• 更新日 : 2026年1月14日

オズボーンのチェックリストとは?具体例やメリット・活用のポイントを解説

採用戦略の見直しや組織改善、業務効率化やAI活用を進める場面では、発想の幅が成果を左右します。オズボーンのチェックリストは、9つの問いを使って思考を意図的に広げるシンプルなフレームワークです。

特別な知識がなくても使えるため、企画職だけでなく人事・管理部門・現場担当者にも適しています。本記事では、オズボーンのチェックリストの概要や具体例、メリット、活用のポイントなどを紹介します。

オズボーンのチェックリストとは?

オズボーンのチェックリストとは、ブレインストーミングの提唱者であるアレックス・F・オズボーンが考案した、発想を体系的に広げるための質問リストです。人は無意識のうちに過去の経験や成功体験に思考が縛られやすく、アイデア出しの場面でも発想が固定化しがちです。

オズボーンのチェックリストは、思考の癖を意図的に崩すために「転用できないか」「逆にしたらどうなるか」など、異なる切り口から問いを投げかけます。商品開発や新規事業、サービス改善、UX設計、マーケティング施策など、正解が一つではないテーマにおいて特に有効です。

オズボーンのチェックリストの9項目

オズボーンのチェックリストは、発想を多角的に広げるために9つの視点で構成されています。オズボーンのチェックリストの9項目は以下のとおりです。

  1. 転用
  2. 応用
  3. 変更
  4. 拡大
  5. 縮小
  6. 代用
  7. 再配置
  8. 逆転
  9. 結合

オズボーンのチェックリストはランダムな質問ではなく、人が発想を変形・発展させる際の思考プロセスを整理したものです。一つのアイデアや対象に対して、リストの視点を順番に当てはめることで、通常の思考では見落としがちな改善案や新しい切り口が自然と浮かび上がります。

特別な専門知識がなくても使えるため、個人ワークからチームでのブレインストーミングまで幅広く活用できるのが特徴です。

オズボーンのチェックリストの具体例

オズボーンのチェックリストは一見抽象的に見えますが、既存の商品・サービス・業務プロセスに当てはめて考えることで、実践的な発想が生まれやすくなります。オズボーンのチェックリストの具体例について紹介します。

転用の例

転用とは、既存のものを本来とは異なる用途で使えないかを考える視点です。すでに社内にある資産や仕組み、ノウハウを別の文脈で活用することで、新たな価値創出につながります。

たとえば紙袋を単なる持ち帰り用ではなく、ギフト包装資材や収納袋、広告媒体として再定義する発想が挙げられます。また、社内マニュアルを新人研修教材や外部向け研修コンテンツとして転用することも可能です。

企業においては、既存データや業務プロセス、人的リソースを別事業に活かすヒントになりやすく、低コストで新しい取り組みを生み出せる点が転用の強みです。

応用の例

応用とは、他分野や他業界の仕組み・成功事例を取り入れられないかを考える視点です。自社の業界内だけで考えていると発想が似通いがちですが、異業種の仕組みを参考にすることで、新鮮なアイデアが生まれやすくなります。

たとえば飲食店の予約管理システムを社内の会議室や設備予約に応用したり、サブスクリプションモデルをSaaSの料金設計に応用するケースが挙げられます。

DX推進や業務改善、新規事業検討の場面では特に効果的で、既存の成功モデルを自社仕様に変換する発想として活用可能です。

変更の例

変更とは、機能・デザイン・仕組みなどの一部を変えることで新しい価値を生み出せないかを考える視点です。大きな改革を行わなくても、「少し変えるだけ」で改善につながるケースは多くあります。

たとえばノートのサイズを変更する、社内FAQをチャットボット化するなど、形や機能を一部変えることで利便性や利用率が向上します。変更の視点は、既存サービスや業務を前提とした改善策が出やすく、現場で実行しやすいアイデアにつながりやすい点が特徴です。

拡大の例

拡大とは、要素を増やす・機能を強化する・規模を広げることで差別化できないかを考える視点です。既存の価値に新しい付加価値を加えることで、競争優位性を高められます。

たとえば無料プランにプレミアム機能を追加することや、業務日報にKPIや感情スコアを可視化する機能を加えるなどの発想が該当します。拡大の視点は、価格戦略や高付加価値化と相性が良く、収益性向上やブランド価値強化につながりやすい点が特徴です。

