- 更新日 : 2026年1月29日
採用コストを削減するには?内訳・高い原因・効率化の戦略を解説
採用コスト削減とは、外部費用の見直しと内部業務の効率化によって、無駄な支出を抑えながら採用成果を最大化する取り組みです。
- 高額チャネルを見直す
- 採用業務を効率化する
- 定着率を高め再採用を防ぐ
効果的な削減手法は、リファラルやSNSなど低コスト手法の活用と、プロセスの標準化です。
採用活動にかかるコストは、企業の経営を左右します。求人広告や人材紹介料といった外部費用だけでなく、社内の担当者や面接官の時間といった見えにくい内部コストも含めると、1人の採用にかかる金額は決して小さくありません。
本記事では、採用コストの基本的な考え方と計算方法から、内訳、業種ごとの傾向や効果的なコスト削減の方法などを解説します。
目次
採用コストとは?計算方法は?
採用コストは、人材獲得のために企業が支出するすべての費用を指し、外部への支払いだけでなく社内で発生する人件費も含めて捉える必要があります。全体像を整理し、1人あたりの採用単価を把握することで、採用活動の質と効率を見極めやすくなります。
採用コストとは企業の採用活動で発生する全費用の総計
採用コストとは、企業が人材を採用する際に発生するあらゆる費用の総計です。求人広告の掲載料や人材紹介会社への報酬といった社外での支払いだけでなく、採用担当者や面接官が選考に割く時間の人件費など、社内で発生するコストも含まれます。これらをすべて把握することで、一人の採用にどれほどの費用が発生しているかを明確にでき、採用活動の費用対効果を比較・検討する判断材料になります。
採用コストは総採用費用を採用人数で割ることで求められる
採用単価(1人あたりの採用コスト)は「総採用コスト(内部コスト+外部コスト)÷採用人数」で計算します。たとえば年間の採用関連費用が500万円で、同年度の採用人数が5名の場合、採用単価は100万円になります。この指標を定期的に算出することで、採用活動における費用の妥当性を検証し、効果が低い施策の見直しや、過剰な支出の抑制につなげることができます。
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採用コストの内訳は?
採用コストは「内部コスト」と「外部コスト」の2種類に大別されます。どちらも人材を採用する過程で発生する正当な支出ですが、内容を把握しておかないと無駄が発生しやすくなります。
【内部コスト】社内で発生する採用経費
内部コストとは、企業内部で発生する費用を指し、採用担当者や面接官の人件費、採用管理システムの利用料、入社準備の備品費用などが含まれます。採用担当者が求人票の作成や候補者との連絡、面接日程の調整に費やす時間も、すべて人件費として内部コストに換算されます。
さらに、現場社員や役員が面接に参加すれば、その時間もコストとして加算されます。特に役職者の時間単価が高い場合、1回の面接でも大きな費用になることがあります。こうした内部コストは見えづらいものの、採用活動全体の費用に大きな影響を与えます。業務効率化や業務分担を見直すことで、無理のないコスト削減が可能になります。
【外部コスト】外部サービスに支払う費用
外部コストは、求人広告の掲載料や人材紹介会社への報酬、就職イベントの出展費、スカウトツールや採用サイト制作など、社外サービスに支払う費用です。特に人材紹介サービスを利用する場合、採用成功時に年収の30〜35%前後の紹介手数料が発生し、1人あたりのコストが大きくなります。
また、採用広報のためのパンフレット制作や動画コンテンツの外注なども、すべて外部コストに該当します。これらは金額が明確なため管理しやすい一方、効果が見えづらい施策への支出が続いてしまうこともあります。契約媒体やツールの効果を定期的に見直すことが、外部コスト抑制に有効です。
採用コストが高くなってしまう要因は?
