• 更新日 : 2025年12月5日

PREP話法とは?人材育成・実務に役立つ伝え方を解説

「部下の説明が長くて意図がつかめない」「自分の報告が要点からずれてしまう」といった悩みに直面した経験がある方は多いでしょう。

説明のわかりづらさは話し方の癖ではなく、情報をどう並べて伝えるかといった構造の問題です。

PREP話法は、結論や理由、具体例を順番に話を組み立てるシンプルなフレームで、相手に理解されやすい伝え方をするうえで役立ちます。

そこで本記事では、PREP話法の基本からメリット・デメリット、人事・管理職が使える実務シーン、定着させるコツまで紹介します。

日々のコミュニケーションが整理され、伝わる説明が自然とできるようにチェックしてみてください。

PREP話法とは

PREP話法とは、「結論・理由・具体例・結論の再提示」の順に情報を並べ、筋道の通った伝え方をするための基本フレームです。

話す構造を一定の型に当てはめると、説明の途中で迷いや脱線が生じにくくなり、聞き手も流れを追いやすくなります。

ビジネスの場では、報告や相談、提案といった日常的なコミュニケーションの基盤として活用される場面が多く、誰が話しても一定の水準で伝わる点が強みです。

人材育成の観点では、新人や若手が「何から話せばいいか」「どのように構成すれば伝わるか」を判断しやすくなり、話の組み立て方を学ぶ導入フレームとして用いられます。

話し手自身にとっても、PREP話法によって結論から逆算して情報を整理する習慣が身につくため、複雑な内容を順序立てて捉えやすくなります。

さらに、PREP話法を組織全体の共通言語として共有すると、報連相の品質が揃い、会議や面談でのやり取りがスムーズになるのも魅力的なポイントです。

伝え方のスタイルを統一できると、コミュニケーションの前提が整い、業務のスピード向上にもつながりやすくなります。

PREP話法を使うメリット

PREP話法には、説明の質を安定させる効果があります。

まずは、人事・管理職の実務でとくに実感しやすい「要点の伝わりやすさ」「説得力の向上」「生産性の強化」における3つのメリットを紹介します。

要点が伝わりやすい

PREP話法の大きなメリットとして、話の入口に結論を置くため、相手が早い段階で内容の方向性をつかめる点が挙げられます。

複雑な説明でも先に主張が明示されると、聞き手は全体像をイメージしながら情報を受けやすく、要点がぶれません。

また、説明の順番が決まっていると、話が長くなりがちな場面でも不要な脱線を抑えやすく、要所を短くまとめられるようになります。

必要な情報だけが整理された状態で届くため、相手に過度な負担をかけずに聞いてもらえる点もメリットです。

さらに、PREPの構造は文章や資料作成にもそのまま流用でき、読み手にとって理解しやすい内容を組み立てやすくなります。

会議資料や日報、議事録などでも同じ型が使えるため、社内のコミュニケーション品質を安定させる基盤として機能します。

説得力が高まる

PREP話法では、結論の後に理由と具体例を連続して示すため、説明の土台が自然と明確になり、説得力が高まるメリットがあります。

たとえば、「なぜその結論に至るのか」「どのような根拠があるのか」が一つの流れで伝わると、聞き手は判断材料を理解しやすく、納得度が高まります。

評価面談や提案、採用面接のように相手の理解や合意を求める場面においても、説明の流れが安定し、聞き手に安心感を与えやすい点は大きな利点です。

また、同じ話し方を継続すると話に一貫性が生まれ、信頼形成にもつながります。

感覚的な説明に頼らず、理由と根拠を示しながら伝えられるため、ビジネス上の対話が主観ではなく情報として伝わりやすくなる点も魅力です。

結果として、相手に伝わる説明が当たり前になり、管理職・人事の評価スキルや提案力の底上げにもつながります。

生産性が上がる

PREP話法で結論・理由・具体例の順番を意識すると、話す前の思考整理が自然と進み、日常業務の生産性向上につながります。

たとえば、頭の中の情報を並べ替えながら結論を先に置く考え方が習慣化すると、説明の途中で迷う場面が減り、伝えるスピードと正確性が向上します。

PREP話法を意識すると文章作成や議事録、会議資料の準備などがスムーズになる点も魅力的です。

