- 作成日 : 2025年4月25日
一人親方の税理士費用はいくら?丸投げやスポットの相場、安く抑える方法
一人親方として働いていると、帳簿付けなどの経理作業や確定申告の負担が大きく感じられます。税理士に依頼したいけれど、「費用はどれくらいかかるのか?」「丸投げした場合とスポットで依頼した場合の違いは?」と疑問を持つ方も多いでしょう。また、経理を安く抑える方法があれば知りたいという声もよく聞かれます。この記事では、一人親方が税理士に依頼する際の費用相場や、コストを抑える方法について詳しく解説します。
目次
一人親方が税理士に依頼する費用はどれくらい?
一人親方が税理士に依頼する費用は、依頼内容や契約形態によって異なります。税理士報酬の相場は、年間数万円から数十万円と幅があり、事業規模や依頼する業務の範囲、税理士の経験によっても変わります。特に、顧問契約を結ぶ場合と、確定申告時のみスポットで依頼する場合では、大きな差があります。
税理士報酬の決まり方
税理士報酬の金額は、以下のような要素で決まります。
- 事業規模:売上高が高く、取引が多いほど費用が増える
- 業務範囲:記帳代行、確定申告、税務相談など
- 契約形態:毎月の顧問契約か、スポット依頼か
- 地域:都市部の税理士は地方に比べて料金が高い傾向
- 税理士の経験:実績が豊富な税理士は費用が高いことがある
- 作業難易度:作業の難易度が高い場合、費用が増える
一人親方の税理士費用は依頼の仕方で変わる
税理士費用は依頼の仕方や期間によって異なります。「顧問契約」と「スポット依頼」での費用の相場を見てみましょう。
顧問契約で丸投げする費用相場
税理士と顧問契約を結ぶと、毎月の経理業務を一任できるため、手間が大幅に削減されます。費用の相場としては、月額1万円~3万円程度が一般的で、年間で12万円~36万円ほどかかります。記帳代行や税務相談、節税アドバイスを受けられることも多く、税金対策をしっかり行いたい方や経理業務などを全て任せたい方には向いています。
確定申告時などスポット依頼の費用相場
スポット契約では、確定申告や税務調査の対応などの業務を単発で依頼できます。確定申告の依頼のみなら5万円~10万円程度が相場です。帳簿を自分でつけることで費用を抑えられるため、「普段の経理は自分でやるが、申告だけお願いしたい」という方には適しています。
一人親方が税理士に依頼するメリット、デメリット
一人親方が税理士に依頼すると、経理業務や税務関連の事務負担を軽減できる一方で、税理士へ支払う専門家報酬などの費用負担が生じます。税理士に依頼を検討する際には、どのようなメリットやデメリット(懸念点)があるのか解説します。
一人親方が税理士に依頼するメリット
税理士に依頼することで、一人親方が経理業務に時間を取られることなく、効率的に事業を運営できるようになります。また、税金対策や節税方法について専門的なアドバイスを受けられます。特に税務調査の際には、税理士のサポートがあることでスムーズに対応できる点も大きなメリットです。
- 経理の負担が減る:確定申告や日々の帳簿管理を任せられるので、本業に専念しやすくなります。
- 節税のアドバイスがもらえる:税理士から的確な節税方法を教えてもらえるため、余計な税金の支払いを防げます。
- 税務調査の対応でも安心:税理士がついていれば、税務署からの問い合わせや調査にも落ち着いて対処できます。
- 税理士の費用が経費になる:税理士に支払った報酬は、「支払手数料」として経費に計上することができます。
一人親方が税理士に依頼するデメリット
税理士に依頼すると便利な反面、以下のような点には注意が必要です。
- 費用がかかる:顧問契約の場合は毎月の費用が発生し、スポット契約でも依頼ごとに費用がかかります。
- 経理の知識が身につきにくい:税理士に任せることで、自分で経理の知識を深める機会を失うことがあります。
- すべて依頼するとコストが高くなる:記帳代行から確定申告、税務相談まで丸投げすると、トータルの費用が高くなりがちです。
- 税理士との相性が大切:税理士によって対応の仕方や専門知識のレベルが違うため、自分に合う税理士を選ぶことが重要です。
税理士に依頼するときは、どの業務をお願いするかを考え、コストとのバランスを見ながら契約することが大切です。
一人親方が税理士に頼んだほうがいいケース
税理士を頼むべきか迷う場面は多いですが、特に以下のような場合には依頼を検討すると良いでしょう。
- 取引の数が増えたとき 売上が増えて取引の数が多くなると、帳簿の管理が大変になります。手間を減らし、本業に集中したい場合には税理士に相談するのが良いでしょう。
- 確定申告に時間がかかると感じたとき 確定申告に何日もかかってしまう場合、税理士に依頼するとスムーズに進みます。特に、控除を活用したい場合や書類の準備に自信がないときには、専門家の手を借りるのがおすすめです。
- 税務調査のリスクがあるとき もし税務署から調査の通知が来た場合、税理士のサポートがあると安心です。税理士がいれば適切な対応ができ、余計なトラブルを防ぐことができます。
- 消費税の申告が必要になったとき 売上が1,000万円を超えると消費税の申告義務が発生し、計算が複雑になります。専門知識が必要になるため、税理士に依頼することでミスを防ぎ、適切な申告ができます。また、インボイス制度により、課税売上高が1,000万円を下回っていても「適格請求書発行事業者」に登録していると、消費税の申告が必要になるため、税理士に依頼したほうが良いでしょう。
- 融資を受ける予定があるとき 金融機関から融資を受ける際、決算書や財務状況を正確に示す必要があります。税理士が作成した書類があれば信頼性が高まり、スムーズに融資を受けられる可能性が上がります。
一人親方の税理士報酬は経費にできる?
