• 更新日 : 2026年1月14日

OKRとは?MBO・KPIとの違いから導入成功事例まで徹底解説

「OKRはMBOより効果があるのか?」
「GoogleやIT企業以外でも成功するのか?」
「運用に手間がかかりすぎないだろうか?」

「OKR」という新しい仕組みに大きな期待を寄せている一方で、同時に不安や疑問も感じているのではないでしょうか?

本記事では、OKRの基礎知識から、導入までの具体的なステップ、Googleやメルカリなど有名企業の成功事例までを徹底解説します。

OKRとは?

OKR(目標と主要な結果)は、目標管理の手法のひとつです。目標(O)と、成果指標(KR)を組み合わせることで、組織全体の方向性を統一する役割を持ちます。

OKRは目標設定・管理を行う枠組み

OKR(目標と主要な結果)は、組織の目標を設定し、効果的に管理するフレームワークです。

OKRは「Objectives(目標)」と「Key Results(主要な結果)」の2つの要素から成り立っています。

企業の進むべき方向性を明確にし、全社員の意識を統一したうえで挑戦的な目標の達成を目指すことを一度に実現できる点が大きな特徴です。

野心的な目標(O)を掲げ、対応する定量的な成果指標(KR)を組み合わせることで、組織全体に一体感と高い推進力が生まれます。

OKRを導入すると、変化の速い現代社会でも、組織はスピード感と大胆さを持って成長を実現できます。

MBO・KPIとの違いは?

OKR、MBO、KPIは、目的や運用方法が大きく異なる目標管理手法です。

OKRは挑戦的な目標の設定を重視し、MBOは成果を評価することに重点を置いています。一方、KPIは目標の進捗を測定する手法です。

それぞれの特徴を正しく理解すれば、組織に最適な目標管理が実現できるでしょう。

OKR:挑戦と方向性の旗印

OKRがMBOやKPIと異なる点は、組織全体の方向性を示す旗印としての役割を持つことです。

OKRでは、組織が「どこへ向かうのか」という目標(O)を明確にし、目標を実現するために、挑戦的で、達成すべき成果(KR)を設定します。結果として、組織の限界突破やイノベーションを促す役割を果たします。

従来の目標管理手法と比べて、成長を重視している点がOKRの大きな特徴です。

MBO:評価とコミットメントの基準

MBO(目標管理制度)は、人事評価と報酬を決定するための基準となります。

MBOの役割は、組織の目標を個人にまで落とし込み、「必ず達成しなければならない目標(コミットメント目標)」を管理することです。

MBOは、目標の達成がどれだけ確実かという点がとくに重視される手法だと言えます。

KPI:進捗を測る羅針盤

KPI(重要業績評価指標)は、最終目標であるKGIの達成に向けて、途中経過を数値で示す指標です。

KPIは、日々の業務やプロジェクトが目標に向かって正しい方向に進んでいるか、必要な行動が適切に行われているかを、数字で確認する際に使われます。

KPIは目標までの道のりで自分の現在地と進み具合を把握するための羅針盤のような役割を果たします。

OKR、MBO、KPIの決定的な違い

OKR、MBO、KPIはいずれも目標管理の手法ですが、目的や特徴、運用方法には大きな違いがあります。

OKRは挑戦を重視し、MBOは評価に重点を置き、KPIは進捗の測定を中心に考えていることです。以下では、それぞれの違いについて、表を使って詳しく説明します。

OKR (目標と主要な結果)MBO (目標管理制度)KPI (重要業績評価指標)
目的組織全体の成長と挑戦を促す人事評価と報酬決定を行う最終目標達成への進捗を測定する
目標の性質野心的(ストレッチ)で、やや困難な目標現実的(コミットメント)で、達成可能な目標定量的な指標であり、目標ではない
理想の達成度60%〜70%の達成で成功と見なされる100%の達成が前提100%の達成を目指す
運用サイクル短期間(四半期など)で頻繁にレビュー長期間(半期~1年)でレビュー業務の状況に応じて常時モニタリング

なぜ今、あなたの会社にOKRが必要なのか?

