- 更新日 : 2026年1月14日
21世紀型スキルとは?企業での育成方法や4つのカテゴリをわかりやすく解説
「21世紀型スキルという言葉は聞くが、具体的に何をすべきかわからない」「従来の研修では時代の変化に対応できない」といった悩みを抱える人事担当者は少なくないでしょう。
文部科学省も提唱している21世紀型スキルは、変化の激しい時代に必要な能力です。
本記事では、企業の人材育成に携わる方向けに、21世紀型スキルの定義から実践的な育成方法までわかりやすく解説します。
目次
21世紀型スキルとは何か?
21世紀型スキルとは、グローバル社会を生き抜くために必要な能力の総称です。
国際団体ATC21sが提唱した概念で、思考力・問題解決力・コミュニケーション力・ICT活用力などが含まれます。
ここでは、21世紀型スキルの定義や注目される理由について解説します。
21世紀型スキルの定義とは?
21世紀型スキルは、2009年に国際団体ATC21s(Assessment and Teaching of 21st Century Skills)が提唱した、変化の激しい時代に必要な能力の体系です。
グローバル企業であるMicrosoft CorporationやIntel Corporationなどが支援し、世界各国の教育専門家が参画して開発されました。
21世紀型スキルは、以下の4つから構成されています。
- 思考の方法
- 仕事の方法
- 仕事のツール
- 社会生活
グローバル化やテクノロジー・AIの発展、働き方の多様化により、従来の知識詰め込み型教育ではなく、状況に応じて柔軟に対応するためのスキルを養うことが提唱されています。
21世紀型スキルと社会人基礎力の違いとは?
経済産業省が提唱している社会人基礎力は、職場で必要な基礎的な力とされており、21世紀型スキルとは対象範囲が異なります。
社会人基礎力は、以下の3つの能力と12の能力要素で構成されています。
- 前に踏み出す力
- 考え抜く力
- チームで働く力
21世紀型スキルは国際的な概念であるのに対し、社会人基礎力は日本の職場環境に焦点を当てた概念です。
両者は対象範囲が異なりますが補完関係にあり、人材育成では両方を意識することが重要です。
21世紀型スキルが注目される理由とは?
21世紀型スキルが注目される理由は、以下の3つの理由があります。
- グローバル化の加速
- 情報化社会の進展
- 働き方の多様化
ここでは、21世紀型スキルが注目される理由を解説します。
理由①グローバル化の加速
21世紀型スキルが注目される理由のひとつは、多様な背景を持つメンバーとのコミュニケーション力や異文化理解力が求められていることです。
海外拠点とのプロジェクト、外国人材の採用増加など、グローバル化の加速により、国境を越えたビジネスが当たり前になりました。
異なる文化や価値観を持つメンバーと協働するには、言語能力だけでなく、相手の立場を理解し尊重する姿勢が必要です。
そのため、グローバルな視点でのコミュニケーション力や協働力は、現代のビジネスパーソンに必要な能力といえるでしょう。
理由②情報化社会の進展
情報化社会の進展により、正しい情報を見極め活用する情報リテラシーが必須となったことも、21世紀型スキルが注目される理由のひとつです。
インターネットやSNSの普及で情報量が爆発的に増加し、正しい情報を見極め、活用する情報リテラシーが必須となりました。
膨大な情報の中から必要なものを取捨選択し、信頼性を判断する能力が求められています。
とくに、フェイクニュースの氾濫、AIツールの活用などに対して、適切に活用するスキルが不可欠です。
理由③働き方の多様化
21世紀型スキルが注目されている理由には、テレワークや副業など、働き方の選択肢が拡大したことも挙げられます。
従来のオフィス勤務を前提とした働き方から、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方へと移行しています。
リモート環境でのプロジェクト管理、自律的なスキルアップが求められる環境では、自己管理能力、主体的な学習姿勢、柔軟な対応力が大切です。
21世紀型スキルの4つのカテゴリとは?
