- 更新日 : 2025年12月2日
スプレッドシートで小数点以下を表示しないようにするには?
Googleスプレッドシート(以下、スプレッドシート)で金額や数量を扱う際、小数点以下の数字が不要になることはよくあります。本記事では、スプレッドシートで小数点以下を表示させない方法を、初心者向けに詳しく解説します。
セルの書式設定から関数を使った方法まで、複数のアプローチをご紹介し、状況に応じた最適な選択ができるようにサポートします。
目次
スプレッドシートで小数点以下を非表示にする方法
スプレッドシートで小数点以下を表示しない方法は、大きく2つに分かれます。 ひとつは「表示形式を変更する」やり方で、セルに入っているデータ自体は変わらず、画面上の表示だけを整える方法です。もうひとつは「関数を使って小数点以下を削除する」方法で、実際のセルの値そのものを変更します。
表示形式の変更は、元のデータを保持したいときに活躍します。一方、関数による削除は、計算や集計を正確に行う必要があるときに重宝します。どちらを選ぶかは、業務内容やデータの用途によって異なります。
1. 表示形式の設定で小数点以下を非表示にする方法
小数点以下を非表示にしたいセルを選択する
まず、スプレッドシートで小数点以下を表示しないようにしたいセルやセル範囲を選択します。単一のセルを選ぶ場合はそのセルをクリック、複数のセルを選ぶ場合はドラッグして範囲指定します。また、列番号や行番号をクリックすれば、その列全体または行全体を選択できます。
右クリックメニューから書式設定を開く
選択したセルの上で右クリック(Macの場合は「Control+クリック」)を行うと、コンテキストメニューが表示されます。そのメニューから「表示形式」を選択すると、表示形式の設定画面が開きます。
別の方法として、画面上部のメニューバーから「表示形式」をクリックしても同じ画面に到達できます。スプレッドシートは複数のアクセス経路を用意しているため、使いやすい方法を選べます。
表示形式ダイアログで小数点以下の桁数を設定する
表示形式の画面で「数値」カテゴリを選択します。スプレッドシートの表示形式ダイアログには、「小数点以下の桁数」という項目があります。この欄に「0」を入力すれば、小数点以下のすべての数字が非表示になります。
例えば、23.456というデータがセルに入っていた場合、小数点以下の桁数を「0」に設定すると、画面上では「23」と表示されます。ただし、セル自体のデータは23.456のままで、計算に使用する際にはこの値が参照されることに注意しましょう。
設定完了と確認
「適用」ボタンをクリックすれば、選択したセルの表示形式が即座に変わります。スプレッドシートは変更を自動保存するため、別途保存操作は不要です。複数のセルを選択している場合、すべてのセルに同時に同じ書式が適用されます。
2. ROUND関数を使って小数点以下を四捨五入する方法
ROUND関数の基本的な使い方
ROUND関数は、指定した桁数で数値を四捨五入するスプレッドシート関数です。 構文は「=ROUND(数値, 桁数)」で、桁数に「0」を指定すると小数点以下がすべて四捨五入されます。例えば「=ROUND(23.456, 0)」と入力すれば、結果は「23」になります。
ROUND関数の利点は、元のセルと異なるセルに結果を表示できることです。もとのデータは別セルに保持しつつ、計算用には四捨五入された値を使うという使い分けが可能になります。
ROUND関数の実行手順
小数点以下を四捨五入したい値が、例えばセルA1に入っているとします。別のセル(例:B1)に「=ROUND(A1, 0)」と入力して、Enterキーを押すと、A1の値が四捨五入され、B1に表示されます。
複数のセルに対してROUND関数を一括適用したい場合は、最初のセルに関数を入力した後、そのセルの右下にある小さな四角をドラッグして下に引っ張ります。スプレッドシートは自動的に参照セルをずらしながら関数を複製してくれます。
四捨五入の動作を理解する
ROUND関数で桁数を「0」に設定した場合、標準的な四捨五入ルールが適用されます。小数第1位が5以上なら切り上げ、4以下なら切り下げです。例えば、23.5は24に、23.4は23になります。
ただし、コンピュータ内部では一部の小数がぴったりの値として表現できず、ほんのわずかにズレた値として扱われることがあります。その結果、本来は 1.005 → 1.01 と丸めたいのに 1.00 になってしまう、といったケースがまれに発生します。
ROUNDを使う際には、重要な計算についてはサンプル値で結果を確認したり、必要に応じて計算式を調整するなどして、期待通りに丸められているかをチェックすることをおすすめします。
3. INT関数を使って小数点以下を切り捨てる方法
INT関数の特徴と使用場面
INT関数は、小数点以下を切り捨てて「常に小さい方の整数(負の無限大側)」に丸める関数です。構文は「=INT(数値)」で、ROUND関数とは異なり、四捨五入ではなく一方向(下方向)への丸めになります。
