- 更新日 : 2026年1月14日
SDGs人事とは?企業が取り組むべき理由とメリット・目標・実践例を解説
企業の社会的責任やサステナビリティ経営が重視される今、人事でもSDGsという言葉を耳にする機会が増えています。
しかし人事担当者の中には、次のような疑問を抱える方も少なくありません。
「SDGsに人事がどう関わるのかイメージできない」
「採用や育成とSDGsを具体的にどう結びつければいいのか分からない」
「SDGsを取り入れることで、本当に採用力や定着率は上がるのか?」
SDGsは、環境や社会課題の解決だけでなく、企業の採用・育成・働きがいの向上など、人事戦略に直結する重要なテーマです。
本記事では、人事領域におけるSDGsの基本理解、導入するメリット、重点的に取り組むべき5つのSDGs目標、部門別の具体的施策、そして導入を成功させるポイントまでをわかりやすく解説します。
採用力を高め、社員のエンゲージメントを向上させ、持続可能な組織づくりを進めたい企業の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
SDGsとは?人事が取り組む理由
SDGsとは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称で、2015年に国連サミットで採択された2030年までの国際目標です。貧困、環境、人権、教育、経済成長など、世界共通の課題を解決するために、17の目標と169のターゲットが設定されています。
SDGsは国家や自治体だけでなく、企業活動においても重要な指針として位置づけられており、企業の社会的責任を果たしながら持続可能な経営を実現するための枠組みとして活用されています。
企業がSDGsに取り組む目的は、主に次のとおりです。
- ブランド価値の向上
- ESG投資における評価の向上
- 新規市場開拓
特に人事領域においては、若年層や求職者が企業のSDGsへの取り組みを就職先選びの基準として重視する傾向が強まっており、採用活動や人材確保に大きな影響を与えています。そのため、人事が主体となってSDGsを理解し、戦略的に取り組むことが重要です。
SDGsに取り組むことで人事が得られる3つのメリット
企業の社会的責任が重視される中で、SDGsは人事戦略にも深く関わるテーマとなっています。SDGsを人事施策に取り入れることで、採用、育成、定着のすべての面において企業価値を高めるチャンスが生まれます。
企業イメージ・採用ブランドの向上
SDGsを通じて社会課題の解決に取り組む姿勢は、顧客や投資家だけでなく、求職者に対しても好印象です。SDGs推進の取り組みを積極的に発信することで、社会貢献意識の高い人材からの応募が増え、採用の質と量の両面で向上が期待されます。
また、自治体によるSDGs認証登録を受けることで企業の信頼性が高まり、採用広報やPR活動にも活用できます。ESG投資やサステナビリティ経営の観点からも、SDGsへの取り組みは企業イメージの向上につながるでしょう。
社員のモチベーション・定着率の向上
SDGsに関連した取り組みを通じて社会貢献を実感できることは、社員の仕事に対するやりがいや誇りにつながり、エンゲージメントの向上を促します。健康経営やワークライフバランスの推進により職場環境が改善されることで、離職防止にも効果が期待できます。
また、SDGs教育や研修を実施することで、従業員の意識改革や成長意欲を高めることが可能です。ジェンダー平等やダイバーシティの推進によって、多様な人材が安心して働ける職場環境を整える企業も増えています。
新たな事業・ビジネス機会の創出
SDGsに基づいた社会課題の解決に取り組む過程で、新しい商品やサービスの開発につながるケースがあります。SDGsをテーマに、自治体、教育機関、他企業と連携することで、新規市場の開拓につながるでしょう。
脱炭素、ジェンダー平等、健康経営といった分野を軸にした新たなビジネス領域も拡大しています。社会的価値と経済的価値を両立する共創型のビジネスモデルを形成できる点もSDGsの特徴です。
人事が注力すべきSDGsの5つの目標
SDGsの17目標の中でも、人事領域と特に関わりが深いテーマは主に5つです。人事部門は、採用・育成・評価・労働環境整備といった日常業務を通じて、SDGsの達成に直接的に貢献できる立場にあります。