多様な能力が含まれている21世紀型スキルは、以下の4つのカテゴリに分けられます。
- 思考の方法
- 仕事の方法
- 仕事のツール
- 社会生活
ここでは、それぞれのカテゴリについてご紹介します。
カテゴリ①思考の方法(Ways of thinking)とは
思考の方法とは、問題を発見・分析し、創造的な解決策を導く能力です。
変化の激しい時代では、既存の枠にとらわれず、新しい視点で問題を捉えるための以下の思考法が推奨されています。
- 創造性とイノベーション
- 批判的思考、問題解決、意思決定
- 学び方の学習、メタ認知
情報を鵜呑みにせず多角的に検証する批判的思考や課題の本質を見極め効果的な解決策を導き出す力が含まれます。
また、自分の思考プロセスを客観的に振り返り、改善する力を意味するメタ認知も推奨される能力のひとつです。
これらの能力は、予測困難な状況においても適切な判断を下すために欠かせません。
思考方法は、企業では新規事業開発や課題解決プロジェクトなどに活用されます。
カテゴリ②仕事の方法(Ways of working)とは?
仕事の方法とは、他者と協力して目標を達成する能力を指します。
複雑化するプロジェクトでは、多様なメンバーと協力して成果を出す力が不可欠です。
具体例としては、以下の2つの能力が重視されています。
- コミュニケーション力
- コラボレーション(チームワーク)
コミュニケーション力には、自分の考えを明確に伝える発信力と、相手の意見を正確に理解する傾聴力が含まれます。
そして、コラボレーションでは、チームメンバーの強みを活かし、共通の目標に向けて協力する姿勢が求められます。
多様な視点を統合することで、より質の高い成果を生み出すことができるのです。
企業では、部門横断プロジェクトやリモートワークなどに活かされる能力です。
カテゴリ③仕事のツール(Tools for working)とは?
仕事のツールとは、ICT(情報通信技術)を活用して業務を効率化する能力です。
デジタル化が進む現代では、ICTを使いこなし、情報を適切に扱う以下の力が求められます。
- 情報リテラシー
- ICTリテラシー
情報リテラシーは、膨大な情報から必要なものを選別し信頼性を判断する能力を指し、ICTリテラシーとは、業務に必要なソフトウェアやツールを効果的に活用する技術です。
これらのスキルを持つことで、情報の真偽を見極め、業務プロセスを最適化できるようになります。
また、新しいテクノロジーを積極的に取り入れ、変化に対応する柔軟性も重要です。
組織では、データドリブン経営やDX推進などに活用されています。
カテゴリ④社会生活(Ways of living in the world)とは?
社会生活とは、グローバル社会の一員として責任ある行動をとる能力です。
グローバル化する社会では、多様性を尊重し社会に貢献するために、以下のような姿勢が求められます。
- 地域と国際社会での市民性
- 人生とキャリア
- 個人及び社会における責任
市民性とは、社会の一員としての責任を自覚し、持続可能な社会の実現に貢献する意識です。
そして、キャリアの観点では、生涯を通じて学び続け自己実現を目指す姿勢が重要になります。
単に自己の利益だけでなく、社会全体の発展を視野に入れた行動が求められており、異なる文化や価値観を尊重しながら共生していく力も必要です。
これらの姿勢は、ダイバーシティの推進やサステナビリティ活動などに活かされます。
文部科学省が定める21世紀型スキルの3構造とは?
文部科学省が提唱する21世紀型スキルは、以下の3つの力で構成されています。
- 基礎力
- 思考力
- 実践力
そして、3つの力は3層構造で成り立っており、中核となる思考力を基礎力が支え、実践力が使い方を方向づけています。
ここではそれぞれの力について解説します。
①基礎力とは?
基礎力とは、思考や実践の土台となる基本的なスキルを指し、主に以下の3つの力が含まれます。
- 言語スキル
- 数量スキル
- 情報スキル
言語スキルは読み書きや会話を通じて情報を正確に理解し伝える能力、数量スキルは数字やデータを扱い論理的に分析する力です。
そして、情報を収集・整理・活用する基本的な能力である情報スキルを含めた3つのスキルを基礎力と定義しています。
基礎力がないと、その上の思考力・実践力を発揮できないため、土台となる能力とされています。
②思考力とは?
思考力とは、基礎力をもとに課題を発見し、解決する力のことで、以下の能力と定義されています。
- 問題解決・発見力・創造力
- 論理的・批判的思考力
- メタ認知・適応的学習力
問題解決力は課題の本質を見極め効果的な解決策を導く能力、論理的思考力は物事を筋道立てて考え説得力のある結論を導き出す力です。
企業では、業務改善提案や戦略立案などの場面で思考力が活用されます。
③実践力とは?
