• 更新日 : 2026年1月14日

GROWモデルとは?1on1や評価面談で活かす具体的な使い方と注意点を解説

1on1や面談をおこなっていても「いつも雑談で終わってしまう」「部下の本音や課題感がなかなか見えてこない」と感じる場面は少なくありません。

そこで役立つのが、目標達成までの思考を「目標→現状→選択肢→意思決定」という流れで整理するGROWモデルです。

本記事では、GROWモデルの基本構成からメリット・デメリット、実務での活用ステップと注意点までを整理します。

人材育成や1on1の質を高めたい人事・管理職はぜひ参考にしてください。

GROWモデルとは?

GROWモデルとは、目標達成までの思考プロセスを「目標→現状→選択肢→意思決定」という流れで整理するフレームワークです。

1on1や人材育成の場面はもちろん、会議の議論整理やチーム全体の行動改善にも応用できます。

ここでは、G・R・O・Wそれぞれの意味と役割を押さえながら、実務でどのように活かせるのかを順序立てて解説していきます。

G(Goal:目標)

「Goal(目標)」は、最終的にどんな状態を目指すのかをできるだけ具体的な言葉に落とし込むプロセスです。

目標は抽象的な願望ではなく、「いつまでに」「どのくらい」「どのような状態」のような観点で数値や期限、達成イメージを明確にしましょう。

たとえば「今月末までに新規商談を5件獲得する」「来期までに提案書を自力で仕上げる」のように具体的な目標を決めておくと、現状とのギャップを判断しやすくなります。

初期段階で曖昧さを残さない意識が、GROWモデル全体の質を高めるポイントです。

R(Reality・Resource:現状・資源)

「Reality(現状)」では、現在どのような状態にあるのかを事実ベースで整理します。

現状を整理する際は、成功している点や苦手な領域、行動の傾向などを、できるだけ具体的な場面や実績と結びつけて確認すると、思い込みや自己評価のズレを防げます。

また「Resource(資源)」の視点も加え、過去に成果が出た行動や頼れる同僚、メンター、すでに活用できるツールといった支援要素を洗い出しましょう。

現状だけでなく利用可能な資源が見えると、次に検討する選択肢の幅が広がり、過度な負担のない現実的な行動計画を立てやすくなります。

O(Option:選択肢)

「Option(選択肢)」では、目標に近づくために取り得る行動案を幅広く洗い出します。

たとえば「先輩の商談に同席する」「提案資料の型を見直す」「毎日10分だけ振り返りを入れる」など、具体的な行動計画を検討すると実行イメージが湧きやすくなります。

案がある程度出そろったら、「すぐ始められる案」「準備が必要な案」のようにカテゴリ分けをし、取り組む順番の目安をつけましょう。

行動案を洗い出すプロセスでは、実行可否や優劣を決めるよりも、可能性を広げて取り得る選択肢を整理する姿勢が求められます。

W(Will:意思)

