- 更新日 : 2026年1月14日
エクスターンシップとは?インターンとの違いや目的・プログラム事例を解説
エクスターンシップは、主に法学部・法科大学院の学生が企業の法務部・法律事務所・官公庁などで「実務を観察しながら学ぶ」短期型の職場体験プログラムです。
インターンシップよりも負担が少なく、職場の雰囲気や業務の流れをリアルに理解できることから、法科大学院を中心に近年注目を集めています。
本記事では、エクスターンシップの意味やインターンシップとの違い、参加者と受け入れ側の目的、メリット・デメリットを整理し、法律事務所や海外法整備支援などの具体的なプログラム例も紹介します。
これから参加を検討している学生や、制度を導入したい教育機関・企業の方はぜひ参考にしてください。
目次
エクスターンシップとは?
エクスターンシップとは、学生が短期間、企業の職場を訪問し、実際の仕事や働く環境を観察できる職場体験制度です。
実務を深く担当するというよりも、社員の業務に同行したり、現場の様子を見学したりする形式が中心となります。
主な目的は、仕事の流れや職場の雰囲気、業界の実態を知ることにあります。
ミスマッチ防止や早期の職業理解を促す取り組みとして、法律事務所を中心に導入されており、短期間で参加できるため、複数の法律事務所や企業の法務部などの関連部署を比較検討しやすい点も特徴といえるでしょう。
インターンシップとの違い
実務経験を積みたい場合はインターンシップ、まずは仕事や業界を知りたい場合はエクスターンシップといったように、目的に応じて使い分けられる点が主な違いです。
インターンシップは、一定期間にわたり実務を担当し、成果やスキル習得を重視するケースが多いのに対し、エクスターンシップは観察や見学を中心とした短期型のプログラムが一般的です。
責任の重い業務を任されることは少なく、仕事の全体像や現場のリアルを知ることに重点が置かれます。
また、エクスターンシップでは、事前に業界や企業について学ぶ機会や、体験後の振り返りを設ける場合もあるでしょう。
参加者は単なる体験で終わらせず、自分の進路選択やキャリア設計に活かしやすくなります。
エクスターンシップとインターンシップは、どちらも職業理解を深める制度ですが、その内容や目的が明確に異なります。
エクスターンシップの給料
エクスターンシップは、実務経験の提供というよりも職業理解やキャリア形成支援を主目的とした制度であるため、給料は無給とされるケースが一般的です。
教育的なプログラムとして位置づけられており、アルバイトやインターンシップのように労働の対価として報酬が支払われることは多くありません。
ただし、参加にあたって金銭的な負担が大きくならないよう、交通費や昼食代などの実費相当額が補助される場合があります。
基本的には学びの機会として参加する制度であることを理解しておきましょう。
エクスターンシップの目的
ここでは、エクスターンシップの目的について、参加者側と企業側に分けて解説していきます。
参加者側の目的
参加者にとっての主な目的は、実際の職場や業務を観察することで、その仕事や取り扱う分野が自分に合っているかを見極めることです。
説明会や求人情報だけではわからない現場のリアルを知ることができます。
具体的に参加者側の目的は、次のとおりです。
- 実務観察を通じて、取り扱いの多い分野の実態を理解する
- 職場の雰囲気や働き方を知り、採用後のミスマッチを減らす
- 仕事の流れや意思決定プロセスを把握する
- 志望動機やキャリアの軸を明確にし、進路選択の精度を高める
エクスターンシップで得た体験は、「自分は何を大切にして働きたいのか」を考える材料になります。
その結果、就職活動や大学院進学後のキャリア設計において、より納得感のある選択がしやすくなります。
受け入れ側の目的
受け入れ側にとってのエクスターンシップは、早期に学生と接点を持ち、自社との相性を確認するための機会です。
短期間であっても、参加者の姿勢や考え方を実際の現場で見られます。
受け入れ側の具体的な目的は、以下のとおりです。
- 自社に合う人材を発見する
- 参加者の思考や仕事への向き合い方を見て採用ミスマッチを防ぐ
- 業務内容や職場環境を伝え企業理解を深めてもらう
エクスターンシップは、短期的な採用施策ではなく、長期的な人材獲得を見据えた取り組みです。
実態を理解したうえで応募してもらえることで、採用後のギャップが減り、結果として定着率の向上にもつなげられるでしょう。
エクスターンシップのメリット
エクスターンシップは、参加者と受け入れ側の双方にとって多くのメリットがあります。短期間の職場体験であっても、実際の現場に触れると、進路選択や採用活動の質を高める効果が期待できます。
参加者側のメリット
参加者にとって、実務や職場環境を直接観察できる点が、エクスターンシップのメリットです。
説明会や求人票だけでは把握しきれない情報を得ることで、より現実的な判断が可能です。
具体的には、次のようなメリットがあります。
- 実務に触れることで職業理解が深まる
- 適性やキャリア志向を明確にできる
- 短期間で複数の職場を比較できる
- 働き方や職場の雰囲気を把握できる
エクスターンシップの経験を通じて、自分が何を重視して働きたいのかを整理でき、志望動機やキャリアプランを考えるきっかけになるでしょう。
受け入れ側のメリット
受け入れ側にとってのメリットは、採用活動の精度向上と企業理解の促進です。
短期間であっても、学生の姿勢や考え方を実際の現場で確認できる点は価値があります。
主な受け入れ側のメリットは、以下のとおりです。
- 早期に学生と接点を持てる
- 業務内容や職場環境を正しく伝えられる
- 企業理解や志望度向上につなげられる
また、参加者からの率直な感想や質問は、業務フローや説明資料を見なおすきっかけにもなります。
