- 更新日 : 2026年2月16日
整形外科の交通事故診療は儲かる?自賠責保険による診療報酬の仕組みやリスクを解説
自賠責保険が自由診療扱いとなり、1点あたりの単価を通常の健康保険(10円)の1.5〜3倍に設定できるためです。
- 高単価:1点15〜30円の設定により収益が大幅増
- 通院継続:窓口負担0円によりリハビリのLTVが高い
- 法的価値:医師の診断書が適正な賠償と信頼を担保
整骨院との違いは、医師のみが法的効力の強い「診断書」や「後遺障害診断書」を作成でき、医学的根拠に基づいた適正な診療報酬と患者満足度を両立できる点です。
「整形外科は交通事故で儲かる」というイメージがありますが、それは収益構造が通常の保険診療と異なり、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の診療報酬単価が健康保険よりも高く設定されていることが主な要因です。
本記事では、なぜ多くの整形外科が事故診療に注力するのか、その具体的な仕組みと経営上のメリット・注意点を解説します。
※本記事は、不正請求や過剰診療を推奨するものではなく、適正診療と適正請求を前提に、制度と事務運用の違いを解説するものとなります。
目次
整形外科の交通事故診療が儲かる理由は?
交通事故診療の収益性が高いのは、健康保険の制約を受けない自由診療扱いとなり、診療報酬の単価を高く設定できるからです。
自賠責保険の診療報酬単価が健康保険より高い
交通事故の診療では、自賠責保険が適用されます。通常の健康保険が「1点=10円」と固定されているのに対し、費用負担・請求ルートが通常と異なり、医療費の算定・支払いの運用が保険診療と同一にならない場合があります。実務では、健康保険の利用可否や支払い方法(直接支払いの可否)などを、当事者間で確認しながら進めることが重要です。
参考:我が国の医療保険について|厚生労働省、自賠責保険|日本損害保険協会
継続的な通院とリハビリテーションによる安定収益が得られる
交通事故患者(特にむちうち症や頸椎捻挫)は、完治までに数ヶ月単位の長期間、定期的な通院が必要になるケースが大半です。
- 再診料の継続発生:定期的な診察による収益
- 消炎鎮痛処置・リハビリ料:日々のリハビリによる積み上げ これらが積み重なることで、クリニックにとっては中長期にわたる安定したキャッシュフローの源泉となります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。無料登録だけでもらえますので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
起業アイデアを磨く!自己分析3点セット
「やりたいことはあるけれど、ビジネスとして成立するか不安」という方へ。
自分の強み・価値観・市場ニーズを掛け合わせ、唯一無二のアイデアに昇華させる自己分析メソッドを3つのシートにまとめました。
経営スキル習得の12か月ロードマップ
「経営を学びたいが、何から手をつければいいか分からない」と悩んでいませんか?
本資料では、財務・マーケティング・組織作りなど多岐にわたる経営スキルを、12か月のステップに凝縮して体系化しました。
副業アイデア辞典100選
「副業を始めたいけれど、自分に何ができるか分からない」そんなあなたにぴったりの厳選100アイデアを公開!
スキルを活かす仕事から未経験OKなものまで、市場の需要や収益性を網羅しました。パラパラと眺めるだけで、あなたのライフスタイルに最適な働き方が見つかるはずです。
1から簡単に分かる!起業ロードマップ
起業に興味はあるけれど、複雑な手続きや準備を前に足踏みしていませんか?
準備から設立までの流れを分かりやすく図解しました。全体像をひと目で把握できるため、次に何をすべきかが明確になります。
整形外科の交通事故診療と一般診療の違いは?
交通事故診療は、単価の高さだけでなく患者側の金銭的負担の少なさが通院継続率を高める要因となっています。
| 項目 | 健康保険診療 | 交通事故診療(自賠責・任意保険) |
|---|---|---|
| 1点あたりの単価 | 原則10円 | 15円〜30円(単価が10円以上である場合が多い) |
| 窓口負担金 | 1割〜3割 | 原則0円(保険会社への直接請求) ただし、直接支払いは三者同意が必要 |
| 審査機関 | 支払基金・国保連合会 | 損害保険会社・自賠責損害調査事務所等、支払基金とは異なるルートで精査される |
| 収益性 | 低〜中 | 高 |
患者自身に窓口負担がないため、治療の必要性がある限り通院のハードルが低く、適切な治療頻度を維持しやすいのが特徴です。
整形外科と整骨院(接骨院)の交通事故診療の違いは?
