- 更新日 : 2025年12月18日
WEBデザイナーの採用は難しい?成功のポイントや採用方法、基準を解説
デザイナー採用は、企業のブランド力やプロダクトの品質に直結するため、非常に重要度が高いにもかかわらず、採用市場では「難しい」とされる課題の一つです。とくに、ビジネス課題の解決に貢献できる優秀なデザイナーは、多くの企業が求めるため、競争が激しくなっています。従来の採用方法だけでは、スキルとカルチャーの両面でマッチする人材を獲得することは困難です。
この記事では、デザイナー採用が難しい理由を深掘りし、採用方法の選定、実務能力を見極める評価基準、そして具体的な採用課題の設計方法までを、中小企業の採用担当者にもわかりやすく解説します。
目次
デザイナー採用が難しい3つの理由
デザイナー採用の難しさは、主に以下の3点に集約されます。
- スキルとアウトプットの質の差
企業が求めるのは、単に「見た目が良いデザイン」ではなく、「ビジネス課題を解決し、ユーザー体験を改善できるデザイン」のスキルです。しかし、応募者のポートフォリオ(作品集)と企業が求める実務能力の間にギャップがあることが多く、採用基準に合う人材が少ない傾向があります。 - フリーランスの増加と働き方の多様化
WebデザイナーやUI/UXデザイナーを中心に、高いスキルを持つ人材がフリーランスとして働くことを選ぶケースが増えています。これにより、企業での正社員採用の競争率が高まり、優秀な人材の獲得が難しくなっています。 - 企業の魅力の発信不足
優秀なデザイナーは、給与だけでなく、企業のビジョン、デザインの重要性が認められている文化、そして成長機会を重視します。自社のデザイン組織がどのような役割を果たし、どのようにスキルアップできるかを具体的に伝えられない企業は、選ばれにくくなります。
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デザイナーの「仕事がつらい」と感じてしまう理由
デザイナーが仕事をつらいと感じる理由は、採用におけるミスマッチの大きな要因となります。多くのデザイナーは、以下の点に課題を感じます。
- デザインの意図が理解されない
経営層や他部署のメンバーにデザインの論理や意図が伝わらず、単なる「見た目の修正」として扱われることにストレスを感じます。 - 単純作業が多い
サービスの戦略立案や企画の上流工程に関与できず、指示されたバナー制作などの単純な作業に終始してしまうことに不満を感じます。 - ビジネス上の成果への貢献が見えない
自分のデザインが、ユーザーの満足度や売上の向上といった具体的なビジネス成果につながっている実感を持てない場合、モチベーションを保つのが難しくなります。
採用段階で、デザイナーが上流工程から関与できること、デザインがビジネスの成果に直結する役割であることを具体的に伝えることで、入社後のミスマッチを防ぐようにしましょう。
採用を成功させるための3つのポイント
厳しいデザイナー採用競争を勝ち抜くには、以下の3つの基本戦略を固めるようにしましょう。
- 採用ターゲットをはっきりさせる
職種(UI/UX、グラフィック、サービスなど)だけでなく、「自社の課題(例:使いづらいユーザーインターフェース)を解決するために、どのようなスキルと経験が必要か」という役割ベースで、人材要件を練り上げます。
関連資料|採用ペルソナ(ターゲット)設定シート(ワード) - デザイン文化の魅力を発信する
報酬だけでなく、「デザインが経営課題として扱われているか」「最新のデザインツールを導入しているか」といった、デザイナーが重視する要素を具体的なエピソードとともに発信します。 - 採用を「相互理解の場」ととらえる
企業側がスキルを見極めるだけでなく、応募者にとっても入社後の働き方やデザイン組織の文化を深く知ってもらうための選考プロセスを設計します。
デザイナー採用の評価基準と採用課題の作成方法
デザイナー採用では、一般的な面接や職務経歴書だけでは、実務で求められる「思考プロセス」や「課題解決能力」を正確に測ることは困難です。そのため、ポートフォリオと採用課題(試験)が最も重要な評価基準となります。
