- 作成日 : 2025年3月7日
リースバックで資金調達するメリット・デメリットは?流れや成功のポイントを解説
事業者の資金調達として、銀行融資や株式・債券発行を思い浮かべる方もいることでしょう。これらに加え、法人所有の不動産を利用して資金調達する「リースバック」という方法もあります。
本記事では、リースバックの概要や資金調達の流れ、資金調達を成功させるポイントにも触れていますので、ご参考にしてみてください。
目次
リースバックによる資金調達とは
事業者向けのリースバックの流れを以下で簡単に確認しましょう。
- 事業者はリースバック会社に不動産を売却する
- 事業者はリースバック会社から売却金を受け取る
- 事業者はリースバック会社にリース料を支払い、今まで通り不動産を使う
リースバックで得た資金は返済の必要はありません。リース料を払い続けることで、これまで通り不動産を使い続けられます。
なお、リースバックと混同しがちな資金調達方法にリバースモーゲージと不動産担保ローンがあります。以下の表で違いを確認しておきましょう。
| リースバック | リバースモーゲージ | 不動産担保ローン | |
|---|---|---|---|
| 利用できる人 | 個人・事業者 | 個人 | 個人・事業者 |
| 担保 | なし (不動産を売却) | 自宅 | 不動産 |
| 資金使途 | 原則自由 (事業資金など) | 住居に関する費用や 生活費など (事業資金は不可) | 原則自由 (事業資金など) |
| 融資金額 | 不動産の売却代金 (手数料は引かれる) | 不動産評価額の 50~60%程度 | 不動産評価額の 60~80% |
| 特徴 | 不動産を売却しても 賃料を支払ってそのまま使い続けられる | 50歳以上など、利用年齢に制限がある場合が多い | 不動産売却はない 融資された資金の返却が必要 |
リバースモーゲージとの違い
リバースモーゲージは個人が利用できる資金調達方法です。自宅を売却せず担保にして融資金を借り入れます。借り入れた資金の用途は住居に関する費用(住宅ローン、リフォーム資金など)や生活費とされ、事業資金にはできません。
利用できる人の年齢は50歳以上など限定されています。契約者の生前中は、利息分のみ返済し、融資金の元本部分の返済の必要はありませんが、亡くなったあとは、元本部分を返済します。
不動産担保ローンとの違い
不動産担保ローンもリバースモーゲージ同様、不動産を担保にして融資金を受け取れます。資金の使途が限られていない場合も多く、事業資金にすることも可能です。
不動産担保ローンとリースバックの大きな違いは所有権です。リースバックの場合、不動産の所有権がリースバック会社になるのに対し、不動産担保ローンでは所有者は変わりません。
また、リースバックで受け取る金額は売却代金のため返済は不要ですが、不動産担保ローンの場合は返済義務があります。
リースバックで資金調達するメリット・デメリット
リースバックで資金調達するメリットとデメリットも確認しましょう。
メリット
リースバックのメリットは以下の通りです。
- 資金調達がしやすい:不動産を売却すると、まとまった金額が得られます。受け取った金額の使途は自由です。借入金が多い場合、売却代金を返済に充てることができます。
- 事業継続に問題が出ない:不動産を売却しても、リース料を支払えば退去する必要がないため、事業継続に問題は生じません。事業所変更に伴う諸手続きも不要です。
- 財務改善になる:リースバックでは不動産を売却するため、固定資産が減り、バランスシートの改善につながります。また、売却後は固定資産税を支払う必要もなくなります。
デメリット
リースバックのデメリットもご紹介します。
- 賃料を払わなければならない:リースバックで売却された不動産をそのまま使い続ける場合、賃料を毎月支払う必要があります。また、賃料が周辺の賃貸価格の相場より高めになる場合も多いため、注意が必要です。
- 買い戻しはできても価格が高めになる場合が多い:契約によっては、リースバックした不動産を買い戻せる場合もあります。しかし、買い戻し時は周辺の相場と比較して何割か上乗せされた金額を支払うのが一般的です。
- 自由に改築・修繕できない:リースバック後も賃料を支払えば不動産の利用はできます。しかし、改築・修繕をしたい場合はリースバック会社の許可が必要になります。
リースバックでの資金調達がおすすめなケース
リースバックでの資金調達をおすすめしたいケースを2つご紹介します。
急いで資金調達したい時
融資の場合、借入金額や財務状況について厳しい審査があります。しかし、リースバックでは厳格な審査はありません。融資審査に通らない可能性がある事業者が、急いで資金調達したい場合におすすめの資金調達方法といえます。
まとまった資金を調達したいとき
リースバックの場合、手数料は引かれますが、不動産の売却代金を受け取れます。まとまった資金を調達したい場合に適切です。
リースバックで資金調達する流れ
リースバックで資金調達する流れは以下の通りです。
- 業者の選定
- 資産の査定
- 契約
- 賃料を支払う
①業者の選定
まずは業者の選定です。その際、取引実績や周辺地域の相場なども業者に確認してください。
②資産の査定
業者が決定したら、不動産を査定してもらいます。査定内容の確認だけでなく、リースバック契約の内容についても話し合いましょう。特に将来不動産の買い戻しを検討している場合はその点についても確認してください。
③契約
査定や契約内容に納得したら、リースバック会社と契約し、不動産を売却します。売主は売却金が受け取れます。
④賃料を支払う
賃料(リース料)を支払うと売却した不動産を使い続けることができます。退居の必要はありません。
リースバックによる資金調達を成功させるポイント
リースバックによる資金調達を成功させるポイントを押さえておきましょう。
信頼できる事業者を選ぶ
リースバックを成功させるためには、信頼できる事業者を探すことが重要です。過去の取引例や評判も確認することをおすすめします。
売却額が適正か注意する
周辺地域の不動産価格と比較して、売却価格が適正であるかも確認してください。また、周辺地域の価格と乖離している場合、その理由をきちんと説明できるかもチェックしましょう。
家賃の値上げや買い戻しの可否など、重要事項を確認する
リースバック契約前に重要事項として以下をチェックしましょう。
- 契約期間はいつまでか、将来家賃値上げの可能性があるか、敷金・礼金が発生しないかを確認してください。
- 買い戻しの可否を確認しましょう。また、買い戻しが可能な場合、手数料など代金の上乗せがどの程度あるか、そして条件も確認してください
- こちらの判断で設備・建物の修繕ができるか、できる場合は費用の負担についても確認してください
- 買い戻ししない場合、退去時の原状回復義務についても確認しましょう。
資金調達のためにリースバックの活用も検討しよう
事業者の資金調達の方法はいくつかあります。例えば、金融機関からの融資の場合、借入金の有無やその金額、財務状況など厳格な審査があります。また、審査に時間がかかることも珍しくありません。そのため事業者によっては、利用しにくいと感じるでしょう。その点、リースバックは不動産を売却するため、融資のように厳格な審査はなく、リース料を毎月支払えば、不動産を今までのように使い続けることもできます。まとまった金額を急いで調達したいと考える事業者におすすめの方法です。さらに、契約によっては買い戻しもできるという利点もあります。
ただし、リースバックの場合、修繕などを行う際には、リースバック会社の承諾が必要な場合が多い、買い戻しの際は周辺地域の相場よりも金額が高くなるなどの注意点もあります。メリット・デメリットを十分理解したうえで利用を検討しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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