若手視点のフィードバックを取り入れることで、採用活動だけでなく、組織全体の改善につながる点もメリットのひとつです。
エクスターンシップのデメリット
エクスターンシップは多くのメリットがある一方で、参加者・受け入れ側の双方にとって注意すべき点もあります。制度の特性を理解せずに導入・参加すると、期待とのギャップが生じるケースもあるでしょう。
参加者側のデメリット
参加者にとってのデメリットは、体験内容と負担のバランスにあります。
短期間であるがゆえに、得られる経験には一定の限界があります。
エクスターンシップの参加者側の主なデメリットは、以下のとおりです。
- 実務経験が限定的になりやすい
- 無給の場合が多く、金銭的負担が生じる
- 学業とのスケジュール調整が必要になる
エクスターンシップは観察や同行が中心となるため、実務を深く経験したい人には、物足りなさを感じることがあります。
また、交通費や生活費が自己負担となるケースも多く、参加のハードルになることも少なくありません。
複数のプログラムに参加する場合は、学業との両立を意識した計画が求められます。
受け入れ側のデメリット
受け入れ側にとっては、運営面や管理面での負担が課題となります。短期間とはいえ、準備や対応が不要になるわけではありません。
受け入れ側の主なデメリットは、以下のとおりです。
- 情報管理や守秘対応が必要になる
- 受け入れ担当者の工数が発生する
- 短期間では人物評価が難しい
学生を受け入れるにあたり、業務内容の整理や説明、同行対応など一定の時間と労力が必要です。
また、期間が短いため、学生のスキルや適性を十分に見極められない点も、採用判断における制約となる場合があります。
デメリットを踏まえたうえで、目的や期待値を明確に設定することが、エクスターンシップを意味のある取り組みにするためのポイントといえるでしょう。
エクスターンシップの流れ
エクスターンシップは、参加者・受け入れ側それぞれが事前準備を行い、短期間で職業理解を深めていくプログラムです。ここでは、一般的な実施の流れを立場別に整理します。
参加者側
エクスターンシップに参加する際の具体的な流れは、以下のとおりです。
- 募集情報を探し、応募・日程調整を行う
- 事前に特化している分野(企業であれば業界)について調べておく
- 見学や打ち合わせを通じて業務理解を深める
まず、大学のキャリアセンターや企業の公式サイトなどを通じて募集情報を確認し、応募・日程調整を行います。
その後、業界構造や企業の事業内容を把握しておくことで、実施中の説明や現場の動きをより深く理解できるようになります。
実施期間中は、職場見学や打ち合わせへの同席、簡単なリサーチ補助などを通じて、仕事の進め方や職場の雰囲気を観察しましょう。
受け入れ側
受け入れ側は、短期間でも学びのある体験を提供できるよう、事前設計と運営体制の整備が求められます。
エクスターンシップを実施するまでの流れは、以下のとおりです。
- プログラム内容と受け入れ体制を設計する
- 募集を行う
- ルールや期待事項を事前に共有する
- 実施中は業務内容の説明と、適宜フィードバックを行う
まず、見学や同行、リサーチ補助など、どのような体験を提供するかを事前に設計します。同時に、安全配慮や守秘義務のルールを整え、社内で受け入れ体制を調整します。
実施前には、学生に対して期待する姿勢や参加ルールを共有しておくことが大切です。
実施期間中は、担当者が窓口となり、業務内容の説明や質問対応、簡単なフィードバックを行うことで、参加者の理解を深められるでしょう。
主なエクスターンシップの受け入れ先の例
エクスターンシップは、とくに法曹分野を中心にさまざまな受け入れ先で実施されています。ここでは、代表的なプログラム例を通して、どのような経験ができるのかを紹介します。
法律事務所
法律事務所でのエクスターンシップは、国内でも一般的な受け入れ先のひとつです。多くの場合、1週間前後の短期プログラムとして実施されます。
主な内容としては、法律相談への同席や裁判の傍聴、事件記録の閲覧、土地明渡し期日への同行などが挙げられます。
難民問題や倒産、離婚といった、教科書だけでは学びにくい案件も現場で触れられる点が特徴です。
実務を間近で見ることで、法律知識だけでなく、依頼者ファーストの姿勢や、迅速かつ的確な判断力、弁護士同士の知見共有の重要性など、法律実務の本質を体感できるでしょう。
ベトナム法整備支援事務所
JICAベトナム法整備支援事務所などで行われる海外エクスターンシップは、国際法務や法整備支援に関心のある学生にとっておすすめの事例です。
プログラムでは、裁判所訪問や法整備に関する講義、日系企業へのヒアリング、現地弁護士事務所の訪問、大学での合同授業など幅広い活動が組み込まれています。
日本法とベトナム法の違いを比較しながら、法制度が社会や経済に与える影響を学べる点が特徴で、国際的な視点で法曹の役割を理解することにつながるでしょう。
海外の法律事務所
海外の法律事務所でのエクスターンシップは、数ヶ月に及ぶ長期プログラムとして実施されるケースもあります。
M&A案件の会議への同席や裁判所期日への同行、弁護士から課されるリサーチ課題など、実務密度の高い内容が特徴です。
「分かるまで議論する」「一緒に調べる」といった文化の中で、法的思考力に加え、英語力や議論する力が鍛えられます。
また、現地の弁護士やスタッフとの交流を通じて、異文化理解や国際的なコミュニケーション能力も自然と身につけられるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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