- 更新日 : 2026年1月8日
【チェックシート付】モラルハラスメントとは?無自覚なモラハラを防ぐ方法や企業の対応を徹底解説
モラルハラスメント(モラハラ)は、言葉や態度により、相手を精神的に苦しめることを指します。侮辱する発言をしたり執拗に叱責を繰り返したり、プライベートに立ち入ったりすることが挙げられます。
身体的な暴力とは異なり、その被害が目に見えにくいため、周囲が気づきにくいばかりか、被害者自身も「自分が悪いのかもしれない」と思い込んでしまうケースが少なくありません。
しかし、モラハラを放置すると、被害者の心身の不調や休職・離職につながるだけでなく、職場全体の生産性低下、企業イメージの悪化につながります。
また、企業に法的責任が問われるリスクもあり、職場での防止や被害対応のための取り組みが求められます。被害があった場合の対応フローを準備することも大切です。
目次
モラルハラスメント(モラハラ)とは?
モラハラとは「モラルハラスメント」を略した言葉です。モラルは倫理、ハラスメントは嫌がらせを意味し、モラハラは「倫理に反する言動で相手を不快にすること」を指します。相手を侮辱したり嫌がらせしたりすることがモラハラに該当し、例としては以下の行為がモラハラに該当します。
- 能力や容姿をバカにした言葉を口にする
- 存在を無視する
- 叱責を繰り返す
- 大声や乱暴な行動で萎縮させる
厚生労働省による定義は?
厚生労働省は、職場の「パワーハラスメント(パワハラ)」については企業に対策を義務付けていますが、「モラルハラスメント」における明確な法的定義は現状ありません。
ただし、一般的にモラハラはパワハラと重なる部分も多く、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の枠組みの中で対策が講じられるべきものとされています。職場のいじめ・嫌がらせ対策は、企業の安全配慮義務の観点からも不可欠です。
モラルハラスメント(モラハラ)の主な特徴
- 精神的な攻撃が中心
モラハラは、殴る蹴るといった暴力ではなく、言葉や態度、文書などを用いて、相手の人格や尊厳を執拗に傷つけるのが攻撃の手段です。侮辱的な発言、暴言、人格否定などが含まれます。 - 継続的・執拗(しつよう)に行われる
一度きりの偶発的な言動ではなく、繰り返し、継続的に行われることで被害者の精神的ダメージが蓄積していきます。 - 目に見えにくく、加害者の自覚がないケースもある
陰湿かつ巧妙に行われる場合もあり、証拠が残りにくいため、被害が表面化しにくい傾向があります。「指導」や「冗談」を装うため周囲が気づきにくいのも特徴です。 また、加害者自身が「指導」の一環と思い込み、ハラスメントを行っている自覚がないケースも少なくありません。
家庭内と企業におけるモラハラの違い
モラハラは企業(職場)だけでなく、家庭内で生じる場合もあります。夫婦間などで相手に対して乱暴したり屈辱に感じさせるような言動をしたり、強制的に家事をさせたり、萎縮させたりすることが、家庭内でのモラハラに該当します。
起こる場所の違いが家庭内であるか企業であるかの差ですが、家庭内でのモラハラも人に気づかれにくく、問題がなかなか表面化しない点に気をつける必要があります。
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モラハラと他のハラスメントとの違い
モラハラは、パワハラやセクハラと似ていますが、嫌がらせの手段や背景に違いがあります。
パワーハラスメント(パワハラ)との違い
パワハラは「パワーハラスメント」の略で、権力を利用して相手に不利益を被らせる行為を指します。
厚生労働省によると、パワハラは以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの(身体的もしくは精神的な苦痛を与える)
モラハラとの違いは「優越的な関係」の有無です。パワハラは上司から部下への言動が典型的ですが、モラハラは職務上の力関係に関わらず、同僚間、部下から上司、あるいは家庭内の夫婦間(モラハラ夫、モラハラ妻)など、対等または逆の力関係でも起こり得ます。