例えば、
- =INT(23.999) → 23
- =INT(5.8) → 5
と、正の数では「小数部分を捨てる」イメージで使えますが、
- =INT(-2.3) → -3
のように、負の数では 0 から遠ざかる方向に丸められる点に注意が必要です。
商品の個数や人数など、通常は負の値を扱わないケースであれば、INT関数で「5.8個 → 5個」といった形にそろえる用途で安全に利用できます。
INT関数を使用する手順
スプレッドシートで、小数点以下を切り捨てたいセル(例:A1)に対して、別のセル(例:B1)に「=INT(A1)」と入力します。Enterキーを押すと、A1の値が切り捨てられ、B1に整数値のみが表示されます。
INT関数もROUND関数と同様に、セルの右下の小さな四角をドラッグして、複数セルへの一括適用が可能です。大量のデータを処理する場合、この方法が効率的です。
四捨五入と切り捨てによる処理の違い
重要な違いは、ROUND関数は「四捨五入」で結果を丸める一方、INT関数は「切り捨て」で結果を整えることです。例えば、23.6というデータに対して、ROUND関数なら24、INT関数なら23という結果になります。
財務計算や統計分析など、精密な四捨五入が必要な場面ではROUND関数を、単純に小数部分を削除したい場合はINT関数を選ぶのが適切です。
4. TRUNC関数を使った別の切り捨て方法
TRUNC関数の基本的な役割
TRUNC関数は、小数点以下を指定した桁数で切り捨てるスプレッドシート関数です。 構文は「=TRUNC(数値, 桁数)」で、INT関数と似ていますが、より細かく桁数を指定できます。例えば「=TRUNC(23.456, 0)」と入力すれば、小数第1位以下がすべて切り捨てられ、結果は「23」になります。
TRUNC関数とINT関数の大きな違いは、負の数への対応です。INT関数は負の数に対して下方向に切り捨てますが、TRUNC関数はゼロ方向に切り捨てます。例えば、-23.6に対してINT関数なら-24、TRUNC関数なら-23になります。
TRUNC関数の実行例
スプレッドシートで、セルA1に「23.456」が入っているとします。別セルに「=TRUNC(A1, 0)」と入力すれば、結果は「23」です。小数第2位まで残したければ「=TRUNC(A1, 2)」と入力すれば、「23.45」となります。
TRUNC関数は、INT関数やROUND関数よりも細かな制御が可能なため、データの加工に手間をかけたくない場合に便利です。
5. 計算結果の小数点以下を表示しない設定
計算式に小数点が含まれる場合の対応
スプレッドシートで「=A1/B1」といった除算を行うと、通常は小数点を含む結果が表示されます。この計算結果の小数点以下を表示しないようにするには、ROUND関数やINT関数で計算式全体をくるむ方法が一般的です。
例えば、「=ROUND(A1/B1, 0)」と入力すれば、A1をB1で割った結果が四捨五入され、小数点以下なしで表示されます。
計算結果に対する表示形式の変更
別の方法として、計算結果のセルに対して、表示形式から「小数点以下の桁数:0」を設定することもできます。この場合、セルに入っている実際の値は小数を含んでいますが、画面上は整数のみが表示されます。
どちらの方法を選ぶかは、その後の計算で小数値が必要かどうかで判断します。小数値が不要なら関数で削除、小数値を保持して表示だけを変えたいなら表示形式の変更を選びましょう。
小数点表示を扱う際のよくあるエラーと対処法
関数を使用しても小数点が表示される場合
セルに関数で整数値を入力したはずなのに、小数点以下が表示される場合があります。これはセル自体の表示形式が「数値」の小数点以下桁数が多く設定されているためです。対処法は、そのセルの表示形式を再度確認し、小数点以下の桁数を「0」に設定することです。
INT関数やTRUNC関数の結果が予想と異なる場合
これらの関数は「切り捨て」を行うため、四捨五入を期待していると結果が異なります。例えば、9.9を処理すると、INT関数なら9になりますが、「10に丸めてほしい」という期待なら、ROUND関数を使用すべきです。関数を選ぶ際に、四捨五入か切り捨てかを明確にしておくことが重要です。
大量の小数データを一括処理したい場合
数千行のデータに対して小数点以下の処理を施す場合、まず1行目に関数を入力し、その後セルをコピーして全行にペーストする方法が効率的です。スプレッドシートは自動的に参照セルをずらしながら関数を適用するため、手作業で1行ずつ処理する必要はありません。
通貨データで小数点以下を表示しない場合の注意点
通貨形式と小数点の関係
スプレッドシートで金額を「通貨」形式で表示している場合、表示形式の設定で小数点以下の桁数を「0」にすれば、小数点が非表示になります。例えば、¥1,234.56というデータなら、設定後は¥1,235と表示されます(小数第1位が5以上の場合は切り上がります)。
