- 作成日 : 2026年1月5日
管工事の建設業許可をとるには?必要な金額、専任技術者の資格要件、工事内容まで解説
管工事の建設業許可は、1件の請負代金が500万円(税込)以上となる冷暖房、空調、給排水、厨房などの配管工事を請け負うために不可欠です。この許可を取得するには、法律で定められた経営経験や専任技術者(営業所技術者等)の配置、財産的基礎といった要件をクリアする必要があります。
この記事では、建設業許可における「管工事」とは具体的にどのような内容を指すのか、許可が必要となる金額基準、そして許可取得の具体的な方法や「一般」「特定」の違いについて、分かりやすく解説します。
目次
そもそも建設業許可における「管工事」とは何か?
冷暖房、空気調和(空調)、給排水、衛生設備、厨房設備、ガス管など、建物や施設内に管(くだ)を設置するための専門工事のことです。
建設業法では、工事の専門性に応じて29の業種(工種)が定められており、「管工事」はその中の一つです。私たちが日常生活や事業を営む上で欠かせない、水や空気、ガスなどの通り道を整備する工事がこれに該当します。
管工事に該当する工事内容の例
- 冷暖房設備工事
- 空気調和設備工事(空調工事、ダクト工事を含む)
- 給排水・給湯設備工事
- 厨房設備工事(飲食店のレンジフード、ダクト、配管など)
- 衛生設備工事(便器、洗面台などの設置・配管)
- ガス管配管工事(都市ガス、LPガスなど)
- 浄化槽工事
- 管内更生工事
出典:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方|国土交通省
他の業種(水道施設工事など)との違い
「管工事」は主に家屋や施設といった「建物内外」の配管工事を指します。
これに対し、よく似た「水道施設工事」は、公共団体が発注するような、公道の下に埋設する上水道本管や、下水処理場内の配管工事など、より大規模な「施設」そのものを作る工事を指します。
飲食店の厨房内の給排水工事は「管工事」ですが、自治体が発注する道路下の水道本管工事は「水道施設工事」に分類される、といった違いがあります。
管工事の許可はどのような場合に必要か?
1件の請負代金が500万円(消費税込)以上となる管工事を請け負う場合に必要です。(建設業法 第3条)
500万円未満の工事は、法律上「軽微な建設工事」とみなされ、許可がなくても(許可なしでも)請け負うことが可能です。
金額(500万円)の具体的な計算方法
請負代金の額は「消費税込み」の金額で判断します。例えば、契約金額が税抜480万円であっても、消費税(10%)を加えると528万円となり、500万円を超えるため、建設業許可が必要な工事となります。
また、発注者が無償で提供する材料(支給材)がある場合、その材料の市場価格や運送費なども請負代金の額に合算して計算されます。意図的に契約を分割して500万円未満に見せかける行為は、正当な理由による分割を除き、許可逃れの「抜け道」として法令違反となる可能性があるため注意が必要です。
管工事の許可をとるための要件は何か?
建設業許可を取得するには、主に「①経営業務の管理責任者」「②専任技術者」「③財産的基礎」「④誠実性」「⑤欠格要件の非該当」という法律上の5つの要件をすべて満たす必要があります。
経営業務の管理責任者の要件
法人の場合は常勤の役員、個人事業主の場合は事業主本人が、建設業に関する一定の経営経験(例:5年以上)を持っていることが必要です。
専任技術者の要件(管工事)
管工事の技術的な責任者として、営業所に常勤する「専任技術者」を配置する必要があります。専任技術者として認められるには、以下のいずれかの国家資格または実務経験が必要です。
- 国家資格(1級・2級):
1級 管工事施工管理技士、2級 管工事施工管理技士 - 技術士(指定部門):
技術士(機械部門「流体工学」または「熱工学」)、技術士(上下水道部門)、技術士(衛生工学部門) - 関連資格:
給水装置工事主任技術者(交付後1年以上の実務経験が必要)、職業訓練指導員(配管科、冷凍空調機器科など)、技能検定(配管、冷凍空気調和機器施工など) - 実務経験:
管工事に関して10年以上の実務経験、指定学科(機械工学、建築学、土木工学など)の大学・高専を卒業後、3年以上の実務経験、指定学科の高校を卒業後、5年以上の実務経験
財産的基礎の要件
一般建設業許可の場合、500万円以上の自己資本があること、または500万円以上の資金調達能力(銀行の預金残高証明書など)があることを証明する必要があります。また、直前5年間に許可を受けて継続営業の実績を証明すれば、財産的基礎の要件をクリアできます。
「一般」と「特定」の許可の違いは何か?