変化の激しい現代においては、これまでの管理手法だけでは対応しきれない課題が増えています。

OKRは、短い期間で目標を見直したり、目標や成果を全員に分かりやすく示したりする仕組みによって、組織全体の一体感を高めます。

変化の激しい時代(VUCA時代)への対応

現代は、市場の急激な変化が起こるなど、将来の予測が難しい「VUCA時代」と呼ばれています。

従来のように、MBO(目標による管理)で長期間の目標を運用するサイクルでは、目標自体が時代に合わなくなるリスクがあります。

そこで、有効な手段となるのがOKRです。OKRは、四半期ごとなどの短いサイクルで目標を見直すことで、市場の変化に素早く対応できる仕組みです。

OKRは、現状を維持するのではなく、挑戦的なストレッチゴール(高い目標)を設定することで、イノベーションを促し、競争優位性を生み出す力を持っています。

組織のサイロ化とエンゲージメントの低下

組織が拡大しリモートワークが普及する中で、部門間の連携不足(サイロ化)や社員のエンゲージメント低下が課題となりがちです。

社員が「自分の仕事が会社全体にどのように貢献しているのか」を実感しにくくなるためです。

このような課題に対して、OKRは透明性を高めることで有効な手段となります。全社、部門、そして個人のOKRがすべて共有されることで、社員一人ひとりが会社の目標と自分の仕事のつながりをはっきり認識できるようになるためです。

結果として、組織全体で目指す方向が一致しやすくなり、部門を越えた連携も進みます。

人材の自律性と成長の促進

若手や優秀な人材は、目的意識や成長できる機会を求めています。しかし、報酬と強く結びついた目標管理では、失敗を恐れて挑戦を避ける社員が多くなりがちです。

一方で、OKRは原則として給与と切り離して運用されるため、社員は失敗を気にせず、難しい目標にも自由にチャレンジできます。

OKRの進捗を定期的に確認することで上司と部下の1on1の対話が増え、社員の自律性と能力開発が促進されます。

OKRを導入する方法は?

OKRを導入するポイントは、全社から個人レベルまで目標を連携させること、定期的な対話を取り入れて運用が形だけにならないようにする仕組みを作ることです。

1:導入目的やゴールを明確にする

OKRは単なるツールではなく、組織変革のための手段です。導入にあたっては「何のために導入するのか」という目的をはっきりさせることが大切です。

現在の組織が抱えている最大の課題(部門間の連携不足や挑戦する意欲の低さなど)を具体的に洗い出し、課題をもとに目的を決めましょう。

たとえば、「全社員の目指す方向をそろえて、イノベーションを生み出せるようにする」といった目的を設定します。

OKRを全社で一斉に導入するのか、一部の部門で試験的に始めるのかといった、導入の範囲も事前に決めておきましょう。

2:OKRのトレーニングを浸透させる

OKRを導入したあとは、全社員へのトレーニングの浸透が欠かせません。

経営層から現場のマネージャーまで、すべての社員を対象に、OKRの基本となる「挑戦」や「透明性」といった考え方を理解するための研修を行いましょう。また、MBOやKPIとの違いについても正しく学べるようにすることが大切です。

とくに重要なポイントは、OKRが人事評価と切り離されていることを明確に伝える点です。

社員が失敗を恐れずに新しいことに挑戦できるような文化を根付かせるためには、心理的な安心感をしっかり確保しつつ、OKRの意味や目的を浸透させる必要があります。

3:全社(トップライン)でOKRの設定をおこなう

OKRを導入するうえで核となるのが、経営層を中心とした全社OKRの設定です。

企業全体でとくに力を入れるべき野心的な目標(O)と、それに対する成果指標(KR)を設定します。

目標(O)は1〜3個に絞り込みましょう。内容は「〇〇業界で最高のサービス体験を提供する」のように、定性的でワクワクする表現で設定してください。

成果指標(KR)は、Oの達成を測るために定量的な指標を3〜5個設定します。

たとえば、「顧客満足度スコアを90点に向上させる」などが例として挙げられます。

全社的な指針を正しく定義することが、OKRによる組織変革を成功させる第一歩となります。

4:部門・チームでOKRを設定する

全社OKRを設定した後は、各部門やチームのOKRを決めていきます。

このとき大切なのは、OKR同士の論理的なつながりを意識することです。とくに、チームの目標(O)は、全社OKRの成果指標(KR)のうち、チームが貢献すべき部分ときちんと結びついている必要があります。

目標設定は経営層のトップダウンだけでなく、現場からの意見を取り入れるボトムアップの視点も組み込むことが大切です。

現場のメンバーが目標づくりに関わることで、目標への納得感が生まれ、より主体的に取り組めるようになります。

5:個人OKRを設定する

チームによっては、部門やチームのOKRに貢献するために、個人OKRを設定することがあります。個人のOKRを設定することで、「何を成し遂げるのか」を明確にでき、チーム目標の達成に対する貢献度を高める役割を果たします。

