• 更新日 : 2026年1月14日

アクションラーニングとは?導入効果・メリットや進め方、注意点も解説

現場で起きているリアルな課題に取り組みながら、個人と組織の成長を同時に促す手法として、アクションラーニングが注目されています。しかし、実践するにはアクションラーニングの概要や進め方など、深い理解が不可欠です。

この記事では、アクションラーニングの概要や導入効果、進め方について解説します。実践時の注意点も紹介しているので、実務に活かせる学びを得たい方や、組織開発を加速させたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

アクションラーニングとは?

アクションラーニングとは、実際の課題に取り組みながら学びを深める実践型のチーム学習手法です。「行動(Action)」と「学習(Learning)」を交互に繰り返し、実践的なスキルを身につけられる点が特徴です。

チームで実際の問題に向き合い、対話や質問を通じて解決策を探るため、現場に即した学びが得られます。また、解決策の実行後には振り返り(リフレクション)を行うため、行動の質や思考の変化も把握できるでしょう。

このサイクルを繰り返すことで、個人の思考力や対人スキルだけでなく、組織全体の課題解決力を高められます。近年ではリーダー育成や組織変革、リスキリングの手法としても注目されており、多くの企業で導入が進んでいます。

アクションラーニングとアクティブラーニングとの違い

アクティブラーニングは教育現場で多く用いられ、仮想の課題や教材をベースにディスカッションや発表を行い、学びを深めるという特徴があります。一方、アクションラーニングは実際の業務課題を扱い、解決プロセスを通じて学ぶ実践型の学習法です。

両者は「学びの場」と「課題の種類」に違いがあるため、導入目的に応じた使い分けが求められます。

アクションラーニングが注目されている背景

アクションラーニングは、変化の激しい時代に必要な実践的な学びを得られる点から、注目されています。近年ではDXやAIの進展により、従来のやり方にとらわれない柔軟な思考力や、現場ですぐに活用できるスキルの重要性が増しています。

とくに先行きが不透明なビジネス環境では、正解のない問題にチームで挑む力が組織の競争力に直結する要素です。アクションラーニングで対話と質問を重ねながら仮説検証を行うプロセスを通じて、不確実な状況への対応力を養えます。

また、判断力・対話力・内省力も身につけられるため、管理職育成の手法としても多くの企業で導入が進んでいます。

アクションラーニングの導入効果・メリット

アクションラーニングを導入すると、組織全体の問題解決力の向上やリーダーシップの育成など、組織としての競争力強化に役立ちます。ここでは、導入効果とメリットについて、詳しく解説します。

組織全体の問題解決力が高まる

アクションラーニングは、組織の問題解決力を高める手法として効果的です。実際の業務課題をテーマに設定することで、現場に即した解決力が育まれます。

さまざまな立場のメンバーが対話と質問を重ねることにより、表面的な原因の追究にとどまらず、本質的な問題に気づくきっかけにもなります。さらに、チームで質問と対話を通じて問題を再定義し、納得感のある解決策を導き出すプロセスは、他の業務にも応用可能です。

リーダーシップが育つ

アクションラーニングは、現場で必要とされるリーダーシップを育成する有効な手法です。リーダーは問題解決の中心となり、問いかけや傾聴を通じてメンバーの思考を引き出す役割を担います。

単に指示を出すのではなく、部下に考えさせ、自発的な行動を促す力が重要です。アクションラーニングを通じて実際の問題に向き合う中で、リーダーは自身の価値観だけでは解決できない状況に対して、柔軟な判断力や他者を尊重する力を身につけられます。

アクションラーニングにより、答えを与える存在ではなく、対話を通じてチームを導く存在であることをリーダー自身が体感的に理解できます。

個人の能力開発が促進される

アクションラーニングは、実務に直結するスキルを磨けるため、個人の能力開発に有効です。実際の業務課題を扱うことで、表面的な知識だけでは対応できない状況に直面しても、問題の本質を見抜く思考力が鍛えられます。

また、自問自答や他者からの質問を通じて自身の考えを深堀りする習慣が身につくため、自己理解や問題分析力も向上します。チーム内でのやり取りを通じて、建設的な質問力や傾聴力、共感力といった対人スキルも身につけられるでしょう。