ただし、通貨形式での小数点以下の非表示は、表示に過ぎません。実際のセルの値は小数を保持しているため、計算結果は小数値に基づいて行われます。
通貨データに関数を適用する場合
通貨データに対してROUND関数やINT関数を適用する際は、数値部分だけが処理の対象になります。例えば「=ROUND(¥1,234.56, 0)」という形式は使えませんが、「=ROUND(A1, 0)」でA1に¥1,234.56が入っていれば、正常に処理されます。処理後、表示形式を「通貨」に設定すれば、¥1,235というように通貨記号付きで表示されます。
パーセンテージ形式で小数点以下を表示しない方法
パーセンテージ形式の基本的な仕組み
スプレッドシートで「パーセンテージ」形式を選択すると、セルの値が自動的に100倍されて「%」記号付きで表示されます。例えば、0.25というセルに対してパーセンテージ形式を適用すれば、「25%」と表示されます。
パーセンテージ形式でも小数点以下を非表示にしたい場合は、表示形式の「小数点以下の桁数」を「0」に設定します。例えば「25.5%」というデータであれば、表示上は四捨五入されて「26%」 になります。
このとき、セルの内部値(0.255)はそのままで、あくまで「表示だけ」が 26% という整数表記になる点に注意してください。
もし「25.5% を 25% に切り捨てたい」など、四捨五入ではなく切り捨てをしたい場合は、=TRUNC(元の値*100,0)/100 のように関数で値自体を加工したうえでパーセンテージ形式を適用する必要があります。
パーセンテージ計算と小数点の取り扱い
成功率や達成率など、パーセンテージで表す計算を行う場合、内部的には小数値(0.25など)で処理が進みます。表示形式をパーセンテージにすることで、ユーザーが理解しやすい形で画面に表示されるのです。
小数点以下を非表示にしたいなら、表示形式で「小数点以下の桁数:0」を設定するだけで十分です。わざわざROUND関数を使う必要はありません。
スプレッドシートで小数点を扱う際の活用例
在庫管理での小数点非表示
製造業や小売業では、商品在庫を管理します。在庫は「5.3個」という表現は不自然なため、INT関数で整数化するか、表示形式で小数点以下を「0」に設定します。ただし、仕入れ時に0.5個ずつのバルク販売がある場合、計算段階では小数を保持し、最終的な表示時のみ整数化するという工夫が必要です。
売上集計での四捨五入処理
営業チームの月間売上を集計する際、1円未満の端数が生じることがあります。このとき、ROUND関数で四捨五入し、小数点以下を整数化することで、レポートが見やすくなります。特に経営層への報告資料では、「¥12,345,678」という整数表示が一般的です。
統計分析での小数点制御
データ分析や統計計算では、平均値や標準偏差などが小数を含みます。分析過程では小数を保持しつつ、最終的なレポート表示では小数点以下を「小数第2位まで」といった具合に調整することで、バランスの取れた情報提示ができます。
スプレッドシートで小数点を扱う際の推奨事項
表示形式と関数の使い分けの基本原則
表示形式は「見た目だけ変えたい」ときに、関数は「実際のデータ値を変えたい」ときに使う というルールを覚えておくと、どちらを選ぶかが明確になります。例えば、データ分析の途中段階では小数を保持しつつ表示だけ整える場合は表示形式、最終的な集計結果は小数なしにしたい場合は関数を使います。
チーム内での表記ルールの統一
複数の人がスプレッドシートを編集する場合、小数点以下の処理方法をあらかじめ決めておくことが重要です。「金額は ROUND関数で四捨五入」「個数はINT関数で切り捨て」といったルールをドキュメント化すれば、チーム全体の作業が統一され、エラーが減少します。
バックアップと計算過程の保持
小数点以下を削除したデータは、元の小数値を復元できません。重要な計算やデータ加工を行う場合は、元データをバックアップしておくか、元データと加工後データを別々のシートに保持することをお勧めします。スプレッドシートは複数シートの管理に対応しているため、この工夫により後から参照や検証が可能になります。
スプレッドシートで小数点以下を表示させない方法まとめ
Googleスプレッドシートで小数点以下を表示しない方法は、「表示形式の設定」と「関数による処理」の2つの主要アプローチがあります。表示形式を使えば、元データを保持しながら見た目だけを整えられます。一方、ROUND関数で四捨五入、INT関数やTRUNC関数で切り捨てという選択肢があり、データそのものを変更したい場合に活用します。
業務内容やデータの用途に応じて、最適な方法を選択することが重要です。本記事で紹介した各手法を理解することで、スプレッドシートでの数値管理がより正確で効率的になります。金額管理、在庫集計、統計分析など、あらゆる業務で活躍するこれらのテクニックを、ぜひ日々の業務に活用してください。
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