- 更新日 : 2025年4月10日
工事台帳をエクセルで作成するには?無料テンプレートをもとに作り方を解説
工事台帳は、建設業者が行う工事の記録を管理するための文書で建設業法により作成が義務付けられています。本記事では、工事台帳をエクセルで作成する方法や、メリット・デメリットについて解説します。また、工事台帳を効率よく作成するための便利なエクセルテンプレートも無料でダウンロードいただけます。
目次
工事台帳とは?
工事台帳は、工事現場ごとの取引内容を詳細に記載し、原価を集計した台帳です。工事台帳は、正式には「施工体制台帳」と呼ばれます。現場によっては「工事管理台帳」や「工事原価台帳」「工事原価管理帳」と呼ばれることもありますが、内容や用途は基本的に同じです。
工事台帳は建設工事を請け負う全ての建設業者の情報、各業者の施工範囲や内容および工期、各業者の技術者氏名、各業者の社会保険加入状況に至るまで、工事の進行状況を全て把握し、コストを管理するために重要な文書となります。
工事台帳の作成は義務?
工事台帳の作成は、建設業法で義務付けられている経営事項審査に必須な書類です。工事台帳は、工事の着工前に元請業者が作成し、工事の目的物を発注者に引き渡すまでの間、現場に備え置く必要があります。
公共工事と民間工事で異なる工事台帳
工事台帳の作成ルールは、公共工事と民間工事で異なります。
- 公共工事の場合:工事の金額に関わらず、下請け発注を行った場合には工事台帳の作成が必要となります。これは、公共工事が税金を用いて行われるため、その透明性を確保するための措置といえるでしょう。
- 民間工事の場合:下請け発注の総額が税込みで4,500万円以上となる場合にのみ、工事台帳の作成が必要となります。これは、民間工事が個々の契約に基づいて行われるため、その規模に応じてルールが設けられています。
工事台帳の保存・管理
工事台帳は工事完了後も5年間保存する義務があります。ただし、発注者と締結した新築住宅の建設工事に係るものは10年間の保存が必要です。
工事台帳をエクセルで作成するメリット
工事台帳をエクセルで作成することには、コスト削減・ファイル共有など多くのメリットがあります。以下では、主要なメリットについて詳しく解説します。
使い慣れている
多くの事務職員や現場管理者にとって、エクセルは日常的に使用するソフトウェアです。そのため、新しいシステムやソフトウェアを導入する必要がなく、既存のスキルを活かして工事台帳を作成できます。
エクセルの基本機能を使いこなせれば、複雑な操作を覚える必要もなく、すぐに工事台帳の作成に取り掛かることができます。これにより、導入時の学習コストを大幅に削減できるのが大きなメリットでしょう。
無料で作成できる
Microsoft Office製品は、多くの企業や個人事業主が所有しています。そのため、追加のソフトウェア購入費用を必要とせず、手持ちのエクセルを使って工事台帳を作成できます。
特に小規模な建設会社や個人事業主にとっては、専用のソフトウェアを購入する予算がない場合も多いため、エクセルを活用することで、コスト面での負担を大きく軽減できます。
ファイルを共有できる
エクセルファイルは、メールやクラウドストレージを通じて簡単に共有できます。これにより、現場と事務所、あるいは協力会社との間で、リアルタイムに情報を共有することが可能です。
また、クラウドサービスを利用すれば、複数人で同時に編集することも可能となり、チームでの作業効率が大幅に向上するため、情報の一元管理が実現できます。
関数やマクロが利用できる
工事台帳を手書きで作成すると、記入ミス、入力ミス、計算ミスなどが発生する恐れがあります。その点、エクセルであれば各種関数やマクロを導入することによって原価の計算が素早くできるため、作業の効率化が図れるでしょう。
工事台帳をエクセルで作成するデメリットや注意点
工事台帳をエクセルで作成するメリットは大きい一方で、デメリットも生じる恐れがあります。以下でデメリットを詳しく解説します。
データ量の増加に応じて処理速度が低下する
工事件数が増加するにつれ、エクセルファイルのサイズも大きくなります。大容量のファイルは処理速度の低下やシステムの不安定化を引き起こす可能性があります。
専門的な知識やスキルが必要
エクセルで複雑な計算や分析を行う場合、専門的な知識やスキルが必要となります。特に、エクセルの関数やマクロを使って自動化を行う場合はプログラミング思考が求められます。また、このような高度な機能を駆使して作成したシートは、作成者以外には修正が困難になりがちです。
セキュリティ面での懸念
工事台帳には機密情報が含まれることが多いため、セキュリティ面での懸念があります。エクセルファイルはパスワード保護が可能ですが、ハッキング技術によって解読される可能性も否定できません。また、メールやUSBメモリでの共有時にデータが漏洩するリスクも高くなります。クラウドサービスを利用する場合も、適切なセキュリティ設定が必要となり、管理の手間が増えます。
バックアップと復旧の課題
エクセルファイルのバックアップは手動で行う必要があり、定期的なバックアップを忘れるリスクがあります。また、ファイルの破損や誤削除が発生した際の復旧作業も複雑になる可能性があります。クラウドストレージを利用する場合でも、適切な設定と運用管理が必要となり、専門的な知識が求められるでしょう。大規模な災害や機器故障時のデータ損失リスクも考慮する必要があります。
モバイル対応の制限
建設現場では、モバイルデバイスの活用が進んでいますが、エクセルで作成した工事台帳はスマートフォンやタブレットでの閲覧や編集が困難な場合があります。例えば、画面サイズの制限や操作性の問題により、現場での迅速な情報確認や更新が難しくなったり、オフライン環境での作業や同期をする際に問題が発生しやすくなったり、リアルタイムでの情報共有が妨げられたりなどが挙げられます。
工事台帳をエクセルで作成する方法
次に、エクセルシートで作成した工事台帳を紹介します。
上記テンプレートを例に、エクセルで工事台帳を作成する際の必要な項目、注意すべきポイントについて解説します。
基本情報の作成
工事台帳で使用する基本項目名は、以下の通りです。
- 作成日時
- 工事名
- 元請(発注元)
- 担当者
- 現場住所
- 受注日付
- 現場責任者
- 工期
売上情報の作成
工事台帳で使用する売上・粗利・実行予算は、以下の通りです。
- 受注金額
- 実行予算
- 粗利益
- 請求金額
- 実支払額
- 実粗利
- 予算差異
原価情報の作成
工事台帳で使用する原価は、以下の通りです。
マクロと関数を追加
基本情報、売上情報、原価情報の項目を入力したら、必要なマクロと関数を追加していきます。
使用頻度の高い関数として、指定した範囲のセルにある数値のみを合計してくれる、SUM関数を使うとよいでしょう。
工事台帳作成におすすめの無料エクセルテンプレート
インターネット上には、建築業で利用できる工事台帳が無料でダウンロードできるサービスもあります。「工事台帳 エクセルテンプレート」や「工事台帳 作成 フォーマット」と検索すれば、すぐに見つかるでしょう。
まとめ
工事台帳は、建設業法で義務付けられている経営事項審査に必須な書類。工事ごとの収支と利益率を把握し、工事の進捗確認や経営判断にも役立つものです。
必要項目をエクセルシートに入力し、マクロと関数を使用することによって効率的で正確な工事台帳を無料で作ることができます。さらに効率化を図りたい人は、無料テンプレートを活用してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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