- 更新日 : 2024年5月10日
ワールドカフェとは?会社で行うメリットデメリット、やり方・ルールを解説
ワールドカフェとは、まるでカフェにいるようなリラックスしてオープンな雰囲気で、参加者が自由に対話することです。ワールドカフェは、対話により結論を出すのではなく、参加者同士が相互理解を深めて新しい気付きを得ることが目的です。
本記事では、ワールドカフェの詳細や目的、メリットデメリット、進め方やルールなどを解説します。
目次
ワールドカフェとは?
ワールドカフェとは、カフェにいるようなオープンでリラックスした雰囲気の空間で行われる対話手法のことです。発言しやすい雰囲気の中で少人数のグループを作って対話することで、創造的で画期的なアイデアが生まれやすくなります。
ワールドカフェは、アメリカのアニータ・ブラウン氏とデイビッド・アイザックス氏によって、1995年に提唱されました。本項では、ワールドカフェの目的、適しているケース、ワークショップとの違いについて解説します。
ワールドカフェの目的
ワールドカフェは、話し合いにより結論や結果を出したり、課題について解決したりすることを目的としたものではありません。少人数でのリラックスした空間での話し合いの中で全員が自分の意見を言い合うことで、参加者同士が理解を深め、新しい気付きを得ることがワールドカフェの目的です。
ワールドカフェとは、課題に対する結論や結果を決定する場ではなく、課題解決を次につなげるための1つのツールといえます。
ワールドカフェが適しているケース
ワールドカフェは、すでに結論が決まっていることに対する打ち合わせや、話し合いではない一方的な説明の場や、詳細な計画を作成する場には適していません。
ワールドカフェは、多くの考えや知識を集めたり深めたりしたい場合や、参加者同士の相互理解や関係性を深めたい場合などに適しています。
ワールドカフェとワークショップの違い
ワールドカフェは、ワークショップの一種ではありますが、一般的なワークショップとは一部異なる点があります。
まずは、ワークショップには司会進行役がいますが、ワールドカフェにはいません。また、ワールドカフェは対話に特化していますが、ワークショップは対話だけでなく学習や研究を行うための勉強会の側面も持っている点で異なります。
ワールドカフェの7つのルール
ワールドカフェを効果的に進めていくために、いくつかのルールがあります。ルールを守ることは、参加者全員がリラックスした雰囲気の中で自由に対話するためには大切なことです。本項では、ワールドカフェの7つのルールについて解説します。
参加者との対話を楽しむ
ワールドカフェでは、無理に結論をまとめる必要はありません。自由な対話の中で出てくる話と、対話を楽しむことが大切です。
発言している人の意見をきちんと聞く
いくらワールドカフェでは自由に話をしてもよいといえども、自分一人で話すばかりではいけません。発言している他の人の意見も、きちんと聞くことが大切です。
他人の意見を否定しない
ワールドカフェは、議論をして結論を出す場ではありません。そのため、他の人から出た自分と異なる意見であっても、否定してはいけません。
他人の意見へ統合することを受け入れる
リラックスした雰囲気で自由な対話を行うワールドカフェでは、他の人から様々な意見が出ます。そこで出る多様な意見に触発され、統合することを受け入れることが大切です。
質問して対話を広げる
わからないことがあった場合はどんどん質問をして、ワールドカフェを活性化させましょう。質問をすることで、理解が深まるとともに対話も広がります。
話し合った内容を紙に書き留める
ワールドカフェで対話した内容は、紙に書き留めておきましょう。話し合った内容を紙に書き留め視覚化することで、意識を対話に集中させることができます。
テーマに焦点を絞る
ある程度テーマを意識して対話をしていかなければ、話が逸れてテーマから逸脱していく可能性があります。テーマからの逸脱は、限られた対話の時間を無駄に浪費することになるため注意が必要です。対話を活性化するためにも、テーマを意識して逸脱しないように対話することが大切です。
ワールドカフェを会社で行うメリット
ワールドカフェを会社で行うメリットは、話し合いの中で意見が言いやすいことです。通常の会議では、どうしても1対多の関係性の中で発言する機会が多くなります。しかし、ワールドカフェは、少人数でリラックスした雰囲気のもと行われるため、ストレスなく発言ができるのです。
また、ワールドカフェでは少人数で対話を行い、定期的にメンバーが入れ替わります。その中で、様々な参加者の多様な意見が集まるため、複数の意見を共有できるのが特徴です。
他にも、通常の会議と異なり、資料やプレゼンの準備が不要で手軽に行うことができるなどのメリットがあります。
ワールドカフェを会社で行うデメリット
ワールドカフェは各自がそれぞれ自由な意見を出しながら対話していき、結論を出すことも求めていないことから、意見がまとまりにくいというデメリットがあります。
また、自由な意見を出しながら対話することにより、話がテーマから逸脱しやすいこともデメリットです。
ワールドカフェのやり方、進め方
ワールドカフェのやり方、進め方には明確なものがあるわけではありません。しかし、一般的に行われる流れに従って行わなければ、ワールドカフェが効果的なものにはならない可能性があります。本項では、一般的なワールドカフェのやり方、進め方について解説します。
目的を確認する