「Will(意思)」の段階では、前段階で広げた選択肢の中から、最初に踏み出す行動を具体的に決めます。

たとえば、「金曜までに営業部の先輩へ同席依頼を送る」「明日から毎朝9時に前日の商談を10分だけ振り返る」のように、実際のスケジュールに落とし込む意識が重要です。

また、小さな行動でも期限や成果の目安を設定しておくと、次回の振り返りで改善点を見つけやすくなります。

本人が「これなら確実に進められる」と感じるレベルまで行動を具体化できているかどうかが、継続と成果を左右します。

GROWモデルを活用するメリット

GROWモデルを取り入れると、部下の主体性を引き出しやすくなり、評価の納得度や対話の質が大きく向上します。

ここでは、とくに効果が見えやすい3つのメリットを紹介します。

自走力のある人材が育つ

GROWモデルは思考を深める構造になっているため、自分で状況を整理して判断する自走力が育ちます。

たとえば、「何を目指しているのか」「今どの位置にいるのか」を明確にする過程では、具体的な課題が浮かび上がり、取り組むべき行動が自然と見えやすくなります。

また、選択肢を比較して意思決定する経験によって、自分で解決策を見つける流れが身につき、指示を待つ姿勢から主体的に動ける状態へ変わりやすくなる点もポイントです。

行動の決定が本人の意思に基づいているため、納得感を持って取り組める点も継続力につながり、結果として成長スピードを引き上げる効果が期待できます。

評価の納得度が高まる

GROWモデルでは、目標設定から行動の決定までを言語化しながら進めるため、評価の場で起こりがちな成果認識の食い違いを減らせる点もメリットです。

とくに「Will(意思)」で決めた行動が明確であれば、社員がどのような取り組みをおこなってきたのかが可視化され、成果だけでなくプロセスも評価に反映できます。

また、途中経過を確認する機会が増えれば、上司と部下の間で評価基準や期待値をすり合わせやすくなり、最終的な評価に対する納得感も生まれやすくなります。

評価の理由を具体的な行動や判断プロセスと結びつけて説明できる点は、公平性や信頼性を保つうえでも重要なポイントです。

組織の対話文化につながる

GROWモデルは1on1に限らず、日常のコミュニケーションや会議にも応用できるため、組織全体の対話の質を底上げしやすいフレームワークです。

たとえば、議論の場では、「Goal(目標)」と「Reality(現状)」を最初に共有しておくと論点がずれにくくなり、意思決定までの流れも整理されます。

さらに、選択肢の検討や意思決定の過程を丁寧に扱う対話を重ねると、相手の考えを引き出す姿勢や、自分の意見を言葉にする力が組織内に蓄積されるのも大きなメリットです。

GROWモデルを活用するデメリット

GROWモデルは有効なフレームワークである一方で、使い方を誤ると期待する成果につながりにくい場合があります。

ここでは、実務の1on1や面談で起こりやすい3つのデメリットを解説します。

深掘りしすぎると時間がかかる

GROWモデルでは、自然と対話や質疑応答が増え、1on1の時間が長くなる傾向があります。

とくに、上司の質問が曖昧だったり、論点を絞らないまま深掘りを続けたりすると、結論にたどり着けないまま時間切れになるケースも珍しくありません。

また、「Reality(現状)」の確認に時間を使いすぎると、肝心の選択肢検討や行動決定まで進めず、部下のモチベーションが下がる場合もあります。

限られた時間で成果を出すには「今日は目標設定と現状把握をおこなう」など、事前に話す範囲を決めておく運用が効果的です。

社員の会話スキルに依存しやすい

GROWモデルは、話し手の内省力や言語化スキルに影響されやすい点もデメリットのひとつと言えます。

内省に慣れていない社員だと回答が短くなり、現状や課題の把握が表面的なまま止まってしまう場合があります。

さらに、自己開示が苦手なタイプの社員がいる場合、現状の深掘りが進まず、妥当な選択肢が生まれにくくなる点も課題です。

若手や経験の浅い社員の場合は、上司が補助となる問いを段階的に投げたり、具体例を提示したりするなど、対話そのものを支援する姿勢が求められます。

抽象的なテーマには適さない場合がある

GROWモデルは行動改善を目的としたフレームワークのため、感情や価値観、キャリアの迷いなど、抽象度の高いテーマには向かない場合があります。

たとえば、「どんな状態を目指したいのか」が本人の中で言語化できていないと、最初の目標が定まらず、その後のプロセスが前に進みません。

扱うテーマの性質を見極め、課題によっては価値観を整理するためのワークやキャリア面談など、別のアプローチも併用してみましょう。

GROWモデルの実践ステップ5つ

GROWモデルを1on1や面談で実際に運用する際は、5つのステップに沿って進めると対話を整理しやすくなります。

