本当にあったフリーランスへの“非常識な依頼” 嫌な仕事は断ってもいい

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芸人、ミュージシャン、アイドル、俳優、多くのタレントが個人事業者、いわゆる“フリーランス”として活動しています。事務所に所属していても給料制で働いている人は少数派です。多くのフリーランスが自ら商談をして、収入源を増やし、確定申告をしています。

芸人のぼくが仕事の取引をする相手は企業や消費者です。企業を相手にする場合、交渉窓口になるのはそこの社員。その一部の人は、フリーランスがどう報酬を得ていて、どんなコストがかかるのか理解していません。理解するつもりもないかもしれません。

そのためフリーランスにとって不利益な取引をしかけてくることが往々にしてあります。ただ、それは悪意があるのではなく無知に由来するもの。彼らは悪くありません。フリーランスのあなたが自分で回避しなければいけないのです。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)

あなたにしかできない仕事と、誰でもできる仕事

会社員の方が振ってくださる仕事は2つに分けられます。「あなたしかできない仕事」と「誰にでもできる仕事」です。

あなたしかできない仕事なら、立場の弱いフリーランスでも、価格や内容など条件の交渉が容易にできるでしょう。

一方、誰にでもできる仕事なら、あなたは極限まで頭を垂れる必要があります。

若手芸人は、週末になると家電量販店やスーパーマーケットで、ネタをやったり商品紹介をしたりしています。ただ、その仕事がもらえるのは若手全体の1割程度。みんなで奪い合いです。

芸人に仕事を振るよしもとの社員さんからすると、誰に振ってもいい仕事です。だから、少しでも文句を言おうものなら他の芸人にすげ替えられてしまう。みんなそれを分かっているので、どんなにギャラが安くとも、拘束時間が長くとも、待遇が悪くとも、誰もブーブー言いません。大人しく働いています。

本当にあったフリーランスへの“非常識な依頼”

しかし、あなたにしかできない仕事だからといって、あなたに発注する取引先が礼節をわきまえた態度を取るという保証はありません。情報の非対称性があるからです。あなたが「この仕事は自分にしかできない。素晴らしいものだ」と思っていても、相手は「代わりはいくらでもいるだろう」と考えている可能性があります。

そういう場合は、いわゆる“ナメた態度”を取られてしまう。ぼくが知っている、本当にあったフリーランスへの非常識な依頼をいくつか紹介しましょう。

「動画を取りたいので、いまこの場でミニ講演を行ってください」と言われた。(30代/S.K)

誰かに見せるのでしょう。この発言の不快さがわかるのは芸人だけかもしれませんが、これから取引をする相手に敬意を払っていればこのような言葉は出てこないはずです。

打ち合わせで「本書いてますよね。くれませんか?」と言われた。(某事務所所属/芸人)

買ってください。場合によっては、下請法違反に当たる可能性があります。

仕事を依頼するつもりがないのに「来てください」と呼ぶ。(芸歴10年目/30代男性)

「仕事を依頼したい」と本気で考えてくれている人は、基本的にぼくのところへ出向いてくれます。やむを得ずぼくが足を運ぶ場合は、恐縮して相談してくださいます。

一方、平然と「こっちに来てくれ」と呼びつける人は、相手のコストに思いを馳せない愚か者です。大体が冷やかしなので、そもそも成約する気がないか、低い報酬を提示してきてこちらがお断りするのがオチでしょう。

請求された資料を送ったのに、返信しない。(フリーランス歴10年/元国税局職員)

異常です。きっと友達もいません。自分から頼み事をしておいて無視するなんて社会人以前の問題です。

打ち合わせの前に、相手のプロフィールを調べて来ない。(34歳/タレント)

芸人のぼくですら、これから会う予定のタレントや会社のことを調べてから臨場します。公開されている情報をいちいち聞くなんて、時間の無駄ですし、第一相手に失礼です。

事前にどんな相手か分かっていれば、挨拶や雑談だけのダラダラした打ち合わせに終わることなく、深い話まで詰められます。

調べていないのは、相手に興味がないからです。本当に仕事を依頼するつもりなら、事前に調べてゴールまで用意してくるでしょう。

ぼくが取引先とうまく付き合えている理由

仕事を依頼してくれる人は神様です。取引先がどんなに偉そうな態度を取ってきても、フリーランスからしたら成約に至るのはありがたいことです。

幸運なことに、ぼくがこれまで仕事をした取引先はどこも柔軟剤をたっぷり使ったタオルのように優しくしてくれました。どんなに年が離れていても、丁寧に応対してくれました。きっと仕事を頼む相手への敬意や、ご自身の会社の看板を背負っているという矜持があるのでしょう。

とはいえ、ぼくが取引先とうまく付き合えているのには理由があります。それは、少しでも危険な匂いのする相手とは連絡を断ち、それ以上は商談しないようにしていることです。違和感が残ったまま仕事を受けて、あとあとトラブルに発展するのも困ります。

仕事の断り方は、「スケジュールが合わない」「単価が見合わない」「要望に対するスキル不足」などを理由にすると波風を立てずにやり過ごせるでしょう。そうすることで、ストレスのない、楽しい仕事だけを受けることができます。

フリーランスの良いところは、仕事が選べるところです。嫌な予感がしたらお断りして、次にやってくる素晴らしい仕事に備えましょう。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:さんきゅう倉田(元国税職員/芸人)

大学卒業後、東京国税局を経て、よしもとクリエイティブ・エージェンシーで芸人に転身。将来の夢「天下り」、好きな領収証「コクヨ」、無人島に一つ持っていくとしたら「振替伝票」。著書に『読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『笑う数学』(KADOKAWA)がある。
Twitter:https://twitter.com/thankyoukurata
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