ここでは、企業が実践できる具体的なアクションを整理し、人事施策として取り組むべきSDGsの目標を解説します。
目標3『すべての人に健康と福祉を』|健康経営の推進
目標3は、従業員の心身の健康を守り、長く安心して働ける環境を整えることを目的としています。人事は健康経営の推進を通じて、組織の生産性向上と医療費抑制の両立に貢献することが必要です。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
- 定期健康診断や人間ドック費用補助による健康意識の向上
- メンタルヘルスケア体制の整備によるストレス対策
- 禁煙支援や栄養バランスを意識した施策の実施
- 産業医設置やワクチン接種費用補助などの感染症対策
継続的な健康施策が、安定した組織運営につながります。
目標4『質の高い教育をみんなに』|人材育成とリスキリング支援
目標4は、すべての人が学び続けられる環境を整えることを目指しています。人事施策としては、教育を企業の社会的投資と捉え、計画的に組み込むことが重要です。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
- 全従業員を対象としたSDGs研修の実施
- リスキリング支援によるデジタルスキルや次世代人材の育成
- 資格取得補助やキャリア開発支援の提供
- 生涯学習の機会を通じた成長支援
人材の継続的な成長が、持続可能な組織基盤を支えます。
目標5『ジェンダー平等を実現しよう』|ダイバーシティ推進
目標5は、性別に関わらず平等な機会を確保することを目的としています。人事は制度と風土の両面から、ダイバーシティ推進を進めることが不可欠です。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
- 女性管理職比率向上や男性育休取得促進
- LGBTQなど多様な価値観に配慮した職場環境整備
- アンコンシャスバイアス研修による意識改革
- 公平な評価制度と同一労働同一賃金の徹底
- ハラスメント防止体制の整備
安全で公平な職場が、組織の信頼性を高めます。
目標8『働きがいも経済成長も』|働きやすい職場づくり
目標8は、働きがいのある雇用環境と経済成長の両立を目指す目標です。人事は働き方改革をSDGsの一環として捉え、継続的な改善を行う必要があります。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
- フレックスタイムやテレワークによる柔軟な働き方
- 長時間労働是正と公正な雇用条件の整備
- キャリア相談制度や評価制度の透明化
- 従業員満足度調査やハラスメント防止の推進
働きがい向上が、企業の成長力を支えます。
目標10『人や国の不平等をなくそう』|公平で多様な雇用環境の実現
目標10は、あらゆる不平等を是正し、多様な人材が活躍できる環境を整えることを目的としています。人事は公平性を重視した制度設計を行うことが必要です。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
- 年齢・性別・国籍・障がいの有無に左右されない採用と昇進
- 障がい者、シニア、外国人など多様な人材の活躍支援
- ダイバーシティ推進体制の整備
- 平等な職場文化を育む制度設計
不平等の是正が、企業の持続性の基盤となります。
【人事部門別】SDGsの具体的な取り組み例
人事部門においてSDGsを推進する際は、採用・育成・労務・戦略といった各側面から具体的な施策に落とし込むことが重要です。人事の役割ごとにSDGsの視点を取り入れることで、企業全体の持続的な成長を支えると同時に、従業員満足度の向上にもつながります。
ここでは、人事部門別に具体的な取り組み例を解説します。
人事労務部門|働きやすい環境づくりと法令順守
人事労務部門は、日常業務を通じてSDGs達成に直接関わる部門です。法令順守と働きやすさの両立が重要な役割となります。
具体的な施策は以下のとおりです。
- 長時間労働削減や定時退社の推進
- 健康診断・ストレスチェック体制の整備
- 安全衛生委員会による職場環境改善
- ハラスメント防止研修と相談窓口設置
- 勤怠・給与業務の電子化によるペーパーレス推進
採用部門|多様性を重視した採用戦略
採用部門は、企業の姿勢を社外に示す重要な接点です。SDGs視点を取り入れた採用活動が求職者の共感につながります。