関連資料|基礎のすべてがよくわかる! タレントマネジメント入門ガイド
デザイナー採用の評価基準:ポートフォリオで見るべき3つのポイント
ポートフォリオは、単なる作品集ではなく、応募者の課題設定能力と解決のプロセスを示す資料です。以下の3つのポイントを重視して評価します。
- 課題解決の意図とプロセス
「なぜこのデザインにしたのか」「どのようなユーザー課題を解決しようとしたのか」「デザイン決定の論理的根拠は何か」といった、思考の過程が明確に記述されているかを最も重視します。 - ビジネスへの貢献度
そのデザインが、実際にユーザーの行動やビジネスの成果(例:コンバージョン率、離脱率の改善)にどのように影響を与えたか、具体的なデータや結果とともに示されているかを確認します。 - 多様な制約への対応力
限られた予算、技術的な制約、短いスケジュールといった、実際の仕事で生じる制約の中で、いかに最適な解を導き出したかという、実務における対応力を評価します。
実務スキルを見極める採用課題(試験)の設計方法
採用課題(実技試験)は、応募者の実力を測るために非常に効果的ですが、難易度や内容によっては、応募を敬遠される原因にもなるため、慎重に設計する必要があります。
自社の「実際の業務に近い、模擬的な課題」を設定するようにしましょう。たとえば、「既存サービスの特定のUI改善案を、理由とともに提案する」といった内容です。これにより、応募者が自社のドメイン知識をどれだけ持っているか、また、どれだけ深く課題を理解できるかがわかります。
課題の所要時間は「半日〜1日程度」で完了できる規模に抑えます。過度に時間のかかる課題は、応募者の負担が大きくなり、回答率が下がります。
採用課題の結果は、不採用の場合でも具体的なフィードバックを行うようにします。これは、応募者への誠意を示すとともに、企業のデザイン文化を伝える機会にもなります。
ミスマッチを防ぐ面接での質問のコツ
面接官がデザインの専門知識を十分に持っていない場合でも、応募者の本音や意図を引き出すようにしましょう。
- 論理性を問う質問
「あなたが作成したポートフォリオの中で、最も悩んだ点と、それをどのような理由で解決したか教えてください。」 - 価値観を問う質問
「ビジネス的な成果と、デザインの美しさの間で意見が対立した場合、あなたはどのような判断基準で優先順位をつけますか?」 - チーム連携を問う質問
「過去にエンジニアやマーケターと連携した際、デザインの意図をどのように伝え、合意形成しましたか?」
これらの質問は、応募者の問題解決能力、コミュニケーション能力、そしてカルチャーフィットを、具体的なエピソードから把握するのに役立ちます。
関連資料|採用面接チェックシート(エクセル) テンプレート
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新卒デザイナー採用のポイント
経験者採用が難しい場合、新卒採用を強化することも有効です。新卒採用では、実務スキルよりも以下の要素を基準とします。
- 素直さと学習意欲
新しい技術やフィードバックを素直に受け入れ、自ら学習し続ける意欲があるかを評価します。 - 論理的な説明能力
ポートフォリオや面接において、自分の作品を「感覚的」ではなく、「論理的」に説明できるかを重視します。 - 基礎体力と情熱
デザイナーの仕事は、企画から実装まで多岐にわたるため、困難な状況でもデザインに対する情熱を保てるかを確認します。
関連資料|新卒採用計画書(ワード) テンプレート
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おすすめのデザイナー採用方法
ダイレクトリクルーティング(スカウトメール)
転職データベースやビジネスSNS(例:LinkedIn, Wantedlyなど)を利用し、企業の採用担当者や現場のデザイナーが候補者を直接検索・スカウトします。優秀なデザイナーは転職活動をしていない転職潜在層に多く、求人媒体を見ていないため、個別メッセージが最も有効な接触機会となります。
リファラル採用(社員紹介)
