- 更新日 : 2025年12月8日
給与振込同意書とは?書き方・記入例やどこでもらえるかを解説
給与振込同意書とは、会社が従業員の銀行口座に給与を振り込む際、従業員がその方法に同意したことを示す書類です。
給与振り込みに関する同意を得ることで、法令遵守やトラブル回避が可能です。
本記事では、給与振込同意書の具体的な書き方や作成する際の注意点、関連書類との違いについて解説します。
本記事を読めば、給与振込同意書に関する疑問を解消できるでしょう。
目次
給与振込同意書とは
給与振込同意書は、従業員が銀行口座への給与振込を承諾するための書類です。
会社が従業員に給与を支払う方法として、現金での手渡しではなく、銀行口座への振り込みを選択する場合、給与振込同意書が必要です。
また、給与振込同意書を作成すれば、会社と従業員の間で給与の支払い方法を明確にできるため、誤解やトラブルを防げます。
次項で、給与振込同意書とよく混同される他の書類との違いを解説します。
給与振込依頼書との違い
給与振込依頼書は、従業員が給与を振り込んでもらう口座情報を会社に提出するための書類です。
給与振込同意書と異なり、同意の意思を確認するものではなく、振込口座情報の通知を目的としています。
たとえば、口座を変更したり、口座情報を訂正したりする際に利用するのが一般的な用途です。
つまり、給与振込依頼書は、既に給与振込同意書を提出している従業員が、口座情報を変更したい場合に使用する書類であり、給与振込同意書とは役割と目的が異なります。
給与振込申請書との違い
給与振込申請書は、従業員が給与振込を希望する際に使用する書類であり、振込口座の詳細を記載します。
一方、給与振込同意書は、会社が従業員の同意を得たうえで給与振込を実施するための書類です。
申請書が従業員から会社への申告を目的とするのに対し、同意書は労働条件に基づいた契約の一環として位置づけられます。
給与振込申請書と給与振込同意書は、言葉のニュアンスは似ていますが、法的な意味合いや目的に違いがあります。
口座振込同意書との違い
口座振込同意書は、給与振込同意書とほぼ同じ意味で使用される場合が多く、厳密な違いはありません。
ただし、会社によっては、下記のように使い分ける場合があります。
- 口座振込同意書:経費精算や報酬支払いなど、給与以外の取引で口座振込を行う際に使用
- 給与振込同意書:給与を従業員の口座へ振込する際に使用
両者とも振込に関する同意を求める点では共通しますが、会社によっては用途が異なるため、それぞれの役割を正しく理解しておきましょう。
給与振込同意書のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
給与振込同意書が必要な理由
給与振込同意書が必要な理由は、口座への給与振込を従業員に同意してもらうためだけではなく、他にも下記のような理由があります。
- 法令遵守のため
- トラブルを防ぐため
- リスクを軽減するため
次項で、それぞれの理由について詳しく解説します。
法令遵守のため
給与振込同意書は労働基準法にもとづき、給与の支払い方法に対して従業員の同意を得るために必要です。
労働基準法では、給与は原則現金で支払うこととされていますが、同意があれば銀行振込が認められます。
給与振込同意書を作成すれば、適正な手続きが取られていることを証明し、会社が法的責任を果たしていることを示せます。
給与振込同意書がない場合、法的に問題が生じる可能性があるため、給与振込を実施する際は、必ず同意書を取得しましょう。
トラブルを防ぐため
従業員の口座情報を正確に記録するためにも、給与振込同意書の作成は欠かせません。
口座番号や銀行名が誤っている場合、給与が正しく振り込まれないなどのトラブルが発生する可能性があります。
同意書を通じて直接情報を取得し、確認すれば、人為的なミスによる振り込み間違いを防ぎ、従業員へのスムーズな給与支払いができます。
リスクを軽減するため
現金での給与支払いには、管理の手間やセキュリティ上のリスクが伴います。
たとえば、現金を持ち運ぶ際に紛失したり、盗難に遭ったりする可能性があり、現金管理に手間がかかるでしょう。
一方、銀行口座への振り込みは、自動化できる部分が多く、会社側の事務処理の効率化につながります。
また、従業員にとっても、銀行口座に振り込まれることで、現金を持ち歩く必要がなくなり、安全な給与受け取りが可能です。
さらに、銀行口座への振り込みは、経理処理の正確性向上にもつながります。
現金での支払いでは、入出金記録の誤りや、不正が発生するリスクがありますが、銀行口座への振り込みであれば、これらのリスクを軽減できます。
給与振込同意書の書き方・記入例
給与振込同意書に記載すべき内容は、下記の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 従業員の氏名 | フルネームを正確に記載 |
| 勤務先 | 会社名や部署名を記載 |
| 銀行口座情報 | 口座名義人、銀行名、支店名、口座番号を正確に記載 |
| 同意事項 | 給与を銀行口座に振り込んでもらうことに同意する旨を明記 |
| 署名・捺印 | 従業員本人が署名・捺印 |
| 作成日 | 書類を作成した日付を記載 |
実際の記入例は、下記の通りです。

口座情報は、誤字脱字や数字の記入ミスがないよう正確に記載しましょう。
給与振込同意書には、特に決まった書式はないため、WordやExcelなどの一般的なソフトで作成できます。
ただし、会社によっては、独自のフォーマットを用意している場合もあるため、事前に確認してから作成しましょう。
給与振込同意書を作成するときの注意点
