その税金の話は年収がバレる?元国税芸人さんきゅう倉田のへぇ~となる税の話

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11月には、毎年「税を考える週間」があります。税を考える週間になると、学校で税の作文や税の書道作品を提出するように言われます。

ぼくは、習字セットを持っていなかったので、作文を提出することにしました。文字数の制限があり、原稿用紙3枚までのようです。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)

その税金の話題は年収がバレるかも?

「累進課税?」――先日、仕事で一緒になった女の子が、税金について話していました。

「税金のことって、全くわからないわ。アタシは、1年に1回税務署に行って、スタッフの人に聞いて、確定申告をするだけなの。職員の方、とっても親切ね。職員の方の言うとおりにやって、1カ月くらいすると、還付金がもらえるわ」

彼女は、事務所に所属しているので、報酬として、お金をもらっています。いわゆる、個人事業者です。事務所からの振り込みは、源泉所得税10%が引かれて入金されているはずです(100万円を超えた部分は20%ですが、それくらいの所得があれば、税理士に頼んでいると、ぼくは思ったんです!)。

還付になるということは、事務所の報酬から天引きされた源泉所得税10%より、確定申告で計算した所得税が少ないということです。なお、所得がおよそ430万円だと所得税がその10%になります(税率ではありません)。さらに基礎控除社会保険料控除があるため所得額はおよそ500万円と推察できます。

経費率が30%と仮定して、収入は700万円強であると分かります。申告で、還付になるか納税になるかを詳らかにすると、おおよその所得が知られてしまうので、注意が必要だな、と思いました。

似たような例では、ふるさと納税の額を言う、消費税の課税事業者か免税事業者かを言う、があります。所得を想像されても構わない人は言っても良いと思いますが、ぼくだったら言いません。

言うとしたらいつかな。ちょっと考えてみました。消費税の簡易課税が適用できなくなったときは、嬉しくて言うかなあ!

横浜市は“税金”が高い?


年上の女の子から、「税金のことわからない」「お金のことわからない」とよく聞きます。でも、男の子からはほとんど聞きません。

わかっているか、わかっていないけれどプライドが邪魔をしてそういう発言ができないか、わかっていないことすら気づいていないかのどれかだと思います。ぼくは、どんなときも正直に「わからない」と言える大人になりたいです。

小さかったころのことを思い出すと、税金の思い出がひとつだけありました。

お母さんに、よく言われたんです。「横浜市は税金が高いのよ」。

ぼくは、「横浜市は税金が高いんだ」とずっと思っていました(この場合の税金は、おそらく「住民税」だ!)。

でも、大きくなって、住民税が全国一律10%だと知って、お母さんは勘違いをしていたんだと気づきました。でも、どうして勘違いをしたんだろう。

ぼくは調べました。税金に関する書物を漁り、大きな友達に話を聞き、インターネットを活用しました。

そして、ようやくわかったのです。お母さんが、勘違いした理由が。

国民健康保険の保険料は都道府県で異なります。保険料がちょっぴり高い横浜市に住んでいたので「横浜は税金高いわ」と言っていたのでした。国民健康保険料って、自治体によっては「国民健康保険税」って言うから、そういう勘違いも仕方ない。お母さん、かわいいなあ。

でも、自治体によって、表記が異なるのは、あまり良くないと思いました。ただでさえ難しい、お金のこと、税金のこと、ちょっと言い方が異なるだけで、ぼくたちは混乱してしまいます。

しかも、「保険税と保険料があるんだよ」と誰かに教えてもらったことがありません。知らなくても生きていけるけど、より良く生きるために知りたいとぼくは思いました。

きっと、世の中には、誰も教えてくれない大切なことがいっぱいあります。だから、自分で勉強して、自分から話を聞いて、自主的に調べて、社会に負けない大人になれるよう頑張らなければいけないな、と思いました。

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