• 更新日 : 2026年8月28日

CopilotとLLMの違いとは?機能・料金・セキュリティで徹底比較

PointCopilotとLLMの違いとは?

CopilotはLLMを業務アプリに組み込んだ製品であり、LLMはその基盤エンジンです。

  • Copilotは月額定額制・即導入が可能
  • LLM APIは従量課金で独自ツールを構築
  • 情報漏洩対策はAPI利用・設定確認が基本

Q. CopilotとLLM APIはどう使い分ける?

A. Office業務の効率化はCopilot、社内チャットボットなど独自ツール構築はLLM APIが適しています。

CopilotとLLM(大規模言語モデル)の違いがわからず、自社に合うAIツールを選びかねているバックオフィス担当者は少なくありません。両者の関係は「エンジン(LLM)と完成車(Copilot)」に例えられ、LLM APIや生成AIとの使い分けが導入成功のカギを握ります。本記事では費用体系やセキュリティ、業務別の使い分け方を整理します。

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※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。

CopilotとLLMの関係性は?

LLM(大規模言語モデル)はAIの基盤技術であり、CopilotはそのLLMを業務アプリに組み込んだ製品です。車に例えると、LLMがエンジン、Copilotがエンジンを搭載した完成車にあたります。

LLMは「エンジン」、Copilotは「車」にあたる

LLM(Large Language Model)は、大量のテキストデータを学習し、文章生成・要約・翻訳などを行うAIの基盤技術です。OpenAIのGPTシリーズやGoogleのGemini、AnthropicのClaudeなどが代表的なモデルとして知られています。

一方、Microsoft Copilot(コパイロット)は、このLLMを活用した生成AIであり、Microsoft 365のようにアプリ群に組み込まれた業務支援ツールも存在します。CopilotはLLMを調整して利用しており、ユーザーがMicrosoft 365アプリ内で作業を行う際に役立つインテリジェントな機能やプロンプト体験を提供します。ExcelやWord、Teamsといった日常的に使うソフトの中でAIの力を引き出せる点が特徴です。

つまり、LLMだけでは「賢いけれど何も操作できないAI」にとどまります。Copilotはそこに業務アプリとの接続を加え、「資料作成」「データ集計」「メール要約」といった実務に使える形にしたものです。この「基盤技術と製品の階層関係」は、ChatGPTとLLMの関係にも共通する考え方です。

Microsoft GraphとM365連携で社内データを活用できる

Microsoft 365 Copilotの裏側では、Microsoft Graph(マイクロソフト グラフ)と呼ばれるデータ連携の仕組みが動いています。Microsoft Graphには、ユーザーやアクティビティ、アクセス可能な組織データに関する情報が含まれ、Microsoft Graph APIがユーザーのメール・チャット・ドキュメント・会議からの情報などパーソナライズされたコンテキストをプロンプトに取り込みます。

ユーザーからの曖昧な指示をLLMが処理しやすい形に補強するこの仕組みは「グラウンディング(Grounding)」と呼ばれ、Copilotの回答精度を左右する中核技術です。LLM単体ではこうした社内データとの連携はできないため、ここがCopilotならではの強みといえるでしょう。

参考:Microsoft 365 Copilot とは?|Microsoft Learn

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CopilotとLLMの機能・料金の違いは?

Copilotは月額定額制の業務特化型ツール、LLM APIは従量課金で柔軟にカスタマイズできる開発者向けサービスです。2026年7月時点でMicrosoft公式サイトが公開する料金体系をふまえ、主な違いを整理しました。

比較項目 Microsoft 365 Copilot LLM API(GPT・Claudeなど)
料金体系 アドオン月額約3,148円/ユーザー(年払い・税抜) 従量課金(トークン単位で数円〜)
初期設定 対象のM365ライセンスがあればすぐ利用可 API連携の開発・設定が必要
カスタマイズ性 M365アプリ内の操作に限定 自社業務に合わせた自由な設計が可能
必要なIT知識 一般的なPC操作レベル API連携やプログラミングの基礎知識
向いている業務 文書作成・会議要約・データ集計 独自チャットボット・専門分析ツール構築

参考:Microsoft 365 Business のプランと価格|Microsoft

Copilotは月額料金制で導入ハードルが低い

Microsoft 365 Copilotは、既存のM365ライセンスにアドオンとして追加する形で利用します。Microsoft 365 Copilot Businessは年間サブスクリプションで、ユーザーあたり月額相当3,148円(税抜)から提供されています。なお、これとは別にエンタープライズ向けプランも用意されており、組織規模や連携アプリの種類に応じて選択します。ExcelやOutlookなど普段使っているアプリ内でそのまま動くため、新しいツールの操作を覚える負担がほとんどありません。

LLM APIは従量課金で柔軟に使える

OpenAI APIやAnthropic APIなどのLLMサービスは、送受信したテキスト量(トークン:AIが処理するテキストの最小単位)に応じた従量課金です。利用が少ない月はコストを抑え、繁忙期には多く使うといった運用ができます。

ただし、API連携にはプログラミングや外部ツール(ZapierやMake、Azure OpenAI Serviceなど)の設定が必要です。社内にITに詳しい担当者がいない場合は、外部ベンダーへの開発委託費が別途かかる点も考慮しておく必要があります。

業務別にCopilotとLLMを使い分けるには?