給与振込同意書を作成するときの注意点は、下記の通りです。
- 必要な情報を漏れなく記載する
- 認印が必要になる場合がある
- 控えを保管しておく
- 速やかに作成して提出する
次項で、それぞれの注意点について詳しく解説します。
必要な情報を漏れなく記載する
給与振込同意書には、正確な情報を漏れなく記載しましょう。
特に、氏名、住所、連絡先、振込先口座情報(銀行名、支店名、口座番号、口座名義人)などは、誤字脱字なく正確に記入してください。
上記の情報が間違っていると、給与が振り込まれない、または別の口座に誤って振り込まれてしまうといったトラブルの原因になります。
口座番号の1桁の誤りでも、全く異なる口座に振り込まれてしまう場合があるため、必ず正確に記載しましょう。
認印が必要になる場合がある
給与振込同意書では、一般的に銀行印は不要ですが、会社によっては認印が求められる場合があります。
社内処理の効率化により、ゴム印が許可される場合もありますが、法的な証明力を高めるため、ゴム印以外の印鑑を使用するのがおすすめです。
事前に会社のルールを確認し、必要に応じて準備しましょう。
控えを保管しておく
給与振込同意書を作成したら、必ず自分の控えを保管しておきましょう。
控えを保管しておけば、万が一、給与の振込に関してトラブルが発生した場合に役立ちます。
たとえば、振込先口座の登録情報が一致しない場合や、振込が遅延した際に迅速な対応が可能です。
また、口座情報を変更したい場合、現在提出している口座情報を確認する際にも利用できます。
速やかに作成して提出する
給与振込同意書は、給与振込の手続きを進めるために必要な書類です。
提出が遅れると、給与の振込が間に合わない可能性があります。
そのため、入社手続き時や口座変更手続き時など、求められたらできるだけ早く作成し、指定された提出期限までには会社に提出しましょう。
給与振込同意書はどこでもらえる?
給与振込同意書は、入社時に会社の人事部や総務部で、雇用契約書などの他の書類と一緒に渡されるのが一般的です。
もし入社時に受け取っていない、または紛失してしまった場合は、会社の人事部へ問い合わせてみましょう。
会社によっては、自社のウェブサイトからダウンロードできるようになっている場合もあります。
なお、氏名や勤務先、銀行口座情報など、必要な項目を記載すれば、給与振込同意書を自分で作成することも可能です。
ただし、自分で作成した同意書が会社で適用されるか、または決まったフォーマットがあるかなどを事前に確認しておきましょう。
給与振込口座を変更する方法は?
会社によってルールが異なる場合がありますが、一般的には、給与振込同意書の再提出、または給与振込口座変更届などの提出をすれば、給与振込口座の変更が可能です。
ただし、口座変更の手続きには、数日かかる場合があるため、いつの給与から変更されるかを確認しておくと良いでしょう。
もし給与振込口座を変更する際に不明点があれば、会社の人事部や総務部に相談してみてください。
給与振込同意書は給与を振込するために必要な書類
給与振込同意書は、会社と従業員の間で、給与の支払い方法を明確にするための重要な書類です。
給与振込同意書を作成・提出すれば、スムーズな給与支払いが可能となり、トラブルを防止できます。
本記事で解説した給与振込同意書が必要な理由や書き方などを参考に、給与振込同意書を作成する際の参考にしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
石川県の給与計算代行の料金相場・便利なガイド3選!代表的な社労士事務所も
石川県は伝統工芸の産地として有名で、加賀友禅や金沢箔など高品質な製品が国内外で評価されています。また、製造業や観光業も盛んで、多様なビジネスが活発に行われています。このような多岐にわたる業種では、給与計算の正確性と効率化が企業運営において重…
詳しくみる住宅手当は割増賃金に含めない?含めるべき例と計算ルールを解説
住宅手当は、支給の実態によって割増賃金の計算に含めるかどうかが決まります。そのため、残業代や各種手当の金額はこの手当の性質によって大きく変動します。 企業の担当者にとって、住宅手当が割増賃金の算定基礎に含まれるかの判断は、残業代計算を正確に…
詳しくみる労働基準法第23条とは?未払い賃金・金品の返還義務や請求方法をわかりやすく解説
労働基準法第23条第1項は、労働者が退職や死亡した場合に、会社(使用者)が未払いの給料や積立金など労働者の権利に属する金品を、請求を受けてから7日以内に支払・返還する義務について定めています。 本記事では、この規定の内容と趣旨、具体的に企業…
詳しくみる固定的賃金とは?非固定的賃金との違いを解説
従業員に支払う給料のうち、基本給や家族手当などのように毎月一定額が支払われるものを「固定的賃金」と言います。勤務状況や労働成果などによって支給額が変わる「非固定的賃金」とは違い、固定的賃金は昇給や家族状況の変化などがあった場合にしか、支給額…
詳しくみる定額減税で毎月いくら入る?税額と手取りについて解説!
2024年に実施される定額減税の額は1人4万円です。内訳として、所得税3万円、住民税1万円が控除されます。配偶者または扶養親族がいる場合には、その人数分控除されるため、単身者では4万円、4人家族だと16万円の手取り増加になります。定額減税は…
詳しくみる早見表つき!年収から手取りを計算する方法
給与は、支給額から税金と各種保険料が控除され支払われます。正確な手取りの計算には健康保険料・介護保険料・厚生年金保険・雇用保険に加え、所得控除を考慮にいれた所得税の算出、住民税の計算が必要です。ただし早見表があれば、手取りが一目でわかります…
詳しくみる