「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の最も大きな違いは、元請として受注した工事を下請に出せる金額の上限です。
どちらの許可であっても、元請として請け負う工事自体の金額に上限はありません。
- 一般建設業許可:
元請として受注した工事で、下請に出す契約金額の合計が5,000万円未満(建築一式工事は8,000万円未満)の場合に必要な許可です。 - 特定建設業許可:
元請として受注した工事で、下請に出す契約金額の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる場合に必要となる、より上位の許可です。
例えば、飲食店の内装工事一式を元請として受注し、そのうち厨房の管工事や電気工事などを複数の下請業者に合計5,000万円以上発注する場合は、元請業者は「特定建設業許可」を保有している必要があります。
管工事の許可業者を調べる方法はあるか?
国土交通省が運営する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」を利用することで、誰でも無料で検索・閲覧が可能です。
このシステムでは、会社名や許可番号で検索することができ、その業者が「管工事」の許可を保有しているか、許可の種類が「一般」か「特定」か、許可の有効期間はいつまでか、過去に行政処分を受けていないか、といった詳細な情報を確認できます。
工事を発注する際は、トラブルを避けるためにも、取引先の業者が適切な許可を保有しているかを事前に確認することが重要です。
信頼できる管工事のために
本記事では、建設業許可における「管工事」について、その工事内容から許可が必要な金額基準、取得要件までを解説しました。
飲食店経営者やビルオーナーの皆様が、厨房の給排水設備や店舗の空調工事といった管工事を発注する際、その工事が500万円(税込)を超える場合は、取引先の業者が「管工事」の建設業許可を正しく保有しているかを確認することが不可欠です。適切な許可を持つ業者を選ぶことが、法令を遵守し、工事の品質を確保するための第一歩といえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
建設業法の29業種とは?許可が必要な工事の種類と一覧、区分の考え方を分かりやすく解説
建設工事を業者に依頼する際、その工事が建設業法に定められた29の業種のどれに該当するかを理解しておくことは、適切な業者選定とコンプライアンスのために非常に重要です。 この記事では、建設業の専門家として、法律で定められた29業種の一覧と、それ…
詳しくみる建設業許可「500万円」の壁は下請けにも適用されるか?元請として許可なし業者に発注できる金額、分割のリスクまで解説
建設業許可の「500万円の壁」は、元請として工事を請け負う場合だけでなく、下請契約においても非常に重要な基準です。このルールを正しく理解していないと、元請業者も下請業者も、意図せず法令違反を犯してしまうリスクがあります。 この記事では、建設…
詳しくみる建設業許可をとるには?5つの取得条件、必要な資格や費用、個人事業主の場合まで解説
建設業許可をとるには、法律で定められた「経営経験」「技術力」「資金力」など5つの主要な要件をすべてクリアする必要があります。これらの要件は、建設工事を適正に行える体制があることを公的に証明するためのものです。 この記事では、建設業許可の取得…
詳しくみる特定建設業許可を取得するには?一般建設業との違い、5,000万円の基準、資格要件まで解説
特定建設業許可は、元請として受注した工事について、大規模な下請契約を結ぶために必要な、より上位の建設業許可です。取得するには、一般建設業許可とは異なる「5,000万円」という下請発注額の基準を理解し、格段に厳しい資格要件や財産要件を満たす必…
詳しくみる2級建築施工管理技士補のメリットとは?技士との違い、難易度を解説
2級建築施工管理技士補の資格は、建設業界で働くうえでの第一歩として注目されています。人手不足が続く建設業界では、資格を持つ人材の重要性が高まっており、個人にとっても企業にとっても活用の幅が広がっています。この記事では、資格の特徴や仕事の内容…
詳しくみる建設業許可の請負金額に上限はあるか?5,000万円の基準や税込の扱い、改正内容まで解説
一般建設業許可を持っている事業者が、いくらまでの工事を請け負うことができるのかという点は、多くの経営者が抱く疑問です。結論から言えば、自社が請け負う金額自体に上限はありませんが、下請業者に発注する金額には厳格な制限が設けられています。 この…
詳しくみる