• 更新日 : 2026年8月21日

AI格差を埋めるには?取り組み方のコツや注意点を解説

PointAI格差はどうすれば埋められる?

AI格差は、対象業務を絞り、低コストツールの試行と社内教育を組み合わせることで縮められます。

  • 活用方針を定めているのは、大企業56%・中小企業34%と差がある
  • 人材不足・予算・経営層の理解不足が原因
  • 議事録・文書要約など効果測定しやすい業務から始める

Q. AI格差対策で最初にすべきことは?

A. 議事録作成やメール下書きなど成果を数字で確認しやすい業務に絞り、無料・低コストツールで小さく試すことが出発点です。

AI格差とは、AIを活用できる企業と、活用できない企業の間に生まれる生産性や競争力の差を指します。生成AIの普及により、資料作成、問い合わせ対応、データ分析、採用、経理などの業務でAI活用が進む一方、企業規模や人材、予算、経営判断の違いによって導入状況に差が出ています。

本記事では、AI格差の現状、広がる原因や対策などを解説します。

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※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。

AI格差とは?

AI格差の実態は、企業規模別の生成AI活用方針や、社内での活用範囲の違いに表れています。単に「使っているかどうか」だけでなく、業務に組み込み、成果を継続的に出せているかが重要です。

AI格差とはAIを使える側と使えない側の生産性差

AI格差とは、AIを活用できる企業や個人と、活用できない企業や個人の間に生まれる差のことです。AIデバイドとも呼ばれます。

以前のデジタルデバイドは、インターネットやパソコンを使えるかどうかが主な論点でした。しかし現在は、生成AIを使って情報整理、文章作成、分析、社内ナレッジ検索、顧客対応などを効率化できるかが差になりつつあります。

同じ営業資料を作る場合でも、AIを使える企業は過去資料を要約し、顧客別の提案文を短時間で作成できます。AIを使わない企業では、担当者が過去資料を探し、文章を一から作り直す必要があります。この差が積み重なると、作業時間、提案スピード、人件費、採用力に影響します。

大企業と中小企業では生成AIの活用方針に差がある

生成AIの活用方針を定めている企業の割合を見ると、企業規模による差が確認できます。総務省「令和7年版 情報通信白書」の関連資料では、2024年度調査において、日本企業のうち生成AIの活用方針を定めている割合は約5割とされています。企業規模別では、大企業が約56%、中小企業が約34%であり、企業規模による差も確認できます。

以下は、AI格差を整理する際の比較例です。

項目 大企業の傾向 中小企業の傾向
AI活用方針 経営方針やDX戦略に組み込まれやすい 方針が未整備のまま個人利用にとどまりやすい
導入体制 情報システム部門やDX部門が主導しやすい 担当者が兼務で進めることが多い
人材 AI・データ活用に詳しい人材を配置しやすい 外部支援や既存社員の学習に頼りやすい
活用範囲 全社展開や部門横断の活用に進みやすい 議事録、文書作成、経理など一部業務から始まりやすい
主な課題 ガバナンス、権限管理、全社統制 人材不足、予算不足、進め方の不明確さ

参考:総務省|情報通信白書 令和7年版 インフォグラフィック

AI格差は業務効率・採用力・競争力に波及する

AI格差は、単なるツール導入の差ではありません。業務効率、意思決定の速さ、顧客対応品質、採用力にも影響します。

たとえば、AIを活用して議事録作成や問い合わせ一次対応を効率化できる企業では、担当者が確認や改善提案に時間を使いやすくなります。反対に、手作業中心の企業では、定型業務に時間を取られ、改善活動に手が回らない状態が続きやすくなります。

また、若手人材やデジタルツールに慣れた人材は、非効率な作業が多い職場を敬遠する可能性があります。AI活用が進んでいる企業は、「働きやすい」「新しい業務改善に取り組める」という印象を持たれやすく、採用面でも有利になる場合があります。

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この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

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人事労務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ14選

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AI格差が広がる原因は?

AI格差が広がる背景には、人材不足、予算制約、経営層の理解不足、社内データの未整備などがあります。

IT人材不足がAI導入の判断を難しくする

AI導入では、ツールを契約するだけでなく、対象業務の選定、データ整理、運用ルール、セキュリティ確認、効果測定まで考える必要があります。社内にITやデータ活用に詳しい人材がいない場合、どのツールを選ぶべきか、既存システムと連携できるか、入力してよい情報と避けるべき情報は何かを判断しにくくなります。

たとえば、経理業務でAIを使う場合は、請求書領収書の読み取り精度、仕訳候補の確認方法、会計ソフトとの連携可否、取り扱うデータの機密性などを確認する必要があります。 これを担える人材がいなければ、検討段階で止まりやすくなります。