自社のデザイナーやエンジニアが、スキルとカルチャーの両面でマッチしそうな知人・友人を企業に紹介します。採用コストが低く、社員が事前に企業の文化や課題を説明するため、入社後のミスマッチが極めて少ないことが推奨理由です。
デザイナー特化型エージェントの利用
デザイナー職に特化して人材紹介を行うエージェントを活用します。採用のプロが、スキルだけでなく、デザイン文化や職種の細かな要件を理解した上で候補者を推薦するため、ミスマッチが少なく、選考の手間を大幅に削減できます。
SNSの活用
採用情報だけでなく、デザインチームの日々の活動や成果、デザインの裏側にある意図などをカジュアルかつ継続的に発信し、親近感と興味を持ってもらいます。若手や中堅層のデザイナーはSNSを通じて情報収集やキャリア観の形成を行うため、企業のリアルな雰囲気や文化を伝えるのに非常に効果的です。
デザインイベント・ミートアップの開催/参加
UI/UX、グラフィック、サービスデザインなどのテーマで、自社オフィスを開放したり、外部イベントに登壇したりします。潜在的な候補者と直接、カジュアルに交流できる唯一の場であり、選考に入る前に人柄や技術への熱意を見極めることができます。
企業の魅力を伝える採用コンテンツも制作しよう
デザイナーが重視するのは、企業の「デザインに対する解像度」です。以下のコンテンツを通じて、企業文化を発信しましょう。
デザインブログ/採用特設ページ
開発チームではなく、デザインチーム自身が、日々のデザインプロセス、デザインルール、使用ツール(Figmaなどのプロトタイピングツール)、デザインレビューの進め方などを具体的に発信します。これにより、企業のデザインレベルと文化が伝わり、プロフェッショナルな視点を持つデザイナーを惹きつけます。
組織図の公開
デザイナーが組織の中でどのような位置づけにあるのか(例:経営層直下にいるか、開発チームと対等か)をはっきりさせます。これにより、「単純作業者」としてではなく、「戦略的な役割」として採用している姿勢が伝わります。
関連記事|スタートアップならではの採用のポイントとは?具体的な実践方法も解説
関連資料|採用広告文案テンプレート(ワード)
デザイナー採用で失敗する主な理由と対策
デザイナー採用で失敗する主な原因と、それを避けるための対策は以下のとおりです。
採用要件が「感覚的」である
対策:「おしゃれ」といった抽象的な基準ではなく、必要なデザインスキルを「必須(Must)/あれば尚可(Want)」で区別し、現場を交えて評価基準を具体的な行動レベルで言語化するようにします。
デザインの重要性が組織内で低い
対策:デザイナーがプロダクトの戦略立案など上流工程から関われる役割を明確にし、経営層がデザインを重視する姿勢を示すようにします。
関連記事|評価制度設計で目指すべき3つのゴールとは?進め方や成功のコツを徹底解説
選考プロセスが遅い
対策:優秀なデザイナーはすぐに内定を獲得するため、面接から内定までの期間を短縮するため、選考フローを見直し、迅速な対応を徹底するようにします。
評価がポートフォリオのみに偏る
対策:過去の作品の完成度だけでなく、実務に近い「採用課題(試験)」を導入し、思考プロセスやコミュニケーション能力を総合的に評価するようにしましょう。
「組織の魅力」発信がデザイナー採用の成功につながる
デザイナー採用の成功は、単なる求人情報の掲載や、給与の高さだけでは達成できません。
最も重要なのは、自社のデザイン組織が「プロフェッショナルとして成長できる環境であるか」「デザインが事業成長の鍵として扱われているか」というカルチャーを透明性をもって発信するプロセスにあります。
採用ターゲットとなるデザイナーが、「この会社なら、自分の能力を最大限に発揮し、単なる作業者ではなく、ビジネスパートナーとして貢献できる」と感じられるような、情報提供と選考体験を設計しましょう。
この記事で解説した戦略と手順をふまえ、貴社のデザイナー採用が成功につながることを願っています。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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