採用コストが高騰する背景には、外部環境と社内の運用体制の双方に起因する複数の要因があります。人材獲得競争の激化や、求職者ニーズの多様化など市場の変化に加え、非効率な採用プロセスや戦略の不明確さがコスト上昇を招くことも少なくありません。
業界・職種による人材不足
慢性的な人手不足に悩む業界や、専門スキルを必要とする職種では、応募数が限られ、採用までに時間と費用がかかる傾向があります。IT、建設、物流、医療といった業界では、有資格者や即戦力人材が不足しており、高額な求人広告や人材紹介を活用せざるを得ず、コストが膨らみやすくなります。
採用手法の選定ミス
人材紹介会社への依存や、効果の薄い求人媒体を使い続けるなど、採用チャネルの選定が最適化されていない場合、費用対効果が低下します。また、紹介手数料は高額になることが多く、採用が成功するたびに大きな外部コストが発生します。過剰な広告出稿や無駄なイベント参加も同様です。
中途採用に偏るケース
中途採用は即戦力を期待できる反面、一人あたりの採用単価は新卒採用より高くなりがちです。紹介料やスカウトサービスの活用が一般的なため、1名あたりの採用コストが100万円を超えるケースもあります。大量採用ができる新卒採用に比べて、スケールメリットが働きにくい点も要因です。
採用業務の非効率
採用担当者の対応工数が多すぎたり、選考フローが長期化している場合、社内の人件費が無駄に発生し、内部コストが増加します。とくに面接回数が多い、関係者が多く調整が複雑など、プロセスの煩雑さもコストの一因になります。
採用コストを削減する方法は?
採用コストを抑えるには、「外部コストの見直し」と「内部コストの効率化」を両輪として取り組むことが効果的です。以下では、4つのアプローチを紹介します。
費用のかかる採用手法を見直す
コスト削減の第一歩は、高額な採用チャネルへの過度な依存を減らすことです。人材紹介会社や有料求人広告は成果が見込める一方、1件あたりの単価が高くなりがちです。こうしたチャネルから、社員紹介(リファラル採用)やダイレクト・リクルーティングへの切り替えを検討することで、外部支出を抑えることができます。
リファラル採用は、社内の従業員が信頼できる人材を紹介する仕組みで、紹介報奨などを除けば大きなコストはかかりません。また、ダイレクト・リクルーティングでは、自社から候補者に直接アプローチすることで、求人媒体への掲載料を節約できます。さらに、SNSを活用した採用活動も有効です。企業アカウントや社員の投稿によって会社の魅力を発信すれば、広告費を抑えて自然な応募を促せるうえ、ミスマッチの少ない人材と出会える可能性が高まります。
採用プロセスの効率化で内部コストを削減する
採用にかかる内部コストの多くは人件費です。採用担当者や面接官の時間的負担を減らすことで、目に見えにくいコストを効果的に削減できます。具体的な方法として、採用管理システム(ATS)の導入が挙げられます。応募者情報を一元管理し、ステータス更新や通知を自動化することで、日々の業務時間を短縮できます。
また、面接回数の適正化や評価項目の標準化を進めれば、選考にかかる時間を圧縮でき、応募者にもメリットが生まれます。さらに、事務作業をアシスタント職に任せたり、外部の採用代行(RPO)を活用したりすることで、担当者が戦略的な業務に集中できる環境を整えることも有効です。これらの取り組みは、小さな改善の積み重ねですが、長期的には大きなコスト差を生みます。
採用ミスマッチを防ぎ定着率を向上させる
早期離職が発生すると、再び採用活動を行う必要があり、結果として二重のコストが発生します。そのため、採用の質を高め、定着率を向上させることは間接的ながら非常に有効なコスト削減施策です。
まず、募集段階で必要な人物像を明確にし、求職者とのミスマッチを減らすことが重要です。適性検査の活用や、現場社員との座談会を実施することで、職場や業務の理解を深めたうえで選考を進められます。入社後には、オンボーディングの強化やメンター制度の導入により、スムーズな職場適応と早期戦力化を支援しましょう。また、中途採用者にはキャリア支援や育成プランを用意することで、継続的な成長イメージを持たせ、離職リスクの低減につなげます。
採用広報・ブランディングに注力する
応募者数の母集団を安定的に確保できれば、採用成功率が高まり、1人あたりの採用単価を下げることが可能です。そのためには、自社の魅力を伝える採用広報やブランディング活動が欠かせません。
自社サイトに採用ページを設け、企業理念、社員紹介、キャリアステップなどの情報を発信することで、求職者の理解と関心を深められます。さらに、ブログやSNSを通じて社内の雰囲気や文化を継続的に伝えれば、費用をかけずに認知拡大が可能です。こうした活動を通じて応募者との相互理解を深めれば、採用の質が上がり、結果として採用コストも抑制されます。
採用広報は即効性こそ乏しいものの、中長期的には高コストな手法への依存を減らし、自社に共感する人材を継続的に惹きつける基盤となります。費用をかけずに始められる施策も多いため、コスト削減を目的とした戦略的な選択肢として積極的に検討する価値があります。
採用コストが高い業界・職種はある?