さらにモラハラとパワハラは暴力が含まれるか否か、気づかれやすいかどうかという点でも異なっています。パワハラには殴る・蹴るという身体的に危害を与える行為も含まれますが、モラハラには暴力行為は含まれません。またパワハラは公然と行われる場合も多く比較的に露呈しやすいのに対し、モラハラは陰で目立たないように行われることがほとんどで第三者に気づかれにくいという特徴があります。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)との違い
セクハラは「セクシャルハラスメント」の略で、性的な言動により相手に不快感を与えることを指します。不適切な言葉遣いやジェスチャーをしたり体を触ったり、相手が拒否しているにも関わらずに性的な対象とすることなどがセクハラに該当します。
モラハラとセクハラはどちらも相手を不快にさせる行為を指しますが、倫理に反する言動で相手を侮辱する行動がモラハラであるのに対し、セクハラは性的な要素を含む言動である点が異なります。
職場で起こるモラルハラスメント(モラハラ)の具体例
職場におけるモラハラは、人格否定や侮辱といった精神的攻撃、意図的な無視や仲間外し、業務上の嫌がらせやプライバシー侵害など、多岐にわたります。多く発生するものや代表的なものを具体例として紹介します。
精神的な攻撃(人格否定・侮辱)
相手の能力や容姿、人格を否定し、自尊心を傷つける言動はモラハラにあたります。
- 「本当に仕事ができないな」「役立たず」「給料泥棒」
- 「誰のおかげで仕事ができていると思っているんだ」
- 人前で大声を出したり、机を強く叩いたりして威圧する
- 些細(ささい)なミスを、必要以上に執拗に、大勢の前で叱責し続ける
無視・仲間外し(人間関係からの切り離し)
特定の個人を意図的に集団から疎外し、孤立させる行為はモラハラにあたります。
- 挨拶や会話を意図的に無視する、返事をしない
- 業務上必要な連絡や情報を故意に伝えない
- 会議や打ち合わせに意図的に参加させない、発言の機会を与えない
- 社内のイベントや飲み会にその人だけ誘わない
業務上の嫌がらせ(過大・過小な要求)
業務に関連づけて、不当な扱いを行う行為はモラハラにあたります。
- 到底処理できないような、達成不可能な量の仕事を押し付ける
- 逆に、本人の能力や経験とかけ離れた、誰でもできるような単純作業ばかりさせる
- 全く仕事を与えず、職場で放置する
- わざと間違った情報を教えたり、業務の妨害をしたりする
プライバシーの侵害(個の侵害)
業務とは無関係な私的な事柄に、過度に介入したり暴露したりする行為はモラハラにあたります。
- 休日の過ごし方、交友関係、恋愛や結婚、家族構成などをしつこく詮索する
- 本人の同意なく、病歴や家庭事情といったプライベートな情報を他の同僚に言いふらす
- SNSを監視し、その内容について職場で言及する
モラルハラスメント(モラハラ)をしてしまう人の特徴は?
モラハラの加害者は自己愛が人一倍強く、他人を自分の思いどおりに支配したいという欲求を持つ人や、内面に強いコンプレックスや劣等感を抱えている人が加害者になりやすい傾向があります。
自尊心が低い
モラハラをしてしまう人の特徴には、まず自尊心が低い点が挙げられます。自尊心が低い人は自分自身に自信がないため、他者を攻撃したり貶めたりすることで自分を守ろうとするからです。他人と思うようなコミュニケーションがとれない点やストレスを抱えやすい点も、モラハラをしてしまう原因になると考えられます。
他人を支配したいという欲望がある
他人を支配したいという欲望も、モラハラをしてしまう原因になります。支配欲が強い人は自己中心的で他者の意見や感情を無視し、自分の意見や欲求を押しつける傾向にあるためです。他人を尊重できず、仲間と協力し合えないという特徴を持つ人が、モラハラをしてしまう恐れがあります。
かつてモラハラを受けた経験がある
かつてモラハラを受けたことがあるという経験が、自分自身がモラハラを行う原因となることもあります。被害者が自分と同じような行動を取ることで、自分を守ろうとするからです。こうしたモラハラの予防には、被害者へのサポートや心理的なケアが重要です。また組織内での教育や意識向上活動も行うことで、モラハラの連鎖を断ち切れます。
モラルハラスメント(モラハラ)を受けやすい人の特徴は?