実践力とは、思考力をもとに実際に行動し社会に貢献する力です。
実践力は3層構造の最上層に位置し、以下が含まれます。
- 自律的活動力
- 人間関係形成力
- 社会参画力
- 持続可能な未来への責任
自律的活動力は自ら目標を設定し主体的に行動する力、人間関係形成力は多様な人々と良好な関係を築きチームで成果を出す能力を意味します。
リーダーシップ育成、チームビルディング、社会貢献活動に活かされ、思考するだけでなく実際に行動に移す力が重要です。
企業で21世紀型スキルを育成する方法とは?
現代の社会人に求められる21世紀型スキルは、企業でも育成すべき能力です。
企業で21世紀型スキルを育成するには、以下の3つの方法を組み合わせることが効果的です。
- 研修(Off-JT)
- OJT
- 自律学習
ここでは、21世紀型スキルを育成するための方法についてご紹介します。
方法①研修(Off-JT)で体系的に学ぶ
21世紀型スキルを育成するのに、専門講師による研修(Off-JT)が効果的です。
業務から離れて学習に集中できるため、体系的な知識を短期間で習得でき、従業員全員が共通の知識基盤を持てるようになります。
具体的には、クリティカルシンキング研修で批判的思考力を鍛えたり、問題解決研修で課題発見から解決までのプロセスを学んだりする方法があります。
また、コミュニケーション研修では効果的な伝え方や聴き方を習得でき、デザイン思考研修では創造力とイノベーション力を高められるでしょう。
研修では、グループワークや演習を取り入れて知識を実践的なスキルとして定着させることが重要です。
方法②OJTで実践的に身につける
実際の仕事を通して研修を行うOJTでは、日常業務の中で上司や先輩がフィードバックしながら育成するため、スキルが定着しやすくなります。
理論として学んだ知識を実務に活かす経験を通じて、より深い理解と応用力が身につくでしょう。
具体的には、プロジェクトへのアサインで実際の課題解決を経験したり、1on1ミーティングで個別のフィードバックを受けたりする方法があります。
また、チーム活動を通じて協働力やコミュニケーション力を実践し、業務改善提案で批判的思考力と問題解決力を発揮することも効果的です。
定期的なフィードバックと振り返りで気づきを言語化し、着実に能力を育てていくことができます。
方法③自律学習を促進する環境を整える
21世紀型スキルは一度身につければ終わりではなく、継続的な学習が必要であるため、社員が自律的に学ぶ姿勢を持てる環境づくりが欠かせません。
自律学習を促進するには、学習機会の提供とモチベーション向上の仕組みが重要です。
そのためには、eラーニングの導入によっていつでもどこでも学べる環境を整えることが効果的です。
さらに、書籍購入補助で自己啓発を支援したり、社内勉強会で学び合う文化を醸成したりすることも有効でしょう。
加えて、資格取得支援でスキルアップを奨励し、定期的なキャリア面談で個々の成長をサポートする体制を整えることで、社員の自律的な学習意欲を高められます。
21世紀型スキル育成のメリットと注意点とは?
21世紀型スキルの育成は、組織にさまざまなメリットをもたらす一方、注意すべきポイントもあります。
ここでは、21世紀型スキルを育成するメリットと注意点について見ていきましょう。
21世紀型スキルを育成するメリット
21世紀型スキルの育成は、個人だけではなく企業にとっても大きなメリットがあります。
21世紀型スキルを持つ人材が増えることで、問題解決力やイノベーション力が高まり、組織の競争力が向上するためです。
また、社員の成長実感とモチベーションの高まりは、エンゲージメントの向上につながります。
そして、変化を恐れず挑戦する組織文化が形成され、企業が持続的に成長する好循環が生まれるでしょう。
21世紀型スキル育成の注意点
21世紀型スキルは、継続的な学習と実践によって身につくものであり、短期間での成果を求めすぎないことが重要です。
社員のスキルレベルや学習スタイルは異なるため、画一的な育成ではなく、個人差を考慮したアプローチを心がけてください。
そして、研修を実施しただけで満足せず、実務で活用できるようにフォローしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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