- 作成日 : 2026年1月5日
建設業許可は何年でとれる?経営経験5年、実務経験10年の要件と5年未満の緩和措置まで解説
建設業許可をとるには、法律で定められた「経営経験5年」や「実務経験10年」といった要件を満たさなければなりません。しかし、国家資格の保有や学歴、あるいは組織体制を整えることによって、これらの必要年数を短縮できます。
この記事では、許可取得に必要な経験年数の詳細、法律で認められた要件緩和の内容、そして申請から許可通知書が届くまでの期間について、分かりやすく解説します。
目次
そもそも建設業許可とは何か?
建設業許可とは、一定規模以上(原則として500万円以上、建築一式工事の場合は1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事)の建設工事を請け負うために、建設業法に基づき取得が義務付けられている許可のことです。
この制度は、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進することを目的としています(建設業法 第1条)。技術力や経営基盤のない業者によるトラブルや、ずさんな工事を防ぐための重要な仕組みです。
許可が不要な「軽微な建設工事」とは?
以下の基準未満の工事は「軽微な建設工事」とされ、許可がなくても請け負うことができます。(建設業法 第3条)
- 建築一式工事以外の場合:
1件の工事の請負代金が500万円(消費税込)未満の工事 - 建築一式工事の場合:
1件の請負代金が1,500万円(消費税込)未満の工事、または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
許可取得に必要な「経験年数」の要件とは?
建設業許可をとるには、主に「経営業務の管理責任者(経営経験)」と「専任技術者(技術力)」の2つの役割について、法律で定められた経験年数を満たす必要があります。なお、専任技術者の法令上の正式名称は「営業所技術者」です。
要件①:経営業務の管理責任者(原則5年)
建設業に関する5年以上の経営経験(法人の役員や個人事業主など)が原則として必要です。これは、建設業の経営が会計や契約実務などで高い専門性を要するため、経営陣の中に経験者がいることを担保する目的があります。(建設業法 第7条第1号)
要件②:専任技術者(原則10年の実務経験)
許可を受けたい業種に関する国家資格がない場合、原則として10年以上の実務経験が必要です。これは、工事の技術的な品質を担保するための要件です。(建設業法 第7条第2号ロ)
経営経験「5年未満」で許可をとる方法はあるか?
建設業許可には、法律で認められた正規の緩和措置(代替ルート)があります。ただし、「経営経験なし」から許可を取得することはできません。
2020年の法改正により、経営者個人の経験だけでなく、組織としての管理体制も評価されるようになりました。
6年以上の「経営補佐経験」
経営経験が5年なくても、建設業に関し6年以上の「経営業務を補佐した経験」があれば、経営業務の管理責任者として認められます。
これは、法人の執行役員や、建設部門の責任者(支店長、営業所長など)として、経営者に準ずる地位で財務管理、労務管理、業務運営などに従事した経験を指します。
「常勤役員+補佐体制」(組織体制)
常勤役員等の経営経験が5年未満(例えば2年)であっても、その役員を直接補佐する体制を整えることで、組織として要件を満たせます。
具体的には、その常勤役員等に加え、財務管理・労務管理・業務運営の各分野で5年以上の経験を持つ補佐者をそれぞれ配置することで、組織全体として経営管理能力があると認められます。
実務経験「10年未満」(5年未満も)で専任技術者になる方法は?
国家資格の取得、または指定学科の卒業(学歴)により、必要な実務経験年数を短縮できます。
方法①:国家資格を取得する(実務経験0年でも可)
業種に応じた国家資格(建築一式なら建築施工管理技士や建築士、電気工事なら電気工事士など)を取得すれば、実務経験年数は不問(0年)です(ただし、一部の資格では資格に加えて一定の実務経験が必要な場合がある)。国家資格の取得が、専任技術者の要件を満たすうえで、最も明確で早い方法といえます。
方法②:学歴(指定学科)で短縮する
大学・高等専門学校(高専)の指定学科(土木科、建築科など)を卒業している場合、必要な実務経験は3年以上に短縮されます。
また、高等学校・中等教育学校の指定学科を卒業している場合は、5年以上の実務経験で認められます。このルートを活用すれば、例えば大学の建築科を卒業した方なら、実務経験が3年(5年未満)で建築一式工事の専任技術者になることが可能です。
実務経験(10年など)はどのように証明するか?
過去の工事の契約書、注文書、請求書(および入金が確認できる通帳など)といった客観的な資料で、申請する業種の経験年数分(10年、5年、3年)を証明する必要があります。
実務経験の証明は、許可申請における重要なハードルの一つです。単に「10年間働いていた」という申告だけでは認められません。その10年間、自社(または個人事業主)が、申請する業種の建設工事を適法に(500万円未満の工事として)請け負い続けていた証拠資料そのものが求められます。
具体的には、工事請負契約書や注文書、厚生年金記録などの在籍証明書などの提出が必要です。
違法な「裏ワザ」(名義貸しなど)のリスクは?
経験年数を満たしているように偽装する「名義貸し」や「経歴詐称」は、許可の取消しや刑事罰の対象となる極めて危険な違法行為です。
これらの行為は、建設業法上の「虚偽申請」にあたります。行政による立入検査や、元従業員・取引先からの通報(告発)などで高い確率で発覚します。一度、不正な手段で許可を取得したとして許可取消し処分を受けると、その後5年間は建設業許可を再取得することができなくなり、事業に致命的な影響を与えます。
申請してから許可が下りるまでの期間はどれくらいか?
書類の準備期間とは別に、申請書を行政庁に提出してから許可通知書が届くまで、知事許可で約30日~60日、大臣許可で約90日~120日が標準的な審査期間です。これらは、各行政庁が標準処理期間として定めている日数の目安です。
「何年でとれるか」という問いには、経営経験や実務経験を積む年数に加え、この審査期間、そして審査に必要な膨大な書類(10年分の契約書など)を収集・整理する「準備期間」も考慮する必要があります。この準備期間に数ヶ月を要することも珍しくありません。
許可取得後の「5年更新」とは何か?
建設業許可の有効期間は5年間であり、事業を継続するには5年ごとに「更新」手続きが必要です。(建設業法第3条第3項)
許可は一度取得すれば永続的というわけではありません。
更新時には、直近5年間の工事経歴書や最新の財務諸表、納税証明書などを提出し、引き続き許可要件(経営体制、専任技術者の在籍、財産的基礎など)を満たしているかを改めて審査されます。この更新を怠ると、許可は失効してしまいます。
許可が失効すると、建設業者としての営業が法的に認められなくなり、無許可営業の状態となります。無許可営業を続けると建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の刑罰が科される可能性があるため、注意が必要です。
許可取得への道筋を正しく理解する
本記事では、建設業許可をとるために必要な「経験年数」について、原則(経営5年、技術10年)と、法律で認められた正規の緩和措置(5年未満も可)を解説しました。
建設業許可の取得は、経営者や技術者の経験の積み重ねが公的に認められるプロセスです。「経営経験なし」から取得できるような違法な「裏ワザ」は存在せず、発覚すれば事業の継続が実質的に不可能になるリスクを伴います。要件を満たしているか、あるいは緩和措置を活用できるかを正確に把握するためにも、まずは行政書士などの専門家に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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