モラハラを受けやすい人の特徴は、真面目で責任感が強く、物事を「自分が我慢すれば丸く収まる」と考えがちな人や、自己主張が苦手な人が被害に遭いやすい傾向があります。
真面目・謙虚・自己主張が少ない
モラハラを受けてしまう人には、真面目である・謙虚である・自己主張が少ないことが挙げられます。真面目な性格の人は、他者からの攻撃を受けても自分を守れず、被害を受ける傾向があります。また、謙虚な人は自己主張が少なく、他者の意見に従いがちなため、モラハラを受けやすいと言えます。
周りにあわせてしまう
周りにあわせてしまう人もモラハラを受けてしまう傾向にあります。周りにあわせてしまう人は、自己主張が苦手で他者の意見や要求に柔軟に応じる傾向があるためです。相手の攻撃的な態度や嫌がらせに対しても抵抗できず、モラハラを受けてしまう可能性が高くなります。
無自覚なモラルハラスメント(モラハラ)を防ぐには?
意図せずモラハラの加害者にならないためには、業務上の「指導」と「人格否定(叱責)」の境界線を明確に意識すること、そして個人の感覚に頼らない「仕組み」を導入しましょう。多忙な職場では、本人に悪意がなくても指導のつもりがエスカレートしたり、業務の偏りが「過大な要求」になったりしがちです。こうした無自覚なモラハラを防ぐには、具体的な対策が求められます。
業務量の可視化で「過大な要求」を防ぐ
多忙な職場では、つい「できる人」や「断らない人」に業務が集中しがちです。これが意図せず特定の人を追い詰める「過大な要求」というモラハラにつながりかねません。
これを防ぐには、チーム全体のタスク管理を可視化しましょう。管理職は、プロジェクト管理ツールや共有スプレッドシートなどを活用し、「誰が」「何を」「どれだけ」抱えているかを客観的に把握するようにします。
負荷が特定の人に偏っていることを発見したら、すぐに業務を再配分し「平準化」を図る必要があります。個人の感覚や「頑張り」に頼るのではなく、データに基づいたマネジメントが、無自覚な過重労働を防ぎます。
指示だけでなく相談で一方的な押し付けを避ける
時間的な余裕がないと、コミュニケーションは「これをやっておいて」という一方的な指示になりがちです。しかし、この一方通行が続くと、相手は「自分の状況を無視されている」「ただの駒として扱われている」と感じ、精神的に追い詰められます。
忙しい時こそ、一呼吸おいて相談の形をとることが重要です。「今、この業務をお願いしたいのだけど、状況的に可能だろうか?」と尋ねるだけで、相手は尊重されていると感じます。
もし相手が難色を示せば、それは業務が偏っているサインです。相手の意見や状況を聞き出し、質の高いコミュニケーションをとりましょう。
人格否定(叱責)と行動改善(指導)を明確に分ける
無自覚なモラハラで最も多いのが、この「叱責」と「指導」の混同です。特にストレスがかかると、感情的に相手の人格や能力そのものを否定する言葉(=叱責)が出やすくなります。
- 叱責(モラハラ):「なぜいつも同じミスをするんだ」「本当にセンスがない」「だから君はダメなんだ」
- 指導(業務改善):「このミスが起きると〇〇という影響が出る。次回からこの手順を確認しよう」
「指導」の目的は、あくまでも問題のある「行動」を改善し、再発を防ぐことです。決して相手の「人格」を攻撃することではありません。
無自覚な加害者にならないためには、自分が感情的になっていないか常に自問し、人前ではなく個別に、客観的な事実と具体的な改善策だけを伝える「指導」に徹する意識が求められます。
モラハラが職場(企業)に与える深刻な影響は?