自ら提案したアイデアが実行に移される経験は、達成感と自信を生み、学習意欲の向上にもつながります。

チームビルディングが進む

アクションラーニングは、チームビルディングを促進する際に有効な手法です。異なる部署や職種のメンバーが集まることで、さまざまな視点が交わり、自然とチームの一体感が高まります。

対話や質問を通じて相互理解が深められるため、コミュニケーションの質も向上可能です。さらに、共通の問題解決に取り組む過程で心理的安全性が築かれ、意見を出しやすい風土が形成されます。

アクションラーニングによって培われた信頼関係は、プロジェクト終了後も部門間の連携や業務の進行をスムーズに進める際に役立ちます。アクションラーニングを継続することで、組織全体のチームワークが強化され、パフォーマンスの底上げにもつながるでしょう。

アクションラーニングの構成要素

アクションラーニングは、問題やチーム、質問・リフレクションなど6つの要素から構成されています。アクションラーニングの理解を深めるためにも、それぞれの構成要素について押さえておきましょう。

問題

アクションラーニングでは、実際の業務で直面している緊急性や重要度の高い課題を問題として取り上げます。取り組む問題は実行可能であり、チームで対応できる規模であることが重要です。

また、経営視点を加えた問題を設定することで、参加者の視座が高まり、より戦略的な思考と行動を促進できます。

チーム

アクションラーニングでは、4〜6名程度の少人数のチームが最適です。人数が多すぎると発言機会が偏り、対話の質が低下する恐れがあります。

効果的なチーム編成には多様性が不可欠であり、部署や年次、専門性の異なる人材を組み合わせることで多角的な視点が得られるでしょう。また、問題の背景や現場を理解するメンバーを1人以上含めることで、議論を現実的かつ実行可能な方向に導けます。

異なる立場からの意見交換が、創造的な解決策と深い学びを生み出します。

質問とリフレクション

アクションラーニングでは、議論の中心に質問を置くことで、メンバーの内省と気づきを促します。意見は質問への回答として述べる形式を取るため、一方的な主張ではなく、対話を通じて相手の思考を深掘りするコミュニケーションが生まれます。

質問によって自身の考えを言語化できるため、複雑な構造の問題を整理する力を養えるでしょう。また、セッションの終盤にリフレクションの時間を設けることで、進行状況やチーム内の雰囲気を客観的に見直せます。

もし認識のズレや新たな問題が浮かび上がった場合でも、リフレクションを通じて柔軟に方向性を修正できる点に、強みがあります。

問題解決への行動

議論だけで終わらず、問題解決に向けて具体的な行動につなげることが、アクションラーニングの本質です。メンバーに裁量や実行できる環境を与えることで、主体的な取り組みが促進され、問題に対する責任感も高まります。

たとえ行動が想定通りに進まなくても、経験を次のステップにつなげること自体に価値があります。また、計画・実行・振り返りのサイクルを繰り返すことにより、継続的な改善と学びを得られるでしょう。

実践的プロセスによって、理論だけでは身につかない柔軟な対応力や判断力が育まれ、実効性の高いスキルを養えます。

学習へのコミットメント

アクションラーニングでは、問題解決の過程で得られる学びへの積極的な姿勢が必要です。参加メンバーは問題解決だけでなく、自身の成長やチーム全体の学習促進にも責任を持って取り組む必要があります。

学習へのコミットメントとは、知識を得るだけでなく、行動と振り返りを通じて成長し続ける姿勢を指します。人材育成や組織開発を目的とする以上、単なる参加ではなく、学ぶ意志を持った主体的な姿勢が不可欠です。学習姿勢がチームの文化として根付くことで、継続的なイノベーションと問題解決力の強化につながります。

アクションラーニングコーチ

アクションラーニングコーチは、セッションを円滑に進行させるうえで欠かせない存在です。コーチは議論に直接参加せず、中立的な立場から時間管理や学習を促す質問を投げかけます。

目的は問題の解決ではなく、参加者の気づきや内省を引き出すことにあります。コーチは外部専門家が担うこともあれば、チーム内で交代制として運用することも可能です。優れたコーチの存在によって対話の質が高まり、メンバーの学習効果も大きく向上します。

