• 更新日 : 2025年12月5日

本当に辞める人の10の特徴!企業が早期に見抜く方法や離職対策を解説

社員が退職を決意した際、そのサインは日常の行動やコミュニケーションの変化として現れます。しかし、人事担当者や管理職の中には、次のような疑問を抱く方も少なくありません。

「辞めそうな人はどのような特徴があるのかわからない」

「退職の兆候を早期に察知するには、どこを見れば良いのか?」

「離職を防ぐために、組織として何を整えるべきなのか?」

社員の離職予兆を早期に把握することは、優秀人材の流出防止や現場の負担軽減につながります。コミュニケーションの変化、評価への関心低下、デスク周りの整理など、見逃されやすいサインを理解しておくことが重要です。

本記事では、本当に辞める人に共通する特徴、仕事を辞めやすいタイプ、そして離職を防ぐための具体的な対策を、人事目線でわかりやすく解説します。

離職率改善に取り組みたい企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

仕事を本当に辞める人の10の特徴

本気で退職を考えている社員には、日々の言動や立ち居振る舞いに共通したサインが現れます。

雑談や発言が減るといったコミュニケーションの変化から、身だしなみ・有給取得の増加・デスク整理といった目に見える行動、さらには評価やキャリアへの関心低下、新しい仕事を避ける姿勢まで、その兆候はさまざまな形で表面化します。

こうした小さな変化を「よくある一時的な状態」と見過ごしてしまうと、気づいたときには退職の意思が固まっているケースも少なくありません。

ここでは、退職を本気で考えている人に見られやすい10のサインを具体的に解説します。

1. コミュニケーションが減り、雑談や発言が少なくなる

退職を考えている人の特徴として、職場での雑談や報連相が減り、チーム内での存在感が薄くなる場合が多いです。

会話を避けるようになり、メールやチャットの返信が遅れるケースも目立つほか、会議中や日常の場面で発言が減少し、反応が鈍くなる傾向もあります。また、出社しても一人で過ごす時間が増えるため、周囲との関わりが減ることで、職場への心理的距離が広がります。

2. 愚痴を言わなくなる/逆に不満を言い始める

本当に辞める人ほど、引き止められたくない気持ちから急に愚痴を言わなくなります。一方で、退職を決意した瞬間から我慢の糸が切れ、不満を口にし始めるケースもあります。

以前まで愚痴を言っていた人が静かになると、退職の意思が固まった可能性が高いです。不満を吐き出すタイプは「もう我慢しない」という心理的な解放が背景にあります。どちらのタイプも職場との関係を維持する意思が弱まっている状態です。

3. 会議での発言が減り、意見が無難になる

退職を考えている人は、会議や打ち合わせでの発言が減り、当たり障りのない意見をするようになります。会社を良くしようとする姿勢が薄れ、発言への責任感も低下します。

発言しても「どうせ変わらない」と感じることで、意欲的な提案が減るためです。優秀な人ほど意見が受け入れられない経験から沈黙に転じる場合があります。背景には、組織への信頼感や心理的安全性の低下が見られます。

4. 服装・身だしなみが変化する(面接準備サイン)

急にフォーマルな服装や落ち着いた髪型になるなど、面接を意識した身だしなみの変化が見られることがあります。バッグや小物がビジネス仕様に変わるなど、外出時の印象が変化する点も特徴です。

反対に、服装がだらしなくなる場合は職場への関心低下を示しています。清潔感や身なりの変化は心理的距離やモチベーションの変化と深く関連しています。出社日に限って身なりが整っている場合は転職活動をしている可能性が高いです。

5. 有給取得・急な休みが増える

退職準備として、有給休暇の取得が急に増えるケースがあります。短期間でまとめて休む傾向や、「私用」で理由を曖昧にした休みが増える点が特徴です。

面接や転職準備の時間を確保する目的で休む人も多く、有給の事前確認や休暇スケジュールの相談が増えることがあります。また、出社日と休暇日がランダムになり、業務への集中が弱まっている様子が見られます。

6. 出社・退社時間が極端に変化する(ギリギリ出社・定時退社)

