書士とのダブルライセンスも狙い目でしょう。
ダブルライセンスで専門性を高め差別化する
他の士業資格と組み合わせてダブルライセンスを持つことは、希少価値を高めて単価を上げる有効な戦略です。例えば、社会保険労務士との組み合わせで「人事評価制度も作れるコンサルタント」になったり、税理士と組んで「税務と経営の両面が見られる専門家」になったりします。
複数の専門性を持つことで、クライアントの悩みをワンストップで解決できるようになり、受注率の向上が見込めます。独占業務を持つ資格と掛け合わせれば、安定収入とコンサルティング収入の両輪で稼げて、経営も安定するでしょう。
中小企業診断士はコストパフォーマンスが良い資格か?
難関資格である中小企業診断士の取得には、決して少なくない時間と費用がかかります。それに見合うだけのリターンがあるのかどうか、投資対効果が気になる方も多いでしょう。
ここでは、勉強時間や費用に対する回収期間、将来的な市場価値といった視点から、中小企業診断士という資格のコストパフォーマンスについて解説します。
結論:長期的に見ればコスパは高い
中小企業診断士は、長期的な視点で見れば非常にコストパフォーマンスの高い資格であるといえます。一度取得すれば一生有効な国家資格であり、定年後も働き続けられるため、生涯賃金を大きく押し上げる可能性を秘めているからです。
また、中小企業診断士試験の準備では経営全般の知識が体系的に身につくため、どのような職種についても汎用性が高く、ビジネスパーソンとしての基礎体力が格段に上がります。短期的な年収アップだけでなく、リストラのリスクヘッジや、定年後のセカンドキャリアの充実まで考えれば、投じた時間と費用以上の価値は十分に回収できるはずです。
勉強時間と費用に対するリターン
中小企業診断士の資格取得にかかるコストは、予備校に通った場合で30万円前後、独学なら10万円程度であり、勉強時間は約1,000時間と言われます。これを時給換算して総コストを見積もると数百万円の投資になりますが、資格取得後に副業で月5万円稼ぐだけでも、数年で元が取れる計算になります。
さらに、転職や昇進で年収が100万円上がれば、わずか数年で投資回収が完了します。その後はすべてプラスの収益になるため、金融商品への投資と比べても、自己投資としての利回りは極めて高いといえるでしょう。金銭面だけでなく、知識資産としての価値も考慮すべきです。
就職・転職市場での評価と将来性
転職市場において、中小企業診断士は「経営視点を持った希少な人材」として高く評価されます。とくに30代から40代のミドル層にとって、マネジメント能力の客観的な証明となり、コンサルティングファームや企業の管理部門への転職で有利に働きます。
将来的にも、日本の中小企業の後継者不足や生産性向上といった課題は深刻化しており、経営のプロである診断士の需要はなくなりません。AI時代においても、人と組織を動かす力は重宝されるため、資格の価値が暴落するリスクは低いと考えられます。
儲かる中小企業診断士になるためには戦略的に動きましょう
中小企業診断士は「儲からない」という声もありますが、それは資格に頼り切りで受け身になっているケースがほとんどです。実際には、自分の強みを磨き、戦略的に行動できる診断士は、高収入と大きなやりがいを手にしています。
この資格は、使い方次第で人生の選択肢を無限に広げてくれる最強のパスポートです。独立、副業、企業内での昇進など、活躍の場は多岐にわたります。これから目指す方は、合格をゴールにするのではなく、その先にある理想の未来を見据えて、今日から着実な一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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