日常のOffice操作を効率化したいならCopilot、独自のツールを構築したいならLLM APIが向いています。バックオフィスの代表的な業務ごとに、適したツールを整理しました。

Excel集計や議事録作成はCopilotが得意

経理担当者が毎月の売上データをExcelで集計しているケースを考えてみましょう。Copilotなら「月次売上をカテゴリ別にピボットテーブルでまとめて」と自然言語で指示するだけで、グラフ付きのレポートを作成できます。関数やマクロの知識がなくても使える点が大きなメリットです。

Teams会議の議事録作成も、Copilotが力を発揮する場面です。会議中にリアルタイムで文字起こしを行い、終了後に要約・アクションアイテムの抽出まで自動で対応してくれます。総務や人事が参加する全社会議でも、議事録にかける時間の短縮が期待できるでしょう。

独自チャットボットや専門分析にはLLM APIが向いている

一方、社内規程や就業規則の問い合わせに自動で回答するチャットボットを作りたい場合は、LLM APIのほうが適しています。自社のPDFやデータベースを読み込ませ、質問に対して関連情報をもとに正確な回答を返す「RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)」という仕組みを構築できるからです。

例えば人事部門で「有給休暇の申請方法を教えて」「育児休業の条件は?」といった定型的な問い合わせが多い場合、LLMベースのチャットボットで一次対応を自動化することで、担当者の対応負荷を軽減できる可能性があります。

業務別の選択ガイド

業務ごとの選択目安を以下にまとめました。

業務内容 適したツール 理由
Excel集計・グラフ作成 Copilot Excel上で自然言語の指示が使える
会議の議事録作成 Copilot Teams連携で自動要約が可能
メール下書き・返信補助 Copilot Outlook内でそのまま利用できる
社内FAQ・チャットボット LLM API RAGによる自社データを組み込んだ独自設計が可能
助成金申請書の文案作成 LLM API / ChatGPT 自由度の高い文章生成が得意
請求書データの突合・照合 Copilot Excel・SharePoint上のデータを横断的に扱える

必ずしもどちらか一方に絞る必要はありません。Office業務の効率化にはCopilot、定型外の独自ツールにはLLM APIという形で併用する企業も増えています。

CopilotやLLMの情報漏洩リスクは?

Microsoft 365 Copilotはエンタープライズ データ保護(EDP)の枠組み内で動作し、入力データが基盤モデルの学習に使われることはありません。LLM APIを使う場合も、主要なサービスはデフォルトで学習対象外となっていますが、サービスごとの仕様確認が必要です。

Copilotはエンタープライズ データ保護の範囲で動作する

Microsoft 365 CopilotとMicrosoft 365 Copilot Chatの利用では、プロンプトと応答がExchangeのメールやSharePointのファイルと同じ契約条件で保護され、データは基礎モデルのトレーニングには使用されません。Copilotを強化するAIモデルは定期的に更新・強化されますが、モデル更新プログラムによってセキュリティ・プライバシー・コンプライアンスの設定が変わることはありません。

ただし注意点もあります。Microsoft Graphではユーザー ID ベースのアクセス境界が適用されるため、Copilotのグラウンディング処理は現在のユーザーがアクセスを許可されているコンテンツにのみアクセスします。つまり社内のアクセス権限設定が甘いと、本来見せるべきでない情報にCopilotがアクセスしてしまうリスクがあるため、導入前にSharePointやOneDriveのフォルダ権限を見直しておくことが重要です。

参考:Microsoft 365 CopilotとMicrosoft 365 Copilot Chatでのエンタープライズ データ保護|Microsoft Learn

LLM API利用時はオプトアウト設定が必要なケースもある

OpenAIはChatGPT Business、ChatGPT Enterprise、APIプラットフォームを利用する場合、デフォルトでユーザーのデータを使用してモデルが学習することはなく、入力・出力内容の所有権と管理権を顧客に提供しています。一方、コンシューマー向けの無料版・Plus版のChatGPTでは、設定次第で入力データがモデル学習に利用される場合があるため、業務利用では以下の対策を講じておく必要があります。

  • OpenAI APIを利用する:API経由のデータはデフォルトで学習対象外
  • ChatGPTのWeb版を使う場合は「データコントロール」設定でモデル学習をオフにする
  • Azure OpenAI Serviceを選ぶ:Microsoftのエンタープライズセキュリティ基盤上で動作する
  • 顧客名・口座番号などの機密情報はマスキング(伏せ字処理)してから入力する

「AIに社内データを入力したら外部に漏れるのでは」という不安から導入をためらう担当者は少なくありません。しかし、API経由での利用やAzure OpenAI Serviceの活用など、適切な手段を選べばリスクを大幅に低減できます。Copilot・LLMともに、ツールごとに学習対象からの除外設定を正しく行うことが情報漏洩対策の基本です。

参考:OpenAI におけるエンタープライズプライバシー|OpenAI

CopilotとLLMの導入で失敗しないための進め方は?