モラハラは、被害者個人の問題にとどまらず、生産性が低下し、離職が増え、企業経営そのものに深刻な悪影響を及ぼします。
離職が増える
モラハラがもたらす悪い影響には、まず離職が増える点が挙げられます。被害者はモラハラによって職場の環境や人間関係に対して不安やストレスを感じるため、退職を選ぶことがあります。また生産性の低下や労働意欲の低下もモラハラの影響で起こり得る問題です。
職場の空気が悪くなる・生産性の低下
職場の空気が悪くなったり生産性の低下が起こったりする点も、モラハラによってもたらされる好ましくない影響です。モラハラがある職場内の雰囲気は悪くなり、コミュニケーション不足や働きやすさの欠如が生じます。従業員のモチベーション低下やミスが引き起こされ、生産性の低下につながります。
従業員の精神状況・体調の悪化
従業員の精神状態に異常をきたしたり、体調の悪化を招いたりする点も、モラハラによって引き起こされる可能性のある悪影響です。
モラハラによって従業員の精神状態が悪化し、うつ病や不眠症などの心身の健康問題が発生することがあります。さらにモラハラが継続すると、従業員の自尊心や自信が低下し、仕事へのモチベーションやパフォーマンスにも影響を与える可能性があります。
企業イメージが悪くなる
モラハラによって起こる可能性がある悪影響には、企業イメージの悪化も考えられます。モラハラによって従業員に不満が生じて離職率が上昇すると、企業の評判やイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。顧客やパートナー企業からの信頼を失うことで、企業の成長や競争力にも影響を与えることが考えられます。
企業に法的責任が生じるケースも
モラハラによっては企業に法的責任が生じる可能性もあります。企業には従業員が安全に労働できるように安全配慮義務があります(労働契約法5条)。モラハラ被害にあった労働者が精神的苦痛により健康を損ねたり自殺に追い込まれたりした場合、従業員がモラハラにより同僚にうつ病などの精神障害を発症させた場合には、使用者は被害者である労働者に対し、民法上の不法行為の損害賠償責任(使用者責任)を負うことになります(民法715条)。
このような法的責任を負わなければいけないケースもあるため、モラハラ発生を確認した場合は企業としての対応が求められます。
企業が取り組むべきモラルハラスメント(モラハラ)予防策
被害者を苦しめ、企業にさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあるモラハラは、防止する必要があります。そのために、企業には以下の対策が求められます。
ハラスメント研修を行う
モラハラ防止のために企業がすべきことの1つ目に、ハラスメント研修の実施が挙げられます。ハラスメント研修でモラハラの概念や行為の具体例を教育することで、従業員は必要な知識を身につけることができます。被害に対するサポート体制も説明すると、当事者になった場合の安心につながります。
社内報・社内ポータルサイト等での周知徹底
研修と同じように知識を身につけさせる効果が期待できるのが、社内報・社内ポータルサイト等での周知徹底です。研修とは違って社内報・社内ポータルサイトの利用は、場所や講師を準備しなくても実施でき、費用もかかりません。すぐに取り組め、また繰り返して行える点で効果的です。
就業規則など社内規程の整備と罰則の設置
就業規則に、モラハラを含むハラスメントに関する規定を明記します。
どのような行為がモラハラに該当し、禁止されるのかを具体的に定義し、違反した場合にどのような懲戒処分(厳正な対処)を受けるのかを具体的に定めます。
また、モラハラに対して罰則の設置も効果的です。モラハラを行った従業員には厳正な処分を行うことで「モラハラを許さない」という企業姿勢が伝わり、従業員に対する警戒感を高めることができます。罰則が軽微であると効果が不十分であるばかりかマイナスになることに注意が必要です。
相談窓口を設ける
相談窓口の設置も企業がモラハラ対策として行う重要な対策です。被害者が相談できる窓口を設けておくことは従業員に安心感を与えます。また積極的に取り組む姿勢を示すことは抑止の効果も期待できるでしょう。匿名での相談はもちろん、外部に委託するなどして秘密保持できるようにすることが大切です。また相談によって解雇や降格のような不利益な取り扱いを受けることのないように体制をきちんと整備したり、十分なフォローが行われたりすることも重要です。
【無料】モラルハラスメント チェックシートのテンプレート・ひな形
モラルハラスメント(モラハラ)チェックシートとは、家庭や職場などでモラハラが発生しているかどうかを判断するためのヒアリングシートです。
チェックシートには、モラハラの可能性がある行動や態度についての項目が含まれています。
以下より、モラルハラスメント(モラハラ)チェックシートのテンプレート(エクセル・ワード)を無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
職場でモラハラが起きた場合の対処法は?
