• 更新日 : 2025年12月5日

SPIと適性検査の違いとは?SPI以外のテストとの違いや選び方も解説

SPIとは、数ある適性検査のうちの一つです。株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供しており、基礎能力と人柄を多角的に測定できます。

ただ、「SPIで何を測れるのか具体的に知りたい」「他の適性検査とは何が違うのだろう」と気になっている人もいるでしょう。

そこで本記事では、SPIの概要や測定できる能力などを詳しく解説します。また、他の適性検査との違いや選ぶときのポイントもまとめています。

適性検査のうちの一つがSPI

そもそも適性検査とは、応募者の知的能力や性格などを多角的に測るためのテストを指します。

採用活動においては、書類選考だけで応募者の思考力や価値観などの細かい部分まで理解することが困難です。そこで、本当に自社に合った人材かどうかを把握するために、多くの企業が書類選考後に適性検査を実施しています。

そしてSPIとは、このような適性検査のうちの一つです。

SPIの他にも玉手箱やCAB、GABなどさまざまな適性検査があり、測定できることや問題の傾向などがそれぞれ異なります。

SPIはどのような適性検査?

SPIとは、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供する適性検査のことです。「Synthetic Personality Inventory」の頭文字を取って名付けられました。

SPIの特徴はその導入実績で、1年間における導入社数は18,000社を超えており、年間257万人以上に受検されています。(2025年3月時点)

1年で200万を超える人が受検するため、そのぶん蓄積されるデータ量も膨大です。特に性格検査の結果への信頼性が高く、人柄や組織との相性を的確に測れるでしょう。

また、1974年に提供が開始され、約50年にわたって日本の採用市場で利用され続けています。そのため、導入後のサポートや結果の分析方法に関するノウハウも豊富です。

参考:SPI3 採用候補者向けの適性検査|リクルートMSの適性検査

SPIの種類

SPIには、「SPI3-U」「SPI3-G」「SPI3-H」「GSPI3」の4種類あります。それぞれの主な違いを以下の表にまとめました。

SPIの種類対象者特徴
SPI3-U大学生
(新卒採用向け)
  • 新卒採用で利用される標準的なSPI
  • 向いている仕事や強み・弱みなどが分かる
SPI3-G社会人
(中途採用向け)
  • 具体的な人柄や職場への馴染みやすさを測定できる
  • 未経験者の採用時にも活用できる
SPI3-H高校生
(高卒採用向け)
  • 社会人として働くうえで必要な基礎能力の有無を測れる
  • 組織への馴染みやすさを適応力も測定できる
GSPI3外国人労働者
(グローバル採用向け)
  • 職務能力の有無や職場への馴染みやすさを測れる
  • 英語、中国語、韓国語に対応している

4種類のSPIは、それぞれ明確に対象者が設定されています。また、測定できる内容や面接時に活用できる質問例なども異なるため、受検者ごとに最適なSPIを導入しましょう。

SPIのテスト内容

SPIのテスト内容は、知的能力を測るテストと性格テストの2種類です。

知的能力テストは、言語・非言語・英語・構造的把握力の4分野が用意されています。基本は言語と非言語の2分野のみですが、英語と構造的把握力をそれぞれ追加することも可能です。

性格テストは約300問の質問が用意されており、対人とのコミュニケーション特性やストレス耐性などを多角的に把握できます。解答の矛盾や不一致をチェックする機能も備わっています。

SPIの受検方法

SPIの受検方法は、ペーパーテスト・テストセンター・Webテスト・インハウスCBTの4種類に対応しています。

  • ペーパーテスト:自社もしくは指定した会場にて受検
  • テストセンター:指定した試験会場にて受検、会場にはパソコンが用意されている
  • Webテスト:場所や時間などは応募者の自由、応募者のパソコンから受検してもらう
  • インハウスCBT:自社もしくは指定した会場にて受検、会場にはパソコンが用意されている、面接と一緒に行われることが多い

受検方法によって料金も異なるため、適切な方法を選びましょう。

SPI以外の主な適性検査

SPI以外の代表的な5つの適性検査について詳しく解説します。

玉手箱

玉手箱は、日本エス・エイチ・エル(SHL)社が提供している適性検査です。

玉手箱には、パーソナリティのみを測定できる「玉手箱I」、パーソナリティと知的能力の両方を測定できる「玉手箱Ⅲ」の2種類があります。新卒採用でよく導入されているのは「玉手箱Ⅲ」です。

「玉手箱Ⅲ」を構成するのは、計数・言語・英語・性格検査の4分野です。短い制限時間のうちに多くの問題を解かなければならない点が特徴で、スピーディーかつ正確に情報を処理する能力が問われます。

