• 更新日 : 2026年1月14日

組織の7Sとは?マッキンゼーの7S分析と使い方、活用事例を解説

組織の7sとは、マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した、組織を7つの要素(Strategy, Structure, System, Skill, Staff, Style, Shared Value)から包括的に分析し、組織変革を成功に導くためのフレームワークです。中小企業の経営者や人事担当者が、組織の課題をもれなく見つけ、戦略と実態を結びつけるために役立ちます。

この記事では、組織の7sの構成要素から導入手順、具体的な企業の活用事例までをわかりやすく解説します。

組織の7sフレームワークとは?

組織の7sとは、組織を構成する7つの「S」の要素間の関連性や一貫性を分析することで、組織変革や戦略実現のための課題を見つけ出すためのフレームワークです。

組織の7sフレームワークは、1980年代初頭にコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのトム・ピーターズ氏らが提唱しました。組織の要素を「ハードの3S」と「ソフトの4S」の2つの側面から捉え、それらが連動しているかをチェックすることで、組織の全体像を把握し、変革の方向性をはっきりさせることができます。

組織変革を成功させるには、ハードな側面だけでなく、ソフトな側面にも注目し、7つの要素すべてが一貫性を保ちながら結びついていることが重要です。

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ハードの3S:組織の土台

ハードの3Sは、比較的変えやすく、文書化や図式化ができるため、組織の土台として機能します。

  • Strategy(戦略)
    企業が目指す目標を達成するための計画や行動指針。市場での競争優位性を確保する方法など。
  • Structure(組織)
    指揮系統や権限の配分、部門の構成など、組織を形づくる仕組み。組織図などで示されます。
  • System(システム)
    業務を実行するための手順や仕組み。人事評価、予算策定、情報共有などのルールやITシステム。

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ソフトの4S:組織文化や人材

ソフトの4Sは、組織の文化や人に関わる定性的な要素で、変更には時間と粘り強さが必要ですが、組織の独自性や強さを生み出す源になります。

  • Skill(スキル)
    組織が持っている能力や得意なこと。競合より優れている技術やノウハウなど。
  • Staff(人材)
    社員の構成や数、採用や育成の方法。必要な人材が配置されているかなど。
  • Style(スタイル)
    経営や管理職の行動様式、組織の雰囲気。意思決定の方法やリーダーシップのとるべき形。
  • Shared Value(価値観)
    組織全体で共有されている理念、信念、行動規範。組織の中核となる考え方で、最上位に位置づけられます。

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組織の7S分析で何がわかる?効果と“整合性チェック”の重要性

組織の7Sフレームワークは、7つの要素がどの程度「整合性(一貫性)」をもって連動しているかを把握できる点に最大の特徴があります。戦略(Strategy)だけが優れていても、現場のスキル(Skill)や組織文化(Style)が伴っていなければ実行力は生まれません。

7S分析では、単に要素を羅列するのではなく、“戦略を実現するために全てのSが矛盾なく支え合っているか” を確認できます。これにより、組織のどこにボトルネックがあるか、どの要素を優先的に改善すべきかが明確になります。

7S同士の一貫性が欠けると起こる問題

たとえば、組織が新しい成長戦略を掲げていても、意思決定のスタイル(Style)が旧来のトップダウンのままではスピード感が損なわれます。また、必要なスキルを持つ人材(Skill/Staff)が不足していれば、システム(System)や戦略が正しく機能しません。
このような “ハードの3Sとソフトの4Sのズレ” を放置すると、戦略不全・離職増加・組織カルチャーの崩壊など、実行フェーズで大きな問題につながります。

7S分析で見抜ける課題の例

以下のような“整合性の欠落”を浮き彫りにできる点が、7Sフレームワークの大きな強みです。

  • 戦略は明確だが、組織構造が追いついていない(新規事業の責任者が不在)
  • 制度は整っているが、価値観が共有されていない(形だけの人事制度)
  • スキル不足がボトルネック(DX戦略に対しデジタル人材がいない)
  • スタイルと共有価値観が不一致(掲げる理念と実際の行動が矛盾)

組織の7sの進め方:現状分析からギャップ抽出までのプロセス

組織の7Sを効果的に活用するには、「現状の理解 → 理想との比較 → ギャップ特定」というプロセスを踏むことが重要です。単なるフレームワークの理解ではなく、自社の実態に落とし込んだ分析と優先順位付け が成果を左右します。

S現状分析のポイント(チェック項目例)

現状分析では、次のような問いを用いて客観的に状況を把握します。

  • Strategy:戦略は明確で、現場が理解しているか
  • Structure:意思決定が滞るポイントはどこか
  • System:制度・仕組みは実態に合っているか
  • Skill:戦略遂行に必要なスキルが備わっているか
  • Staff:最適な人材配置ができているか
  • Style:リーダーシップの型は戦略に適合しているか
  • Shared Value:価値観は行動レベルまで浸透しているか

