• 更新日 : 2020年6月10日

評価性引当金とは

評価性引当金とは引当金のうち将来の損失(資産の価値の損失)に備えるため、資産から控除される引当金をいう。具体的には貸倒引当金がこれに該当する。
なお、引当金はその性格により「評価性引当金」と「負債性引当金」に分類できる。将来の損失に備えるための引当金が評価性引当金であり、将来の支出に備えるための引当金が負債性引当金である。

引当金の概念について

そもそも引当金とは、将来一定の確率で発生が予測される大きな損失や支出に備えるため、あらかじめ金額を見積り、当期の費用・損失として貸借対照表に繰り入れ準備しておくものである。
貸倒引当金のような評価性引当金の場合、当然、引当金を設定する段階では当該損失や経費は発生しておらず、発生主義会計の観点からすると引当金の設定は適切ではない。しかし引当金を設定しておくことにより費用の平準化をはかることができ、費用収益対応の原則に基づき期間損益計算をより適正化することに役立つと考えられる。

会計規則と税法の考え方の違い

会計基準企業会計原則注解によれば、

1、将来の特定の費用又は損失であって
2、その発生が当期以前の事象に起因し
3、発生の可能性が高く
4、その金額を合理的に見積ることができる場合

に引当金を計上するものと定めている。

また引当金に該当するものとして製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等の項目を掲げ、「発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない」ともしている。

これに対し、法人税法では貸倒引当金(資本金が1億円以下であるなど、特定の条件を満たす法人に限る)と返品調整引当金のみを引当金とし、この2つに対してのみ経費として認められ、損金に算入できる。
しかし法人税法上は認められていない引当金(賞与引当金など)であっても、財務会計上は企業会計原則注解の4項目を満たす場合は計上が強制される。

なぜこのような齟齬が生じるかというと、法人税法では引当金が増加すると課税所得が減じることから一定の歯止めをかける必要があり、財務会計上では「期間損益計算を適正に行う」という目的を達成するため適切な引当金の計上が必要だからである。

売掛金や貸付金などの債権に対して回収不能額を見積り適正な貸倒引当金(評価性引当金)を設定することもまた、期間損益計算を適正に行うために必要不可欠であると考えられる。

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