• 作成日 : 2026年1月14日

高麗人参の栽培は儲かる?日本での難易度や失敗リスク、収益性を解説

高麗人参の栽培は、適切に管理できれば高い付加価値を生み出す一方、収穫までに長期間を要し、栽培条件も厳しいことから、典型的なハイリスク・ハイリターン型の事業といえます。十分な知識や準備がないまま参入すると、連作障害による土壌の劣化や、病害による栽培途中での全滅など、回復が難しい損失を被るリスクもあります。

この記事では、日本で高麗人参栽培を検討する際に押さえておくべき収益構造の考え方、栽培上の具体的な難しさ、そして失敗を回避するためのリスク管理のポイントを、わかりやすく解説します。

高麗人参の栽培は本当に儲かる?

高麗人参の栽培は、順調に育成・販売まで至れば高い利益が期待できる一方、収益化までに数年単位の継続的な投資が必要となる事業です。一般的な野菜のように短期間で資金回収できる作物ではなく、栽培期間を通じてコストを積み上げ、時間をかけて利益を確定させる点で、長期投資に近い性質を持っています。そのため、「儲かる」という結果だけに注目するのではなく、収穫に至るまでのコスト構造やリスクを正確に把握することが重要といえるでしょう。

ここでは、高麗人参がなぜ高い収益性を秘めているのか、その背景にある理由と、現実的なコスト感について解説します。

結論:ハイリスク・ハイリターンだが成功すれば利益は大きい

高麗人参栽培は、長期的な視点で資金と労力を投下できれば、高い利益率を狙えるビジネスモデルといえます。一般的な農作物は天候や作付面積の増減によって供給量が変動しやすく、いわゆる豊作貧乏に陥りがちですが、高麗人参は栽培難易度が高く参入障壁も大きいため、供給が急増しにくく、価格が比較的高水準で維持されやすい作物です。とくに品質管理を徹底し、6年根として出荷できた場合の単価は、他の農作物とは比べても極めて高額になります。

一方で、利益が確定するのはあくまで「計画通りに収穫まで到達できた場合」に限られます。栽培期間中は数年間にわたり売上が立たない状態が続き、その間も肥料代や遮光資材、管理作業などのコストは継続的に発生します。途中で病害や生育不良が起きれば、それまでの投資が回収できない可能性もあるため、一定の不確実性を伴う農業経営である点は十分に理解しておく必要があるでしょう。

市場価格が高値で安定している理由

高麗人参の市場価格が下がりにくい主な理由は、世界的な健康志向の高まりによる需要の拡大に対して、栽培できる地域が極めて限定されている点にあります。高麗人参は古くから漢方薬や健康食品の原料として利用されてきた歴史があり、中国や韓国、日本を中心に安定した需要が存在します。近年ではサプリメントや美容分野での活用も進み、原料としての用途はむしろ広がりつつある状況です。

一方で、こうした需要に応じて供給量を短期間で増やすことは容易ではありません。高麗人参の栽培には特有の土壌条件や気候、長期の管理期間が求められ、誰でもどこでも生産できる作物ではないためです。この参入障壁の高さが供給過多を防ぐ役割を果たし、結果として市場価格の安定と生産者の収益性を支える要因となっています。

10a(アール)あたりの収益目安とコスト

高麗人参の10a(1000m2)あたりの粗収益は数百万円規模に達することもありますが、正確に利益を見積もるには、栽培年数で割り戻して単年度ベースで捉える視点が欠かせません。たとえば4年で収穫する場合、年あたりの売上に換算すると一般的な野菜と大差がない、あるいはコスト水準によっては見劣りする可能性もあります。

コスト面では、専用の遮光資材の設置費用や種苗代といった初期投資に加え、数年間にわたる除草や防除(消毒)などの管理労務費が積み上がります。日本国内での栽培事例でも、見かけの売上額だけで判断せず、投じた時間と資材費を差し引いた純利益率を前提に、慎重にシミュレーションしておく必要があります。

高麗人参の栽培が「難しい」と言われる理由は?

