- 更新日 : 2026年1月14日
経営者がぶつかる50人の壁とは?問題点と対策を紹介
社員数が50名規模になると、組織が急激に変化するため、評価への不満が生じたり、管理職が十分に機能しなくなったりするといった不満や悩みが表面化しやすくなります。
これらの問題は偶然ではなく、組織成長の過程で起こる「50人の壁」が原因です。
本記事では、50人の壁が起こる理由を整理し、組織が停滞せずに成長を続けるための考え方をわかりやすく解説します。
目次
50人の壁とは何か?
50人の壁とは、社員数が40〜60名の規模に達した会社や企業に多く発生する、組織運営上の停滞またはトラブルのことを指します。
社員数が50人前後に増えることにより、経営者の目が全体に行き届かなくなり、特定の社員に業務を依存してきた体制が限界を迎えるためです。その結果、部署間の認識や方向性にズレが生じやすくなり、管理職の力量差によってチーム運営に問題が生じるケースも増えています。
50人以下の小規模組織では問題とされていなかった、コミュニケーション不足、評価の不明瞭化、意思決定、権限委譲、組織の仕組み化といった問題が、例としてあげられます。
これらの課題が同時に発生しやすい点が、50人の壁の大きな特徴です。
50人の壁で組織が直面する問題とは?
50人前後の企業では、複数の組織課題が連鎖的に発生しやすくなり、スピードや一体感が低下しやすくなります。
これは、社員数が増えることで、これまで暗黙の了解や個人の裁量で回っていた組織運営が機能しなくなるからです。また、仕組みや役割、権限が整理されないまま規模だけが拡大すると、多方面において問題が表面化します。
例として、部署間の連携が不足して方向性が揃わなくなったり、評価制度が不十分なことで不満や不公平感が高まることがあげられます。
ほかにも、業務の属人化によって一部の社員に負荷が偏り、管理職の能力差がチーム運営の差として表面化することも少なくありません。
このような課題が同時多発的に起こり機能が低下する状態が、組織が直面する壁なのです。
次の項目では、その50人の壁が起こる本当の原因について解説します。
50人の壁が起こる本当の原因
50人の壁が起こる本当の原因は、組織の規模が大きくなることにより、業務や管理が限界に達したり、制度が曖昧になったりする点です。
根本的原因は「業務の属人化が限界である」「評価や役割が曖昧である」「管理職の育成不足である」「組織の仕組みが追いついていない」といった大きく4つの項目に分けられます。
以下の項目で、それぞれの詳しい内容を紹介します。
業務の属人化が限界に達している
成長初期の段階では、特定の社員が複数の業務を担い、できる人が何でも対応するといった体制でも組織は回ります。
しかし、社員数が50人規模になると、このやり方では限界を迎えます。
手順書やマニュアルが整備されないまま社員が増えると、業務の進め方がそれぞれ異なり、品質やスピードにばらつきが生じかねません。
また、特定の社員に業務が集中すると、その社員が休職したり退職したりすることにより業務が止まるリスクも高まります。
こうした状態を防ぐためには、業務内容を可視化し、誰が担当しても一定の成果を出せる仕組みづくりが欠かせません。
業務フローを整理し、役割分担を明確にしたうえで、誰が見ても理解できるマニュアルを整備することで、組織が安定的に成長できる基盤になるのです。
評価や役割が曖昧である
社員数が少ないうちは、経営者の感覚や日常のやり取りによって評価が成立しますが、人数が増えると、なんとなく仕事をしている、だいたい問題ないといった曖昧な評価では、必ず不満や不公平感が生まれます。
また、評価基準が不明確な状態では、社員は何を目標に努力すればよいのかわからず、モチベーションの低下を招くことも、少なくありません。
さらに、役割や責任範囲が曖昧なままでは、判断の押し付け合いや業務の停滞も起こりやすく、悪循環を引き起こします。
50人規模の組織では、個人の能力に頼るのではなく、役割と責任を明確にし、それに基づいた評価制度を整えることが不可欠です。
公平で納得感のある評価は、組織全体の信頼関係を支える重要な要素です。