さらに、組織でPREP話法を共有する報連相のレベルが揃い、情報の伝達が標準化され、コミュニケーションコストが下がります。

PREP話法を継続的に活用すればするほど、会議や意思決定のスピードも向上し、組織全体の業務フローを整えやすくなります。

PREP話法のデメリット

PREP話法は便利なフレームである一方、あらゆる場面に適しているわけではありません。

使いどころを誤ると、相手にとってわかりづらかったり、意図が十分伝わらなかったりするケースもあります。

ここでは、人事や管理職が押さえておきたいPREP話法のデメリットを紹介します。

共感を重視したい場面に向いていない

結論から話を始めるPREP話法は、説明が直線的に進むため、相手の感情に配慮したい場面では硬い印象になりやすい点がデメリットです。

理由や具体例を淡々と積み重ねる構造は論理的である反面、フィードバックやメンタル面のケアが必要な場面では、押しつけられているように受け取られるリスクがあります。

また、相手の気持ちを丁寧に探りたい場面では、PREP話法の直線的な展開が会話の流れを早め、相手が自分の考えを整理する余白を奪ってしまう可能性もあります。

たとえば、1on1や感情を扱う面談では、相手が言葉を探す時間を確保する意識が大切であるため、PREP話法のテンポが必ずしも適切とは限りません。

共感を土台にしたコミュニケーションでは、相手の表情の変化や沈黙を尊重しながら対話を進める姿勢が欠かせない点に要注意です。

複雑な議論には適応しにくい

戦略議論や対話型のミーティングのように話題が多方向へ広がる場面では、PREP話法を活用しづらくなるデメリットがあります。

たとえば、状況整理や背景説明、条件のすり合わせなど、多くの観点を同時に扱う場面では、話題を行き来しながら進める意識が必要です。

しかし、多層的な内容をPREP話法に無理やり当てはめようとすると、説明の幅が狭まって表現が不自然になったり、議論の深さが不足したりする可能性があります。

つまり、PREP話法の流れは、話題が分岐したり、相手の意見を取り込みながら進める議論とは相性がよくありません。

話が広がりやすい場面では、PREP話法を全体に適用するのではなく、一部の説明やまとめのパートに限定して使うなど、状況に応じた柔軟な使い方が求められます。

使い慣れる必要がある

PREP話法は結論を先に提示する習慣がない人にとっては最初のハードルが高く、自然に使えるようになるまで時間がかかるデメリットがあります。

常に話の順番を意識し続ける必要があるため、慣れないうちは話しながら思考が途切れやすく、説明がぎこちなくなる場面も見られます。

また、本来伝えたい内容よりも正しい順番で話す意識を優先してしまうと、自然なコミュニケーションが損なわれてしまうのもよくあるケースです。

とくに、会話のテンポが速い現場ではPREP話法を忠実に守ろうとすると話が遅れ、相手とのやり取りにずれが生じる場合もあります。

PREP話法をスムーズに活用するためには、日常の報連相やメール作成の中で繰り返し使い、無理なく型を取り入れられる段階まで慣らす意識が重要です。

人事が使えるPREP話法の実務シーン4つ

PREP話法は、伝える力が求められる場面でとくに効果を発揮します。

育成や評価、採用、報連相など、日々の業務に落とし込んでみると、効果を発揮する場面は想像以上にさまざまです。

ここでは、実務で使いやすい4つの典型的な場面を取り上げ、どのようにPREP話法を活かせるのかを整理します。

① 部下にフィードバックを伝えるとき

部下に対するフィードバックでは、PREP話法によって結論を最初に示すと、何を評価しているのか、どこを改善してほしいのかが迷いなく届きます。

さらに、フィードバックの理由や良い点、改善点などを伝えることで、相手が行動へ移しやすい状態をつくれるのもメリットです。

また、褒める場面でも注意を伝える場面でも、順序が一定のため、言い方のブレが少なく、相手は落ち着いてフィードバックを受け取れます。

評価面談や1on1のように丁寧なコミュニケーションが求められる場面でも、PREP話法を軸に話すと、伝える側の負担が減り、部下との対話の質が安定する点もポイントです。