退職を考える人は、出社が始業ギリギリになり、定時で帰る行動が増えます。残業や早出を避けるなど、会社にいる時間を減らす動きが顕著になります。これは「これ以上ここに時間を使いたくない」という心理の表れです。

以前より職場での滞在時間を意図的に短くする傾向があり、転職活動のスケジュールを優先しているケースもあります。

7. デスク周りの整理・私物の持ち帰り(退職準備の兆候)

退職が近づくと、机やロッカーの整理を急に始めることがあります。私物や文具を少しずつ自宅へ持ち帰る行動も特徴的です。引き出しやデータフォルダの整理を始めるなど、明確に退職準備を進めている場合があります。

個人の物が減り、部署の共有物だけが残る状態になることもあり、無意識のうちに退職へのカウントダウンが始まっている可能性があります。

8. 評価・キャリアへの関心が薄くなる

退職を考えている人は、評価や昇進への興味がなくなり、人事評価への反応も薄くなります。「評価されても意味がない」という諦めが見えるケースも多いです。

会社に長くいるつもりがないため、成長意欲や学習意欲が低下しやすく、自己啓発の興味が社外に向くことも増えます。転職や副業への準備に意識が移っていることが背景にあります。

9. チームとの関わりが減り、孤立傾向になる

退職を考えると、社内イベントや飲み会への参加率が減るほか、雑談や昼食の輪から離れて一人で行動することが増える傾向があります。

他部署との関わりを減らし、社内ネットワークを縮小する行動も見られます。周囲との距離を意図的に置くことで精神的に独立しようとする心理が働いており、退職後を見据えた人間関係の整理を始めている可能性が高いです。

10. 新しい仕事や責任を避ける

退職を考えている人は、新しい業務の依頼を断り、積極的に関わらなくなります。担当変更や新プロジェクトへの参加を避ける行動も増えます。これは「もうこの会社で成長するつもりはない」というサインです。

責任を伴う仕事を拒否し、現状維持を選ぶ傾向が強まり、退職時期を見据えて業務負担を減らそうとする意図が見られます。

仕事を辞めてしまいやすい人のタイプ

離職の兆候は行動として現れますが、その背景には「もともとの傾向」や「価値観」が影響していることも少なくありません。

責任感が強すぎて抱え込みがちな人、内向的で相談が苦手な人、成長志向が強く現職に物足りなさを感じやすい人などは、環境とのズレが続くと急に退職に踏み切ってしまうリスクが高まります。

また、ストレス耐性の低さや職場への愛着の薄さも、トラブルや負荷がかかった際に「辞める」という選択を取りやすくする要因になります。

ここでは、仕事を辞めてしまいやすい人に共通するタイプと、それぞれに対して企業側が意識したい対応のポイントを解説します。

責任感が強く、完璧を求めすぎる

責任感が強い人ほど、与えられた仕事を完璧にこなそうとし、必要以上に業務を抱え込みやすくなります。他者に頼ることが苦手なため、ストレスや疲労を蓄積しやすい点が特徴です。

また、自分の限界を周囲に伝えられず、突然退職を決断するケースも見られます。業務分担が不均衡になりやすいことから、企業側は定期的な面談や負荷調整を行うことで、早期離職を防ぐ効果が期待できます。

内向的で相談が苦手

内向的な人は、不満や悩みを外に出せず、問題を一人で抱え込みやすい傾向があります。周囲が異変に気づきにくいため、退職の兆候が表面化しにくい点が特徴です。

コミュニケーションを避けるようになると、急に離職につながる可能性があります。企業側は定期的な1on1や匿名アンケートを取り入れ、心理的安全性を高める仕組みを整えることが重要です。

キャリア志向・上昇志向が強い

成長意欲が高く、キャリア志向が強い人は、成長実感やスキルアップの機会が得られないと早期に見切りをつける傾向があります。

評価制度やキャリアパスに不満を感じると転職を選択しやすく、「自分の市場価値を上げたい」「次のステージへ進みたい」といった前向きな理由で退職することも多いです。明確なキャリア支援や目標設定制度を整備することで、定着率向上につながります。