ただし、個人OKRを多く設定しすぎると、単なるタスク管理になってしまうため注意が必要です。

個人OKRを考えるときは、挑戦的であり、かつ最も優先順位の高い目標に絞ることがポイントです。

個人OKRの設定により、メンバーは自分の能力を最大限に発揮し、チームの成果に集中できるようになります。

6:チェックインミーティングをおこなう

OKRを運用するためには、週に一度など、定期的に進捗確認をおこなう、チェックインミーティングが重要なステップとなります。

ミーティングでは、短時間でメンバーそれぞれの成果指標(KR)の進捗状況や、目標達成に対する自信度(0〜10段階)を共有します。

進捗報告に加え、現在抱えている課題や必要なサポートも明らかにし、週の優先事項を見直します。

結果として、目標達成に向けて必要な軌道修正が可能です。

7:定期的な1on1ミーティングをおこなう

OKRを運用する際、定期的な1on1は部下の成長を支援するうえで有効な手段です。

1on1は、上司と部下が1対1でじっくり話す時間を持つことで、OKRの進捗を確認するだけでなく、部下自身の成長や抱えている課題に対して具体的なフィードバックを行う場となります。

1on1の主な目的は評価を行うことではなく、「目標達成のために必要な能力を伸ばすこと」です。

定期的な対話を通じてメンバーの自律性を高めながら、目標達成に向けて必要なサポートをおこなえます。

8:期末のレビューをおこなう

OKRの運用サイクルにおける最後のステップは、期末に行うレビューとスコアリングです。

設定した期間が終わった時点(例:四半期)で、OKRの達成度をスコア(0.0〜1.0など)で評価します。スコアリングの結果はチームや全社で共有します。

ここで重要なのは、単にスコアを見ることではなく、振り返りを行うことです。

達成度が成功(0.6〜0.7程度)だった場合でも、未達成の場合でも、「なぜこの結果になったのか」「そこからどのような学びを得たのか」について、しっかりと話し合います。

り返りで得た学びを、次の期のOKR設定に活かすことで、組織は継続的に改善し、成長し続けられます。

OKRを導入した企業の実例は?

国内外の多くの企業では、組織の成長や一体感を高めるためにOKRが活用されています。

ここからは、OKRを導入した企業の事例をご紹介します。

Google(グーグル)

Googleは創業間もない1999年にOKRを導入し、その後の急成長の土台を築きました。

GoogleならではのOKRの原則は、達成度が60〜70%でも成功とみなす「ストレッチ目標」の設定、全社員に対する「徹底した透明性」、そして人事評価とは「切り離す」ことです。

失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えることで、社員が意欲的に挑戦し、イノベーションを生み出せるようにしています。

現在では巨大組織となったGoogleですが、OKRを活用することで、高い機動性と集中力を維持し続けています。

メルカリ

メルカリは、創業初期からOKRを取り入れ、急速に成長した時期に組織の一体感と機動力を高めてきました。

運用面では、全社員に目標を公開し、人事評価とは切り離すことで、挑戦的な企業文化をつくっています。

毎週進捗状況を確認する「チェックイン」や、成果をみんなでたたえ合う「ウィンセッション」といった独自の会議も特徴です。

OKRによって、社内のコミュニケーションが活発になり、全社の方向性が統一されました。

OKRは、高い生産性を維持しながら成長を続ける原動力となっています。

花王(かおう)

花王は、社員活力の最大化を目的に、2021年度にOKRを導入しました。

それまではMBO(目標管理制度)を採用していましたが、現在は四半期ごとの運用へと切り替え、全社員のOKRを社内で公開しています。

とくにOKR設定では、「事業貢献」「ESG(環境・社会・ガバナンス)」「One team & My Dream(個人の夢)」の3つの観点を重視していることが特徴です。

OKRの導入は、社員の内発的なモチベーションを高め、積極的な挑戦を促す役割も果たしています。

チャレンジした社員をたたえるために表彰制度も見直しました。花王はOKRを人財開発のフレームワークとして活用し、積極的に組織の変革を進めています。

ココナラ (coconala)

ココナラは、組織の拡大による目標設定の形骸化や、テレワーク環境下で成果が見えにくくなるといった課題を解決するためにOKRを導入しました。

運用は四半期ごとに行い、成果指標(KR)は2〜3個にしぼることで、メンバーがより集中できるようにしています。

目標の達成度を1〜5点で明確に評価できる仕組みを取り入れていることも大きな特徴です。

OKRの達成度を人事評価の一部として取り入れ、生産性の向上と社員の成長を同時に実現できる、ココナラ独自の柔軟な運用方法となっています。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事