ワールドカフェを始めるには、まずは明確な目的を確認することが大切です。明確な目的を理解していないのにワールドカフェを始めても、効果的な成果は出ません。
ワールドカフェの目的は、結論を求めずに活発な対話をすることで、相互理解を深めることや新しい気付きを得ることです。このワールドカフェの目的を再認識することが重要です。
テーマを決める
次に、活発な対話ができるようなテーマを決めます。テーマが決まらなければ円滑に話が進まず、ワールドカフェが効果的なものにはならないため注意が必要です。
グループごとにテーマについて話し合う
テーマが決まったら、設定された時間内にそのテーマに対してグループごとに活発な対話をしていきます。設定された時間が終了したら、様々な意見を共有するために第2ラウンドを設定して、定期的にグループのメンバーを入れ替えることが大切です。
他のグループに移動して同じテーマについて話し合う
ワールドカフェの第1ラウンドが終了したら、ホスト役を1人残して他のグループに移動して、同じテーマについて再度対話をします。
第2ラウンドでは、第1ラウンドとは別のグループで同じテーマの対話をすることで、多くの考え方や情報を共有できるでしょう。
最初のグループに戻り情報を共有する
ワールドカフェ第3ラウンドでは、第2ラウンドで他のグループに移動したメンバーが、第1ラウンドと同じグループに戻って対話をします。
第2ラウンドで共有した情報を入れながら改めて同じテーマで対話をすることで、さらなる情報の共有と新しい気付きを発見できる可能性があるでしょう。
全体で意見やアイデアを共有する
ワールドカフェでの対話が終了したら、全体でグループごとに出た活発な意見を共有します。全体で共有することにより、新たな気付きを発見できる可能性があるでしょう。
ワールドカフェは、第3ラウンドにとどまらず、メンバーを入れ替えながら第4ラウンド、第5ラウンドを行うことも自由です。
ワールドカフェのテーマの決め方
ワールドカフェを行うには、リラックスできるカフェのような空間を作ることが大切ですが、参加者の活発な対話が期待できるようなテーマを決めることも重要です。
ワールドカフェのテーマは、参加者の対話を促すために「力強い問いであること」「オープンな問いであること」「ポジティブな問いであること」を考慮して主催者が決定します。
力強い問いとは、シンプルで明確で、発想を促すような参加者が意見を持ちやすく共有しやすい問いのことです。オープンな問いとは、どちらかを選択したら会話が終わってしまうイエスとノーだけでは答えられない問いのことをいいます。
ポジティブな問いとは、否定的な面や過去に目を向けるものではなく、未来やポジティブな側面に目を向けられるような問いです。
ワールドカフェを取り入れると、従業員のモチベーションアップや組織の成果につながる
ワールドカフェでのリラックスした雰囲気での活発な対話によって、メンバー同士の相互理解が図れます。メンバー同士の相互理解により、モチベーションや目的意識が高まり、積極性や主体性が高くなって組織の成果にもつながります。まだ取り入れていない企業は、ぜひ導入を検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
従業員10人未満の場合就業規則の作成は不要!作成時のメリット・デメリットを解説
「従業員10人未満でも就業規則は作成すべき?」「作成しても法的効力はあるの?」 就業規則は従業員10人以上の事業所で義務付けられていますが、10人未満の事業所でも作成することで得られるメリットが多くあります。 一方で、就業規則の作成にはデメ…
詳しくみる予定昇給率とは?ベースアップとの違いや算出方法を解説
退職後に支給される一時金や年金は、従業員の生活にとって大切なものです。しかし、その額は合理的なものでなければならず、支払うべき額も前もって把握することが必要となります。当記事では、予定昇給率の概要だけでなく、算出方法などについても解説します…
詳しくみるカンパニー制とは?仕組みやメリット・デメリットを解説!
カンパニー制とは、社内の事業を、それぞれ独立した会社としてみなす組織形態のことです。各カンパニーに権限を委譲し、収益力の向上や事業の効率化を図ります。今回は、カンパニー制の仕組みやメリット・デメリット、成功させるポイントを解説します。カンパ…
詳しくみるKGI・KPIの違いとは? 意味や目標達成への設定方法をわかりやすく解説
KGIとKPIはどちらも定量的な指標で、KGIは最終目標を、KPIは中間目標を計測するものです。1つのKGIに対し複数・多階層のKPIが存在するため、KPIツリーを作成すると両者の関係がわかりやすくなるでしょう。本記事では、KGIとKPIの…
詳しくみる感情労働とは?頭脳労働とどう違う?具体例を用いて解説
感情労働とは、自分自身の感情をコントロールする必要性がある労働のことを言います。感情労働を行う職種としては、顧客と接するサービス業や営業職などが代表的です。 本記事では、肉体労働や頭脳労働との違いや、実際に感情労働といわれる職業の具体例を用…
詳しくみる諭旨解雇とは?意味や懲戒解雇との違い、手続きや退職金について解説
懲戒処分には、減給、出勤停止、降格などいくつかの種類がありますが、懲戒解雇の次に重い処分が諭旨解雇や諭旨退職です。諭旨の読み方は「ゆし」であり、諭旨解雇や諭旨退職は、いずれも諭(さと)して退職させる処分になります。 諭旨解雇の意味や何をした…
詳しくみる