ここでは、目標設定から振り返りまでの実践ステップを紹介します。

① 目標を言語化する

面談の冒頭では、まず本人が「どこを目指したいのか」を自分の言葉で話せるように対話を始めます。

曖昧な目標が出てきた場合は、「いつまでに」「どのくらい」「どんな状態になっていたいか」を丁寧に問い直し、達成イメージを具体化しましょう。

また、目標は最初から完璧である必要はないため、対話を通じて少しずつ形にする意識も重要です。

さらに、初期段階で方向性を明確にしておくと、現状整理や行動案の検討もスムーズに進み、面談全体の質が上がります。

② 現状を把握する

目標が定まったら、次に現状を事実ベースで整理します。

現状把握の段階は主観的な感覚で語られるケースが多いため、「どんな場面で何を感じたのか」「どの行動が結果につながったのか」といった具体例に落とし込みます。

あわせて、社員が持つ強みや抱えている課題、活用できる資源も整理し、状況を客観的に見られるよう支援しましょう。

事実を丁寧に洗い出しておくと、問題の本質や改善点が明確になり、次の選択肢を検討する際の判断基準が揃います。

③ 複数の行動案を検討する

現状を踏まえたうえで、目標に近づくために実践できそうな取り組みを複数出し合います。

行動案を洗い出す工程では、正解を一つに絞る必要はなく、可能性を広く並べる意識が重要です。

行動案が集まったら、「今すぐ取り組める案」と「準備や調整が必要な案」に分け、実行しやすいステップを整理しましょう。

あわせて、「今の自分なら最初に取り組める行動はどれか」という視点で見直すと、行動へのつながりが明確になります。

行動案が思い浮かばない場合は、行動を決める前段階として実現可能性はいったん脇に置き、考えつく案をすべて並べるのも有効です。

④ 最初の行動を決める

次に、選択肢の中から「まず取り組む一歩」を具体的に決めます。

ここでは抽象的な行動計画を決めるのではなく、「今日か明日にできる行動」「1週間以内に着手できる行動」まで細かく落とし込む意識がポイントです。

たとえば、「金曜日までに先輩へ商談同席の依頼を送る」など、行動や期限、量をセットで定義すると実行しやすい状態になります。

最初の一歩が明確になると、行動と振り返りのサイクルが自然と回り始め、継続できる仕組みが整います。

⑤ 振り返りをおこなう

行動を実行するだけではなく、1on1や定期的な面談の場で改善点を確認する取り組みも重要です。

うまく進んだ点だけでなく、「なぜ思った通りに進まなかったのか」「どこでつまずいたのか」といった背景まで整理できると、次に取るべき行動が見えやすくなります。

また、行動と結果をセットで振り返る面談を重ねると、目標設定から行動、改善までの流れが一連の習慣として定着します。

GROWモデルの対話を重ねる中でGoalや行動内容を見直し、調整を続けていきましょう。

GROWモデルを活用する際の注意点

ここでは、1on1や評価面談で起こりやすい課題を踏まえながら、実務で押さえておきたい注意点について解説します。

社員の心理的安全性を高めておく

GROWモデルを活用する際は、まず社員が安心して話せる心理的安全性を確保する意識が欠かせません。

たとえば、評価や会社都合に引っ張られた目標を押しつけると、部下は本音を語れず、行動変容にもつながりにくくなります。

現状を深掘りする場面においては、「否定されるかもしれない」という不安があると、状況を正確に伝えられず、的外れな選択肢が並ぶおそれがあります。

上司側は、日頃から信頼関係を築き、オープンに意見を交換できる関係性を育てる姿勢が必要です。

行動計画のフォローをおこなう

GROWモデルを確実に機能させるには、行動計画のフォローが欠かせません。

どれだけ質の高い施策を設定しても、上司の支援が途切れると行動が後回しになり、評価の場で「なぜ進んでいないのか」という摩擦が生まれやすくなります。

上司は、進捗確認を監視ではなく伴走として扱う姿勢を意識し、必要に応じて選択肢を更新したり、業務量や環境要因を一緒に見直しましょう。

継続的なフォローを積み重ねると、本人の自己決定を尊重しながら改善サイクルを回せるようになり、目標達成までの道筋も明確に描きやすくなります。

GROWをなぞるだけにならないようにする

GROWモデルを効果的に機能させるには、質問を順番通りに読むだけの形式的な進行を避けましょう。

マニュアル通りの質問を淡々と繰り返すと、部下は「答えさせられているだけ」と感じ、内省も行動意欲も深まりません。

上司側は、必要に応じて外部のコーチングを受けたり、ロールプレイングで問いの質を磨いたりしながら、部下の状況や反応に合わせて問いを調整できる状態を目指しましょう。


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