さんきゅう倉田の「はじめての営業」の思い出 フリーランスはどう仕事を増やす?

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みなさんご存知のとおり、昨今働き方が多様化しています。昇進を目指して働く「会社員至上主義」的な働き方を見直す人が増える一方、組織に属さない個人事業主、いわゆるフリーランスの働き方が存在感を強めています。

それでも労働者全体からすれば、まだまだフリーランスは数が少なく立場も弱い、ただの個人です。だからあまりいじめないでください。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)

「はじめての営業」の思い出

ぼくがまだ1社でしか記事を執筆していなかった数年前のこと。取引先を増やすべく、はじめて営業をかけました。その会社は税理士を紹介するサービスを提供していて、顧客向けに税に関する記事を公開していました。記事の下には「執筆者募集」の文字があり、メールで応募できます。元国税局職員であること、現在は芸人であることを記してメールするとすぐに返事が来て、担当者と会うことになりました。

その社員さんはとてつもなく良い方でした。年齢はぼくより少し上で、微笑みを絶やさず、どこの馬の骨ともわからないぼくに丁寧に接してくださいます。その場で連載が決まり、継続的に取引をすることになりました。

それから執筆の営業をしたことはありません。連載が複数あるとそれを見た別の企業から執筆の依頼がくるようになり、連鎖的に仕事が増えていきました。記事がポートフォリオになっているのです。

今でこそ月に数回の依頼が来る講演会も、最初に依頼が来たきっかけは担当者が連載を見てくれたことでした。執筆の仕事が次の仕事の営業活動のようになっていて、無駄なく回っていることを実感していました。

営業でデメリットを感じること

自ら営業をかけるときのデメリットの1つは「こちらから打ち合わせに出向かなくてはならない」ことです。移動中は仕事ができないので、業務量が収入に比例するタイプのフリーランスの場合は、大切な時間を浪費することになります。しかし、こちらから「仕事をください」と頼んでいるので仕方のないことです。

まれに、ぼくに営業をかけてきた相手側から「来てください」と言われることがあります。大勢で対応したいなど合理的な理由があれば快諾しますが、中にはフリーランスを見下している人に呼びつけられることがあります。大切な時間を無駄にしないためにも会うべき人か見極め、値引き交渉や無礼な態度にも警戒したほうが良いでしょう。

また、ぼくが営業をかけたときの最大のデメリットは「ナメられること」です。今でも講演会に出るための営業はかけています。芸人なので人前で話す仕事が一番好きなんですね。

全国の法人会にメールをしたり、いくつかの法人会の例会に参加したりしています。法人会は経営者の集まりで、比較的年齢層が高く、主に地場で活動する方が会員です。そこへぼくが参加すると、年齢も雰囲気も異なるので悪い意味で目立ちます。

「芸人です」と名乗れば「面白いことをやれ」と言われ、「今日は著書を持ってきています」と言えばボロボロの紙幣をテーブルの上に投げられることもあります。そのような、目の前にいる相手に敬意を払わない人が仕事をくれることはありません。たとえ仕事をくれたとしても、微々たる報酬を提示されるでしょう。

主にクリエイターに多いと思いますが、いわゆる無形商材を扱っている場合や、趣味の延長と思われる仕事の場合、相手がその価値を認識していない場合は買い叩かれることが多々あります。自分から営業をかけたか相手から依頼があったかで、取引価格は変わるので注意が必要です。

SNSや会食も“ご縁が広がる場”

先日、エッセイの仕事がしたいと思いTwitterで呼びかけたところ、複数の方から連絡をもらいました。予算が合わず契約には至りませんでしたが、ぼくのフォロワーの中にはぼくを軽んじる方は少ないと思うので、お互いに敬意を持って交渉を進めることができます。

また、出版社の方と飲む機会があります。はじめての方であれば、経歴と連載の媒体を伝え、LINEを交換して、無料で読めるものを読んでいただきます。今まで知り合った出版社の方は、10も20も年下のぼくを蔑んだり軽視したりすることはありませんでした。出版界は素敵な方が集まる業界のように思います。

ターゲットを絞り効率よく営業を

もし今、ぼくの家に浄水器の営業の方が来たら素っ気なく断ってしまいます。興味のない商品の説明に耳を貸そうとは思いません。しかし、ちょうど家の浄水器が壊れてしまい買い替えたいと思っている方なら熱心に話を聞くでしょう。

フリーランスの営業も一緒です。ご自身が営業をかける際は、あなたやあなたの仕事に興味のある方に絞ると効率よく仕事を得ることができます。あなたに失礼な態度を取るマナーの悪い相手であれば、早々に見切りをつけて、その場から立ち去りましょう。きっとどこかにあなたを待っている人がいます。

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