整形外科と整骨院では、一般に行える行為と法的効力が大きく異なります。
交通事故に遭った際、患者がまず受診すべきは整形外科です。医師による医学的診断がなければ、適切な賠償を受けられないリスクがあるためです。
| 比較項目 | 整形外科 | 整骨院(接骨院) |
|---|---|---|
| 資格者 | 医師(MD) | 柔道整復師 |
| 主な行為 | 診断、投薬、検査(MRI/レントゲン) | 施術、手技療法、電気療法 |
| 診断書の発行 | 可能(法的効力が強い) | 不可(施術証明書のみ) |
| 後遺障害診断 | 医師のみが可能 | 対応不可 |
交通事故の損害賠償請求において、医師による診断書は重要な証拠となります。医学的根拠に基づいた診断がなければ、適切な慰謝料や休業損害を受け取ることができなくなるリスクがあります。
整形外科の交通事故診療を強化するメリットは?
整形外科が交通事故患者を積極的に受け入れることで得られる主なメリットは以下の通りです。
1. 高い報酬単価による収益性の向上
自賠責診療は1点あたりの単価が高いため、通常の保険診療に比べて1患者あたりのLTV(顧客生涯価値)が非常に高くなります。
- 診療報酬の単価アップ:1点15円〜30円の設定により、収益性が大幅に向上します。
- 継続的なリハビリ収益:むちうち症などの患者は数ヶ月単位で定期的に通院するため、再診料やリハビリ料が中長期的に積み上がります。
- 安定した経営基盤:長期通院患者が増えることで、クリニックにとって予測可能な安定した収益源となります。
2. 患者の通院ハードルの低さと高い継続率
交通事故診療は患者の自己負担金が原則0円であるため、治療の必要性がある限り通院を継続してもらいやすいのが特徴です。健康保険では1割〜3割の窓口負担が発生しますが、交通事故の場合は保険会社が直接支払う(一括対応)ため、患者は金銭的な負担を感じることなく適切な頻度で治療を受けることができます。
3. 専門医としての信頼とブランド構築
整形外科医による正確な「診断書」や「後遺障害診断書」の作成は、患者の損害賠償において不可欠な価値を提供します。
- 文書作成料の収入:自費扱いとなる診断書作成手数料を適切に得ることができます。
- 専門医としての信頼:医学的根拠に基づいた適切な診断・治療を提供することで、地域医療における「頼れる専門医」としてのブランドを確立できます。
整形外科の交通事故診療を行う上での注意点は?
収益性が高い一方で、運用面でのコストやトラブルのリスクも存在します。
1. 事務負担の増大とスタッフ教育の必要性
損害保険会社との対応や複雑なレセプト作成など、一般診療にはない多大な事務コストが発生します。
- 一括対応の事務処理:保険会社への直接請求や、経過報告書の提出といった専門的な事務作業が求められます。
- 法的知識の習得:弁護士特約(リーガル・エクスペンシズ・インシュアランス)の活用や弁護士との連携体制を整えるなど、スタッフへの教育も不可欠です。
参考:弁護士費用保険(権利保護保険)について|日本弁護士連合会
2. 過剰診療とみなされることによる支払い拒否のリスク
治療の必要性を超えた過剰な通院は、保険会社から支払いを拒否されたり、最終的な慰謝料を減額されたりする原因となります。
- 保険会社の厳格な調査:保険会社は膨大なデータから適正な通院頻度を把握しており、医学的根拠のない不審な動きがあれば調査が入ります。
- 不払いトラブルの回避:痛みが消失しているのに通院を続けるような「慰謝料稼ぎ」を助長せず、医師の適切な指示に基づいた「治癒」または「症状固定」までの治療を徹底する必要があります。
3. 不適切な請求による法的・社会的信用の失墜
架空請求や水増し請求は、詐欺罪などの刑事罰に問われる可能性がある極めて高いリスクです。
- 適正な請求の徹底:医療機関側も患者側も正しい事実に基づいた処理を行うことが、持続可能な経営の前提条件です。
- 信頼関係の毀損:一度でも不正が疑われれば、損保会社からの信頼を失い、紹介やスムーズな支払いが受けられなくなる恐れがあります。
整形外科の交通事故診療で適正な利益を得る手順は?