税理士に支払った費用は、経費として計上できます。「支払手数料」として処理することで、所得税の負担を軽減できます。特に、確定申告や顧問契約で発生する費用は事業に必要な経費として認められるため、税理士のサポートを受けながら、賢く節税することが可能です。
具体的に、例えば税理士報酬として10万円を現金で支払った場合には、下記仕訳になります。
- 支払手数料 10万円 / 現金 10万円
所得税の納税額は、売上から経費を差し引いた利益に対して、所得税率を乗じて計算されます。
上記のように、支払手数料という経費を計上することで、利益が圧縮され、実際に納税すべき所得税額が軽減されます。したがって、税理士を依頼する際には、どの範囲の費用が経費にできるかも確認しておくとよいでしょう。
税理士に任せず経理費用を安く抑えるには?
税理士に依頼することで安心して経理を任せることができますが、費用を抑えたい場合には、いくつかの工夫で経理の負担を軽減することも可能です。
会計ソフトを活用する
会計ソフトを利用することで、経理業務を効率的に進められます。自動仕訳機能や請求書作成機能があるため、手作業の時間を削減できます。
会計ソフトの導入時には、国が費用の一部を支援する「IT導入補助金」を活用すれば、ソフトの導入費用を抑えることもできます。
参考:IT導入補助金2025|独立行政法人中小企業基盤整備機構
家族に経理を依頼する
配偶者や親族に経理を手伝ってもらうことで、費用を抑えつつ業務の負担を軽減できます。例えば、領収書の整理や簡単な帳簿記入を依頼すれば、自分で経理を行う時間を減らし、本業に専念しやすくなります。
ただし、家族に給与を支払う場合は注意が必要です。事前に管轄の税務署へ「青色事業専従者給与の届出書」を提出する必要があります。青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までに提出をすることで、常識の範囲内の金額を給与として支払えば経費として計上できます。
しかし、事業規模に対して不自然に高額な給与を設定すると、常識の範囲内とは考えにくく、経費として認められない可能性があります。
短期で経理を頼む
税理士と顧問契約を結ぶのではなく、短期間だけ経理を外注する方法もあります。記帳代行サービスやスポット契約の税理士を活用することで、必要な業務のみを依頼でき、費用を抑えることができます。
一人親方に合う税理士の選び方
税理士を選ぶ際は、業務内容やコストのバランスを考慮しながら、自分に合った専門家を見つけることが大切です。
- 建築業界に詳しい税理士を選ぶ 一人親方の税務に詳しい税理士であれば、節税対策や経費計上について的確なアドバイスをもらえます。
- 費用とサービス内容のバランスを確認する 顧問契約やスポット契約のどちらが自分に適しているかを見極め、無理のない料金で依頼できる税理士を探しましょう。
- オンライン対応ができる税理士も検討する リモートで相談できる税理士なら、場所を選ばずにやり取りができ、忙しい一人親方にとって便利です。
自分に合った税理士を見つけることで、税務の負担を減らし、スムーズな経営を続けることができます。
一人親方の経理の負担を減らそう
税理士に依頼するか、自分で経理を行うかは、一人親方にとって重要な選択肢です。顧問契約で丸投げする方法もあれば、スポットでの依頼、会計ソフトの活用などさまざまな手段があります。自分の状況に合わせて最適な方法を選び、経理の負担を減らしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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