定性的な要素が多いため、インタビュー・ワークショップ・アンケートなど複数の方法を組み合わせることが効果的です。

ギャップを特定し優先順位をつける方法

現状と理想の差を可視化したら、次にどの要素が最重要の改善対象かを判断します。

ポイントは 「影響範囲の大きいSから手をつける」 ことです。たとえば、共有価値観(Shared Value)が機能していなければ、他の6Sを改善しても効果が出にくいため、優先順位は高くなります。

改善案は、各Sが連動するように設計し、部分最適ではなく全体最適を目指します。

組織の7Sを導入するときの注意点:よくある失敗パターンと対策

組織の7sは強力なフレームワークですが、導入の仕方を間違えると望む効果が得られないことがあります。とるべき注意点を把握しておきましょう。

ソフト面を定量的に評価する難しさを理解する

組織の7sの導入でつまずきやすい点の一つは、スキル、人材、スタイル、価値観といったソフトの4Sを客観的に評価することの難しさです。これらの要素は数値ではっきりとは表しにくいため、従業員への深いヒアリングや行動観察など、定性的なアプローチも適切に組み合わせて現状を把握する工夫が必要になります。

ハード面とソフト面の一貫性を保つ

7つのSの中で、特定の要素だけを改善しても、組織のパフォーマンスは向上しにくいでしょう。たとえば、最新の戦略を打ち出した(Strategy)としても、それを実行できるスキルを持つ人材(Skill)が不足していれば、戦略は絵に描いた餅に終わります。常に、ハードの3Sとソフトの4Sが互いに支え合い、矛盾しない一貫性を保っているかを確認し続けることが欠かせません。

組織変革には時間がかかることを前提に進める

組織の7sが対象とするソフトの4S、とくに共有価値観やスタイルといった企業文化は、一朝一夕で変えられるものではありません。人の意識や行動が変わるには、長い時間と継続的な働きかけが必要になります。短期的な成果を求めすぎることなく、中長期的な視点を持ち、粘り強く取り組む姿勢が求められます。

組織の7sの活用が成功した企業の事例

組織の7sは、国内外の多くの企業で組織変革のツールとして活用されています。具体的な企業の事例を見てみましょう。

事例1:ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)

ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングは、組織の7sの観点から高い一貫性を持つ事例として言われます。

  • 共有価値観(Shared Value)
    「服を変え、常識を変え、世界を変える」といった明確な企業理念。
  • 戦略(Strategy)
    高品質な製品を低価格で提供するSPA(製造小売業)モデル。
  • 組織(Structure)
    グローバルな事業展開に合ったフラットで迅速な意思決定ができる組織。
  • システム(System)
    世界共通の評価制度や徹底したオペレーションマニュアル。
  • スキル(Skill)
    少数精鋭のグローバルリーダーの育成。
  • 人材(Staff)
    若手にも権限を与える積極的な登用。
  • スタイル(Style)
    徹底的に現場を重視し、常に改善を行う経営スタイル。

これらの7つの要素が一貫しているため、ユニクロはグローバルでの成長を実現しています。戦略を支えるシステムや人材、文化が一体となっていることが、組織力の強さにつながっていると言えるでしょう。

出典:ファーストリテイリング グローバルウェブサイト|株式会社ファーストリテイリングを参考に作成

事例2:日本マクドナルド

日本マクドナルドは、V字回復を実現した組織変革の過程で、組織の7sの要素の連動が見られた事例です。

  • 戦略(Strategy)
    店舗の衛生管理の徹底や、デジタルを活用した顧客体験の向上。
  • スタイル(Style)
    リーダーが現場に足を運び、従業員の意見を聞く姿勢の徹底。
  • 共有価値観(Shared Value)
    「お客様第一」を再認識させる社内教育の強化。
  • システム(System)
    食材の品質管理やオペレーションの厳格化。

とくに、リーダーのスタイルを変えることから始め、共有価値観を再構築することで、現場の意識を変え、新しい戦略を実行できる組織に変革していきました。ソフト面の変革がハード面の実行力を高めた事例として注目されます。

出典:日本マクドナルドホールディングス「CSR/サステナビリティ」を参考に作成

組織の7sを活用し一貫性のある強い組織づくりを

組織の7sフレームワークは、組織の全体像をバランスよく捉え、戦略の実行を阻む要因をはっきりさせるための効果的なツールです。ハードの3Sとソフトの4Sの連動性を意識し、とくに定性的で変化に時間を要するソフト面の要素に目を向けることが大切です。経営者や担当者の皆様は、このフレームワークを活用し、変化の激しい時代に対応できる一貫性のある強い組織を構築できるでしょう。


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