高麗人参が栽培困難とされる最大の要因は、収穫までに長い年月を要する点と、栽培後に土地の再利用が難しくなる特有の性質にあります。単に種をまけば育つ作物ではなく、適した土地の選定から日照管理、病害対策、そして収穫に至るまで、長期間にわたる徹底した管理と長い忍耐が求められます。とくに日本国内の気候や土壌条件では、高温多湿への対策や連作を避けるための土地確保が大きな課題となるでしょう。

ここでは、高麗人参の栽培難易度を高めている主要な要因について解説します。

収穫できるまで4年〜6年の歳月が必要だから

商品価値のある薬用人参として出荷するには、有効成分が十分に蓄積されるまで育成する必要があり、最低でも4年から6年に及ぶ栽培期間を要します。1年や2年で収穫できる作物ではなく、長い年月をかけて土中で根を成熟させることが不可欠です。この栽培期間の長さこそが、資金回収までの時間を引き延ばし、参入を難しくする最大のハードルと言えるでしょう。

また、栽培期間が長い分、自然災害や病害虫といった外部リスクにさらされる期間も必然的に長くなります。台風や猛暑、害虫の発生など、数年間のうちに一度でも致命的な被害を受ければ、それまで積み重ねてきた投資と労力が回収できなくなる可能性があります。6年後の収穫を見据え、日々の地道な管理を長時間継続する忍耐力が求められます。

連作障害で一度植えた畑は10年ダメになるから

高麗人参栽培でもっとも注意すべき点は、極めて強い連作障害(忌地現象)にあります。一度栽培に使用した土地は、その後10年から15年程度にわたり再利用が難しくなるとされており、同じ圃場での継続栽培は現実的ではありません。高麗人参は生育過程で土壌中の養分を集中的に吸収するうえ、特有の病原菌が残りやすいため、収穫後の土壌は著しく劣化し、病害リスクも高まります。その結果、同一場所での連作は不可能となります。

さらに、条件によって高麗人参の後作として他の作物を植えても、生育不良を起こすほど土壌環境が悪化するケースもあります。つまり、高麗人参栽培を継続するには、定期的に新たな農地を確保し続ける必要があります。日本のように国土が限られ、かつ栽培適地も限定される環境では、条件を満たす新規農地を継続的に確保することは容易ではなく、これが高麗人参の栽培農家が増えにくい大きな要因となっています。

徹底した日除けや土壌管理の手間がかかるから

高麗人参の育成には、直射日光を避けるための専用遮光施設の設置と、極めて繊細な水分管理が欠かせません。高麗人参は強い日差しを嫌う半陰性の植物であり、季節や太陽高度の変化を踏まえて日照を調整しつつ、風通しを確保して地温や気温の上昇を抑える必要があります。とくに近年の日本では猛暑が常態化しており、冷涼な環境を好む高麗人参にとっては、従来以上に厳しい栽培条件となっています。

加えて、土壌の水分管理も非常にデリケートです。乾燥が進めば生育が停滞し、過湿状態が続けば根腐れを引き起こすため、降雨に任せた管理は現実的ではありません。排水性を重視した土づくりを行ったうえで、日々の観察を通じて水分状態を細かく調整する技術が求められます。放置して育つ作物ではなく、常に目を配る必要のある管理負荷の高い作物と捉えるべきでしょう。

日本で高麗人参を栽培するなら知っておきたい知識とは?

日本国内での高麗人参栽培を検討する際は、まず商業生産を前提とした「農地栽培」か自然環境を活かす「山養」かを、目的と立地条件に応じて選択することから始まります。高麗人参(オタネニンジン)は、古くから長野県、福島県、島根県などで栽培の実績があり、気候や地形に適した地域で受け継がれてきました。ただし、安定的な収益を目指す商業栽培と、個人レベルで行う趣味的な栽培とでは、必要となる設備や管理体制、リスクの考え方が大きく異なります。どのような環境で、どの手法を選ぶのが適切かを事前に把握することが、失敗を防ぐ第一歩です。

ここでは、栽培スタイルの違いや種苗の入手方法など、高麗人参栽培を始めるうえで押さえておきたい実践的な知識を紹介します。

農地栽培と山間部での「山養」の違い

高麗人参の栽培スタイルは大きく分けて、畑で集中的に管理し収量を確保する「農地栽培」と、山林の自然環境を活かして育てる「山養(サンヤン)栽培」の2種類があります。農地栽培は、畑に日除け棚を設置し、肥料や防除資材を用いながら生育環境をコントロールする方法です。生育条件を人為的に調整できるため、成長が比較的早く、収量や品質を一定水準で確保しやすく、商業ベースで取り組む際の主流となっています。

一方、山養栽培は山林に種子をまき、自然に近い環境で長期間育てる手法です。管理作業は比較的少なくて済むものの、生育は緩やかで、収穫までにより長い年月を要します。また、鳥獣被害や自然条件の影響を受けやすいというリスクもありますが、その分、自然環境下で育った根は希少価値が高く、市場では高値で取引される傾向があります。所有する土地の立地や目的に応じて、適した栽培方法を選択することが重要です。

種や苗の購入方法と選び方

高麗人参の種子や苗は一般的なホームセンターでは流通しておらず、専門の種苗会社や産地の生産組合など、限られたルートから入手する必要があります。栽培農家が少ないニッチな作物であるため流通量も限定的で、品質の悪い種苗を使用すると、数年後の収穫量や品質に直接影響する点には注意が必要です。そのため、価格だけで判断せず、実績のある信頼できる入手先を探すことが欠かせません。