具体的な施策は以下のとおりです。
- 女性・外国人・障がい者・シニアなど多様な人材採用
- ブラインド採用やAI面接による公平な選考
- SDGsへの取り組みを活かした採用ブランディング
- 採用ページでのSDGs情報の明示
- インターンシップを活用した共感型採用
人材育成部門|SDGs教育とキャリア支援の融合
人材育成部門は、教育を通じてSDGsの理解と実践を促す役割を担います。学びとキャリア支援を一体で設計することが重要です。
具体的な施策は以下のとおりです。
- 全社員向けSDGs研修やワークショップ
- リスキリングによる継続的なスキル習得支援
- SDGs関連プロジェクトへの参画機会提供
- キャリアコンサルティングや社内公募制度
- 多様性理解やグローバル人材育成施策
人事戦略部門|経営理念とSDGsを統合する仕組みづくり
人事戦略部門は、SDGsを経営と結びつける中核的な役割を担います。制度として定着させる視点が不可欠です。
具体的な施策は以下のとおりです。
- 経営理念や中期計画へのSDGs視点の反映
- サステナビリティ推進部門との連携体制構築
- 人事KPIへのSDGs指標設定と可視化
- 評価・報酬制度へのSDGs貢献の反映
- 情報開示による透明性と企業価値向上
人事がSDGsの導入を成功させるポイント
SDGsは2030年を目標とした長期的な取り組みであり、人事部門が導入を進める際には、持続性と現実性の両立が不可欠です。初期段階から無理のある施策を設定すると、途中で形骸化するリスクが高まります。
そのため、まずは自社の実情に合った取り組みから着手し、経営理念と一貫した戦略として運用していくことが重要です。人事主導で段階的に進めることで、組織全体にSDGsの考え方が浸透しやすくなります。
はじめから大きすぎる目標を立てない
SDGsに取り組む際、最初からCO2排出量の大幅削減など大規模な数値目標を掲げてしまうと、実行や継続が難しくなります。
人事部門では、まず健康診断受診率の向上やペーパーレス化の推進など、実現可能な範囲の施策から始めることが現実的です。小さな成功体験を積み上げながら、徐々に取り組みの幅を広げることで、組織全体に定着しやすくなります。
また、得られた成果を内部報告や社外発信につなげることで、従業員のモチベーション向上にもつながります。
経営理念や企業方針と方向性を一致させる
SDGsの施策が経営理念や企業方針と整合していない場合、単なる形式的な活動に終わってしまいます。
経営層と連携し、企業の存在意義や価値観と矛盾しない方針を設定することが重要です。施策を企画する段階で、経営理念とどのように結びつくのかを明文化しておくことで、目的が明確になります。経営理念をSDGs推進の軸として共有すれば、従業員にも理解されやすくなり、実行力が高まるでしょう。
また、SDGs活動を経営戦略や採用ブランディングに反映させることで、企業全体の一体感を生み出せます。
短期的に終わらせず、長期的に運用できる仕組みを作る
SDGsは2030年を見据えた国際的な目標であるため、一過性の施策で終わらせないことが重要です。
社内に推進体制を構築し、PDCAを回しながら継続的に改善を行う必要があります。研修やイベントなどの短期施策と、評価制度や人材開発方針といった中長期施策を連動させることで、取り組みの実効性が高まります。人事部門が中心となり、健康経営や働き方改革、教育支援などを定期的に見直すことも欠かせません。
成果指標を設定し、年次で評価と発信を行うことで、持続的な改善サイクルを生み出せます。
自社の取り組みを可視化し、継続的に発信する
SDGsの実践内容を社内外に発信することは、ブランド価値や採用競争力の向上につながります。
具体的な成果を社内報やSNS、採用ページなどで紹介することで、取り組みの実態が伝わりやすくなります。また、自治体や団体によるSDGs認定制度を活用すれば、ロゴや認定証を通じて信頼性を高められるでしょう。
発信は単なる宣伝ではなく、社会貢献の共有として継続的に行うことが、SDGs導入を成功させるポイントです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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