- 更新日 : 2025年12月18日
スキル評価指標とは?評価基準やスキルマップの活用方法
スキル評価は、従業員と会社の成長に直結する重要な人事活動ですが、「評価項目が曖昧で公平性に欠ける」「評価基準の表現に困る」といった課題を持つ担当者も多いでしょう。
この記事では、スキル評価指標の基本的な考え方から、評価基準の作成に役立つ公的資料、そしてスキルマップやルーブリックといった具体的な評価方法までをわかりやすく解説します。
目次
スキル評価指標とは
スキル評価指標とは、従業員が業務を遂行する上で必要とされる知識、技術、能力を測定・評価するための具体的な基準や項目を指し、「何を、どのレベルまで達成できたら、高い評価とするか」を明確にするためのツールです。
評価シートなどで用いられる具体的な評価項目と、各項目に対応する達成度の基準(例:5段階評価の各レベルの定義)の両方を含みます。経験や感覚に頼りがちな評価を、客観的で公正なものに変えるために欠かせません。
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スキル評価指標がもたらすメリット
スキル評価指標を整備し、導入することで、評価制度の公平性を高め、人材育成を効果的に進められます。
評価の公平性と納得感の向上
評価者によって評価基準が異なる「評価のブレ」をなくし、「なぜその評価になったのか」を具体的な基準に基づいて説明できるようになります。これにより、従業員の評価に対する納得感が高まります。
関連資料|360度評価シート
人材育成の効率化
従業員は、自分に不足しているスキルや、次の等級に上がるために何をすべきかがはっきり分かります。会社側も、従業員の現在のスキルレベルを把握できるため、個々の課題に合った研修や指導を行うことができます。
採用・配置の適正化
部門や職種に必要なスキルレベルが明確になるため、採用時に求める人材像が明確になります。また、従業員のスキルを把握し、能力を最大限に活かせる部署への適切な人材配置が可能となります。
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評価基準作成に参考となる職業能力評価基準
厚生労働省が公開する「職業能力評価基準」は、スキル評価の基準作成に非常に効果的です。
職業能力評価基準とは、厚生労働省が策定した、従業員が職務を遂行するために必要な知識、技術・技能、行動の3要素を、職種ごとに体系化した公的な評価基準です。特に、評価制度を一から設計するには多くの時間と専門知識が必要となるため、人的リソースが限られている中小企業にとって、この基準は大きな助けとなります。
この基準を参照することで、専門家によって整理された職務ごとの能力定義をベースに、自社に必要なスキル項目や行動レベルを網羅的かつ明確に把握できます。
具体的な活用方法としては、自社に該当する業種の基準を参照し、評価すべきスキルや知識の項目を網羅的にリストアップします。また、基準に記載されている職務遂行能力のレベル定義を参考に、自社の評価基準を作成できます。
- 公表されている業種(2025年7月時点、全75業種)
- 業種横断的な事務系職種(経営戦略、人事、情報システム、生産管理、営業など9業種)
- 建設関係(7業種)
- 製造業関係(13業種)
- 運輸業関係(2業種)
- 卸売 小売業関係(6業種)
- 金融 保険業関係(12業種)
- サービス業関係(16業種)
- その他(10業種)
たとえば、営業の職務では、新規開拓・顧客関係構築・交渉といった職務に対して、レベルごとに求められる知識や行動が具体的に記載されています。自社の業種に当てはまる基準をベースに、目的や状況に応じてカスタマイズして作成しましょう。厚生労働省のサイトから、各業種のモデル評価シートも無料でダウンロードできます。
関連記事|人事評価制度の種類とは?メリット・デメリットと自社に合う制度の選び方を解説
スキルの評価方法
スキルの評価方法には「スキルマップ」と「ルーブリック評価」があるため、それぞれ紹介していきます。
① スキルマップ
スキルマップ(能力マップ)は、従業員一人ひとりのスキルレベルを一覧で可視化し、評価と育成に役立てる手法です。スキルマップを作成することで、現状のスキルレベルと目標とするレベルの差がはっきり分かります。
【スキルマップの作り方】
スキルマップは、評価項目と評価基準をマトリクス(表)形式で作成します。
STEP1:評価項目の洗い出し
対象となる職種や業務を分解し、必要なスキル(知識、技術、行動)をリストアップします。(例:「交渉力」「財務知識」「プログラミング言語」など)
STEP2:評価基準(レベル)の定義
洗い出した各スキルに対し、3段階~5段階で評価レベルを定義します。この際、抽象的な表現を避け、誰が見ても判断できるように、具体的な行動や成果を表現に使います。
STEP3:マトリクス表の作成