管理職の育成不足である
50人規模になると、経営者一人ですべてを管理することは難しくなり、管理職の役割が極めて重要になります。
現場業務を担当してきた社員を、そのまま管理職に任命してしまうケースも少なくありません。
この場合、部下育成やチーム運営、評価などの管理職本来の役割が十分に果たされず、組織の成長が停滞します。
管理職が現場業務に追われることで、部下への指導やフォローが後回しになり、不満や不信感が蓄積されることもあります。
50人規模で起こる最大の成長のボトルネックは、管理職機能の不全です。
管理職には、現場業務とは異なる役割が求められることを明確にし、必要なスキルや業務内容を見直す取り組みが必要になります。
変化に対する組織の仕組みが追いついていない
社員数が増えても、創業当初の制度や仕組みのままでは、組織はうまく機能しません。
業務フローがその場しのぎで、教育体制が属人的な状態が続くと、組織の規模と仕組みの間に大きなギャップが生まれます。その結果、新しく入社した社員が業務を理解できず、定着率の低下や生産性の低下を招きます。
また、ルールが曖昧なままでは、判断基準が人によって異なってしまうでしょう。
50人規模の企業には、現在の人数や将来の成長を見据えた仕組みづくりが求められており、業務フローや教育体制を定期的に見直し、変化に対応できる組織構造を整えることが重要です。
50人の壁が起きていないかを診断する5つのポイント
50人の壁は、気づかないうちに組織内で進行しているケースが少なくありません。
現在の状態を客観的に確認するために、50人規模の企業が特に注意すべきポイントを5つ整理しました。
以下の項目のうち、2つ以上当てはまる場合は、組織に歪みが生じ始めている可能性があるため、早めの見直しが必要です。
①組織としてのまとまりがなくなる
社員数が増えるにつれて、組織としての方向性が徐々に揃わなくなるケースがあります。
部署ごとに情報共有に温度差が生じ、聞いていなかった、知らなかったといった声が増え始めるため注意が必要です。
経営の意図や方針が現場の社員まで十分に伝わらず、それぞれが自分自身の判断で動くようになると、組織全体の一体感は失われます。
その結果、同じ会社で働いているにもかかわらず、目指す方向がバラバラになり、連携ミスや無駄な作業が増加する可能性もあるでしょう。
こうした状態は、組織としてのまとまりが薄れ始めているサインであり、早期に情報共有の仕組みを見直す必要があります。
②評価への不満が出てくる
社員数が増えると、評価制度の曖昧さが不満として表面化しやすくなります。
上司ごとに評価基準が異なり、「なぜこの評価なのかわからない」「説明されても納得できない」と感じる社員が増えると、組織の信頼関係が揺らぐ原因になりかねません。
さらに、評価と給与や処遇が結びついていないと感じると、努力しても報われないと思いはじめ、モチベーションの低下につながります。その結果、成長意欲が失われ、組織全体の生産性も下がるのです。
制度が曖昧なままでは、人が増えるほど不満が蓄積し、成長のブレーキとなりかねません。
公平でわかりやすい評価基準の整備が不可欠です。
③意思決定や判断に遅れが出る
社員の人数が50人規模になると、すべての決裁が経営者に集中する体制では限界を迎えます。
管理職が判断できず、経営者の確認待ちが続くと、現場の業務は停滞しがちです。
本来であれば即座に判断できる内容でも、決裁までに数日かかることで、チャンスを逃したり、顧客への対応が遅れたりするケースも出てきます。
現場が円滑に回っていない状態は、社員のストレスを高める要因にもなりかねません。
これは、権限委譲が十分に行われていないサインであり、組織としての判断力が弱まっている状態です。
業務をスムーズに進めるためにも、役割に応じた決裁権の見直しが求められます。
④業務が属人化される
特定の社員に業務が集中し、仕事が偏っている状態は、50人規模で起こりやすい課題です。
手順書やマニュアルが整理されておらず、口頭で業務内容が引き継がれている際には、新人や若手社員には業務を理解しにくく、成長が遅れる傾向にあります。