② 上司へ報告・相談をおこなうとき

上司への報告・相談で結論から伝えた場合、上司は全体像を即座に把握でき、その後の指示や判断がスムーズになります。

続く理由と状況の具体例を整理して伝える流れにすると、お互いの認識が一致しやすく、聞き返しが大幅に減ります。

また、組織全体でPREP話法を共有すると、報連相の質が揃い、報告のたびに伝え方が変わるストレスがありません。

とくに、短時間で要点を正確に届けたい場面ほど、PREP話法が機能します。

上司側にとっても情報の受け取りやすさが高まるため、組織全体の意思決定スピードが向上します。

③ プレゼンで内容を整理して伝えるとき

PREP話法は、プレゼンや社内説明の構成づくりにそのまま活用できるフレームです。

たとえば、結論・理由・具体例の流れを軸に資料を組み立てると、情報の優先順位をつけやすく、聞き手も自然と内容を追いやすくなります。

とくに研修や会議、資料でPREP話法を活用すると、必要な情報を簡潔にまとめられるだけでなく、伝達漏れの防止にも役立ちます。

資料作成時の迷いが減ることで、会議の時間短縮にも寄与する点もメリットです。

プレゼンでPREP話法を活用し、聞き手に負担をかけずに理解しやすい流れを意識しましょう。

④ 採用面接で仕事内容を説明するとき

採用面接のように、限られた時間で仕事内容や職場環境を正確に伝える場面にはPREP話法が有効です。

PREP話法を使うと、募集背景や業務内容を結論から説明でき、応募者は全体像を早い段階で把握できます。

その後に理由や根拠、具体的な業務例を続けて示すと、働く姿をリアルに想像しやすくなり、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

また、PREP話法で統一された説明は、面接官ごとの伝え方の差を減らし、候補者の理解度が安定する点も大きなメリットです。

採用広報の質を安定させたい企業は、PREP話法を活用して伝達内容を整え、採用プロセス全体の再現性を高めましょう。

PREP話法を定着させるコツ

PREP話法は、知識として覚えるだけでは身につかず、実務の中で繰り返し使う取り組みによって定着します。

社員教育やチームのコミュニケーション改善として浸透させるには、日常的にPREP話法を使う仕組みづくりが欠かせません。

ここでは、組織全体にPREP話法を根づかせるための実践的な3つのコツを紹介します。

日常的にPREP話法を使う

PREP話法を定着させるうえで最も効果的なのは、日々の業務の中でPREP話法を使う機会を作る取り組みです。

たとえば、上司への報告や依頼、会議での発言などで、PREP話法の流れを意識し続けると、型が自然と馴染みます。

さらにメールやチャット、議事録など、文章を作る場面でもPREP話法を意識するよう取り組みましょう。

社内で話し方の構造を統一するとPREP話法を習慣化する土台が整い、定着しやすくなります。

グループワークに組み込む

PREP話法を定着させるには、グループワークに取り組む方法も効果的です。

そもそもPREP話法は実際の会話になると急に使えなくなる人が多く、口に出して練習する場が欠かせない基本フレームです。

ロールプレイや発表形式のワークを取り入れると、PREPの流れをその場で試しながら話せるため、社員一人ひとりの実践力が大きく伸びます。

上司への報告や提案を想定したテーマを扱うと、現場で求められる伝え方に近い形で型を身につけられる点も大きなメリットです。

また、ほかの参加者の発表を聞くと「Aさんの話し方はわかりやすい」「Bさんのように表現すると伝わる」といった気づきが得られ、自分の話し方にも応用できます。

グループで学ぶ機会をつくり、PREP話法を自然に使える組織に育てていきましょう。

フィードバックをおこなう

PREP話法が使えているかどうかは、自分では判断しにくいため、他者からのフィードバックが重要です。

「結論が先に来ているか」「理由と具体例が整理されているか」といったPREP話法のチェックポイントを共有しておくと、改善点が明確になります。

また、フィードバックを定期的におこなうと、PREP話法が覚えただけの型ではなく、実務で使いこなせるスキルとして伸びていきます。

研修後のフォローや1on1での振り返りを仕組み化し、現場のコミュニケーション品質を向上させましょう。


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