アクションラーニングの基本的なルール

アクションラーニングには、「質問中心で進める」「コーチがいつでも介入できる」という2つの基本ルールがあります。セッション中は意見ではなく質問を軸に対話を行い、発言は回答時のみに限定することで、特定のメンバーだけが発言を独占するのを防げます。

その結果、全員が平等に参加しやすくなり、幅広い視点を引き出すことが可能です。また、アクションラーニングコーチが議論の進行状況に応じて適切なタイミングで介入することで、対話と学習の質を高められます。

基本的なルールを遵守することで、チーム全体の振り返りと問題解決をより効果的に進められます。

アクションラーニングの進め方

アクションラーニングは、問題を明確にしてチーム編成をし、質問・傾聴で深堀りすることが重要です。ここでは、効率的な進め方について解説します。

課題を明確にしてチームを編成する

アクションラーニングは、現実的な課題設定と適切なチーム編成から始まります。課題は個人の悩みにとどまらず、組織や部門で共有できるテーマを選ぶことで、学びと成果を両立できます。

課題の背景や守秘義務、責任範囲を事前に共有し、共通認識を持つことが重要です。チームは4〜6名程度の少人数で構成し、職種や立場の異なるメンバーをバランスよく編成することで、多様な視点が得られます。

セッションの質を高めるためには、アクションラーニングコーチを事前に任命しておくと効果的です。

質問・傾聴で問題を深堀りする

チーム編成後、質問と傾聴を通じて問題の本質に迫ることが重要です。アクションラーニングは意見を一方的に述べるのではなく、質問を中心として対話を進めることで、参加者の思考が深まり、本質的な気づきを得やすくなります。

質問は自由回答型や原因追究型、背景説明型などを使い分けることで、新たな視点や情報を引き出せます。また、傾聴によって相手の意図を正確に受け止めると、表面的な理解を超えた深い対話が実現可能です。

課題を再定義して行動計画を立てる

アクションラーニングでは、セッション中の対話を通じて課題の本質に気づき、必要に応じて再定義を行います。初期に提示された課題が本質でないと判断された場合は、チーム全体で合意を取り、新たな課題を明文化することが重要です。

課題提示者は具体的な行動計画を立て、どのようなアクションを起こすかを明確にします。行動計画にはチームメンバーが支援できる内容も盛り込み、チーム全員が当事者意識を持って取り組むことが求められます。

リフレクションを行う

リフレクションは、セッション全体の学びや気づきを言語化し、自身の成長を実感するための重要なプロセスです。セッション終了時に、自分や他者の行動・思考の変化を振り返ることができるため、成果を実感しやすくなります。

参加者全員が問いかけの内容や議論の流れを見直すことで、より精度の高い対話が期待できます。

また、コーチの問いかけを交えながら学びを整理し、実務への応用方法を明確にすると効果的です。最後に行動計画を再確認し、次回までに実践する内容を共有することで、学習効果を高められます。

アクションラーニングの注意点

アクションラーニングを実施する際には、責任追及を重視しないことと、適切なコーチを選任することが重要です。注意点を押さえておくことで、アクションラーニングの効果を高められます。

責任追及を重視しない

アクションラーニングでは、責任の追及ではなく、課題解決に向けた前向きな対話が重視されます。特定の個人や部署を責める議論は、建設的な意見交換を妨げる原因となります。

失敗や問題から得られる学びや気づきを共有し、次に活かす姿勢が重要です。責任追及の雰囲気が強まると、参加者はリスクを避けて挑戦を控える傾向が強まります。一方で心理的安全性が確保されていれば、自由な発言が活性化し、創造的なアプローチが生まれやすくなります。

適切なコーチを選任する

アクションラーニングを効果的に進めるには、適切なコーチの選任が欠かせません。コーチは議論の進行役として、質問やリフレクションを通じて学びを深める支援を行います。

コーチの選任の際は、傾聴力とファシリテーション力に優れた人物を選ぶことが重要です。社内から選出する場合は、課題に直接関与しない第三者的立場の人材が理想的です。また、外部の専門コーチを導入することで、より中立的かつ高度な学習効果を引き出せます。


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