• 更新日 : 2026年1月14日

PM理論とは?PとMの違い・4つのリーダータイプ・育成方法まで解説

PM理論は、リーダーシップを 目標達成機能(P) と 集団維持機能(M) の2軸で捉える行動理論で、チームが成果を出し続けるためのリーダー行動の状態を客観的に把握できるのが最大の特徴です。

面接や人事評価だけでは見えにくいリーダーとしての強み・弱みを可視化し、育成や組織づくりにも活用できます。

本記事では、PM理論の基本概念、PとMが意味する行動、4つのリーダータイプの違い、他のリーダーシップ理論との比較、そしてPM型リーダーを育てる具体的な方法まで体系的に解説します。

PM理論とは?

PM理論とは、リーダーシップを目標達成機能(P)と集団維持機能(M)という2つの軸で捉える行動理論です。1966年に社会心理学者である三隅二不二によって提唱され、リーダーの資質ではなく行動に着目して分析する点が特徴です。

PM理論では、リーダーの行動を成果を重視するPと、人間関係を重視するMの2要素で測定し、その組み合わせによってリーダーシップのタイプを分類します。どちらか一方だけが優れていても十分とは言えず、目標達成力とチーム維持力を両立している状態が理想的であるとされています。

もともとリーダーシップ研究は、生まれ持った資質に焦点を当てる特性理論が中心でした。しかしPM理論は、後天的な行動によってリーダーシップは育成できるという考え方に基づき、実務や組織運営に活用しやすい理論として確立されています。

PとMの2つの機能

PM理論の中核となるのが、P機能とM機能の2つのリーダーシップ機能です。

P機能とは、Performance function、すなわち目標達成機能を指します。具体的には、計画立案や指示、進捗管理、成果評価、業務効率化などがP機能にあたります。組織やチームの目標を明確に設定し、計画を立て、進捗を管理しながら成果を出すための行動が中心です。

一方、M機能とはMaintenance function、すなわち集団維持機能を指します。声かけや傾聴、対立の解消、モチベーションの維持、一体感の形成などが代表的な行動にあたります。チーム内の人間関係を良好に保ち、心理的安全性を高めるための行動が中心です。

P機能が強い場合、短期的な成果は出やすくなりますが、M機能が弱いとメンバーが疲弊し、チームの持続性が損なわれます。反対に、M機能が強い場合は人間関係が安定しますが、P機能が弱いと成果が出にくくなります。両方の機能を高めることで、持続的な成果と安定した組織運営が可能です。

パパママ理論と呼ばれる理由

PM理論はパパママ理論と呼ばれることがあります。これは、それぞれの機能が家庭内の役割イメージに例えられているためです。あくまで従来のイメージをもとにした呼称であり、男女の家庭内での役割を決めつけるものではないことをあらかじめご理解ください。

P機能は、厳しく成果を求め、方向性を示す父親、いわゆるパパのイメージに重ねられます。一方、M機能は、包容力を持って支え、安心感を与える母親、いわゆるママのイメージに近いとされています。

このようにパパママ理論と呼ばれるのは、リーダーに求められる理想像が、厳しさと優しさを兼ね備えた存在であることをわかりやすく表現しているためです。成果を出すだけでなく、人を育て、チームを守るリーダー像を象徴する呼び方と言えます。

P機能(目標達成機能)とは?

P機能とは、組織やチームの目標を達成するために必要なリーダーシップ行動です。明確なゴールを設定し、それに向けた計画を立て、進捗を管理しながら指示を出し、成果に対するフィードバックを行う一連の行動が含まれます。

P機能は、成果を高めるための判断や行動を重視する点が特徴です。KPIの設計や業務効率化、チームの統率といった要素と密接に関わっており、組織全体のパフォーマンスを左右する重要な機能です。

リーダーがP機能を強化するためには、進むべき方向性を明確に示し、それを行動レベルまで落とし込み、徹底する姿勢が求められます。

M機能(集団維持機能)とは?

