• 作成日 : 2025年12月2日

スプレッドシートで全角を半角に変換する方法とは?関数と置換を使った文字変換テクニック

Googleスプレッドシート(Google Sheets)でデータを扱う際、全角文字と半角文字が混在していると、検索・並べ替え・集計などの処理で思わぬエラーや不整合が発生することがあります。

特に、外部システムからのデータ取り込みや複数人での入力が行われる場合、文字の形式が統一されていないケースは少なくありません。

本記事では、スプレッドシートで全角文字を半角に変換する方法を、ASC関数・検索と置換機能・正規表現・Google Apps Script の4つのアプローチから解説します。

スプレッドシートで全角を半角にする基本的な方法

スプレッドシートで全角文字を半角文字に変換する方法は、ASC関数を使用することで、この関数により英数字、カタカナ、記号などの全角文字を対応する半角文字に一括変換できます。 ASC関数は「ASCII」の略で、全角文字を半角のASCII文字に変換する専用関数として設計されています。

ASC関数の基本的な使い方は非常にシンプルです。変換したいセルがA1にある場合、別のセルに「=ASC(A1)」と入力するだけで、A1セルの全角文字が半角に変換されて表示されます。

例えば、「ABC123」という全角文字は「ABC123」に、「カタカナ」は「カタカナ」に変換されます。この関数の優れた点は、変換可能な文字のみを自動的に半角に変換し、ひらがなや漢字などの半角が存在しない文字はそのまま保持することです。

大量のデータを変換する場合は、ASC関数を含む数式を下方向にコピーすることで、列全体のデータを一括変換できます。例えば、A列に元データがある場合、B1セルに「=ASC(A1)」を入力し、B1セルを選択した状態でセルの右下角をダブルクリックすると、データが存在する最終行まで自動的に数式がコピーされます。

ASC関数で変換される文字の種類

ASC関数による変換対象は以下の通りです。

  1. 英字:全角のA〜Z、a〜zは半角のA〜Z、a〜zに変換
  2. 数字:全角の0〜9は半角の0〜9に変換
  3. カタカナ:全角カタカナは半角カタカナに変換(例:ア→ア、カ→カ)
  4. 記号:全角の記号類は対応する半角記号に変換(例:!→!、?→?)
  5. スペース:全角スペースは半角スペースに変換

ただし、濁点や半濁点を含むカタカナは、文字と濁点・半濁点が分離されて変換される場合があります。例えば、「ガ」は「ガ」(半角カ+半角濁点)になります。この点は、データの用途によっては注意が必要です。

変換後のデータの固定化

ASC関数で変換したデータは、数式の結果として表示されているため、元のデータが変更されると変換結果も自動的に更新されます。変換結果を固定したい場合は、値として貼り付ける必要があります。変換結果のセル範囲を選択し、コピー(Ctrl+C)した後、「編集」→「特殊貼り付け」→「値のみ貼り付け」を選択することで、数式を値に変換できます。

この操作により、元データとの依存関係が切断され、独立したデータとして扱えるようになります。元データが不要になった場合は、削除しても変換後のデータには影響しません。

検索と置換機能を使った部分的な変換

特定の文字や文字列のみを全角から半角に変換したい場合は、「検索と置換」機能を使用することで、より細かい制御が可能になります。 この方法は、すべての文字を一律に変換するのではなく、選択的に変換したい場合に特に有効です。

検索と置換機能を使用するには、まず変換したい範囲を選択し、「編集」メニューから「検索と置換」を選択するか、ショートカットキー(Ctrl+H)を使用します。表示されるダイアログボックスの「検索」フィールドに全角文字を、「置換後の文字列」フィールドに対応する半角文字を入力します。

例えば、全角数字のみを半角に変換したい場合は、以下のように個別に設定します。

  • 「0」を「0」に置換
  • 「1」を「1」に置換
  • 「2」を「2」に置換 (以下、9まで同様)

正規表現を使った高度な置換

Googleスプレッドシートの検索と置換機能では、正規表現を使用できます。「正規表現を使用した検索」にチェックを入れることで、パターンマッチングによる柔軟な置換が可能になります。

