- 更新日 : 2024年12月24日
マイナンバーにクレジットカードの機能が付くとどうなる?
マイナンバーカードに、クレジットカードの機能がつくとの話もあります。その真偽について、探っていくことにしましょう。
マイナンバーとクレジットカードがセットに?その狙いは
マイナンバー法が改正されて、マイナンバーの使用用途に預金口座を適用するということが明記されました。そして、政府は、クレジットカードの機能をマイナンバーカードに持たせるといった計画も検討中と表明しています。
実際にクレジットカード機能を付与するかどうかは、確実に決定がくだされたわけではありませんが、その可能性を加味して政府は動いています。
ここで疑問なのが、どうしてマイナンバーカードに、クレジットカードの機能を持たせるのかということです。その狙いは、マイナンバーカードの普及ではないかと言われています。
マイナンバーカードは、国民一人ひとりの個人番号が明記され、証明写真のついたカードのことです。2015年秋からマイナンバーの通知が行われていますが、それはただ「個人番号」を通知するだけの作業であり、マイナンバーカードが届くわけではありません。
(出典:個人番号カードについて|総務省自治行政局住民制度課 地方公共団体情報システム機構)
上記が、マイナンバーカードのイメージです。ICチップも埋め込まれ、個人番号や証明写真が掲載されているのがわかります。
マイナンバーカードは、国民が自ら申請することで発行される仕組みです。役所などに登録されている情報は、すべて文面だけの書類ですので、顔写真のデータはありません。
行政側が勝手に写真入りのマイナンバーカードを作って送ることはできないため、個人がマイナンバーカードの申請手続きを行う必要があるのです。
マイナンバーカードの申請をするには、マイナンバーの通知カードと一緒に同封されている「個人番号カード申請書」で申請する必要があります。この申請書と顔写真を送ることで初めて、マイナンバーカードが発行される仕組みです。
この写真は、10年間同じ写真が使用される予定で、ちょうど履歴書などに貼る証明写真と同じ大きさのものを添付し申し込むと、顔写真入のマイナンバーカードが進呈されます。
マイナンバーカードは、運転免許証やパスポートなどのように、本人確認証としても活用されます。そのため、運転免許証やパスポートを持っていない人には、顔写真入のマイナンバーカードを手に入れることは、ひとつのメリットになるでしょう。
しかし、やはりこのマイナンバーカードを手に入れる過程は、少し手間に感じる人もいるはずです。すでに運転免許証やパスポートを持っている人にとっては、わざわざマイナンバーカードを保有する理由はないかもしれません。
そのため、政府はクレジットカードの機能を持たせようと考えています。最近では、通販サイトなどの支払い方法にクレジットカードが利用できたり、公共料金などをクレジットカードで支払う人も多いです。利便性を高め、マイナンバーカードの申請者を増やそうと計画していることがわかります。
マイナンバーにクレジットカード機能を付与するリスクは?
クレジットカードと聞いて利便性を感じる人もいるかもしれません。しかし、個人情報も載っているカードで買物もできてしまうとなると、もし、盗難に遭って悪用されたら、個人情報流出だけでなく、不正使用される可能性も出てきます。
マイナンバーカードは、ICチップを埋め込んだものです。そのため、住所や氏名だけでなく、もっと広範囲の個人情報も含めることができるのだといいます。
「図書館の利用カード」として、「印鑑証明」として、さらには運転免許証や健康保険証としても利用することが検討されているそうです。
ただ、図書館の利用カードや健康保険証などは、すべて公的機関が発行するものです。しかし、クレジットカードは、民間が発行するものです。その結びつきにおいても、不安視する声は少なからずあります。
クレジットカードに関しては、現在でもスキミングなどの犯罪で狙われる対象でもあります。また、1枚で住民票の取得や買物までが完結してしまうカードを持ち歩くことになりますので、盗難や紛失時には、トラブルに巻き込まれる危険性も高くなります。
すでにマイナンバーカードの制度を運用している他国では、情報流出の事故も起きているそうです。故意にではなくとも、何かのはずみですべての情報が流出してしまう可能性をはらんでいるとなると、「クレジットカード機能がついてて便利」とは、気軽に言えなくなりそうです。
クレジットカード機能をつけたいけれど、審査が通らなかった場合の対応・処理が増えることは、ある意味で役所の業務を増やす事にもなります。今後、クレジットカード機能のついたマイナンバーカードが実現する際には、なんらかの問題や課題点を、再度検討することは避けられないでしょう。
まとめ
クレジットカードの機能は、将来的にマイナンバーカードに付与される方向で検討されています。同時に、キャッシュカード機能もつくという話もあるので、とても便利なものになることは間違いありません。
しかし、その際にも、犯罪に巻き込まれる危険性があることや、悪用される余地があることは、きちんと把握して検討したいものです。事前に、メリットとリスクを理解しておき、クレジットカード機能の有無を選択するときに、迷わないようにしたいものですね。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
マイナンバーの桁数は何桁になるの?
マイナンバーの桁数が12桁なのは、ご存じですか? この数字、実は無作為に選ばれることはありません。住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)で使用されていた住民票コードが基になっています。 マイナンバー(個人番号)の桁数は12桁 マイナ…
詳しくみるマイナンバーに関する税務関係実務~入社から退職まで~
平成27年10月に個人番号と法人番号が通知され、平成28年1月からマイナンバー制度が始まりました。マイナンバーと税務に関連する実務を入社から退職までの手順を追いながら確認していきましょう。 新規雇用におけるマイナンバー実務 従業員を採用した…
詳しくみるマイナンバーで職歴もわかってしまう!?過去のことはどこまで知られるのか
マイナンバー制度が平成28年1月より運用開始となりました。マイナンバー制度が導入されるとプライバシーに関わるような部分はどれくらい第三者や企業に開示可能になってしまうのか、皆さんはご存じでしょうか。 本記事では特に、マイナンバーを企業に知ら…
詳しくみるマイナンバー制度っていつから?マイナンバー制度のスケジュールとは
マイナンバー制度っていつから始まったか知っていますか? 平成27年10月から個人への通知が始まり、平成28年1月1日から本格運用が始まりました。 1.基本方針の策定 できる限りすぐに基本方針の策定をしましょう。基本方針に定める事項としては、…
詳しくみるマイナポータルの便利な機能と利用するための注意点
平成29年1月より運用開始となったマイナポータルは、パソコンや携帯端末から自分の個人番号に関する情報にアクセスすることのできるサービスです。 マイナポータルを利用することによって、 ・誰がどのように自分の個人番号にアクセスしたのか確認するこ…
詳しくみるマイナンバーの通知カード、届く時期と届いた後の手続を教えます!
マイナンバー制度が実施されることをご存知の方は多いと思いますが、マイナンバーの通知カードが、いつ手元に届き、届いた後は何をすればいいかご存じでしょうか? マイナンバーの通知カードが届く時期は? マイナンバーの通知カードは今年10月以降、順次…
詳しくみる