M機能とは、チームの安定と良好な人間関係を維持するためのリーダーシップ行動です。声かけや1on1での対話、傾聴、衝突の調整、チーム内の信頼関係の醸成などが代表的な行動です。

M機能は、心理的安全性を高め、メンバー一人ひとりのモチベーションを支える役割を担います。上司と部下の縦の関係だけでなく、メンバー同士の横の関係にも配慮することが重要です。

M機能を高めるためには、定期的な対話や情報共有の場を設け、安心して意見を出せる環境をつくることが欠かせません。これにより、チーム全体の安定性と協力関係が維持されやすくなります。

PM理論による4つのリーダーシップタイプ

PM理論では、リーダーの行動特性を目標達成機能であるP機能と、集団維持機能であるM機能の強弱によって分類します。この2つの機能の組み合わせにより、リーダーは4つのタイプに分けられるのです。

ここでは、PM理論に基づく4つのリーダーシップタイプについて解説します。

PM型(理想的リーダータイプ)

PM型は、P機能とM機能の両方が強いタイプで、PM理論において理想的なリーダー像です。

明確なビジョンを持ち、成果を着実に上げながら、チーム内の人間関係も良好に保てます。計画立案力と統率力に優れており、組織を持続的に成長させる力を持っています。

また、危機的な状況においても冷静に判断し、適切な対応ができる点が特徴です。チームの士気を高めつつ高い成果を出すため、部下からの信頼も厚いリーダータイプです。

Pm型(成果重視型リーダー)

Pm型は、P機能が強く、M機能が弱いタイプのリーダーです。

目標設定や進捗管理、業績向上に優れており、短期的な成果を上げやすい傾向があります。業務を効率的に進められる一方で、メンバーとの関係性が希薄になりやすい点が課題です。その結果、モチベーションの低下や離職につながる恐れがあります。

また、トップダウン型のマネジメントになりやすく、独裁的と受け取られる場合もあります。

pM型(人間関係重視型リーダー)

pM型は、M機能が強く、P機能が弱いリーダータイプです。

チームの雰囲気づくりや人間関係の構築が得意で、メンバーの心理的安全性を高め、信頼関係を築けます。しかし、目標設定や業績向上に向けた具体的な施策が弱く、成果面で課題を抱えやすい傾向があります。

過度に和を重視することで、改革や改善が進みにくくなる点にも注意が必要です。

pm型(未熟型リーダー)

pm型は、P機能とM機能の両方が弱く、リーダーとして未成熟なタイプです。

目標達成に向けた方向性を提示できず、チームをまとめる力も不足しがちです。そのため、リーダーとしての自覚や責任感、計画力、コミュニケーション力を高める必要があります。

このタイプが成長するためには、P機能とM機能をバランスよく鍛える取り組みが求められます。

他のリーダーシップ理論との違い

PM理論は、リーダーの行動を目標達成機能(P)と集団維持機能(M)という2つの軸で捉える点に特徴があります。この2軸によって、リーダー自身の強みと弱みを客観的に把握できるため、非常にシンプルで実践に落とし込みやすい理論です。

一方で、他のリーダーシップ理論は、状況や相手の状態、感情面などを重視する傾向があり、着目点に明確な違いがあります。

SL理論(状況対応型理論)との違い

SL理論は、部下の成熟度に応じてリーダーシップのスタイルを柔軟に変化させることを重視する理論です。状況や相手に合わせて指示型や支援型などを使い分ける点が特徴です。一方、PM理論は、リーダー自身の行動特性であるP機能とM機能を高めていくことに焦点を当てています。

SL理論が相手に合わせて行動を変えるアプローチであるのに対し、PM理論は自らの行動軸を育てるアプローチである点が大きな違いです。

EQ理論との違い

EQ理論は、感情知性に基づき、自分や他者の感情を理解し、適切に調整することで組織の成果を高める理論です。人間関係や感情の扱い方が重視される点が特徴です。一方、PM理論は、リーダーの具体的な行動面を評価することを重視しています。

EQ理論が感情による影響力に焦点を当てているのに対し、PM理論は行動による成果向上に焦点を置いている点に違いがあります。

クルト・レヴィンのリーダーシップ理論との違い

クルト・レヴィンは、リーダーシップを専制型・民主型・放任型の3種類に分類し、それぞれが集団に与える影響を分析しました。一方、PM理論はレヴィンの理論をもとに、目標達成と集団維持という2軸へと発展させた日本発の理論です。