採用コストは業界や職種によって大きく異なり、人材不足の深刻さや必要とされるスキルレベルによって費用が高騰するケースがあります。採用市場の動向によっては、同じ採用手法を用いても業界ごとに成果が大きく変わるため、各領域の特性を理解することが費用の最適化に役立ちます。
人手不足が慢性化している業界
物流、介護、建設、飲食など、慢性的な人手不足に悩む業界では採用コストが高くなりやすい傾向があります。応募数が集まりにくいため、求人広告を出しても効果が得られず、追加広告や複数媒体への掲載が必要になることがあります。さらに、人材紹介サービスの利用率が高まることで、一人あたりの紹介手数料が採用単価を押し上げます。求人数が多い一方で求職者が少ない市場構造が、採用費用をさらに高騰させています。
高度な専門性が必要な職種
ITエンジニア、データサイエンティスト、医療職、専門技術職など、高度なスキルを必要とする職種は採用難易度が高く、結果的にコストが上昇します。これらの職種では、求人広告だけでは十分な応募が見込めず、スカウトサービスや人材紹介を併用することが一般的です。特にエンジニア採用では、紹介手数料が年収の35〜40%程度に上るケースもあり、一人採用するだけで高額な費用が発生します。
管理職やマネジメント層の採用
管理職や経営幹部クラスの採用は、候補者層が限られているため、専門のヘッドハンティングサービスを利用するケースが多くなります。これらのサービスは一般的な紹介料よりも報酬が高額で、採用決定1件あたり数百万円規模になることもあります。また、選考過程が長期化する傾向もあり、内部コストも上昇しやすい点が特徴です。
中途採用と新卒採用ではどちらがコスト高?
採用活動にかかる費用は、対象となる雇用形態によっても大きく異なります。中途採用と新卒採用では、かかるコストの種類や配分、採用までの期間に違いがあり、結果として1人あたりの採用単価にも差が生じます。自社の採用目的に応じて、どちらが適しているかを判断することが重要です。
一般的には中途採用の方が採用単価が高くなる
中途採用は、即戦力を確保する目的で行われるため、スピードや質を重視して人材紹介会社を活用するケースが多く見られます。紹介手数料は候補者の年収の30〜35%が相場となっており、年収500万円の人材を採用すれば、紹介料だけで100万円以上の外部コストが発生します。また、求めるスキルに合致する人材が少ない場合は、スカウト型サービスや有料媒体を併用することも多く、総費用がさらに増加します。
新卒採用は初期費用はかかるが、スケール効率が高い
一方、新卒採用は合同説明会や採用サイト制作、インターンシップ実施など準備段階の費用がかかるものの、一度の活動で複数名を採用できるため、1人あたりの採用単価は比較的抑えやすくなります。説明会の会場費や移動費、内定者フォローイベントなども必要となるものの、まとまった人数を同時に採用・教育できる点でコスト効率が高いとされています。
採用難易度や対象ポジションによって異なる
ただし、業種や採用する職種、ポジションによっては新卒より中途の方がコスト効率が良い場合もあります。管理職や専門性の高いポジションは新卒ではカバーできないため、中途採用が不可欠です。また、新卒採用で定着率が低く早期離職が多いと、再採用が必要になり結果的に高コストとなるケースもあるため、一概にどちらが安いとは言えません。
採用コストの比較は金額だけでなく、期待される成果や採用後の活躍も含めて評価する必要があります。
採用コストは継続的に最適化しよう
採用コストの削減には外部費用の見直しから社内業務の効率化、そして採用手法や定着施策の改善まで幅広い視点が必要です。単発で終わるのではなく、採用市場の変化に応じて継続的に採用プロセスを最適化していくことが肝心です。一つひとつの取り組みの積み重ねがやがて大きなコストダウンにつながり、同時に採用活動の質の向上にもつながるでしょう。人材獲得競争が激しい中でも、計画的な費用管理と創意工夫によって、最適な形での採用コスト削減を実現していきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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