いきなり高額なライセンスを契約するのではなく、無料ツールで小さく始めて段階的に拡大するのが、企業のAI導入における一般的な成功パターンです。

ステップ1:無料のLLMツールでプロンプトに慣れる

まずはChatGPTの無料版やMicrosoft Copilot(Web版)の無料枠など、コストゼロで始められるツールを試してみましょう。メールの下書き作成や社内文書の要約など、身近な業務で「AIに指示を出す感覚(プロンプトの書き方)」をつかむのが目的です。

この段階で「どんな指示を出せば期待どおりの回答が返ってくるか」を経験しておくと、有料ツールに移行した後の活用度が格段に上がります。日常業務の中で継続的に触れてみることが、次のステップへの近道です。

ステップ2:効果が見えた業務からCopilotへ移行する

無料ツールで効果を実感できた業務がみつかったら、Microsoft 365 Copilotの導入を検討するタイミングです。いきなり全社員分のライセンスを購入する必要はありません。まずは経理や総務など、効果が出やすい部署の担当者数名分からスタートするのが賢明です。

議事録作成やレポート作成にかかる時間が実際に短縮できたと確認できれば、他部署への展開や経営層への報告もスムーズに進むでしょう。

ステップ3:独自ツールが必要ならLLM APIを検討する

Copilotでは対応しきれない業務——たとえば自社商品のFAQチャットボットや、業界特有のデータ分析ツール——が必要になった段階で、LLM APIの活用に進みましょう。Azure OpenAI ServiceやAmazon Bedrockなど、エンタープライズ向けの環境を使えばセキュリティ面も安心です。

社内にプロンプト経験者がいないまま要件定義が曖昧な状態で外注すると、開発費をかけたわりに現場で使われないシステムになってしまうケースも見られます。原因の多くは、AIへの指示の出し方が社内に浸透していなかったことです。ステップ1・2を飛ばさないことが、遠回りに見えて実は最短ルートといえます。

CopilotとLLMに関するよくある質問

無料版Copilotと有料版の違いは?

無料版のMicrosoft Copilot(Web版)は、Web検索ベースの回答や簡単な文章生成に対応しています。一方、有料のMicrosoft 365 Copilotは、Excel・Word・Teams・Outlookなど社内のM365アプリと連携し、社内データを活用した業務支援が可能です。

項目 無料版 Copilot Microsoft 365 Copilot(有料版)
利用料金 無料 アドオン月額約3,148円/ユーザー〜
データ連携 Web情報のみ M365の社内データ(Graph連携)
使える場所 ブラウザ・アプリ単体 Excel・Word・Teams・Outlook内
エンタープライズ データ保護 対象外 フル対応

業務効率化が目的であれば、社内データと連携できる有料版のほうが効果を実感しやすいでしょう。まずは無料版で操作感を確かめ、必要性を感じてから有料版へ移行する流れが無理のない進め方です。

CopilotにはどのLLMが使われている?

Microsoft Copilotは、OpenAI社が開発したモデルをベースに構築されており、記事執筆時点ではGPT-5系のモデルが適用されています。なお、Copilotを支えるAIモデルは定期的に更新・強化される方針が公表されていますので、採用モデルの世代は今後も変わる可能性があります。

LLMと生成AIの違いは?

LLM(大規模言語モデル)は文章の生成・理解に特化したAIモデルの一種であり、生成AI(Generative AI)は画像・音声・動画なども含めてコンテンツを生み出すAI全般を指すより広い概念です。つまりLLMは、生成AIというカテゴリに含まれるテキスト特化型の技術と整理できます。

LLMを社内導入するのに開発知識は必要?

LLMの導入方法によって、必要な知識レベルは大きく変わります。ChatGPTやClaudeなどのWebサービスをそのまま使うだけなら、特別な開発知識は不要です。ブラウザからログインして質問を入力するだけで利用できます。

API連携で自社システムに組み込む場合は、PythonやJavaScriptなどのプログラミング基礎知識が必要になります。ただし、最近はノーコード・ローコードツール(Dify、Zapier AI、Microsoft Power Automateなど)を使えば、コードを書かずにLLMと業務システムを連携させることも可能です。

自社の技術力に不安がある場合は、まずノーコードツールでの構築を試し、それで対応しきれない要件が出てきたタイミングで開発者やベンダーに相談するのが効率的な進め方といえるでしょう。

CopilotとLLMを自社の業務規模に合わせて選ぶ

Copilotは大規模言語モデル(LLM)をMicrosoft 365に組み込んだ業務特化型ツールであり、ITの専門知識がなくても日常業務をすぐに効率化できます。一方、LLM APIは自社データを活用した独自チャットボットや分析ツールの構築に向いています。まず社内の業務課題を洗い出し、Office操作の効率化か独自システムの開発かを軸に、自社に合った選択肢を検討してみましょう。


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