ただし、全角から半角への一括変換を正規表現で行うことは複雑なため、通常は個別の文字や特定のパターンに対して使用します。例えば、全角スペースを半角スペースに置換する場合は、検索フィールドに「 」(全角スペース)、置換フィールドに「 」(半角スペース)を入力します。

複数の置換を連続して行う場合は、マクロ記録機能を使用することで、一連の操作を自動化できます。「ツール」→「マクロ」→「マクロを記録」を選択し、置換操作を記録した後、必要に応じて再実行できます。

REGEXREPLACE関数による柔軟な文字変換

より高度な変換処理が必要な場合は、REGEXREPLACE関数を使用して、正規表現によるパターンマッチングで特定の全角文字を半角に変換できます。 この方法は、複雑な条件での変換や、部分的な変換を行う際に威力を発揮します。

REGEXREPLACE関数の基本構文は以下の通りです。

=REGEXREPLACE(テキスト, 正規表現, 置換文字列)

REGEXREPLACE関数は、特定のパターン(例:数字以外の文字を空文字に置換するなど)を処理する場合には強力ですが、文字コードを一つずつ変換するような処理には不向きであり、数式が極めて複雑になります。 そのため、全角英数字やカタカナを半角に変換したい場合は、専用のASC関数を使用するのが最も確実で効率的です。

ASC関数の基本構文は以下の通りです。

=ASC(テキスト) 例: =ASC(A1)

この関数を使用すれば、複雑な設定なしに全角の英数字や記号、カタカナを適切な半角文字に変換できます。

SUBSTITUTE関数による個別置換

SUBSTITUTE関数を使用して、特定の全角文字を半角に置換する方法もあります。

=SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(A1,”0”,”0″),”1”,”1″),”2”,”2″)

この方法は、置換したい文字が限定的な場合に有効ですが、すべての文字を網羅するには数式が長大になるため、ASC関数の使用が推奨されます。

Google Apps Scriptによる自動変換

大量のデータを定期的に処理する場合や、より複雑な変換ルールを適用する必要がある場合は、Google Apps Scriptを使用して自動変換システムを構築できます。 スクリプトによる処理は、手動操作を削減し、エラーを防ぐ効果があります。

以下は、選択範囲の全角文字を半角に変換する基本的なスクリプトです。

function convertToHalfWidth() {

var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet();

var range = sheet.getActiveRange();

var values = range.getValues();

for (var i = 0; i < values.length; i++) {

for (var j = 0; j < values[i].length; j++) {

if (typeof values[i][j] === ‘string’) {

values[i][j] = toHalfWidth(values[i][j]);}}}

range.setValues(values);}

function toHalfWidth(str) {

return str.replace(/[A-Za-z0-9]/g, function(s) {

return String.fromCharCode(s.charCodeAt(0) – 0xFEE0);

}).replace(/ /g, ‘ ‘);}

このスクリプトをスプレッドシートに追加するには、「拡張機能」→「Apps Script」を選択し、スクリプトエディタにコードを貼り付けます。保存後、スプレッドシートから実行できるようになります。

カスタムメニューの追加

頻繁に使用する変換機能は、カスタムメニューとして追加すると便利です。

function onOpen() {

var ui = SpreadsheetApp.getUi();

ui.createMenu(‘文字変換’)

.addItem(‘全角→半角’, ‘convertToHalfWidth’)

.addToUi(); }

このコードを追加することで、スプレッドシートを開くたびに「文字変換」メニューが表示され、ワンクリックで変換処理を実行できます。

目的に応じた方法で全角・半角の統一を行おう

Googleスプレッドシートで全角文字を半角に変換する方法には、関数・置換・スクリプトなど複数の手段があります。

  • ASC関数:シンプルな一括変換に適しており、英数字やカタカナの形式統一に便利
  • 検索と置換機能:特定の文字や範囲だけを部分的に変換したい場合に有効
  • Google Apps Script:定期的な大量データ処理や複雑な変換ルールを自動化したい場合に活用できる

データ量や作業頻度に応じて適切な方法を選ぶことで、ミスを防ぎながら効率的に整形作業を進められます。

全角・半角の統一は、正確なデータ分析やシステム連携の基盤となる重要なステップです。日常的なメンテナンスの一環として取り入れておくと安心です。


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