縮小の例

縮小とは、機能や手順、情報量をあえて減らすことで価値を高められないかを考える視点です。多機能化が進むと、便利になる一方で使いにくさやコスト増大につながる場合があります。

たとえば多機能アプリをタスク管理と通知に絞ったシンプル版にする、パンフレットを1枚資料+QRコード誘導にするなどが縮小の代表例です。縮小の視点はUI改善や業務効率化、ユーザー離脱防止に直結しやすく「引き算の発想」として重要です。

代用の例

代用とは、素材・手段・プロセスを別のものに置き換えられないかを考える視点です。特にDX推進やコスト削減と相性が良く、業務変革のヒントになりやすい項目です。

たとえば対面研修をeラーニングに代用したり、人事評価面談をデータ評価方式に置き換える発想が挙げられます。代用の視点は、既存のやり方を前提とせず「他の方法はないか」と問い直すことで、効率性と生産性を同時に高めるアイデアにつながります。

再配置の例

再配置とは、順序や役割、プロセスを入れ替えることで新しい価値を生み出せないかを考える視点です。やり方自体を変えずとも、流れを変えるだけで成果が向上する場合があります。

たとえば採用プロセスを「応募→選考→配属」から「体験入社→応募」に変える、売り切り型から無料提供後のアップセルモデルへ転換するなどが代表例です。再配置は、業務設計やビジネスモデル見直しに効果的な視点です。

逆転の例

逆転とは、常識や前提を反対にして考える視点です。従来の当たり前を疑うことで、破壊的なアイデアが生まれやすくなります。

たとえば「買う」から「借りる」への転換や「選ぶ」から「AIが提案する」仕組みへの転換が挙げられます。逆転の視点はリスクも伴いますが、市場構造を変えるような発想につながる可能性があり、イノベーション創出において重要な項目です。

結合の例

結合とは、既存の要素同士を掛け合わせて新しい価値を生み出す視点です。多くの新規サービスや事業は、この結合の発想から生まれています。

たとえば社内ナレッジとAIを組み合わせた自動FAQ生成システムや、研修とゲーム要素を組み合わせたゲーミフィケーション学習などが代表例です。結合はサービス開発やマーケティング施策と相性が良く、差別化や独自性の源泉となります。

なお、似た考え方として、製造現場の改善の原則「ECRS(イクルス)の原則」があります。不要な業務をなくし、効率を最大化するフレームワークです。以下の4つの視点を適用することで、新たな発想を得られます。

  1. 排除(Eliminate):業務をなくせないか?
  2. 結合(Combine):業務を1つにまとめられないか?
  3. 交換(Rearrange):業務の順序や場所などの入れ替えで効率が向上しないか?
  4. 簡素化(Simplify):業務をより単純にできないか?

オズボーンのチェックリストの効果的な使い方

オズボーンのチェックリストを効果的に活用するためには、まず「テーマ」と「対象範囲」を明確にすることが重要です。そのうえで、9つの質問に対して順番に答えていく形式で進めると、発想が偏らずアイデアを網羅的に検討できます。

ただし、すべての項目が当てはまるとは限らないため、テーマ性が強い場合は関連性の高い項目から優先して活用しても問題ありません。アイデアはその場で評価せず、すべて書き出した後に分類・整理します。

最後に、実現可能性や価値、コストなどを踏まえながら優先順位を決め、企画に反映します。会議やブレインストーミング、商品企画の初期段階で活用すると、今まで想像できなかった視点から課題解決のヒントを得ることが可能です。

オズボーンのチェックリストの活用のポイント

オズボーンのチェックリストを活用する際のポイントは「質より量」「評価は後回し」を徹底することです。発想段階で否定や制限をかけてしまうと、視点が広がらず、従来の延長線上のアイデアに留まりがちになります。

また、個人で考えるだけでなく、チームで共有しながら使うことで、異なる視点や経験が掛け合わされ、アイデアの幅がさらに広がります。付箋やホワイトボード、オンラインツールを使って可視化すると効果的です。

商品企画や新規事業、業務改善、DX、人事制度設計など、答えが一つではないテーマとの相性が良く、幅広く活用できます。また、定期的に使うことで組織全体の発想力や問題解決力の底上げにもつながります。