交通事故診療で医療機関が適正な利益を得て、患者が正当な補償を受けるためには、戦略的かつ透明性の高い手順を踏むことが重要です。
1. 事故後1週間以内に精密検査と診断書取得を行う
事故直後は自覚症状がなくても、必ず1週間以内に整形外科を受診し、医学的な診断を受ける必要があります。 時間が経過してから受診すると、事故と怪我の因果関係が疑われ、保険金の支払いが受けられなくなるリスクがあるため、初診時の精密検査と診断書の取得を徹底させることが不可欠です。
2. 損保会社への連絡と整骨院併用の同意取得
リハビリなどで整骨院(接骨院)を併用する場合は、必ず事前に保険会社の担当者に伝え、許可を得ておく必要があります。 医療機関の許可なく整骨院へ通院すると、治療費の支払いを巡って保険会社とトラブルになるケースが多いため、医師の指示に基づいた併用であることを明確に共有します。
3. 弁護士特約の有無を確認し専門家へ相談する
自身の自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯しているかを確認し、示談交渉を弁護士に依頼することが推奨されます。 弁護士が介入することで、保険会社との煩雑な交渉を代行してもらえるだけでなく、裁判基準(弁護士基準)での適正な賠償額の確保が可能になり、医療機関側も診療に専念できる環境が整います。
4. 事実に基づく適正な請求と受診を徹底する
架空請求や水増し請求は絶対に行わず、常に「正しい事実」に基づいた請求処理を徹底しなければなりません。 医療機関側も患者側も、誠実に治療と向き合い、医学的根拠に基づいた通院頻度を守ることが、最終的に損をしないための最大の防御策となります。
整形外科の交通事故診療の収益構造を正しく理解しよう
整形外科における事故診療は、高い報酬単価と継続的なリハビリ需要により、極めて収益性の高い分野であることは間違いありません。しかし、単に儲かるからと過剰な診療を行うのではなく、医学的根拠に基づいた適切な治療と、正確な書類作成を提供することが、最終的には損保会社からの信頼や紹介を生み、持続可能な経営へとつながります。交通事故患者のニーズを的確に捉え、医療の質と収益性を両立させることが成功のポイントです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会社設立の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
起業家支援とは?融資や補助金・助成金、サービス会社の選び方まとめ
起業家支援とは、国や地方自治体などが起業を目指す人をサポートする取り組みを指します。創業支援やスタートアップ支援事業とも呼ばれ、資金的な支援としての補助金や、ノウハウ提供によるサポ…
詳しくみる看護師の起業アイデア12選!資金調達や注意点も解説
少子高齢化が進む日本において、医療・介護のニーズは多様化し、看護師の専門性が発揮できる領域は病院だけにとどまりません。訪問看護ステーションの開設はもちろん、これまでの経験を活かした…
詳しくみる富山県で起業すると受けられる創業支援は?補助金・融資や相談窓口、支援制度を解説
これから富山県で起業を検討している方や、創業に向けて準備を進めている最中の方は、どのような創業支援があるのか気になるのではないでしょうか。 富山県では、創業を後押しするための制度や…
詳しくみる法人の登記簿謄本・全部事項証明書とは?必要な場面や取り方、費用を解説
法人の全部事項証明書とは、法務局に登記されている法人の名称や役員構成など法人の概要が記載された書類です。全部事項証明書は登記簿謄本と同じ意味で使われており、複数の種類が存在します。…
詳しくみる夫婦での起業は個人事業主と法人化どちらがおすすめ?配偶者の雇用や節税効果も解説
法人化とは、個人事業主が会社を設立し、事業を法人に移し替えることです。本記事では、個人事業主と法人化、それぞれの起業スタイルの特徴、そして配偶者を従業員や代表、役員にするメリットや…
詳しくみる群馬県で受けられる創業支援は?補助金や融資、相談窓口などを解説
群馬県で起業をする場合、特定創業支援等事業や補助金・助成金など様々な支援制度を利用することができます。 この記事では、群馬県で起業を考えている方、創業を志す方々が利用できる様々な支…
詳しくみる