受検方式に関しては、テストセンターとWebテスト(自宅受検)に対応しています。

参考:玉手箱Ⅲ|日本エス・エイチ・エル株式会社

GAB・CAB

GAB・CABも玉手箱と同じく、日本エス・エイチ・エル(SHL)社が提供している適性検査です。

GABは全業種向けに開発されており、知的能力検査(言語・計数・英語)と性格検査で構成されています。400〜800文字の長文読解や図表理解の問題が多いのが特徴で、論理的思考力や情報分析力などを測定可能です。

対して、CABはIT職や技術職向けに開発されており、知的能力検査(暗算・法則性・命令表・暗号)と性格検査で構成されています。SEやプログラマー、プロジェクトマネージャーなどの職務適性について測定可能です。

受検方式に関しては、どちらもペーパーテスト・テストセンター・Webテストに対応しています。

参考:GAB|日本エス・エイチ・エル株式会社CAB|日本エス・エイチ・エル株式会社

TG-WEB

TG-WEBは、株式会社ヒューマネージが提供する適性検査です。

TG-WEBには、「従来型」と「新型」の2種類があります。

「従来型」は問題数が少なく解答時間も長いですが、知識だけでは解けないような奇問や難解な問題が多いのが特徴です。問題形式も独特であるため、本質的な地頭の良さや潜在的な思考力を測れます。

反対に「新型」は、解答時間は短いですが問題数が多めであるのが特徴です。ただ、比較的簡単な問題で構成されているため、要領良く解答することが求められます。

いずれも、言語・計数・英語・性格検査の4分野で構成されており、テストセンター・Webテスト・オンラインAI監視型WEBテストの受検方式に対応しています。

参考:ヒューマネージの適性検査 TG-WEB|株式会社ヒューマネージ

Compass

Compassは、株式会社イングが提供している適性検査です。

知的能力を測る問題はなく、性格検査に特化しているのが特徴です。特に、ストレス耐性や対人関係の特性、組織との相性など入社後の定着率に直結する要素を中心に測定できます。

また、採用時だけでなく、入社後に配属先を決定するときや育成プランを策定するときなどにも活用可能です。加えて、日本語のみならず英語や中国語にも対応しており、外国人採用の場面でも利用できます。

受検方式に関しては、ペーパーテストとWebテストに対応しています。

参考:製品情報 | 株式会社イング【ING】

SPIと他の適性検査の違い

SPIと他の適性検査の主な違いについて、以下の表にまとめました。

適性検査特徴分野受検方式提供企業
SPI知的能力と人柄をバランス良く判定できる言語
非言語
英語
構造的把握力
性格テスト
ペーパーテスト
テストセンター
Webテスト
インハウスCBT
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
玉手箱情報処理の速さとその正確性を測定できる言語
計数
英語
性格テスト
テストセンター
Webテスト
日本エス・エイチ・エル社
GAB長文読解や図表の問題が多く、論理的思考力の有無を測れる言語
計数
英語
性格テスト
ペーパーテスト
テストセンター
Webテスト
日本エス・エイチ・エル社
CAB情報処理能力や論理的思考力などIT職への適性を測れる暗算
法則性
命令表
暗号
性格テスト
ペーパーテスト
テストセンター
Webテスト
日本エス・エイチ・エル社
TG-WEB難易度が高く問題形式も独特で、潜在的な思考力を測れる言語
計数
英語
性格テスト
テストセンター
Webテスト
オンラインAI監視型WEBテスト
株式会社ヒューマネージ
Compass企業との相性やストレス耐性の有無を測定できる性格テストペーパーテスト
Webテスト
株式会社イング

上記の表からも分かるように、適性検査の種類によってテストの分野や測定できる能力などはさまざまです。

どのような人材を採用したいのかを明確化したうえで、会社の求める人材かどうかを的確に判定できる適性検査を選択しましょう。

適性検査を選ぶ際のポイント

いくつかある適性検査の中から各会社に最適なものを選ぶときのポイントを紹介します。

基礎能力と人柄をバランス良く見たい場合

受検者の基礎能力と人柄をどちらもバランス良く測定したい場合は、能力検査も性格検査も同じくらいのボリュームで構成されているSPIがおすすめです。

また、導入している企業が年間18,000社を超えているため、そのぶん保有しているデータ量も膨大です。(2025年3月時点)その圧倒的なデータ量をもとに、より高い精度で受検者の能力や人柄を測れます。

汎用性が高くあらゆる業種に対応しているため、初めて適性検査を導入する企業や多様な職種で人材を確保したいと考えている企業に最適でしょう。

情報処理のスピードと正確性を見たい場合

情報処理の速さとその正確性について知りたい場合には、玉手箱やGABが適しています。どちらも、短時間で大量の計数問題や言語問題を解く必要があり、知的能力の測定に重点が置かれているのが特徴です。