オズボーンのチェックリストのメリット・デメリット

オズボーンのチェックリストは、発想を体系的に広げられる一方で、使い方によっては課題も生じます。メリットとデメリットの両面を理解したうえで活用することが重要です。オズボーンのチェックリストのメリット・デメリットを解説します。

オズボーンのチェックリストのメリット

オズボーンのチェックリストのメリットは、思考が行き詰まった状態でも、発想の幅を強制的に広げられる点です。9つの視点を順番に問いかけることで、通常の会議では出にくい視点やアイデアが生まれ、既存事業の改善から新規事業開発まで幅広く活用できます。

また、専門知識や特別なスキルが不要なため、企画職だけでなく営業・バックオフィス・人事など部署を問わず使えるのも特徴です。発散型の思考フレームとして使うことで、個人の経験や感覚に依存しない客観的なアイデーションが可能になります。

チームで活用すれば、固定観念を超えたアイデアが生まれ、結果として企画精度の向上、プロジェクトの停滞防止、意思決定のスピード向上にもつながります。イノベーション文化を育てる手段としても有効で、企業の創造性・競争力強化に役立つ思考ツールです。

オズボーンのチェックリストのデメリット

オズボーンのチェックリストは、発想を広げるためには有効ですが「アイデアを出すこと」自体が目的化しやすい点がデメリットです。多くの案が出ても、評価軸や優先順位が整理されていないと、結局どれも採用されない状況に陥ることがあります。

また、視点が抽象的なため、使い慣れていないチームでは表面的なアイデアに留まりやすく、深掘りが不足するケースもあります。議論が広がりすぎて収拾がつかなくなる点もデメリットの一つです。

オズボーンのチェックリストを活用する際は、テーマ設定・時間制限・評価プロセスをあらかじめ決めておきましょう。発散と収束を意識した設計が不可欠です。

オズボーンのチェックリスト改良版のSCAMPER法とは?

SCAMPER法(スキャンパー法)は、オズボーンのチェックリストをベースに体系化されたアイデア発想法です。オズボーン同様「既存のアイデアに別視点を加えて新しい価値を発見する」手法ですが、よりシンプルに整理され、ビジネス現場で実践しやすい形式になっている点が特徴です。

新規事業開発、商品企画、マーケティング、人事制度設計など幅広い領域で活用されています。SCAMPER法は7つの視点からアイデアを検討するフレームワークのため、会議やワークショップでの活用がしやすく、短時間でも成果が出やすいのがメリットです。

アイデアが行き詰まった場面でも思考の切り替えに役立ち、発想の幅を広げられます。SCAMPER法とオズボーンのチェックリストと併用することで、より質の高い企画検討やイノベーション創出につながります。

SCAMPER法の7項目

SCAMPER法は以下の7つの視点からアイデアを深掘りします。各項目の頭文字をとって「SCAMPER」と名付けられています。

  1. 代用(Substitute):ほかの素材・手段・方法に置き換えられないか?
  2. 結合(Combine):別のアイデアやサービスと組み合わせられないか?
  3. 応用(Adapt):他業界や別分野の仕組みを応用できないか?
  4. 修正・拡大(Modify / Magnify):量・機能・サイズなどを変えられないか?
  5. 転用(Put to other uses):本来の用途以外に使えないか?
  6. 削除(Eliminate):不要な要素を減らす・簡略化できないか?
  7. 逆転・再配置(Reverse / Rearrange):順序・役割・方向性を逆にできないか?

それぞれが具体的な問いとして設計されているため「何を考えればよいか」が明確になり、思考が止まりにくいのがSCAMPER法の特徴です。

既存アイデアの改善だけでなく、新しい価値の創出や差別化戦略の検討にも活用できます。特に制約条件が多いテーマほど、SCAMPER法の効果は高まります。

SCAMPER法を活用する際の注意点

SCAMPER法は発想の幅を広げるうえで有効ですが、使い方を誤ると「面白いだけのアイデア」や「現実性のない案」が増え、検討に時間だけがかかるケースがあります。そのため、活用する際は事前にテーマ・目的・評価基準を明確にしたうえで進めることが重要です。

また、7つの視点に答えることが目的化し、形式的なブレストにならないよう注意が必要です。あくまで「問い」をきっかけに新しい視点を引き出すためのフレームワークであることを理解しましょう。出たアイデアはその場で否定せず一旦すべて残し、後工程で実現可能性・市場性・優先度を評価することがポイントです。


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