ストレス耐性が低く、環境変化に弱い

ストレス耐性が低い人は、職場のプレッシャーや人間関係の不調に過敏に反応しやすい特徴があります。小さなトラブルでも心理的負担を感じやすく、場合によってはメンタル不調につながることもあります。

長時間労働や評価の不透明さが続くと逃避的に退職を選ぶ傾向があるため、ストレスチェックや相談体制の整備が早期離職防止に有効です。

人間関係に関心が薄く、職場への愛着が低い

人間関係への関心が薄い人は、職場内のつながりを最小限に保つため孤立しやすい傾向があります。飲み会や社内イベントを避けるなど、業務外の関わりを持とうとしない点も特徴で、職場への愛着が生まれにくいことから退職への心理的ハードルが低くなります。

メンター制度やチーム連携の強化など、エンゲージメントを高める施策が効果的です。

仕事を辞める人を減らすためにできる5つの対策方法

退職のサインや辞めやすいタイプを把握したうえで重要になるのが、兆候が出てから慌てて対応するのではなく、平常時から離職を防ぐ仕組みを組み込んでおくことです。

日常的な1on1やサーベイで本音を拾い、評価制度やキャリアの見通しに対する納得感を高め、必要に応じて異動・配置転換や働き方の柔軟化でミスマッチや負荷を調整していくことが、結果的に退職の“芽”を小さいうちに摘むことにつながります。

ここでは、離職を減らし、社員が安心して働き続けられる環境をつくるための具体的な5つの対策を紹介します。

定期的な1on1・面談で本音を拾う

辞める兆候がある社員には、上司への信頼低下や会話の減少などコミュニケーションの希薄化が見られます。そのため、1on1やランチ面談など日常的な対話の機会を設けることで、不満やキャリア観の変化を早期に把握しましょう。

また、会議中の発言の減少や表情の変化など、細かなサインに気づけるよう上司の観察力が発揮される環境づくりも大切です。形式だけの面談では本音が引き出せないため、安心して話せる心理的安全性のある場が必要です。否定せず傾聴する姿勢を徹底することで、社員が抱える不安を和らげ離職防止につながります。

サーベイツールで組織状態を可視化する

日常会話だけでは把握しきれないストレスや不安を定量的に測るには、サーベイツールの活用が有効です。サーベイを定期的に実施することで、組織全体のエンゲージメントや離職リスクを数値で把握できます。

匿名で回答できる点は、社員の本音を引き出す大きなメリットです。結果を分析することで、チームごとの課題や傾向を早期に特定し、改善施策に反映できます。継続的に実施することでコンディションの変化を追跡し、辞めそうな人の兆候を早期発見しましょう。

評価制度の透明化と納得感を醸成する

離職理由として頻出するのが「努力や成果が正当に評価されていない」という不満です。評価基準を明確化し、本人へ丁寧に説明やフィードバックを行うことで納得感が高まります。

また、360度評価など多面的な評価を取り入れることで公平性を向上できます。成果だけでなく行動プロセスも評価対象に含める仕組みが、社員の安心感を支えるためです。

待遇面の不満を放置すると優秀な人材から離職していく可能性があるため、定期的な制度見直しが欠かせません。

キャリア支援・異動でミスマッチを防ぐ

社員の将来像と業務内容が一致していない場合、キャリアミスマッチが発生し離職リスクが高まります。キャリア面談を通じて目標や価値観を共有し、必要に応じて異動や配置転換を検討することが重要です。

中でもZ世代や若手は成長機会や自己実現を強く重視しており、挑戦機会が少ない環境は離職理由になります。社内公募制度やスキルアップ支援を整えることで、社内で将来のキャリアを描きやすくなります。

休職・柔軟勤務など心理的安全性を確保する

心身の疲労や職場ストレスが強い社員には、休職や時短勤務など柔軟な働き方の選択肢が必要です。過重労働や人間関係によるストレスを軽減する制度は、離職防止に効果があります。

テレワークやフレックスタイムを導入することで、ワークライフバランスの改善が進みます。休職制度の運用だけでなく、復職支援やメンタルケアの体制を整えることで継続的なサポートが可能です。


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