特に、言語も非言語も満遍なく出題される玉手箱は一般的な事務処理能力を、長文読解や図表問題が多いGABは論理的思考力や読解力の有無を見極めるのに向いています。

実際、高度な情報処理能力が求められる金融業界やコンサル業界の企業に多く導入されています。

IT職・技術職の適性をピンポイントで測りたい場合

SEやプログラマーなどIT職・技術職に特化して適性を測りたい場合は、CABが最適です。

論理的思考力を問う「暗号」や「法則性」などの問題が数多く用意されており、プログラミング的思考の素養があるかどうかを見極められます。

また、情報処理能力やストレス耐性といったIT職で求められる特性の有無も測定可能です。

地頭の良さを見抜きたい場合

学歴では測れない地頭の良さを見抜きたい場合には、TG-WEBがおすすめです。

特に「従来型」のTG-WEBは、知識だけでは解けないような難解な問題や奇問が多く用意されており、潜在的な思考力について測れます。

新規事業の立ち上げメンバーや企画職、ベンチャー企業といった前例のない課題にも粘り強く取り組める人材を求めている部署や企業に向いています。

採用時のミスマッチを防いで早期離職を減らしたい場合

入社後のミスマッチや早期離職を減らしたいと考えている場合には、性格検査に特化したCompassが最適です。

どのような組織文化にフィットするか、どのような上司の下で成長しやすいか、といった企業との相性や本人の特性を重点的に測定できます。また、英語と中国語にも対応しており、外国人採用の場面でも活用可能です。

定着率の向上を目指している企業におすすめです。

SPIや適性検査に関するよくある質問

最後に、SPIや適性検査に関するよくある質問をいくつか紹介します。

そもそも適性検査を行うメリットとは?

適性検査を行う主なメリットは、以下の3つです。

  • ミスマッチが減って早期離職を防げる
  • 採用業務の効率が上がる
  • 企業イメージが向上する

適性検査を導入すれば、履歴書だけでは分からない価値観や人柄を把握しやすくなります。自社とは合わない候補者をスクリーニングできるため、入社後のミスマッチも減るでしょう。ミスマッチが減って早期離職を防げれば、採用コストや育成コストなどの損失も防ぐことが可能です。

また、適性検査を活用することで、採用業務の効率化も図れます。膨大な数の応募者がいる場合でも客観的な基準にもとづいて効率的に選別可能です。面接やグループディスカッションといった採用活動における本質的な業務に時間を割けるようになります。

そして、適性検査を実施していることをアピールすれば、企業ブランディングの向上にも期待できるでしょう。客観的なデータも含めて公平に採用活動を行っているという、ポジティブなイメージを求職者に与えられるためです。

適性検査の導入にはいくらぐらいかかる?

一般的に適性検査の料金体系は、従量課金制と定額制に分かれていることがほとんどです。

従量課金制とは、「受検者1名あたり〇〇円」という形で1人ごとに人数分の料金が発生するプランです。採用人数が少ない企業や不定期に採用を行う企業に向いています。

対して定額制とは、「年間〇〇円」という形で受検人数にかかわらず料金が発生するプランです。新卒採用で毎年まとまった人数の採用を行う企業に適しています。

適性検査の種類によって料金に幅があるため、申し込む前にいくつかの会社から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。

採用活動以外に適性検査を活用する方法はある?

採用活動以外であれば、たとえば以下のようなシーンで適性検査を活用可能です。

  • 配属先の決定
  • 育成プランの策定
  • 1on1ミーティング

適性検査のうちの性格検査では、ストレス耐性や対人関係のスタイルなどが明らかとなります。その結果を活用すれば、本人が最も能力を発揮できそうな配属先を絞り込めるでしょう。

また、性格検査は一人ひとりに合った育成プランを策定する際にも役立ちます。たとえば、「創造的思考力がやや弱い」という結果が出た社員に対しては、アイデア発想のワークショップに参加させるといった具体的な施策を打つことも可能です。

さらに、適性検査は1on1ミーティングにも活かせます。人柄や意思疎通における特性などを把握して面談すれば、「最初に結論を話そう」「具体例を先に提示しよう」などより効果的なコミュニケーションが可能となります。

適性検査の運用方法について知りたい

適性検査の基本的な運用方法は、以下の通りです。なお、今回はWebテスト方式を想定して紹介します。

  1. 適性検査サービスに申し込み、登録を完了させる
  2. 求職者に受検案内のメールを送信する
  3. 求職者の受検が完了すると、担当者にメールで通知が届く
  4. 適性検査の管理画面にログインし、結果レポートをダウンロードする

特に難しい操作はありません。また、結果レポートに関しても「面接で確認すべきポイント」「〇〇な職務への適性」のように、専門家でなくても理解しやすい言葉で解説されていることが大半です。

もし不明点や不安なことが出てきた場合は、導入時の無料セットアップサポートや運用に関する相談窓口を活用しましょう。


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