• 作成日 : 2026年1月5日

建設業許可の500万円残高証明とは?「見せ金」のリスク、有効期限、500万円ない場合の対策を解説

建設業許可を取得する際、一般建設業許可の財産要件を満たすために「500万円以上の残高証明書」の提出が求められることがあります。これは、500万円以上の工事を請け負うに足る資金力があることを証明する重要な書類です。

しかし、「手元に500万円ない」場合、一時的に資金を借り入れることで対応できる可能性があります。ただし、書類上の事実を偽れば重い罰則が伴う点に注意しましょう。この記事では、500万円の残高証明の正しい意味と有効期限、見せ金のリスクについて、分かりやすく解説します。

そもそも建設業許可に必要な「500万円」とは何か?

一般建設業許可を取得するために必要な5つの要件のうち、「財産的基礎または金銭的信用(資金力)」を証明するための基準額です。

建設業法第7条第4号では、許可申請者が請け負った工事を誠実に履行するための資金力を持っていることを求めています。その具体的な基準として、「500万円」という金額が設定されています。

500万円の残高証明書とは何か?

「残高証明書」とは、申請者が500万円以上の資金調達能力があることを証明するために、金融機関が発行する公的な書類です。

財産的基礎の要件を満たす方法は、主に2つあります。

  1. 直近の決算書において「自己資本の額」が500万円以上あること。
  2. 「500万円以上の資金調達能力」があること。

会社の資本金が500万円未満であったり、直近の決算で自己資本が500万円未満であったりする場合が考えられます。この場合でも、金融機関が発行した500万円以上の預金残高証明書を提出することで、資金力の要件をクリアできます。

残高証明書には有効期限があるか?

残高証明書には、行政庁が定める有効期限があります。一般的に、申請窓口(都道府県など)に提出する日から逆算して「2週間から1ヶ月以内」に発行された、比較的新しい日付のものを求められます。

これは、許可申請を行う「現時点」で資金力を保有していることを証明する必要があるためです。例えば、東京都の場合は「証明基準日から1ヶ月以内」と定められているなど、申請先の行政庁によって具体的な期限は異なります。申請前に必ず、管轄の行政庁が発行する手引きなどで最新の有効期限を確認する必要があります。期限切れの証明書は受理されません。

「500万円ない」場合、どうすればよいか?

直近の決算書で自己資本が500万円以上あることを証明できない、かつ、常時500万円の預金がない場合は、一時的にでも500万円以上の預金を準備し、金融機関で残高証明書を取得する必要があります。残高証明書以外にも、金融機関の融資証明書や融資可能証明書、場合によっては不動産評価証明書などでも代用可能です。どの書類が認められるかは、自治体の手引きで必ず確認しましょう。

実務上、不足分の資金を親族や知人から一時的に借り入れたり、金融機関からつなぎ融資を受けたりして、預金口座が500万円以上ある状態を作り、その日のうちに残高証明書を取得する、という方法がとられることがあります。この場合、後の調査で違法と判断される可能性があるため、注意が必要です。

違法な「抜け道」である「見せ金」とは何か?

残高証明を取得する目的のためだけに、証明書の基準日(その日一日だけ)お金を借りて入金し、証明書の発行後すぐに返済・出金する行為(預金偽装)を指します。正式な銀行残高証明書を提出して資金能力の証明ができる場合、必ずしも違法ではありません。

一時的な借入で500万円を作ること自体は、法令上は資金調達能力の一種として扱われます。しかし、場合によっては行政庁を欺く「虚偽の申請」にあたる行為と判断される可能性があります。

また、実態を伴わない資金調達は経営上のリスクが高く、また書類上の事実を偽れば虚偽申請として許可取消し・罰則の対象になる点に注意が必要です。

なぜ「見せ金」はバレるのか?バレた場合のリスクは?

行政庁の審査官が不審に思った場合、残高証明書の日付の前後の通帳コピーの提出を求められることがあり、そこで発覚します。発覚した場合、許可の取消しや刑事罰の対象となる可能性があります。

バレる理由

審査官は、提出された残高証明書の日付だけを見て判断するとは限りません。特に不自然なキリの良い金額(500万円ぴったりなど)の場合、その資金の出所を確認するため、証明基準日の前後数日間の「通帳コピー」の提出を追加で要求することがあります。そこで、証明日当日に大口の入金があり、翌日以降に同額が出金されているといった不自然な取引履歴があれば、それは「見せ金」であると判断される可能性があります。

バレた場合のリスク(罰則)

虚偽の申請によって不正に許可を取得した場合、建設業法第29条に基づき、建設業許可の取消し処分を受けます。一度許可を取り消されると、その後5年間は新たに許可を取得することができません。

さらに、悪質な虚偽申請と判断された場合、建設業法第50条に基づき「6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金」という刑事罰が科される可能性もあります。

500万円の「融資証明書」でも代用できるか?

金融機関が発行する「融資証明書」や「融資可能証明書」でも、代用可能です。たとえば、東京都では「申請者名義(法人である場合は当該法人名義)の口座における取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書又は融資証明書により判断します」とあります。

一方で、残高証明書のみを原則とする自治体や、融資証明書の形式・内容に細かい指定を設けているケースもあります。そのため、申請先の都道府県の「建設業許可の手引き」もしくは事前相談窓口で、必要書類を確認することが重要です。

資本金が500万円あれば残高証明は不要か?

新設法人で資本金が500万円以上ある場合、または直近の決算書で「自己資本の額」が500万円以上ある場合は、原則として500万円の預金残高証明書を提出する必要はありません。

これは、財産的基礎の要件である「500万円以上の自己資本」を、会社の登記事項証明書(資本金の額)や、税理士が作成した決算書(貸借対照表)といった別の公的書類で証明できるためです。設立直後の法人が許可申請を行う場合、資本金500万円以上で設立するのが、最もスムーズに財産要件をクリアする方法といえます。

財産要件は「見せ金」に頼らず正攻法で

本記事では、建設業許可の財産要件における「500万円の残高証明」について、その役割や有効期限、そして「見せ金」のリスクについて解説しました。

500万円の財産要件は、建設業許可を取得・維持するための必須条件です。一時的に資金を作る「見せ金」は、正式な銀行残高証明書を提出すれば違法ではないものの、書類上の事実を偽った場合は違法です。法令を遵守し、直近の決算で自己資本をクリアするか、あるいは正規の融資を受けるなどして調達した資金で残高証明を取得し、正攻法で許可取得を目指すことが、事業の信頼を守る唯一の道といえるでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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