- 更新日 : 2025年11月19日
雇用期間満了通知書とは?目的や書き方を解説!無料テンプレートつき
- 有期労働契約の締結時や満了時に生じやすいトラブルを未然に防止するため、厚生労働大臣は、労働基準法第14条第2項の規定に基づき「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」を定めています。
- 雇用期間満了通知書は、この『有期労働契約基準』第2条を踏まえて行うもので、雇止めの予告といわれます。
目次
雇用期間満了通知書とは?
雇用期間満了通知書とは、期間の定めのある労働契約について、その契約期間が満了になった時点で雇用を終了し契約を更新しないこと、そしてその理由を通知する文書です。雇止めの予告は、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までにしなければならないとされています。
予告が必要な契約は次の3つの場合のいずれかです。ただし、契約を更新しないことが明示されている契約は除かれます。
- 3回以上更新されている場合
- 1年以下の契約期間の有期労働契約が更新または反復更新され、最初に有期労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
- 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
引用:厚生労働省|有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
有期労働契約基準の対象となるのは上記の3つですが、これ以外の場合でも事前に労働者に通知をし、無用なトラブルを予防することが望ましいでしょう。
雇用期間満了通知書の書き方は?
雇用期間満了通知書は、労働者と使用者が確認する必要があるので、契約期間の満了日を明確に記載しましょう。
また、雇用期間満了通知書には、契約を更新しない理由も記載しておく方がよいでしょう。有期労働契約基準では、雇止めの予告を行ったときに、または雇止めの後に、労働者が雇止めの理由に関する証明書を請求した場合には遅らせることなく交付しなければならないと定めています。なお、更新しない理由は「契約期間の満了」とは別の理由にしなければなりません。
更新しない理由
契約を更新しない理由については、厚生労働省が発行している「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について」によると、以下の通り記載されています。
- 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
- 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に係るものであるため
- 担当していた業務が終了・中止したため
- 事業縮小のため
- 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
- 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたことなど勤務不良のため
引用:厚生労働省|有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について
雇用期間満了通知書の無料テンプレート
雇用期間満了通知書は、期間満了によって労働契約が終了し、更新しないことをあらかじめ伝えることで、労働者が契約終了後の準備に取りかかる契機ともなるものです。
内容に曖昧さや行き違いがない通知書を作成するために、下記のURLからテンプレートをダウンロード、ご活用してください。
エクセル:https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/4197/
ワード:https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/4203/
雇用期間を更新せず、雇止めするときの注意点は?
雇止め法理は、労働契約における労働者の法的地位の安定を図るためのものとして、判例の積み重ねによって構築されてきたものです。
雇止め法理には、契約が反復されたことで実質的に無期契約と認められるタイプと、契約の更新を期待することが合理的と認められるタイプの2つあります。なお、この法理を定めたのが労働契約法第19条です。
過去に反復更新された有期雇用契約
有期労働契約であっても、長期間にわたって更新が続き、他の同様な契約の労働者が更新拒否されたことがなく、さらに業務内容が一時的・季節的でなく継続的である場合、事実上、無期労働契約が結ばれているとみなされます。
そのような状況下では、雇止めは解雇と同じ扱いになるのです。したがって、労働者を解雇する正当な理由がない場合、使用者は労働者の契約更新を認める義務があると判断されます。
更新が期待される有期雇用契約
長期にわたる契約更新がなかったり、更新手続きが曖昧だったりした場合、仕事の内容に継続性があれば、労働者が契約の更新を期待するのは当然という場合もありえるでしょう。
例えば、最初の労働契約書に更新の限度が記載されていたものの、会社の幹部が雇用の継続を期待させるような発言をしていた場合などがこれに相当します。このような場合にも雇止め法理が類推適用されることになり、使用者は労働者の契約更新の申込みを承諾したものとみなされます。
有期雇用労働契約の運用は慎重に
有期労働契約の更新を期待することに合理性があるか否かを決定するのは、契約終了の合意の有無だけではなく、労働契約関係における信義・誠実の原則に照らして労働者の信頼を保護すべきかどうかという判断の問題であるとされています。
つまり、契約書に「有期」と書いてあるからと言って、更新する必要がないとは限らないということです。
雇用の当初に契約継続を口にしながら、途中から更新限度を導入し労働者がそれを理解している場合でも更新の期待が認められる場合があります。
日頃から雇止め法理についての理解を深めたうえで、労働者に無用な負担を強いることのないよう雇用期間満了通知書の適切な交付を心がけてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
退職後に必要な手続きの順番は?期限や準備物とあわせて流れを解説
退職後の手続きは、健康保険や年金、失業保険などの期限があるため、早めの対応が必要です。期限を過ぎたり、準備すべき書類などに不備があったりすると、トラブルにつながる可能性が高まります。 本記事では、手続きの順番や期限、必要な準備物について具体…
詳しくみる定年後の再雇用は嘱託が多い?メリット・デメリット、給与や契約の決め方を解説
定年後の再雇用では、嘱託契約を採用する企業が多く見られます。少子高齢化が進む中、経験豊富な人材を活かす手段として注目されています。この記事では、嘱託という働き方の特徴、メリット・デメリット、給与や契約内容の決め方、企業が留意すべき点をわかり…
詳しくみるパワハラ加害者のよくある言い訳は?パワハラの判断基準や対応方法を解説
パワハラの加害者は、自分の行為が全て正しいと思っている傾向があり、その意思表示と強気な態度がパワハラ行為の言い訳につながる可能性があるでしょう。 本記事では、パワハラ加害者のよくある言い訳について解説します。パワハラの判断基準や対応方法も紹…
詳しくみる定年後再雇用されない人とは?特徴や通知方法、リストラとの違いを解説
定年後、再雇用を希望しても、会社の判断で見送られることがあります。再雇用されない理由やその通知方法、リストラとの違いを理解することで、今後の対応策を見つけることができます。 この記事では、再雇用されない人の特徴や企業の対応、再雇用拒否に直面…
詳しくみる【テンプレート付き】再雇用契約書とは?作り方や手続きの業務を解説!
日本では少子高齢化が急速に進展し、人口が減少しています。その中で政府は経済・社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を発揮できるように、就業機会の確保を進めてきました。定年後の再雇用制度もその1つです。 この記事では、再雇…
詳しくみる同一労働同一賃金で各種手当はどうすべき?対応方法を解説
正社員と同じ仕事をしているパートやアルバイトに手当を支給しないのは問題ないのでしょうか。通勤手当や住宅手当などの法定外手当は、同一労働同一賃金の観点から不合理な待遇差があると是正が求められます。本記事では、手当の種類別に対応方法を整理し、制…
詳しくみる