• 更新日 : 2026年1月14日

1on1ミーティング導入とは?設計から運用まで徹底解説

企業での人材育成や定着が課題となる中、上司と部下が定期的に向き合う1on1ミーティングが注目されています。業務の進捗や評価だけでは見えにくい個人の状態を把握し、関係性を築く手段として導入を検討する企業も増えています。

一方で、目的や設計が曖昧なまま始めてしまい、十分な効果を感じられないケースがあるのも事実です。

本記事では1on1ミーティング導入の背景や必要性を整理したうえで、メリット・デメリット、課題別の設計ポイントを解説します。自社の状況に合った1on1運用を検討したい方や、既存の運用を見直したい方は参考にしてください。

なぜ1on1ミーティング導入が必要とされているのか

日常業務では、悩みや迷いを抱えていても表に出さず、結果として問題が見過ごされてしまうことも少なくありません。

1対1で丁寧に話す時間を確保すると、仕事の進め方だけでなく、考え方や感じている問題にも目を向けやすくなります。

1on1は進捗確認の場ではなく、部下の考えや価値観を言葉にするための対話の時間です。

こうした対話の積み重ねが信頼関係を育み、主体性やエンゲージメントの向上につながる点が、導入が重視される理由の1つです。

1on1導入の背景と理由|労働環境の変化から読み解く3つの要因

1on1ミーティングが注目されている背景には、労働環境そのものの変化があります。

リモートワークの定着や働き方の多様化により、従来のように日常のやり取りだけで部下の状態を把握することが難しくなりました。

また、若手社員の早期離職やキャリア観の変化など、マネジメントに求められる役割も広がっています。

個々の状況に合わせた関わり方や支援をおこなうためには、一律のマネジメントでは対応しきれない前提を持つことが欠かせません。

こうした環境変化への対応策として、1on1ミーティングが改めて見直されています。

①働き方が変化したためマネジメントも見直す必要がある

リモートワークやハイブリッド勤務が当たり前になり、職場での何気ない雑談や相談の機会は確実に減っています。

その結果、仕事の進め方や情報共有の認識にズレが生じやすくなり、認識違いが成果や評価に影響する場面も少なくありません。

意図や背景をすり合わせる時間を持たなければ、業務上の小さな行き違いが積み重なりやすい環境になってしまいます。

1on1は、話す余白を取り戻すための現実的な選択肢の1つと言えるでしょう。

②若手社員の離職率が高く対策が必須な状況にある

入社後3年以内に離職を選ぶ若手社員は、3割以上というデータがあり、企業側にも離職防止の対策が求められています。

仕事への不安や人間関係の悩みを抱えていても周囲にうまく相談できないまま時間が過ぎてしまい、問題が表面化したときには、すでに気持ちが離れているケースも少なくありません。