レヴィンがリーダー行動の型を示したのに対し、PM理論はP機能とM機能の強弱によって、リーダーの成熟度を測る点に特徴があります。

PM型リーダーを育てる方法

PM型リーダーを育成するためには、目標達成機能であるP機能と、集団維持機能であるM機能の両方を、段階的かつバランスよく強化していくトレーニングが重要です。

一方の能力だけを伸ばすのではなく、相互に補完し合う形で育成を進めることで、安定した成果と良好なチーム運営を両立できるリーダーを育てられます。

P機能を伸ばすためのトレーニング

P機能を高めるためには、まず目標を明確に定義し、組織全体の方向性と整合させることが必要です。その上で、メンバーに対してゴールと役割を繰り返し伝え、具体的な行動レベルまで落とし込むことで、日々の業務と目標を結び付けます。

また、定期的な進捗確認とフィードバックを行い、計画と実行にずれが生じた場合には、速やかに行動を修正し徹底します。KPIや成果基準を可視化して達成状況を共有することで、チーム全体の意識を揃えることも重要です。

さらに、KPT(Keep・Problem・Try)などのフレームワークを用いた振り返りを行うことで、課題と改善点を明確にし、継続的な改善を促します。

M機能を伸ばすためのトレーニング

M機能を強化するためには、定期的な1on1面談を実施し、部下のキャリア意識や抱えている課題を把握することが欠かせません。日常的に声をかけ、傾聴と適切なフィードバックを通じて信頼関係を構築することで、メンバーは安心して意見を発信できます。

また、チーム全員が意見を言える会議環境を整備し、心理的安全性を高めることも重要です。懇親会や雑談の場を活用してメンバー間の横のつながりを強化することで、チーム全体の一体感が高まります。加えて、公平な評価と感謝の表現を徹底することで、士気とチームワークを維持しやすくなります。

PM理論が活躍する主なシーン

PM理論は個人のリーダー評価にとどまらず、組織診断や人材配置、育成戦略の設計など、幅広いシーンで活用できます。P機能とM機能の視点から組織や人材を捉えることで、課題を構造的に把握しやすくなります。

リーダー候補の診断と育成への応用

PM理論に基づいてリーダー候補者のP機能とM機能の強弱を診断することで、個々の特性を客観的に把握できます。強みと弱みを可視化することで、育成方針を明確にできる点が特徴です。

P機能が強い人材にはM機能である共感力やチーム維持力を重点的に育成し、M機能が強い人材にはP機能である計画力や実行力を伸ばす育成が有効です。理想的なPM型リーダーを基準に、研修やメンター制度を活用して段階的に能力開発を行います。

また、自己評価ツールとしても活用でき、自己理解を深めながら改善行動を促進する効果も期待できます。

組織全体のリーダーシップバランス分析

組織内のリーダーを4タイプに分類し、分布をマッピングすることで、組織全体のリーダーシップバランスを把握できます。

  • PM型(理想的)
  • Pm型(成果偏重)
  • pM型(人間関係偏重)
  • pm型(未成熟)

P機能が弱い組織では、生産性が低く意思決定が遅いなれ合い型の傾向が見られます。一方で、M機能が弱い組織では成果は出やすいものの、離職率が高く信頼関係が希薄になりがちです。

バランスの取れたPM型リーダーが多い組織では、成果と定着率を安定的に両立できます。分析結果をもとに配置転換や教育計画を設計することで、企業全体のリーダー層の偏りを改善し、持続的な組織成長につなげられるでしょう。

チームの生産性・離職率改善

PM理論を活用してチームのP機能とM機能のバランスを見直すことで、組織課題の根本を可視化できます。

P機能を重視しすぎて疲弊している組織では、M機能を強化し心理的安全性を高めることが有効です。反対に、M機能を重視しすぎて成果が出にくい組織では、P機能を強化し目標管理の徹底が必要です。

このように、コミュニケーションの質と業績の両面を改善することで、離職防止につなげられます。チーム単位でPM理論の診断を行い、リーダーシップの方向性を共有することにより、継続的な1on1やフィードバック文化が定着し、モチベーション維持にも効果を発揮するでしょう。


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