中小企業では、情報システム担当者が総務や経理を兼務していることも多く、AI導入に十分な時間を割けないケースもあります。

予算制約により本格導入へ進みにくくなる

AI導入には、ツール利用料、初期設定費用、社内研修費、データ整備費、運用担当者の工数がかかります。無料ツールだけで試せる範囲もありますが、業務利用では権限管理、ログ管理、セキュリティ、サポート体制を確認する必要があります。

中小企業では、売上に直結する設備投資や人件費が優先され、AI関連予算が後回しになることがあります。さらに、AI導入の効果は「月に何時間削減できるか」「問い合わせ対応件数がどれだけ減るか」など、事前に見積もらなければ経営判断につながりません。

予算制約がある企業ほど、最初に大きな投資をするのではなく、1業務に絞って小さく試すべきです。効果が数字で見えれば、次の予算申請もしやすくなります。

経営層のAIリテラシー不足が意思決定を遅らせる

AI格差は現場だけの問題ではありません。経営層がAIで何ができるのかを理解していない場合、現場が提案しても「まだ早い」「費用対効果が見えない」と判断されやすくなります。

注意すべきなのは、AIを万能ツールと誤解するケースと、反対に危険なものとして一律に避けるケースです。AIはすべての判断を自動化できるものではありません。文書作成、要約、分類、検索、チェックリスト作成など、定型的な情報処理には活用しやすい技術です。

経営層がこの線引きを理解していないと、導入範囲が広すぎて失敗するか、必要以上に慎重になって機会損失を招く可能性があります。AI活用を進めるには、経営層自身が基本的な仕組み、リスク、活用例を学び、現場に丸投げしない姿勢が必要です。

社内データが整っていないとAIを活用しにくくなる

AIは、入力する情報の質に大きく左右されます。社内文書が紙、Excel、個人PC、メール、チャットに分散している場合、AIに参照させる前の整理に時間がかかります。

社内FAQをAIチャットボット化したい場合でも、就業規則、マニュアル、過去の問い合わせ回答がバラバラに保管されていれば、正しい回答を作るための元データを整備しなければなりません。古いルールと新しいルールが混在していると、AIが誤った情報をもとに回答するリスクもあります。

AI導入前には、対象業務で使うデータの保管場所、更新日、責任者、利用権限を確認する必要があります。

AI格差を埋める対策は?

AI格差を縮めるには、社内教育、低コストツールの試行、補助金の活用、運用ルールの整備を組み合わせることが重要です。

社内のAIリテラシーを底上げすることが出発点

AI活用を進めるうえで、全社員がプログラミングを学ぶ必要はありません。最初に必要なのは、「AIに何を任せられるか」「どこからは人が確認すべきか」を理解することです。

社内教育では、以下のような内容から始めるとよいでしょう。

学習テーマ 学ぶ内容 業務への活用例
生成AIの基本 できること、苦手なこと、ハルシネーション 回答を鵜呑みにせず確認する
プロンプト作成 指示の出し方、条件設定、出力形式の指定 メール文、議事録、報告書を作る
情報管理 入力してよい情報、入力を避ける情報 顧客情報や未公開情報を守る
業務改善 AIに任せる作業と人が担う作業の整理 定型作業を削減する
検証方法 作業時間、ミス、品質の測定 導入効果を数字で確認する

外部研修に大きな費用をかけられない場合は、マナビDXで無料・低価格の講座を探したり、自治体・商工会議所のセミナーを活用したりできます。小さな成功事例を共有することで、現場の抵抗感を下げやすくなります。

無料・低コストのツールから始める

AI導入は、大規模なシステム開発から始める必要はありません。まずは、効果が見えやすく、情報漏えいリスクを管理しやすい業務に絞って試すことが現実的です。

業務領域 ツール例 期待できる効果
議事録作成 Notta、CLOVA Noteなど 文字起こし、要約、共有の効率化
文書作成 ChatGPT、Claude、Geminiなど メール、報告書、提案文の下書き作成
経理・請求 会計ソフトのAI OCR、自動仕訳機能 領収書読み取り、仕訳候補作成
社内検索 NotebookLM、社内ナレッジ検索ツールなど 社内文書の要約、FAQ作成
データ整理 表計算ソフトのAI機能 売上データの要約、傾向把握

最初の対象業務としては、議事録作成、社内文書の要約、メール文面の下書き、FAQ作成などが向いています。これらは成果を比較しやすく、導入前後で「作業時間が何分減ったか」を確認しやすいためです。

補助金を活用すると費用負担を抑えやすい

AIを含むITツール導入では、国や自治体の補助金を活用できる場合があります。2026年時点では、中小企業・小規模事業者向けに「デジタル化・AI導入補助金2026」が設けられています。旧IT導入補助金から名称を改め、AIをはじめとするITツールの導入支援を強化しています。

補助金を検討する際は、単に「AIツールを導入したい」と書くだけでは不十分です。次のように、課題と効果を数字で整理する必要があります。

整理項目 記載例
現在の課題 請求書処理に月20時間かかっている
導入するツール AI OCR付きの経理システムを導入する
期待する効果 入力作業を月10時間削減する
効果測定方法 導入前後の処理時間、ミス件数を比較する
社内体制 経理担当者と管理者が運用ルールを確認する

一般的な申請フローは、事業計画書作成、公募期間内の電子申請、審査、採択通知、事業実施、実績報告、確定検査という流れです。補助金は年度や公募回によって要件、対象経費、補助率、上限額が変わります。申請前には、必ず公式サイトの公募要領を確認してください。

参考:デジタル化・AI導入補助金2026

AI格差を広げないために経営者が確認すべきことは?