そのため、悩みを相談できない状態が続くこと自体が、定着率に影響します。定期的な対話の場があることで、離職につながる前のサインに気づきやすくなるでしょう。

③自主的に考えて動ける人材育成が求められている

環境の変化が激しい今、細かな指示を待ってから動くスタイルでは対応が追いつきません。

自分で考え・選び・行動する力が、これまで以上に求められています。とはいえ、急に自律を求めるのも難しいのが現状です。

自主性は業務の中で迷いながら判断する経験を重ねることで、少しずつ自分なりの考え方が形づくられて育っていきます。

考える経験を積み重ねていくためにも、日々の振り返りや対話は重要です。そうした成長の土台づくりとしても、1on1が活用される場面が増えています。

1on1ミーティングにおいて導入企業が実感しやすい3つのメリット

1on1ミーティングは、定期的な対話を通じて心理的安全性を高め、部下の成長やキャリアを支援する土台をつくります。

あわせて、離職の兆候や現場の課題を早い段階で把握できるため、組織全体の安定や改善にもつながります。

①心理的安全性が高まり対話できる文化が育つ

1on1を定期的におこなうと、不安や違和感を抱え込まずに共有できるようになり、上司との心理的な距離も自然と縮まるでしょう。

安心して話せた経験が重なると、意見や相談が日常的に出てくる職場へと変わっていきます。

対話を避けない風土が根づき、チーム内のコミュニケーションを円滑にするためにも、心理的に安全だと感じられる環境は必要不可欠です。

声を上げやすい環境は、問題の早期発見にもつながります。

②キャリア支援と育成のサイクルが回りはじめる

1on1は、日々の業務だけでなくこの先どうなりたいかを考えるきっかけにもなります。

継続的に話すと、部下の得意な分野や課題・価値観が見えやすくなり、表面的な評価に頼らない支援ができるでしょう。

本人の希望と現実をすり合わせながら、次に取る行動を具体化できる点も特徴です。

その結果、指示待ちではなく自分で成長を考える姿勢が育ちます。育成が一過性で終わらず、次の1on1へと自然につながっていきます。

③離職兆候や現場課題が早期に把握できる

大きなトラブルや突然の離職は、多くの場合、小さな違和感が放置されたまま積み重なったことから起こります。

1on1を通じて日常的に話を聞いていると、表に出にくい不満や迷いにも気づきやすくなるでしょう。

現場の声が継続的に集まることで、業務負荷や体制の問題も見えてきます。早い段階で手を打てるため、マネジメントの負担を減らす効果もあります。

人に関するリスクを後追いで対応しないための手段としても有効で、個人任せにせず組織として課題に向き合える環境作りが可能です。

1on1ミーティングの導入前に押さえておきたい3つのデメリット

1on1は有効な手法である一方、目的が曖昧なまま始めると形骸化しやすく、管理職のスキル差や運用負荷といった課題も生じやすくなります。

準備や設計を十分におこなわなければ、期待した効果を実感できないケースも少なくありません。

そのため、導入前にデメリットを理解し、あらかじめ対策を考えておくことが重要です。

①形だけの運用となってしまいやすい

1on1の目的が共有されていないと、単なる雑談の場になる場合があります。

話した内容が記録されなかったり、次回に活かされなかったりすると、改善の実感も得られません。

結果として、続けてはいるものの何のためにやっているのか分からない状態に陥りがちです。

テーマ設定が毎回曖昧だと、対話の質も安定しないため上司・部下ともに準備意識が薄れ、惰性で時間を消費する感覚が強くなります。

こうした状態が続くと、1on1そのものへの期待値が下がってしまいます。

②管理職のスキルによって内容にバラつきが出やすい

1on1は上司の質問力や対話の進め方によって、得られる気づきに大きな差が生まれます。

経験の浅い管理職ほど、何を聞けばよいか分からず負担を感じやすいでしょう。その結果、社員ごとに体験の質が異なり、不公平感につながる場合もあります。

また、上司自身が1on1の意義を理解していない場合、形式的な確認で終わるケースも少なくありません。

フィードバックが一方通行になると、部下の主体性も引き出しにくくなります。育成に差が出ることで、組織全体の成長スピードにも影響が及びます。

③運用コストや継続負荷が高くなりやすい

定期的な日程調整や記録の管理など、1on1には一定の手間が発生します。特に担当人数が多い管理職ほど、時間的な負荷は無視できません。

無理に続けようとすると形骸化しやすいため、最初から現実的な運用設計が求められます。

加えて、業務が忙しい時期ほど後回しにされやすい点も課題です。1on1が余裕があるときだけおこなうものになると、継続性は保てません。

運用負荷を見越したルールやツールの整備が欠かせない要素となります。

課題別|1on1導入を検討している企業向け設計ガイド

企業が抱える課題によって、1on1に求められる役割や設計のポイントは異なります。

離職防止・育成強化・現場課題の把握など、自社の状況に応じて目的を明確にすることが重要です。

ここでは、よくある課題別に1on1の設計・活用の考え方を整理します。

離職率が高い

1on1は、業務の話だけでなく気持ちや不安を安心して共有できる場として設計するのが重要です。

特に入社初期や異動直後は頻度を高め、こまめなフォローをおこなうことで孤立を防ぎやすくなります。

また、評価や詰問の場にならないよう、目的を切り分けた進め方を意識することも欠かせません。

上司が一方的に結論を出すのではなく、本人の言葉を整理する姿勢が信頼につながります。

継続的な対話を通じて、評価や結論を急がない進め方を定着させることが重要です。

育成が機能していない

成長やキャリアをテーマに据えた対話をおこなうと、1on1は育成の場として機能しやすくなります。

強み・課題・次に取る行動を整理しながら話す機会があると、本人の納得感も高まりますし定期的な振り返りを繰り返すことで、学びが一過性で終わらず成長につながります。

加えて、上司の経験則だけに頼らず、事実や行動に基づいた対話を意識する姿勢が大切です。

目標と日々の業務を結びつけて整理すると、育成の方向性が明確になります。小さな成功体験を言語化することも、次の行動を後押しします。

現場の声が拾えていない

1on1を意見や困りごとを集める場として活用すると、日常業務では表に出にくい声を拾いやすくなります。

現場視点での改善案や課題を丁寧に吸い上げることが、実効性のある施策につながります。

得られた気づきを組織全体へ還元する仕組みを整える施策も欠かせません。その際、聞くだけで終わらせない運用が重要です。

共有された意見がどう扱われたのかを全体に伝えれば、発言への納得感が生まれます。意見が反映される職場には結果として、現場からの情報提供が継続的に集まりやすくなるでしょう。

複数ある課題を整理したい

課題が複数ある場合は、優先度を決めて1on1のテーマを分けて進めるのが有効です。対話の目的を定期的に見直す機会を設けると、話が拡散するのを防げます。

個人任せにせず、組織レベルで一貫性のある設計をおこなう取り組みが重要です。あらかじめテーマ例や進め方のガイドを用意しておくと、現場での迷いを減らせます。

上司ごとの進め方の差を抑えられ結果として、1on1が場当たり的にならず、課題整理の手段として機能しやすくなります。


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