また、担当者が休んだり退職したりすると、業務が滞ってしまい、会社経営に関するリスクも高まります。
こうした属人化は、個人の力量に頼りきった運営が限界に達している証拠です。
安定した組織運営のためには、業務内容を見える化し、誰でも対応できる仕組みを整えることが欠かせません。
⑤管理職の負担が大きくなる
管理職が自分自身の業務と現場管理を両立できなくなると、組織全体に悪影響が及びます。
日々の業務に追われることで、問題の早期発見や部下育成、評価といった本来の役割が後回しになりがちです。
その結果、社員一人ひとりの状態を把握できず、不満やトラブルが表面化しやすくなります。
さらに、管理職自身が疲弊し、判断力や意欲を失うケースも少なくありません。これは、マネジメント機能が十分に整っていないサインです。
管理職が本来の役割を果たせる環境づくりが、組織成長へのポイントとなります。
役割別にみる課題
50人の壁は、経営者、管理職、人事、現場といった立場によって、見える問題や感じる課題が異なります。
同じ組織内でも、役割が違えばそれぞれの問題も変わるため、全体像を把握することが重要です。
ここでは、役割別にどのような課題が生じやすいのかを整理し、わかりやすく紹介します。
経営者|影響が弱まる
50人規模になると、経営者の考えや意図が組織全体に直接届きにくくなります。
組織内や部署ごとの動きにズレが生じても、現場の些細な変化に気づきにくくなり、問題が表面化した段階で、初めて経営課題として認識されるケースも少なくありません。
また、管理職に権限を任せたいと考えていても、判断するスピードや体制に不安があり、最終決裁を手放せない状況に陥りがちです。
その結果、意思決定が遅れ、現場の混乱が拡大し、経営に影響を及ぼします。
現場の混乱を解決するには、組織規模に合った仕組み化を進めると同時に、段階を踏んで権限委譲と理念の浸透を図ることが重要です。
管理職|部下育成に時間がかかる
管理職は本来、チームをまとめて部下を育成する役割を担います。
しかし50人規模になると、今までの現場業務から抜け出せず、日々の業務対応に追われている管理職も多く見られます。
その結果、部下育成や個人の評価、チームマネジメントに対して十分な時間を割けず、問題が後手に回るのです。
また、判断権限が限定されていることで、迅速な対応ができず、現場にストレスが溜まる要因にもなります。
問題解決のためには、マネジメントスキルを高める教育の実施や、管理職としての役割を明確にし、適切な権限を持たせる体制づくりが欠かせません。
人事|評価が曖昧で不平不満が出てくる
人事部門では、評価制度の曖昧さにより、組織の不安や不満として表面化しやすくなります。
社員数や職種が増えるにつれ、役割定義が複雑化するため、評価基準が統一されていないと納得感を得られません。
また、求人募集から採用、定着までの仕組みが整っていない場合、新人や若手社員が定着せず、組織が不安定になります。
さらに、管理職育成の仕組みが不足することにより、組織全体の成長が停滞しやすくなります。
組織が成長するためには、評価制度を改めて整理し、教育制度や人材要件を明確にすることが、人事の重要な役割となるのです。
現場|業務の属人化により負担が大きくなる
現場では、業務が属人化することにより、特定の社員に負担が集中しやすくなります。
情報が断片的にしか共有されていない場合、業務ミスや認識違いが起こりやすくなり、不安やストレスが蓄積します。
また、人員が増加し組織が複雑化することで起こる、誰に何を聞けばよいのかわからない状態は、さらなる業務効率の低下を招く要因です。
業務指示が曖昧では、現場の不満はさらに大きくなります。
不平不満を解決するには、手順書やマニュアルをもう一度わかりやすく整備し、情報共有ツールを活用して統一化を図るとともに、部署ごとの権限がどこまでかを明確にすることが必要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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