- 更新日 : 2026年1月14日
安全衛生管理とは?具体的な進め方や仕事内容、2026年の最新動向まで簡単に解説
職場で働くすべての人の安全と健康を守ることは、企業の重要な責任です。その中心的な役割を担うのが安全衛生管理です。
この記事では、安全衛生管理の基本から、具体的な仕事内容、さらには法改正に伴う最新動向まで、わかりやすく解説します。安全で快適な職場環境を整え、企業の持続的な成長を実現するための第一歩として、ぜひご活用ください。
目次
安全衛生管理とは
安全衛生管理とは、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境をつくるための組織的な活動全般を指します。これは労働安全衛生法で企業に求められていますが、快適な職場環境の整備は同法第71条の2で努力義務とされています。
安全衛生管理は、大きく分けて以下の2つの活動から成り立っています。
- 安全管理
労働災害(仕事中のケガ)を防ぐ活動 - 労働衛生管理
仕事が原因で病気になることを防ぎ、心身の健康を維持・増進する活動
安全管理とは、簡単に言うと、職場の危険を見つけ出し、事故やケガを防ぐための活動です。機械の安全装置が正しく作動するか点検したり、危険な場所には立ち入り禁止の表示をしたり、安全な作業手順を定めたりすることが含まれます。物理的な危険から従業員の身体を守るための対策です。
一方、労働衛生管理とは、仕事の環境や作業方法が原因で起こる健康の問題を防ぐ活動を指します。具体的には、有毒な化学物質の管理、大きな音が出る場所での騒音対策、長すぎる労働時間の抑制、そして心の健康を守るメンタルヘルスケアなどが挙げられます。従業員の心と体の健康を、病気という側面から守るための対策です。
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安全衛生管理が企業に必要な理由
企業が安全衛生管理に取り組む最大の理由は、従業員の命と健康を守るという企業の社会的な責任を果たすためです。これは法律で定められた義務であると同時に、企業経営にとっても重要な意味を持ちます。
適切な管理を怠れば、重大な労働災害につながり、従業員が働けなくなるだけでなく、企業の評判が落ちたり、多額の損害賠償を請求されたりする可能性があります。
逆に、安全で健康的な職場は、従業員の仕事への満足度や生産性を高めます。安心して働ける環境があることで、従業員は能力を最大限に発揮できるようになり、それが会社の成長につながるのです。
安全衛生管理の具体的な進め方と仕事内容
安全衛生管理を効果的に進めるには、体制を整え、具体的な活動を継続していく必要があります。
安全衛生管理の体制づくり
事業場の規模に応じて、法律で定められた管理者を選任し、組織的な管理体制を整える必要があります。
常時50名以上の労働者を雇用している事業場では、衛生管理者および産業医を選任することが義務となっています。安全管理者の選任義務は建設業、製造業など法で定められた特定業種に限られます。さらに、安全衛生委員会(合同委員会)は安全委員会と衛生委員会の設置義務がともに発生する場合に代替的に設置できます。
| 役職 | 主な役割 |
|---|---|
| 安全管理者 | 事業場の安全に関する技術的な事項を管理する。 |
| 衛生管理者 | 事業場の衛生(健康障害の防止、労働環境の整備など)に関する技術的な事項を管理する。 |
| 産業医 | 専門的な立場から労働者の健康管理などについて指導・助言を行う医師。 |
安全衛生委員会は、これらの専門家と会社の代表、従業員の代表で構成され、職場の安全衛生に関する重要事項について話し合い、具体的な対策を決めていきます。
安全衛生管理の主な仕事内容
安全衛生管理の仕事は多岐にわたります。主な内容は以下の通りです。
- 安全衛生委員会の運営
定期的に委員会を開催し、職場の課題について話し合う。 - 職場巡視
定期的に職場を見て回り、危険な箇所や不衛生な場所がないか点検し、改善する。 - ヒヤリハット活動
「ヒヤリとした」「ハッとした」と感じた事例を収集し、職場の危険を可視化する。 - 安全衛生教育
従業員に対し、安全な作業方法や健康に関する教育を計画し、実施する。 - 健康診断・ストレスチェックの実施
従業員の健康状態を把握し、問題があれば産業医などと連携して対応する。 - 労働災害の調査
万が一労働災害が発生した場合、原因を徹底的に調査し、二度と起こらないための対策を立てる。
安全衛生管理マニュアルの作成
安全衛生管理マニュアルは、安全衛生に関する社内のルールや手順を文書化したものです。誰が、いつ、何をすべきかを明確にすることで、担当者が変わっても一貫した管理を続けられます。
作成する際は、法律で定められた項目だけでなく、自社の作業内容や潜むリスクを洗い出し、図や写真なども活用しながら、誰にでも分かりやすい具体的な手順を記載することが大切です。また、一度作ったら終わりではなく、法改正や職場の変化に合わせて定期的に見直しましょう。
安全衛生管理の最新動向
社会の変化とともに、安全衛生管理で重視されるテーマも変化しています。2025年以降、特に重要となる3つの動向を解説します。
1. メンタルヘルス対策の強化
現代の職場では、身体の健康だけでなく心の健康(メンタルヘルス)対策がますます重要になっています。ストレスチェック制度の適切な運用はもちろん、従業員が気軽に相談できる窓口の設置や、管理職が部下の心の不調に気づき対応するためのラインケア研修など、不調を未然に防ぎ、早期発見につなげる積極的な取り組みが不可欠です。
2. 化学物質の自律的な管理
国が定めた基準を守るだけでなく、企業自らが化学物質のリスクを評価し、その結果にもとづいて対策を講じる自律的な管理が原則となりました。企業は、使用する化学物質の危険性・有害性を把握し、ラベル表示やSDS(安全データシート)による情報伝達を徹底するとともに、労働者が化学物質にさらされる濃度をできるだけ低く抑える措置を講じる必要があります。
3. 多様化する働き方と新たなリスクへの対応
高齢者雇用の増加や、外国人労働者の受け入れ拡大、ギグワークといった新しい働き方の広がりなど、労働者の多様化が進んでいます。これに伴い、転倒や腰痛といった高齢労働者に多い労働災害への対策や、言語・文化の壁を越えた安全教育の実施など、これまでとは異なる視点でのリスク管理が求められます。
安全衛生管理の基本を理解しましょう
安全衛生管理は、法律で定められた義務であると同時に、従業員が安心してその能力を発揮し、企業が持続的に成長していくための土台です。
それは、機械の点検といった基本的な安全管理から、心の健康を守るメンタルヘルス対策まで、非常に幅広い活動を含みます。
この記事で解説した安全衛生の基本を理解し、自社の状況に合わせた管理体制をつくり、運用していくことが重要です。時代の変化に対応しながら、常に従業員の安全と健康を第一に考える姿勢が、これからの企業には不可欠です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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