縦軸に従業員名、横軸にスキル項目とレベル定義を配置した表を作成します。評価者が各従業員の現在のスキルレベルを記入し、部門全体のマップとして完成させます。
関連資料|人材育成スキルマップ 営業部門
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② ルーブリック評価
ルーブリック評価とは、評価項目に対し、段階的な評価レベル(例:5段階)と、それぞれのレベルに該当する「具体的な行動の特徴」を記述した評価表のことです。
スキルマップが「何ができるか」というスキルそのものを一覧にするのに対し、ルーブリックは「そのスキルをどう使っているか」という行動の質に着目します。
例えば、「コミュニケーション力」という項目に対し、レベル5では「相手の意見を引き出し、建設的な対話を主導できる」といった具体的な記述を行います。
関連記事|ソフトスキルとは?高い人の特徴や鍛え方、社員の評価方法を解説
【ルーブリック表の作り方】
ルーブリック表を作成する際は、評価項目の定義と記述の具体性が重要です。
STEP1:評価項目と評価レベルを決定する
評価したい項目(例:問題解決能力)を特定し、評価段階(例:4段階)を決めます。(ルーブリックでは、真ん中に集中しないように偶数段階を使うこともあります)
STEP2:最高レベルと最低レベルを記述する
項目ごとに、「理想的な状態(最高レベル)」と「改善が必要な状態(最低レベル)」の具体的な行動や成果を言葉で記述します。
STEP3:中間レベルを埋める
最高と最低の記述の間を埋めるように、中間の各レベルの特徴を具体的な言葉で記述します。この際、「時々できる」「努力している」といった主観的な表現は避け、観察可能な行動を使います。
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スキル評価は何段階にすべき?
スキル評価の段階設定は、評価のしやすさ、評価の精度、そして従業員のモチベーションに大きく影響します。3段階から6段階までの設定には、それぞれ以下のような特徴があります。
3段階評価
最もシンプルで評価が早く完了しますが、評価者が迷うことを避け、真ん中の標準的な評価に集中しやすい傾向があります。このため、評価の差がつきにくく、フィードバックが曖昧になりやすいという特徴があります。
4段階評価
中央の基準を意図的に設けない設定です。評価が「できている」か「できていない」に分かれるため、評価結果にメリハリがつきやすい一方で、従業員が評価を厳しく感じることがあります。
5段階評価
最も一般的で、評価のしやすさと精度がバランスしています。中央(標準)と両端(高評価・低評価)があるため、評価の分布を管理しやすいですが、評価者が安全策を取り、中央の評価に集中しがちになる傾向もあります。
6段階評価
5段階よりもさらに細かく能力差を反映させたい場合に有効です。高精度の評価が可能ですが、各段階の定義を明確にすることが難しく、評価者の判断に迷いが生じやすくなり、評価作業の負担が大きくなります。
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スキル評価指標を運用する上でのポイントと注意点
スキル評価指標は、作成して終わりではなく、組織に定着させて初めて効果を発揮します。
評価者研修を必ず実施する
評価指標がどれほど優れていても、評価者の解釈にズレがあっては意味がありません。スキル評価基準の意図や、各レベルの定義について、評価者研修を通じて徹底的に目線合わせを行います。
定期的に評価基準を見直す
事業環境や技術が変化すると、必要なスキルも変わります。作成したスキル評価指標が現状に合っているかを毎年または半年ごとにチェックし、古くなった項目や基準は修正しましょう。
フィードバックと育成に直結させる
評価結果を単なる人事データで終わらせず、上司と部下の1on1などでフィードバックの材料とし、具体的な育成プランの作成につなげることで、従業員のモチベーションと成長を促します。
関連資料|自己評価シート
関連資料|エンゲージメントサーベイを用いて、離職防止を実現する⽅法
スキル評価指標を活用し適切な人材育成を
スキル評価指標は、公正で透明な人事評価制度を構築するための土台です。職業能力評価基準といった公的資料を参考にし、スキルマップやルーブリック評価といった具体的な手法を取り入れることで、評価の曖昧さを解消できます。
この指標を育成に活用していくことが、従業員の自発的な成長を促し、企業の持続的な発展につながるでしょう。
関連記事|スキルアップとは?高めるメリットや効果、企業の支援方法を解説
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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