• 作成日 : 2026年1月5日

建設業許可の実務経験証明書をとるには?書き方、10年の証明方法、書いてくれない時の対処法まで解説

建設業許可の実務経験証明書は、国家資格がなくても許可取得の要件を満たせることを示す、非常に重要な書類です。提出時には、10年分などの経験を裏付ける工事の契約書や注文書といった「確認資料」もセットで必要です。

この記事では、建設業許可の取得を目指す事業者様に向けて、実務経験証明書の具体的な書き方(記入例)、必要な確認資料の種類、そして過去の勤務先が協力してくれない場合の対処法まで分かりやすく解説します。

そもそも「実務経験証明書」とは何か?

建設業許可を得るためには、国家資格や実務経験などを有する「専任技術者(営業所技術者等)」の設置が不可欠です。許可を得るために必要な要件を、国家資格ではなく実務経験で満たす場合に、その経験年数と内容を証明するために提出するのが様式書類(様式第9号)です。

なお、様式第8号は「営業所技術者等証明書」で、これは営業所ごとに配置する技術者の資格・実務経験・担当業種を証明するための書類です。

建設業許可を取得するには、5つの大きな要件(経営・技術・誠実性・財産・欠格要件)を満たす必要があります。このうち「技術」の要件、すなわち営業所に配置する専任技術者は、原則として国家資格を保有していなければなりません。しかし、資格がない場合でも、一定期間の実務経験を積んでいれば、資格保有者と同等の技術力があるとみなされます。この実務経験を証明する公式な書類が「実務経験証明書」です。

なぜ実務経験の証明が必要か?

建設業法では、国家資格を持たない人が一般建設業許可の専任技術者になるためのルートとして、以下のいずれかを定めています。

  • 原則として、許可を受けたい業種について10年以上の実務経験
  • 指定学科(大学・高専卒)+3年以上の実務経験
  • 指定学科(高校卒)+5年以上の実務経験

実務経験証明書は、これらの必要な年数(例:10年)を満たしていることを、経験を積んだ会社(証明者)が証明するために使用されます。

実務経験証明書の具体的な書き方は?(記入例のポイント)

証明書には、証明を受ける人(被証明者)、証明を行う会社(証明者)、そして具体的な工事経歴を正確に記載する必要があります。

国土交通省や各都道府県が示す記入例に基づき、特に重要なポイントを解説します。

証明者と被証明者(証明を受ける人)

被証明者欄には、専任技術者になる人の氏名や生年月日を記載します。証明者欄には、その実務経験を積んだ当時の勤務先の情報(会社名、代表者名)を記載します。代表者印(または社印。自治体によって異なる)を押印してもらいます。被証明者が申請会社の代表者自身である場合は、自分で自分を証明する形(代表者印を押印)となります。

実務経験の内容の記載ポイント(10年分など)

最も重要なのが、経験した工事内容を記載する欄です。

  • 工事名
  • 工事の内容
  • 注文者
  • 工期
  • 実務に従事した役職(現場監督、作業員など)

これらの情報を、申請する業種の経験年数が合計10年(または学歴に応じた短縮期間)を超えるように、過去に遡って具体的に記載していきます。証明期間中に複数の会社に在籍していた場合は、それぞれの会社から証明書を発行してもらう必要があります。

実務経験を裏付ける「確認資料」とは何か?

証明書に記載された実務経験が真実であることを客観的に証明するために、行政庁へ併せて提出する必要がある「証拠書類」のことです。具体的には、工事の契約書、注文書、請求書などが該当します。

なぜ証明書だけではダメなのか?

実務経験証明書は、あくまで「自社(または過去の勤務先)が証明した」という自己申告の側面が強い書類です。行政庁は、その証明内容が客観的な事実と一致しているかを確認するため、第三者との取引が確認できる公的な書類の提出を求めます。

この確認資料の収集こそが、実務経験で許可をとる際の最大のハードルといえます。

必要な確認資料の具体例

証明したい期間分(例:10年分)について、原則として毎月または毎年の工事実績を示す、以下のような資料の原本または写しが必要です。

  • 工事請負契約書
  • 注文書(注文請書とセット)
  • 請求書の写し(入金が確認できる通帳のコピーとセット)
  • (法人の場合)経験期間中の確定申告書(法人事業概況説明書など)
  • 個人事業主の場合)経験期間中の確定申告書(第一表、所得金額計算書など)

※必要な書類の種類や年数(例:「10年分すべて」か「毎年の代表的なもの」か)は、申請先の都道府県(東京都、大阪府など)によって運用が異なるため、必ず最新の手引きを確認してください。

過去の会社が証明書を「書いてくれない」場合の対処法は?

過去の勤務先が倒産・廃業している場合や、協力を拒否される場合でも、一定の条件を満たせば申請が認められる可能性があります。諦めずに申請先の行政庁や専門家(行政書士など)に相談することが重要です。

会社が倒産・廃業している場合

証明者の押印がもらえないため、原則として実務経験証明書は発行できません。しかし、一部の行政庁では、閉鎖事項全部証明書などで会社の廃業を証明した上で、代替資料(例:当時の同僚の証言、年金記録、源泉徴収票など)を慎重に審査し、経験を認めてくれる場合があります。

在籍していた会社が協力を拒否する場合

円満退社でなかったり手続きが面倒だったりして、過去に在籍していた会社から証明や押印を拒否されるケースもあります。

この場合も、まずは会社に協力をお願いし続けることが基本です。

それでも書いてくれない場合は、行政庁の窓口に事情を説明し、どのような代替資料で認めてもらえる可能性があるかを相談します。具体的に必要な書類として、当時の給与明細や雇用保険被保険者証厚生年金の加入記録などの提出を求められるケースが一般的です。

証明書の様式(エクセル等)はどこでダウンロードできるか?

実務経験証明書(様式第8号)や工事経歴書などの申請様式は、国土交通省のウェブサイト、または各都道府県(東京都、大阪府、神奈川県など)の建設業許可担当窓口のウェブサイトからダウンロードできます。

国土交通省のウェブサイトでは標準様式が公開されており、各都道府県のサイトでは、その自治体独自の記入例や手引きがセットで提供されていることが多いです。申請先の様式(エクセルやWord形式)を利用するのが最も確実です。

実務経験の証明に関する注意点

実務経験の年数計算や常勤性の証明には、厳格なルールがあります。

経験年数の計算方法

実務経験の期間は、重複して計算することはできません。例えば、同時に2つの工事現場に従事していたとしても、経験期間は実日数分(例:1年間)としてしかカウントされません。

常勤性の証明

実務経験を積んでいた期間中、その会社に「常勤」で勤務していたことを証明する必要があります。健康保険被保険者証の写しや、住民税特別徴収税額の通知書などで、常勤性を別途証明するよう求められるのが一般的です。

実務経験の証明は、許可取得の最重要プロセス

本記事では、建設業許可の取得に必要な「実務経験証明書」について、その書き方や、10年分の経験を証明するための確認資料、そして証明書が「書いてくれない」場合の対処法までを解説しました。

国家資格がない場合、実務経験の証明は許可を取得するために必須です。特に10年分の確認資料の収集は、非常に手間と時間がかかります。違法な名義貸しなどの「裏ワザ」に頼ることは、発覚すれば許可の取消しや罰則につながるため絶対に避けるべきです。法令を遵守し、必要な書類を地道に揃えていくことが、信頼される建設業者への第一歩といえるでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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