また、種子から育てる場合は、休眠を打破して発芽を促すための「開口(かいこう)」と呼ばれる特殊な処理が必要となり、管理難易度が高く、初心者には大きなハードルとなります。このため、実務的には、すでに1年間育苗された「苗参(1年根)」を購入して植え付ける方法が現実的です。苗から始めることで、発芽不良のリスクを回避できるだけでなく、栽培期間を実質的に1年短縮できるというメリットがあります。

初心者は栽培キットやプランターから挑戦

いきなり畑を借りて始めるリスクを避けるため、初心者はプランター栽培や栽培キットを使った小規模な試行からスタートするのが賢明です。高麗人参は土壌条件や水分管理の影響を受ける作物であり、広い畑で一度に始めると、管理が行き届かず失敗するリスクが高くなります。プランター栽培であれば、専用の培養土を使用することで、連作障害や排水不良といった土壌トラブルを回避しやすくなるでしょう。

また、プランターは移動が可能なため、季節ごとの日照調整や、台風・豪雨時の一時避難も容易です。ベランダや軒下など目の届く場所で日々観察を重ねることで、高麗人参特有の生育リズムや弱点を実感として理解できます。まずは数本の苗を枯らさずに育てられるかを確認し、数年単位の「予行演習」として取り組んでみることが、将来的な本格栽培への近道といえるでしょう。

高麗人参栽培の失敗リスクは?

高麗人参栽培における主なリスク要因は、収穫直前の段階でも発生し得る病害による壊滅的な被害や、獣害・盗難といった外的要因による物理的な損失です。栽培期間が長い作物であるからこそ、失敗した際の損失額や心理的ダメージは大きく、「あと少しで収穫」という最終段階ですべてを失う事例も決して珍しくありません。こうした特性を踏まえると、収益性といったポジティブな側面だけでなく、想定されるトラブルを事前に洗い出し、対策を講じておくことが経営の安定に直結するといえます。

ここでは、高麗人参の栽培過程で直面しやすい病害や、外的要因に起因するリスクについて解説します。

栽培途中で枯れる・病気にかかるリスク

栽培期間が長期化するほどリスクが高まるのが、「立枯病」や「根腐れ病」といった土壌由来の致命的な病害です。これらは一度発生すると周囲の株へ急速に広がり、条件次第では畑全体が壊滅することもあります。とくに4年目や5年目など、収穫直前の段階で発生しやすい傾向があり、生産者にとって最大のリスク要因といえるでしょう。

また、生理障害によって地上部が枯死すると、光合成が行えなくなり、根の肥大もそこで止まってしまいます。高麗人参は使用できる農薬に制限があるため、発病後の対症療法には限界があり、事前の予防対策が極めて重要です。そのため、土壌消毒や排水性の確保といった環境づくりを徹底するとともに、日常的に生育状況を観察し、異変を早期に察知する管理体制が求められます。

獣害や盗難による損失のリスク

山間部や人里離れた圃場で高麗人参を栽培する場合、イノシシやシカなどの野生動物による食害に加え、高付加価値作物であるがゆえの盗難リスクも無視できません。野生動物は栄養価の高い根を好んで掘り起こす習性があり、侵入を許すと一晩で圃場全体が荒らされるケースもあります。そのため、頑丈な防護フェンスや電気柵の設置が必要となり、これらは栽培コストを押し上げる固定的な経費として事前に折り込んでおく必要があります。

さらに、高麗人参は換金性が高く、収穫期が近づいた圃場は盗難の標的になりやすいという現実があります。実際に、夜間に成熟した根が持ち去られる事例も報告されており、監視カメラの設置や定期的な見回りなど、防犯対策にも相応のコストと労力が求められる点を理解しておくことが重要です。

高麗人参はリスクを理解した上で栽培に挑戦しよう

高麗人参はハイリスクである一方、十分な準備と継続的な管理を前提とすれば挑戦しがいのある作物です。成功の鍵は、安易な儲け話に流されることなく、栽培期間の長さや失敗時の損失を織り込んだうえで、徹底したリスク管理を行うことにあります。決して簡単に利益が出るビジネスではありませんが、栽培技術を積み上げ、品質の高い根を安定的に育てられるようになれば、他の作物では得がたい達成感と収益性を両立できる可能性があります。

まずはプランターなどの小規模な環境から始め、高麗人参特有の生育条件や管理の難しさを実体験として理解したうえで、本格的な栽培への段階的にステップアップすることを検討してみてはいかがでしょうか。


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