AI格差を広げないためには、現場任せでAI導入を進めるのではなく、経営者が目的、対象業務、予算、情報管理、効果測定を確認することが重要です。

確認項目 経営者が確認すべき内容 確認する目的
AI導入の目的 請求書処理の削減、問い合わせ対応の効率化、営業資料作成の短縮など、自社の経営課題とAI活用を結びつける 「流行っているから使う」という曖昧な導入を避け、成果につながる活用にするため
対象業務 議事録作成、文書要約、経理処理、社内FAQなど、効果を測定しやすい業務から選ぶ 最初から全社導入せず、小さく試して定着しやすくするため
推進責任者 誰が導入を進めるか、誰が利用状況を確認するか、誰が効果を振り返るかを決める 責任の所在を明確にし、形だけの導入を防ぐため
情報管理ルール 顧客情報、個人情報、契約内容、未公開の経営情報など、AIに入力を避ける情報を整理する 情報漏えいや不適切なデータ利用を防ぐため
出力確認の体制 AIの出力を下書きとして扱い、担当者や責任者が事実確認・表現調整を行う 誤情報や不正確な内容をそのまま社外・社内で使わないため
高リスク業務の扱い 法務、税務、人事評価、採用、契約などは、責任者や専門家の確認を挟む 判断責任が重い業務でAIに過度に依存しないため
効果測定 作業時間、ミス件数、問い合わせ対応件数、資料作成時間などを導入前後で比較する 追加投資や他部署展開の判断材料を作るため
社員教育 AIの使い方、プロンプト作成、出力確認、情報管理を学ぶ機会を設ける 社内全体のAIリテラシーを高め、AI格差を広げないため

AI格差対策を成功させるには?

AI格差を埋めるためにAIツールを導入しても、進め方が曖昧なままでは現場に定着しにくくなります。失敗を防ぐには、対象業務を絞り、運用ルールを整え、現場が使いやすい形で少しずつ広げることが重要です。

対象業務を絞って小さく始める

AI格差対策では、最初から全社導入を目指すよりも、効果が見えやすい業務に絞って始めることが重要です。議事録作成、メール文面の下書き、社内文書の要約、問い合わせ対応の一次整理などは、AIの効果を確認しやすい業務です。

対象業務を限定すれば、利用者、入力する情報、確認方法、効果測定の基準を決めやすくなります。導入前に「月に何時間かかっている作業を、どの程度短縮したいのか」を整理しておくと、導入後の成果も判断しやすくなります。

運用ルールを整えて安全に使える状態を作る

AIを業務で使う場合は、入力してよい情報と避けるべき情報を明確にします。顧客情報、個人情報、契約内容、未公開の経営情報などは、社内ルールが整うまで入力を控える対象として整理しておく必要があります。

また、AIの出力はそのまま社外に出すのではなく、担当者が事実確認や表現調整を行う前提で使います。特に、契約、人事評価、税務、法務、採用など判断責任が重い業務では、責任者や専門家の確認を挟む運用が適しています。利用範囲、確認者、保存方法を決めておくことで、情報漏えいや誤情報の利用を防ぎやすくなります。

現場の不安を減らしながら定着させる

AI導入を定着させるには、現場が「自分の仕事に役立つ」と実感できる状態を作ることが大切です。経営層が一方的に利用を指示するだけでは、現場は使い方を理解できず、従来の方法に戻りやすくなります。

まずは、定型作業を減らすための補助ツールとして位置づけると受け入れられやすくなります。「議事録作成を30分短縮できた」「メールの下書き作成が楽になった」など、小さな成功事例を社内で共有します。AI活用に前向きな社員を推進役にして、使い方を共有する場を設けることも有効です。現場の負担を減らす目的を明確にすることで、AI格差対策は継続しやすくなります。

AI格差を縮めるには小さく試し、社内に定着させよう

AI格差は、企業規模や予算だけで決まるものではありません。対象業務を絞り、無料・低コストのツールを試し、社内教育と運用ルールを整えれば、少しずつ差を縮められます。

まずは、議事録作成、文書要約、メール下書き、社内FAQなど、効果が見えやすい業務から始めます。導入前後の作業時間やミス件数を記録し、成果を数字で確認できれば、経営層への説明もしやすくなります。

AI格差を放置せずに動き出せば、限られた予算でも着実に改善を積み上げられます。


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