予防策を講じていても、モラハラが起こる可能性をなくすことはできません。モラハラ対策としては、万が一起きてしまったときの対応フローを準備しておくことも必要です。
STEP1:相談受付と迅速な事実確認
相談を受けたら、まずは相談者のプライバシー保護を最優先し、安心して話せる環境を整えます。そのうえで、中立的な立場で迅速に事実関係の確認に着手します。
- 被害者(相談者)からのヒアリング:
いつ、どこで、誰に、何を言われた(された)のか、具体的な状況、頻度、現在の心身の状態などを詳細に聴取します。 - 加害者とされる人物へのヒアリング:
相談者の許可を得たうえで、加害者とされる人物からも事情を聴きます。この際、決めつけず公平な態度で臨みます。 - 第三者からのヒアリング:
必要に応じて、周囲の同僚など第三者からも情報を収集し、客観的な事実を把握します。
STEP2:加害者・被害者への適切な措置
モラハラの事実が客観的に確認された場合、速やかに必要な措置を講じます。
- 加害者への措置:
就業規則に基づき、行為の悪質性や被害の程度に応じて、厳正な処分(口頭注意、指導、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇など)を行います。 - 被害者へのケアと配慮:
被害者のメンタルヘルスケア(産業医やカウンセラーによる面談の手配など)を最優先に行います。また、被害者の意向を最大限尊重したうえで、加害者との物理的・精神的な距離を置くための配置転換(加害者または被害者の異動)などを検討・実施します。
STEP3:再発防止策の実施
個別の事案に対応するだけでなく、組織全体としての再発防止策を講じることが大切です。
- 改めて全社的にモラハラ防止の方針を周知徹底します。
- 発生した事例を(個人が特定されない形で)教訓として、ハラスメント研修の内容に反映させます。
- 管理職に対し、職場のコミュニケーション状況や従業員の様子に常に注意を払うよう指導します。 職場の風通しを良くし、ハラスメントが起こりにくい環境を継続的に整備していく姿勢が求められます。
もし自分がモラハラの被害に遭ったら?
この記事を読んでいるあなたが、もし今モラハラの被害に遭っている、あるいは「これってモラハラかも?」と感じているなら、決して一人で抱え込まないでください。自分自身を守るために、以下の行動を検討しましょう。
証拠を記録する
いつ、どこで、誰に、何を言われたか(されたか)を、できるだけ詳細に記録(日記、メモ)に残しましょう。精神的に追い詰められている状況では難しいかもしれませんが、客観的な証拠は、後に社内窓口や外部機関に相談する際、また法的な対応を検討する際に必要となります。
- 日時、場所、加害者の言動、その時の状況、目撃者の有無
- 侮辱的な内容のメールやチャットの保存
- (可能であれば)会話の録音
信頼できる人に相談する
一人で抱え込むと、「自分が悪いのではないか」という思考に陥りがちです。まずは家族や友人、信頼できる同僚など、あなたの味方になってくれる人に話を聞いてもらいましょう。状況を客観的に見てもらうことで、精神的な負担が軽減されたり、次の行動へのヒントが得られたりすることがあります。
専門機関へ相談する
社内の相談窓口に相談しづらい場合は、社外の専門機関を利用するのも一つの方法です。
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省):
各都道府県の労働局や労働基準監督署内にあり、職場のトラブルについて無料で相談できます。 - 弁護士:
法的な対応(慰謝料請求、損害賠償請求など)を検討する場合に、具体的なアドバイスを受けられます。 - カウンセラー:
被害によって受けた心の傷をケアするための相談ができます。 - (家庭内の場合)DV相談ナビ、配偶者暴力相談支援センターなど。
加害者と距離を置く
何よりも、あなた自身の心身の安全を最優先に考えてください。可能な限り、加害者と物理的・精神的な距離を取るよう試みましょう。
- 配置転換を会社に申し出る。
- 精神的な不調が出ている場合は、医師の診断書をもらい、休職する。
- 状況が改善しない場合は、転職を検討する。
モラルハラスメントの理解と対策で健全な職場環境を
モラルハラスメント(モラハラ)は、言葉や態度による陰湿な精神的攻撃であり、被害者の心身と尊厳を深く傷つけます。職場においては、人格否定や無視、業務妨害といった形で現れ、放置すれば生産性の低下や貴重な人材の流出、さらには企業の法的責任問題へと発展しかねません。
企業としては、モラハラを「個人の問題」としてではなく「組織の問題」として捉え、トップの明確な方針示達、予防のための研修、相談しやすい窓口の整備、そして発生時の厳正な対処ルールを確立することが求められます。
もし被害に遭った場合は、証拠を記録し、決して一人で悩まずに信頼できる人や専門機関へ相談しましょう。モラルハラスメントの定義や具体例を組織全体で正しく理解し、継続的な対策を講じることが、全ての従業員が安心して働ける健全な職場環境の維持につながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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